日本全国でむし歯は減っています 宮城県大郷町のむし歯の減り方と

わかってますか?フッ素のこと
ーフッ化物の基本的な知識ー
NPO法人日本むし歯予防フッ素推進会議
NPO法人ウェルビーイング
中村譲治
[email protected]
http://www.well-being.or.jp
「健康日本21」で掲げられた9領域
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
栄養・食生活
身体活動・運動
休養・こころの健康づくり
たばこ
アルコール
歯の健康
糖尿病
循環器病
がん
何故、歯の健康が5番目に
取り上げられたのでしょう?
・歯の喪失の防止は生活の質(QOL)の確保の
基礎となる
・ほとんどすべての国民が罹患している
・他の疾患に較べ確実な予防法が確立されている
(フッ化物の応用とシーラント)
健康日本21のウ蝕に関する目標値
○幼児期のう蝕予防の目標
・ 3歳児におけるう歯のない者の割合の増加
目標値: 3歳児におけるう歯のない者の割合
59.5%
80%以上
フッ素塗布が有効
○学齢期のう蝕予防の目標
・ 12歳児における1人平均う歯数の減少
2.9歯
1歯以下
フッ素洗口が有効
ヘルスプロモーション
・21世紀の新しい健康戦略(1986年WHO)
・健康課題ではなくQOLの向上にゴールを設定
・主役は住民、ライフスタイルに着眼
・本人に対する健康教育だけでなく環境の整備
をも視野に入れている
・生活あらゆる場が健康づくりの場としている
健康づくりの主役は住民
幸せな人生
QOLの向上
ライフスタイルづくり
健康
健康教育
(準備要因)
専門家や周りの
人のサポート
坂道を緩やかにする
制度・環境づくり
(強化要因)
受け皿づくり
(実現要因)
(環境要因)
坂
道
の
角
度
を
下
げ
る
ヘルスプロモーションにお
けるフッ化物応用
の位置づけ
健康づくりの主役は住民
ライフスタイルづくり
家庭でのフッ素洗口や
フッ素入り歯磨剤の利用
健康
幸せな人生
QOLの向上
むし歯のない状態
健康教育
フッ素に関する
正しい知識
専門家や周りの
人のサポート
フッ素に関する
正しい理解と支援
坂道を緩やかにする
制度・環境づくり
受け皿づくり
学校や幼稚園でのフッ素洗口
歯科医院でのフッ素塗布
フロリデーション
坂
道
の
角
度
を
下
げ
る
フッ素とは(1)
元素記号
原子番号
原子量
周期表
F
9
19
ハロゲン族
自然界に存在する約90種類の天然元素
の中で13番目に多い元素です。
1ppmフッ素のとは、
1トンの水に1gのフッ素
海(1.3ppm)
塩(25.9ppm)
土(300ppm)
自然界のフッ素
お茶(0.5~1ppm)
いわし(8~19.2ppm)
ジャガイモ(0.8~2.8ppm)
体の中のフッ素
血液中には
骨中には
エナメル質表層
中間層には
0.08ppm
1000〜3000ppm
500〜1000ppm
50ppm
フッ化物はどこへ行く?
• 飲み物の場合ほとんどが胃壁から吸収さ
れる
• 食物の場合は半分位胃壁からのこりは糞
便として排出される
• 吸収されたフッ化物は血中を介してほと
んどが尿として排出
• 残りのフッ化物は骨や歯に一時的に蓄積
され必要なときに血中に排泄される
フッ素はなぜ効く?
フ
ッ
化
物
の
応
用
歯
フルオロアパタイトの生成
結晶性の向上
再石灰化の促進
歯質強化
耐酸性の向上
歯垢
口腔内代謝活性の抑制
酸産生の低下
(1)再石灰化の促進
(2)歯質強化
抗
ウ
蝕
作
用
(3)抗菌・抗酵素作用
フッ素のう蝕予防機序(1)
エナメル質の脱灰
S.Mutansが 、ショ糖を分解して酸を産生する
SM
ショ糖
S.mutans
プラーク
SM
SM
S.mutans
SM
SM
エナメル質
(歯の表層)
SM
SM
SM
酸
フッ素のう蝕予防機序(2)
エナメル質の脱灰再石灰化とpH
ア
ル
カ
リ
性
ステファンカーブ
pH
ブドウ糖液で洗口
7
6
再石灰化
臨界pH 5.5
5
酸
性
脱灰
4
経過時間
0
10
20
30
40
50
60分
フッ素のう蝕予防機序(3)
脱灰と再石灰化
脱灰現象
再石灰化現象
プラーク
プラーク
糖
SM
SM
ハイドロキシアパタイト
ハイドロキシアパタイト
酸 Ca10(PO 4) 6(OH)2
脱灰
2+
Ca
3‐
PO4
Ca10(PO 4) 6(OH)2
再石灰化
2+
Ca
3‐
PO4
フッ素のう蝕予防機序(4)
再石灰化の促進
プラーク
プラーク
SM
SM
再石灰化
Ca2+
再石灰化の促進
エナメル質
フッ素:F
Ca10(PO 4) 6 (OH)2
2+
Ca
エナメル質
Ca10(PO
4) 6 (OH) 2
Ca
10(PO4)6F2
フルオロアパタイト
耐酸性の向上
(歯質強化)
フッ素のう蝕予防機序(7)
(抗菌・抗酵素作用)
ショ糖
ショ糖
S.mutans
S.mutans
酵素エノラーゼ
乳酸
乳酸の産生抑制
フッ素
フッ化物はどう使う?
• 微量のフッ素が口腔内に存在する
ことが理想的
• 低濃度で頻回に応用→再石灰化が
常に起きる状態が維持できる
フッ化物はどう使う?
• 全身的応用
フロリデーション
フッ化物錠剤
フッ化物添加食塩
• 局所的応用
フッ化物塗布や洗口
フッ化物配合歯磨剤
フッ化物スプレー
施設におけるフッ素洗口法
•
•
•
•
対象
頻度
効果
応用
幼稚園〜中学校
週1回法、毎日法
永久歯40%〜60%
歯科医師が指示
フッ化物洗口の手順
①ポリタンクに必要量の水道水を準備し、広口ビンから処方さ
れた(処方は医師、薬剤師、歯科医師のいずれかが行う)NaF粉
末を取り出しポリタンクに入れる。ポリタンクを軽く振って溶解す
る。
③紙コップに1人ずつ分注す
る(毎日法:5ml、週1回法:
10ml)
④1分間音楽に合わせて洗
口終了後、紙コップに吐き出
させる
②クラスごとにフッ化物洗口
液をディスポンサーボトルに
分ける
⑤吐き出した洗口溶液をポリバ
ケツに入れて下水に流す
歯科医師が1gのフッ化ナ
トリウムを計量する
施設職員が2000mlまで水を入
れて計量されたフッ化ナトリウム
を溶かす
フッ化物洗口実施状況
4,696
40 道府県、約3 千施設、約30 万人が実施
40道府県、約3千施設、約30万人が実施
( 日本虫歯予防フッ素推進会議調査
2002.3)
15,807
8,915
2,255
17,287
2,345
2,035 1,326
7,316
3,381 5,043
3,381
2,142 521
2,167
13,486
8,596
79,378
18,220
1,351
508
3,705
7,148
1,848
384
8,236
11,000
21,278 1,262
3,678
13,893 7,194
24
16,720 701
712
240 1,658 3,232
2,050
実施人数
青色 1万人以上
緑色 千人以上 1万人未満
橙色 千人未満
1,444
フッ化物の普及状況(日本)
フッ化物応用法の世界利用状況(2000)
フッ化物利用法
利用人口
フッ化物配合歯磨剤
フッ化物歯面塗布
フッ化物洗口
15億人
3000万人
1億人
3億7700万人
9700万人
ウォーターフロリデーション
ソルトフロリデーション
ウォーターフロリデーション
水道水フッ化物濃度適正化
適正濃度(約1ppm)
水道水フッ化物濃度適正化とは、う蝕予防のために水道水
中のフッ素濃度を適正に調整(adjust)する方法である。一
般的には、水道水中のフッ素濃度が不十分な地域で、フッ
化物を添加して適正濃度になるように調整を行う。逆に、地
域の水道水のフッ素濃度が過量の場合には除去、あるい
はほかの水源を利用して希釈することによって適正濃度に
なるように調整する。また、天然の状態で水道水中のフッ素
濃度が適正であれば、そのままフッ素濃度をモニタリングし
ながら利用されることもある。
水道水フッ化物濃度適正化の適正濃度
濃度調節が可能な範囲(0.01~0.02ppm)
適正な範囲
水道水に含まれる
0.7ppm
フッ素濃度(地域による)
0.08ppm
0.8ppm
1.2ppm
審美的に問題がある
フッ素症が起こりうる
濃度
2ppm以上
4ppm
6ppm
8ppm以上
骨フッ素症が起こりう
る濃度
水道水フッ化物濃度適正化が最も
優れたう蝕予防法である理由
(1)最も経済的で効果的である。
(2)最も安全である。
(3)広範囲に恩恵をもたらす。
(4)生涯を通してう蝕予防ができる。
(5)簡便である。
(6)平等に利用できる。
フッ素関連のお勧めの本
・フッ化物ではじめるむし歯予防
日本口腔衛生学会 フッ化物応用委員会編
医歯薬出版 3200円
・ウ蝕予防のためのフッ化物洗口実施マニュアル
フッ化物応用研究会編 社会保険研究所 2000円