第5章 会社の機関 No.4(指定教科書p126~138)

企業法I講義資料No.05-3
機関(2)その他の機関③
委員会設置会社
テキスト参照ページ:173~213p、
259~264p(委員会設置会社に関
する部分)
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Ⅰ 総説
• コーポレートガバナンス論が世界的に議論さ
れるようになる中で、平成14年の商法特例
法の改正により、大会社等について、取締役
会に社外取締役を中心メンバーとする指名
委員会、監査委員会および報酬委員会を置
き、業務執行は執行役が行い、監査役を設
置できないものとする、新しい機関構造の株
式会社である委員会設置会社(平成14年改
正当時は、「委員会等設置会社」とよばれて
いた)が認められることとなった。
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Ⅰ 総説
• 委員会設置会社では、業務執行と監督の分離を推し進め
るため、業務執行の決定は原則的に業務執行機関に純
化した執行役に委ねることができるものとされ、取締役会
は監督機関としての性格の強いものとなっている。した
がって、取締役は執行役の指揮命令下にある支配人その
他の使用人を兼ねることはできない(331Ⅲ)
• ただし、取締役と執行役の兼任は禁止されていない
• 委員会設置会社の取締役会は、次に述べるように、経営
の基本方針の策定とともに会社経営に関する基本的な事
項を決定する機関でもあるので(この点で監査役と異な
る)、実際に業務を執行する執行役が取締役会の構成員
として加わることが望ましいという面もあるからである
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Ⅱ委員会設置会社の取締役会
• 会社の業務執行を決定し(意思決定)、取締
役および執行役および会計参与設置会社では
会計参与(以下、執行役等という)の職務の
執行を監督する(監督)→416Ⅰ①柱書・②
• 取締役会は、その決議により、一定の専決事
項を除き業務執行の決定を執行役に委任する
ことができる(取締役に委任することはでき
ない):416Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ(監督機関としての性
格が強い)
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「取締役会の専決事項」
• 限定列挙(416Ⅰ①、Ⅳ)
①経営の基本方針
②監査委員会の職務の遂行のために必要な事項
③執行役の選任・解任と職務分掌等
④代表執行役の決定
⑤三委員会を組織する取締役の決定
⑥株主総会の招集と総会提出議案の決定
(ただし、他の委員会の権限とされる事項を除
く)
⑦ 内部統制システムの構築
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等
取締役会の招集
• 各取締役に招集権。ただし、定款または取締役会
決議で招集権者を決定できる(366Ⅰ)
• 委員会が委員の中から選定する者(417Ⅰ)
– 委員会がその委員の中から選定する者は、遅滞なく、
当該委員会の職務執行の状況を取締役会に報告しな
ければならない(同Ⅲ)
• 執行役も、取締役会の招集請求権および招集権
を有する(417Ⅱ)
– 執行役は、3ヶ月に1回以上、職務執行の状況を取締
役会に報告しなければならず、取締役会の要求が
あったときは、取締役会に出席し、取締役会が求めた
事項について説明しなければならない(同Ⅳ・Ⅴ) 6
Ⅲ
委員会
①組織・運営:指名委員会、監査委員会および報酬委員
会を置かなければならない(2⑫)。各委員会は取
締役会決議によって選定される3名以上の取締役に
よって組織され、その過半数は社外取締役(2⑮)で
なければならない(400Ⅰ~Ⅲ)
⇒社外取締役は複数の委員会の委員を兼任できる
※監査委員会のメンバー(監査委員)となる取締役
は、全員が当該会社の執行役または子会社の執行役・
業務執行取締役、会計参与(会計参与が法人であるとき
は、その職務を行うべき社員)もしくは支配人その他の使
用人を兼ねることができない(400Ⅳ)
・各委員会の委員は、いつでも取締役会決議によって解職
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することができる(401Ⅰ)
委員会の招集等
• 各委員会の招集手続、決議方法、報告の省略ならびに議
事録については、取締役会に準ずる(410~414)
• ただし、決議を省略することはできない(370対照)
• 委員会の構成員となっていない取締役も委員会の議事録
を閲覧・謄写でき、委員会の構成員である取締役は自己
が所属しない委員会の議事録についても閲覧・謄写でき
る(413Ⅱ)
• 各委員会を組織する取締役は、その職務の執行に関し
て、会社に対して費用の前払い、支出した費用およびそれ
に対する利息の償還ならびに負担した債務の弁済を請求
することができ、会社はそれが職務の執行に必要でないこ
とを証明した場合でなければこれを拒むことができない
(404Ⅳ、民649・650参照)
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②各委員会の権限(指名委員会)
• 株主総会に提出する取締役(会計参与設置会社
では取締役・会計参与)の選任・解任に関する
議案の内容を決定する(404Ⅰ)
⇒監督機関である取締役構成員の人事権を、社
外取締役を中心とする指名委員会に委ねること
で、執行役からの独立性を確保する趣旨(ただ
し、代表執行役が取締役を兼務している場合、社内取締
役として指名委員となることができるため、事実上の影響
力が及ぶおそれもある)
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②各委員会の権限(監査委員会)
• 監査報告の作成のほか、執行役等(取締役・執行役・
会計参与)の職務の執行を監査する職務権限を有し、
また株主総会に提出する会計監査人の選解任・不再任
に関する議案を決定する(404Ⅱ)⇒監査委員会によ
る業務監査は妥当性監査にも及ぶ
• 監査委員会の指名する監査委員は、いつでも執行役等
および支配人その他の使用人に対し、職務執行に関す
る事項の報告を求め、会社の業務および財産の状況を
調査することができ、また監査委員会の権限を行使す
るため必要があるときは、子会社に対しても営業の報
告を求め、その業務および財産の状況を調査すること
ができる(405)
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②各委員会の権限(監査委員会)
• 監査委員は、執行役または取締役が法令・定款に
違反する行為をし、もしくはするおそれがあると認
めるとき、または法令定款に違反する事実や著しく
不当な事実があると認めるときは、遅滞なく取締役
会においてその旨を報告しなければならない
(406)
• また、監査委員は、執行役または取締役の法令・
定款違反行為により会社に著しい損害が生ずるお
それがあるときは、当該執行役等に当該行為の差
止を請求できる(407)
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②各委員会の権限(報酬委員会)
• 執行役等が受ける個人別の報酬等の内容を決定
する(404Ⅲ前段):定款で定めたり、総会決
議を得たりする必要はない⇒取締役会の執行役
からの独立性確保と執行役によるお手盛り防止
・確定金額による支給→各個人別の具体的金額
を決定
・不確定金額による支給→各個人別の具体的算
定方法を決定
・金銭以外のものでの支給→各個人別の具体的
内容を決定
• 使用人兼務執行役の使用人分報酬についても報
酬委員会が決定する(404Ⅲ後段)
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Ⅳ
執行役
i.選任・解任等
・取締役会で選任(解任)される(402Ⅱ・403Ⅰ)
・資格:執行役は取締役であることを資格要件とする
ものではない(取締役を兼任することができる:
402Ⅵ)
・執行役にも取締役と同じ欠格事由が定められており
(402Ⅳ→331Ⅰ)、また公開会社である委員会設置会
社は定款によっても株主であることを執行役の資格要
件とすることはできない(402Ⅴ)
・員数:1名以上であれば良い。1名の場合はその者が
当然に代表執行役に選定されたものとされる
(402Ⅰ・420Ⅰ)
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ⅱ 任期
• 選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに
関する定時総会が終結した後最初に招集される取締役会
の終結のときまで、またはそれより短い期間(402Ⅶ)
• 委員会を置く旨の定款の定めを廃止する定款変更により
委員会設置会社でなくなる場合は、当該定款の変更が効
力を生じる時に執行役の任期は満了する(同Ⅷ)
• 任期満了前でも取締役会は執行役を解任でき、解任につ
いて正当事由がないときは執行役は会社に損害賠償を請
求できる(403Ⅰ・Ⅱ)
• 欠員の場合の措置および執行役の職務執行停止・職務
代行者については、取締役に準じる(403Ⅲ→401Ⅱ~Ⅳ、
420Ⅲ→352)
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ⅲ
•
•
•
•
職務・権限
執行役は、取締役会によって委任された業務に
ついて決定するとともに、会社の業務を執行する
(418)
執行役は、3ヶ月に1回以上、職務の執行の状況
を取締役会に報告し、取締役会の要求があれば
取締役会が求めた事項について説明をしなけれ
ばならない(417Ⅳ・Ⅴ)
個々の取締役と同じく、執行役にも株主総会にお
ける説明義務があり(314)、また取締役会招集
請求権・招集権を有する(417Ⅱ)
会社の組織に関する訴えを提起する権限も認め
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られる(828Ⅱ)
ⅳ 執行役の義務と責任
• 会社と執行役との間の関係には委任に関する規
定が適用され(402Ⅲ)、執行役は会社に対して善
管注意義務および忠実義務を負う(民644、
419Ⅱ→355)
• 競業取引および利益相反取引の規制についても
取締役と同様である(419Ⅱ→356、365)
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Ⅴ
代表執行役
• 取締役会は執行役の中から会社を代表す
る代表執行役を選定しなければならない
(420Ⅰ):執行役が1名のときは、その
者が代表執行役となる
• 代表執行役の解職も取締役会が行う(同
Ⅱ)
• 代表取締役に関する規定が準用される
(同Ⅲ →349Ⅳ・Ⅴ )
• 表見代表執行役についても表見代表取締
役と同様の規定(421)
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