CVSの店舗利益に与える 消費期限の影響について

CVSの店舗利益に与える
消費期限の影響について
流通情報工学科 福崎泰志
1
研究の背景
店舗数
売上高
店 42
舗
数 38
7,600 売
(
6,800 十
上
7,200 高
(
千 34
店
30
億
)
)
6,400 円
6,000
平成10
平成12
平成14
平成16
平成18
ロイヤリティ
人件費、施設費、
光熱費など
廃棄ロス
店舗
商標、経営ノウハウなど
本部
2
出典:経済産業省
研究の目的
CVSの店舗における発注・納品・販売を模
擬したシミュレーションを実施し、商品の消費
期限が店舗利益に与える影響を明らかにす
る。そして、得られた知見から、CVSの店舗
利益を向上させるための方策について検討
することを目的とする。
3
開始
シミュレータの構成
需要:関東某店舗の売上データを元にした3種類
初期設定
(1時間当たりの需要の平均10、標準偏差3)
需要の読み込み
販売業務
消費期限:店舗に商品が到着してからの期限
廃棄処理
顧客行動:常に古い商品から購入する
発注時間
Y
発注業務
納品時間
Y
納品業務
N
商品があれば売れていたのに商品
欠品による機会損失: がなかったために本来得られたは
ずの利益を得られなかったという損
失
N
計測期間30営業日(720時間)でシミュレーションを行う
4
店舗利益の算出方法
店舗利益=店舗収入-廃棄ロス(処理費用込み)
販売した商品の利益
店舗収入=営業総収入-純売上原価-ロイヤリティ
売上高-総売上原価+廃棄ロス(原価)-ロイヤリティ
営業総収入=売上高
純売上原価=総売上原価-廃棄ロス(原価)
本部利益
ロイヤリティ=(販売した商品の利益+廃棄ロス(原価))×0.35
ロイヤリティ:売上総利益の35%
販売価格:500円
商品原価:350円
廃棄ロス(原価):商品原価
5
廃棄物処理費用:10円
出典:株式会社ローソン
シミュレーション結果
~検討項目~
サービス率の変更
納品回数の変更
納品間隔の変更
消費期限の変更
店舗側で意思決定が可能
店舗主体
本部主体
本部の決定に店舗が従う体制
本部主体
新商品の開発
工場主体
納品時間に合わせた製品の生産
6
サービス率の変更による店舗利益への影響
消費期限
8時間
11時間
18時間
消費期限
55
店
舗 70
利
益 65
本
部 50
利
益 45
60
万
円 55
40
万
円 35
11時間
18時間
)
)
(
(
75
8時間
30
50
70%
75%
80%
85%
90%
95% 100%
70%
75%
80%
85%
90%
95% 100%
サービス率
サービス率
サービス率があがると
欠品
廃棄
7
納品間隔の影響に関するシミュレーション結果
1便 8時間
2便 8時間
3便 8時間
等間隔
1便 10時間
2便 8時間
3便 6時間
パターン1
1便 6時間
2便 10時間
3便 8時間
パターン2
1便 8時間
2便 6時間
3便 10時間
パターン3
8
70
50
店
舗
の 65
利
益
本
部
の 45
利
益
(
(
万 60
円
万 40
円
)
)
55
35
等間隔
パターン1 パターン2 パターン3
店舗
逆
等間隔
パターン1 パターン2 パターン3
本部
9
800
8000
個 7400
(
発
注 7600
量
(
7800
廃 600
棄
数
量 400
個
)
)
200
7200
7000
0
等間隔
パターン1 パターン2 パターン3
等間隔
パターン1 パターン2 パターン3
:在庫量
:廃棄量
:消費期限
i便
i+1便
10
:発注
:発注量
:廃棄
パターン1
3便
1便
廃棄2便
3便
1便
パターン2
3便
1便
2便
3便
1便
パターン3
3便
1便
2便
3便
1便
11
結論
今回の検討を通して、特に消費期限が短い商品に関して消費期限による
影響を受け、店舗利益、本部利益は大きく変化することが明らかとなった。
サービス率
サービス率の変更による店舗利益の影響に関しては、廃棄数
量を減らしたい店舗側と、欠品数量を減らしたい本部側とで意
見が食い違うことになる。
納品間隔
納品間隔の変更による店舗利益の影響に関しても、廃棄数量を
減らしたい店舗側と、発注量を増やしたい本部側とで意見が食
い違うことになる。
店舗の利益を増加させようとすると、本部の利益は減少する。
12
ご清聴ありがとうございました
13
180
160
140
(
欠
120
品
数 100
量
80
個
60
)
40
20
0
等間隔
パターン1
パターン2
パターン3
14
等間隔
パターン1
パターン2
パターン3
75
70
店
舗 65
利
益 60
(
55
万
円 50
)
45
40
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
消費期限(時間)
等間隔
パターン1
パターン2
パターン3
48
46
本 44
部
42
利
益 40
(
38
万
36
円
34
)
32
30
10
11
12
13
14
15
16
消費期限(時間)
17
18
19
20
15
20
需
要 15
量
10
(
個
5
)
0
1
16
19
24
時間(時)
16
65
60
店
舗 55
利 50
益
45
(
万 40
円 35
)
30
25
6
8
10
2便の受け持ち時間(時間)
56
54
本
部 52
の
50
利
益 48
(
46
万
円 44
)
42
40
6
8
2便の受け持ち時間(時間)
10
17
:在庫量
:廃棄量
:消費期限
2便(6時間)
2便(10時間)
3便
3便
18
1日2便
1日3便
1日4便
80
店
舗 70
利
益 60
(
50
万
円 40
)
30
6
7
8
9
10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
消費期限(時間)
1日2便
1日3便
1日4便
本 50
部
の 45
利
益 40
(
)
万 35
円
30
6
7
8
9
10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
消費期限(時間)
19
75
店
舗
の
60
利
益
(
万 45
円
)
30
8
10
12
14
16
消費期限(時間)
18
20
50
本
部
の 45
利
益 40
(
万 35
円
)
30
8
10
12
14
16
消費期限(時間)
18
20
20
M2
L2
L1
M1
t
1便の発注量
O1    (L1  M1 )  k  L1  M1   (STt  SHt )
2便の発注量
O2    (L1  M 2 )  k  L1  M 2   (STt  SHt  O1 )
i便の発注量
i 1
Oi    ( Li  M i )  k  Li  M i    (ST  SH   O j )
j 1
SHt : t時の発注残
O:n n便の発注量
 :1時間の需要の平均
 :1時間の需要の標準偏 差 k : 安全係数
Li :ⅰ便のリードタイム
M i : i便の受け持ち時間
ST:t t時の手持在庫
21
1便
便
ご
と
の
発
注
量
の
差
2便
3便 の発注量
1000
800
600
400
200
0
-200
パターン1
パターン2
パターン3
(
-400
個 -600
)
-800
i 1
Oi    ( Li  M i )  k  Li  M i    ( ST  SH   O j )
j 1
22
店舗の利益
コンビニの店舗側が得られる利益は以下の式を用いて求めることができる。
店舗利益=店舗収入-店舗営業費
店舗収入=売上総利益-ロイヤリティ(本部利益)
売上総利益=営業総収入-純売上原価
営業総収入=売上高+その他収入(公共料金手数料等)
純売上原価=総売上原価-廃棄ロス(原価)-棚卸差額(原価)
総売上原価=期首商品原価+商品仕入高(原価)-期末商品原価
ロイヤリティ:売上総利益の35%
販売価格:500円
仕入れ価格:350円
廃棄ロス(店舗):商品原価+10円
※店舗営業費
人件費、法定福利費、廃棄ロス(店舗)、棚卸
ロス、消耗品費、包装費、清掃費、現金過不
足、電話料、設備修繕費、一般維持費、水
道光熱費、損害保険料、非課税経費、雑費
23
24
20
需
要
(
個
)
0
0
100
200
300
400
計測期間(時間)
500
600
700
25
消費期限とは
消費期限
定められた方法により保存した場合
において、腐敗、変敗その他の品
質の劣化に伴い安全性を欠くことと
なるおそれがないと認められる期限
を示す年月日をいう。
賞味期限
定められた方法により保存した場合に
おいて、期待されるすべての品質の保
持が十分に可能であると認められる期
限を示す年月日をいう。ただし、当該
期限を超えた場合であっても、これら
の品質が保持されていることがあるも
のとする。
厚生労働省HPより
26
今後の課題
• シミュレータの改良
– 発注回数の変更による店舗利益への影響につい
ての検討
– より現実に近いシミュレータの構築
• 検討範囲の拡大
– サプライチェーン全体への消費期限の影響につい
ての検討
27