DPCにおける新たな機能評価係数に関する指標、とりわ

DPCにおける新たな機能評価係数に関
する指標、とりわけ希少性指数につい
ての検討
2009/08/23
いずみの病院 伊藤 正
Ⅰ.新たな機能評価係数について
DPCにおける総報酬額
= 包括部分 + 出来高部分 + 入院時食事療養費
手術、リハビリ、など
診断群分類毎の1日当点数 × 医療機関別係数
× 入院日数 × 10円
医療機関別係数
= 調整係数 + 機能評価係数
現在:施設基準の一部(7対1など)
現在:出来高からDPCへの計算方法変更にともなう医療機関
の影響を緩和するため、前年実績に基づき医療機関
毎に設定される係数
現在の中医協での議論
「調整係数を廃止し、新たな機能評価係数を
導入する」
中医協資料より
2010年度導入の「当確」項目の例
・複雑性指標(患者構成の指標)
・効率性指標(在院日数の指標)
・診断群分類カバー率
2008年DPC調査より
施 設 名
いずみの病院
複雑性指標 効率性指標
1.09
1.11
カバー率
8.53 %
高知大学医学部附属病院
1.11
0.95
35.13 %
近森病院
1.17
1.03
24.15 %
高知赤十字病院
1.09
1.14
30.23 %
JA高知病院
0.80
0.99
12.32 %
国吉病院
0.91
0.94
5.55 %
図南病院
1.06
0.81
7.75 %
細木病院
1.02
1.11
8.73 %
高知高須病院
0.86
0.78
2.61 %
Ⅱ.希少性指数について
中医協資料より
DPCデータ活用ブック(第2版)
株式会社じほう(2008年)
希少性指数とは
・DPC傷病名分類ごとにその疾患がわが国でどれほど稀である
かを指数化したもの。
・患者調査よりDPC傷病名分類ごとの総受療患者数とそれらを
合計した全受療患者数を求め、DPC分類ごとの患者数割合の
逆数の常用対数をそのDPC傷病名分類の希少性指数とした。
(Shannonの稀少性指数)
・医療機関の希少性指標は、受療患者のDPC分類ごとの希少性
指数の平均値。
(伏見)
希少性指数導入の意義
「多様な疾病や他の医療機関で診療できない特殊
な傷病を持つ患者へ充分な医療を提供できる
体制をとっている医療機関を正当に評価すること 」
(伏見)
計算結果
何故こうなったか?
仮説1) 当院のコーディングが間違っている
仮説2) 希少性指数の計算方法そのものに問題がある
仮説3) いや、何もおかしくはない
希少性指数算出の実際
DPC
コード
DPC傷病分類名
010010 脳腫瘍
希少
延べ年
性指
間在院
数
日数(b)
(a)
2.86
778
a×b
2,225.08
010020 くも膜下出血、破裂脳動脈瘤
3.09
0
0.00
010030 未破裂脳動脈瘤
3.35
176
589.60
010040 非外傷性頭蓋内血腫
2.67
194
517.98
010050 非外傷性硬膜下血腫
5.35
192
1,027.20
010060 脳梗塞
1.64
3,198
5,244.72
計
平均
35,092 95,832.34
2.73
要因分析(1)
DPC
コード
当院の希少性指数:2.73……(c)
DPC傷病分類名
160650 コンパートメント症候群
希少
延べ年
性指
間在院
(a-c)×b
数
日数(b)
(a)
3.97
1,440 1,784.32
110060 腎盂・尿管の悪性腫瘍
3.91
528
622.57
010170 基底核等の変性疾患
4.35
348
563.45
160800 股関節大腿近位骨折
3.17
1,236
542.74
110310 腎臓または尿路の感染症
4.01
420
537.23
010050 非外傷性硬膜下血腫
5.35
192
502.87
060350 急性膵炎
3.82
416
453.07
要因分析(2)
DPC
コード
当院の希少性指数:2.73……(c)
DPC傷病分類名
010060 脳梗塞
希少
延べ年
性指
間在院
(a-c)×b
数
日数(b)
(a)
1.64
3,198 -3,488.66
040080 肺炎、急性気管支炎、急性
細気管支炎
1.94
2,574 -2,035.75
110280 慢性腎炎症候群・慢性間質
性腎炎・慢性腎不全
010160 パーキンソン病
2.15
1,626
-944.52
2.53
4,590
-922.08
050130 心不全
2.34
1,862
-727.83
07034x 脊柱管狭窄(脊柱症を含む)
1.60
542
-612.94
結論(1)
原因は廃用症候群(コンパートメント症候群)
結論(2)
希少性指数が高い ≠ 難病・特殊疾患に対応している
まとめ
希少性指数を機能評価係数として係数化するには、
なお吟味の余地がありそうである。