中耳手術と lateral skull base surgery S11 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 講義 手術を要する中耳疾患 • • • • • • • 慢性中耳炎 真珠腫性中耳炎 耳硬化症 耳小骨奇形 耳小骨離断 / 固着 顔面神経麻痺 その他 手術を要する中耳疾患 • 中耳手術の目的とは・・・ • 病変の除去 – • 今後の障害を未然に防ぐ QOLの改善 – 聴力改善、耳漏停止など 中耳の構造 • • • • 空気の振動 鼓膜の振動 耳小骨の振動 内耳へ伝達 • 鼓膜が宙に浮く • 耳小骨が連鎖して動く 鼓索神経 耳周囲の構造 味覚障害 顔面神経 顔面麻痺 聾 耳鳴 眩暈 内耳 頭蓋内合併症 脳 慢性中耳炎 慢性中耳炎 鼓膜形成術(接着法) 鼓室形成術 I 型 真珠腫性中耳炎 真珠腫性中耳炎 鼓室形成術 ①病変を除去する ②中耳の空間を作る ③聴力を改善する 疾患によっては①②と③を別々に行う 段階手術の利点 ①真珠腫の遺残の有無の確認ができる ②シリコン板を留置し、中耳の空間を作るこ とができる 鼓室形成術 I 型 鼓室形成術 III 型 鼓室形成術 IV 型 耳硬化症 あぶみ骨手術(耳硬化症) 顔面神経麻痺 • 大部分が末梢性顔面麻痺で、原因 不明のもの(Bell麻痺) • 単純ヘルペスの再賦活化の可能性 • • 治療法 予後 ・・・・ステロイド治療 ・・・・非常に良好 Bell麻痺 骨 • 骨管の中を走行している顔面神経が何らかの理 由で浮腫を起こし、その結果、 浮腫→絞扼→浮腫→絞扼→・・・ という、悪循環をきたすと考えられている Bell麻痺の予後 • 軽症例も含め、約60%が自然治癒 • 発症後一週間以内に治療を開始でき た場合は、ステロイド大量療法で、約 90%が治癒するといわれる • 予後不良例には、顔面神経減圧手術 を行う Lateral skull base surgery • 側頭骨に生じる腫瘍性病変の手術 • 中耳に加え、小脳橋角部・錐体部などを 扱う • 脳神経(IV~XI)、S状静脈洞、頸静脈 球、頸動脈、小脳、脳幹などを操作する Lateral skull base surgery • • • • • • 聴神経腫瘍 錐体部真珠腫 グロームス腫瘍 錐体尖コレステリン肉芽腫 顔面神経鞘腫 その他 聴神経腫瘍 • • • • • 小脳橋角部で最も多い腫瘍で、前庭神経から 生じるものが多い 成長は平均2 mm/年とされるが、ほとんど成 長しないものもある 難聴>めまい>顔面神経麻痺、脳幹症状 治療方針:wait and scan、放射線治療(γナイ フ)、手術 手術:経迷路法、中頭蓋窩法、後S状静脈洞 法 錐体部真珠腫 • • • • • 錐体部真珠腫 内耳より内側に進展した真珠腫 手術が唯一の治療法 完全摘出を目指すが、顔面神経・脳幹 への癒着などがあると、必ずしも可能で はない 手術:経迷路法、中頭蓋窩法 グロームス腫瘍 • • • • • グロームス腫瘍 頸静脈球やJacobson神経に生じる傍神経節 腫 増大すれば拍動性耳鳴、顔面麻痺、内耳障 害、下位脳神経障害をきたす 治療方針:放射線治療(γナイフ)、手術 手術:経外耳道法、経乳突法、側頭窩下法 錐体尖コレステリン肉芽腫 • • 治療方針:ドレナージ手術が主体、可能 であれば、全摘出 手術:蝸牛下法、迷路下法、中頭蓋窩 法、経蝶形骨洞法、経迷路法、経耳法 顔面神経鞘腫瘍 • • • • • 顔面神経から生じる腫瘍で、比較的稀 顔面神経麻痺はきたさないことも多い 治療方針:wait and scan、放射線治療 (γナイフ)、手術(減圧手術、摘出術) 摘出手術:経迷路法、中頭蓋窩法 減圧手術:経乳突法、中頭蓋窩法
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