授業 FD 海外研修報告 期間: 平成19年10月1日~14日 場所: University of North Carolina at Charlotte, NC, U.S.A 情報コミュニケーション講座 教授: 岡田 実 ソフトウェア基礎学講座 助教: 木谷 友哉 平成20年 4月 4日 情報科学研究科 FD 研修会 参加者 情報科学研究科 中島 欽一 教授 宍戸 知行 准教授 分子神経分化制御学講座 細胞増殖学講座 物質創成科学研究科 情報コミュニケーション講座 ソフトウェア基礎学講座 バイオサイエンス研究科 岡田 実 教授 木谷 友哉 助教 廣田 俊 内山 潔 教授 准教授 超分子集合体科学講座 演算・記憶素子科学講座 事務局 H20/ 4/ 4 松下 康洋 係長 別カリキュラムにて1 週間の研修 教育研究支援部 企画総務課 国際連携係 授業 FD 海外研修報告 2 発表目次 ノースカロライナ州立大学シャーロット校 (UNCC) 研修: 大学の運営について(岡田) 研修: 授業方法について(木谷) 大学の評価 教員の評価(テニュアについて) TA, RA 学生の評価 授業の方法 UNCC 授業見学 教室の設備 UNCC、および、本学他研究科の教員との交流を通じて H20/ 4/ 4 授業 FD 海外研修報告 3 シャーロット市 ノースカロライナ州(人口800万) 最大の市 人口60万、都市圏150万人 州都はローリー市(人口35万、 都市圏120万) 現在全米で最も先進的な都市と 呼ばれ急成長中 全米屈指の金融中心地 Bank of America (資産規模全米 2位)、Wachovia Corp. (同4位)の 本社が所在 New York と並ぶ金融都市 銀行が大学の共同研究や教育表彰の スポンサー H20/ 4/ 4 授業 FD 海外研修報告 4 ノースカロライナ州立大学シャーロット校 1946年創立 17校から形成されるノースカロライナ州立 大学の中で4番目に大きい大学 シャーロット地域では最大の高等教育 機関 教員880人、学生数22,000人(昨年度 21,000人) うち、工学部2,500人 H20/ 4/ 4 学部1,900人、修士課程学生450人、 Ph.D.学生150人 学部生の大多数は 地元ノースカロライナ出身 大学院生の半数は留学生 授業 FD 海外研修報告 5 UNCC の教育と研究 7学部 2研究所 Center of Optoelectronics and Optical Communications Charlotte Research Institute グラントと共同研究費は年間 25 億円以上 建築学部、文理学部、教育学部、経営学部、 工学部、情報技術学部、保健看護学部 UCLA などの第一線級の大学の 10 分の 1 程度 大学の規模は、都市の成長に伴って 現在拡大中 H20/ 4/ 4 授業 FD 海外研修報告 6 発表目次 ノースカロライナ州立大学シャーロット校 (UNCC) 研修: 大学の運営について 研修: 授業方法について 大学の評価 教員の評価(テニュアについて) TA, RA 学生の評価 授業の方法 UNCC 授業見学 教室の設備 UNCC、および、本学他研究科の教員との交流を通じて H20/ 4/ 4 授業 FD 海外研修報告 7 アメリカの大学評価システム 全米を6地域に分けて、各地域毎に評価機関を設置 10年に一度評価 1年かけて各大学が自己点検 様々な所属大学・地位の評価者で構成されるチーム(12名)が 3~4日かけて審査 改善点を指摘 全ての機関共通の評価基準 + 各機関独立の評価基準 5ヶ月後に再審査、合格・不合格を通知 年間、数大学が不合格になる → 廃校 H20/ 4/ 4 授業 FD 海外研修報告 8 テニュアシステムについて Assist. Prof. として採用され5年間の任期 4年目終了時に適性の審査 → 更に3年の猶予が与えられる or 審査で悪ければ1年後に去る 6年以内に Assoc. Prof. に (tenured) その後、5年目以降に full Prof. 審査 55歳で退職しても良い(保障あり) 本人が望む限り、何歳まで続けても良い(ex. 70歳以降も可) おおよその年齢 H20/ 4/ 4 20代後半 Assistant Prof. として採用 30代半ば~後半 Assoc. Prof. (tenured) 40代前半~ Professor (tenured) 授業 FD 海外研修報告 9 テニュアの評価方法 3つの評価項目 Teaching 有効な講義を行えること(学生、評価委員会が評価) Research 研究プログラムを立ち上げ、資金を獲得すること 大学が40%の間接経費を得られるため Service 対大学、対外(学会、雑誌等)、同僚間の関係、リーダシップ 点数ではなく、Quality judgment H20/ 4/ 4 6つの推薦書 3つは自分の選んだ評価者、3つは委員会が選んだ評価者 委員は選挙で選出 5段階中3以上で委員会の推薦 → Dean → Provost (学長が最終承認) 参考: http://www.legal.uncc.edu/tenurepol.html 授業 FD 海外研修報告 10 テニュアの問題点 テニュア取得後のアクティビティの低下 テニュア取得 → 定年なし、解雇なし 授業を行っている限り、身分保障 → 研究活動が低い、外部資金の獲得がなくても解雇できない (学長でも不可) 対応策 インセンティブの導入 H20/ 4/ 4 例: 9ヶ月分の給与を支給し、外部資金獲得状況で残り3ヶ月分の 給与を支給 テニュア取得後の評価の開示 授業 FD 海外研修報告 11 日本におけるテニュア導入について 社会背景が違うため難しい H20/ 4/ 4 アメリカ 講座制を取っていない 個々の教員が自由に動ける 民間企業では任期制が当たり前だから、テニュア(長期在職権)が メリットになる テニュアとは、給与は(民間 > 教員)だが、職の安定を保障し て、優秀な人に教員として残ってもらう為の方策 ちなみに、アメリカの Assist. Prof. の初任給は年 7 ~ 8 万ドル 日本 民間企業は一般的に終身雇用 苦労してテニュアを取得するメリットがない しかも、学位を持つ人にとっては、給与も民間企業の方がよい ことが多い 授業 FD 海外研修報告 12 UNCC での TA、RA 制度 年 18,000 ドル(TA、RA 同額) TA は、主に政府・大学が資金補助 TA には始めに説明会が開かれる RA は、主に研究部門が資金補助 院生は、どちらかの資金を得られる 教員が万が一グラントを取れ ないと、学生が RA を続けら れない可能性がある そのような場合のため、グラ ントの一部を研究科でシェア する仕組みがある大学もあ る(UNCCではない) 図: 学生数、TA 数、RA 数(左から「情報分野」「バイオ分野」「ナノテク分野」) H20/ 4/ 4 授業 FD 海外研修報告 13 まとめ(1) 大学の評価 教員の評価(テニュアについて) 教育 研究 運営 TA, RA H20/ 4/ 4 授業 FD 海外研修報告 14 発表目次 ノースカロライナ州立大学シャーロット校 (UNCC) 研修: 大学の運営について 研修: 授業方法について 大学の評価 教員の評価(テニュアについて) TA, RA 学生の評価 授業の方法 UNCC 授業見学 教室の設備 UNCC、および、本学他研究科の教員との交流を通じて H20/ 4/ 4 授業 FD 海外研修報告 15 学生の評価方法 Summative assessment: (Dinner guest tastes the soup) 通常のテスト → 点数化する テストが多すぎると学生のストレスがたまる コースの最後に実施し、あらかじめ学生に渡しておいた評価基準 (Rubric) に基づき採点する A が 何%、B が 何%と決まっているのではない Formative assessment: (Cook tastes the soup) H20/ 4/ 4 点数化しない(最終評価には入れない) コースの途中に実施し、次回の授業の改善に役立てる 質問例 本日の授業で学んだ一番大切な点は? 本日の授業で分からなかったことは? 授業 FD 海外研修報告 16 学生の勉学意欲を高めるための注意 少し高めにコースの目標点を設定し、それがどのようなものか よく説明する 最も重要な概念を繰り返し言う 論理的に説明する 学生が既に学んでいることとできるだけ結びつけて講義する 10分間隔程度で質問を促したり、関係ない話でもいいので間をおく 小グループでの議論などを用いて、聞いたことが身につくようにする 学生に敬意を払う H20/ 4/ 4 授業 FD 海外研修報告 17 プレゼンテーションの技術 Nervousness 発表前、発表中に余計なエネルギーを使う(とにかく練習) イントロ 講演と関係あることで聴衆の興味を引く (attention getter) 内容と関係のある冗談、引用、統計、質問など 内容 発表前: 歩く、運動する 発表中: 身振りをする、歩く、大きい声で話す 話題が変わるとき、つなぎの言葉を入れる 繰り返しが大事(途中までで適宜結論を入れる) Nonverbal Delivery H20/ 4/ 4 アイコンタクト(信頼関係)、身振り、動き 授業 FD 海外研修報告 18 The Formula (for presentation) I. Introduction a. attention getter b. thesis statement c. preview statement d. transition to body II. Body - Main point #1 a. Subpoint #1 with transition b. Subpoint #2 c. Transition to main point #2 III. Body - Main point #2 a. Subpoint #1 with transition b. Subpoint #2 IV.Conclution a. Transition from body b. Summary statement c. Thesis statement d. Note of finality H20/ 4/ 4 授業 FD 海外研修報告 19 パワーポイントを使うときの注意 配布資料 詳しく記載する 配りながら話さない、話し終わってから配る スライド 簡潔に書く フォント、色に注意 H20/ 4/ 4 目安は 1 枚 7 行以内 寒色は negative なイメージが あるので使用時に注意する 授業 FD 海外研修報告 20 Critique Form NAIST 教員による研 究紹介発表のあと、講 師による発表スキルの 評価を得た The formula に従って いるかどうかの判断 The formula, Critique form は学生の発表原 稿作成指導のための 参考資料として有用 図:木谷の発表分の Critique form H20/ 4/ 4 授業 FD 海外研修報告 21 授業内で学生に議論をさせる 職場で求められているのはコミュニケーションスキル 大学・大学院はそれを学ぶ最後のチャンス 教員の役割は Facilitator (世話役、まとめ役) 方法 1. 2. 3. 4. 5. H20/ 4/ 4 スタイル (small group, lecture, discussion) にあった席の形 も大事、大きなグループは最初小さなグループに分けるのも手 始まりからゴールまでうまく導くような質問 失敗しても大丈夫な雰囲気作り たくさんの質問を一度にしない Closing も大切(欠けているものを最後に補うなど) 授業 FD 海外研修報告 22 教育用の最新技術の導入 Podcasting Centra Second life ネットワークを介した授業支援 仮想空間での公開講義 SurveShare Web授業アンケートシステム H20/ 4/ 4 授業後時間が経つと学生が回 答しない UNCC で、このシステムを利用 してる教員は 2 割以下 授業 FD 海外研修報告 23 UNCC 授業見学 システム解析、化学基礎、 環境工学基礎、数学などを見学 講義スタイル 演習を中心にした講義が多い 演習問題を解く中で理論に導入 宿題を課していることが多い 多くの場合、講義中に学生に回答を要求 学生が積極的に授業に参加 タブレットを活用 !! 寝ている学生は少なく、 (BSやMSの先生からも情報科のシス 席は前から自然に埋まる テムを見せて欲しいとの依頼あり) プロジェクタを使っている授業は少ない 多くは黒板(ホワイトボードは見にくい)を仕様 演習問題を説明しながら解くのを見せるのに効果的 図などはOHP等で補足説明あり 反面、MS、BSには 匿名投票用のスイッチ H20/ 4/ 4 24 授業 FD 海外研修報告 が教室にあるらしい UNCC の教室の設備 全ての教室で共通のシステム 学内で検討・考案、150万円/教室 共通であるから、操作指導、故障時の対応が楽 コントロールセンタから遠隔でも操作できるようになっている Polycomでのビデオ会議、DVD、 ビデオ、書画カメラ、タブレットが利用可 H20/ 4/ 4 授業 FD 海外研修報告 学内の全教室で共通の インタフェイス 25 発表目次 ノースカロライナ州立大学シャーロット校 (UNCC) 研修: 大学の運営について 研修: 授業方法について 大学の評価 教員の評価(テニュアについて) TA, RA 学生の評価 授業の方法 UNCC 授業見学 教室の設備 UNCC、および、本学他研究科の教員との交流を通じ て H20/ 4/ 4 授業 FD 海外研修報告 26 研究者訪問 Assoc. Prof. Jim Conrad (岡田、木谷) 元 SONY/Ericsson の研究者 無線通信、組込みシステム Assoc. Prof. Ivan Howitt (岡田、木谷) 無線通信 Assist. Prof. Mohamed Shehab (木谷) 情報セキュリティ Assist. Prof. Jamie Payton (木谷) ミドルウェア H20/ 4/ 4 授業 FD 海外研修報告 27 NAIST-UNCC 共同研究 UNCC としては本学の研究者との共同研究を望んでいる 教授間では難しいのではというのが感想 助教間では適切かもしれない 現在、発展中の大学で あり、教員のレベルは高 くなってきている 助教は研究分野の拡張に比較的余裕がある (?) 外国人研究者と継続的に交流する良い機会 研究内容の相違や、時間的な問題 帰国後、木谷は Dr. Shehab とメールや IM を通じて何度かミー ティングをしてみました (現在停滞中) MS や BS は学生を UNCC に留学させることを検討 H20/ 4/ 4 UNCC 側も受け入れに積極的 授業 FD 海外研修報告 28 まとめと今後の課題 大学運営 授業方法 評価、Tenure, TA, RA 評価、授業法、 kan 研究科の枠を越えた交 流が持てて有意義であっ た 研究科間での授業につ いてのノウハウの共有が 必要 H20/ 4/ 4 授業 FD 海外研修報告 29 FD2007 まとめサイト http://ito-lab.naist.jp/~t-kitani/fd2007 ID: fd2007 pass: uncc ここで説明できな かった内容や、 講義の資料、 ボイスメモなどが 置いてあります 写真もたくさん あります H20/ 4/ 4 授業 FD 海外研修報告 30
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