3月11日の衝撃

どうする?!
日本の地震予知
東海大学海洋研究所
地震予知研究センター
長尾年恭
結
論
• 地震予知は超能力や予言と違い通常科学の
ステップを踏めば十分可能(というか実はほと
んど出来ている!)
• 日本には50年近く国家プロジェクトとして「地
震予知計画」が存在している.しかしそれが
「予知を目指さない予知計画」となっている事
を国民は知らない
• 今こそ新たな視点での真の予知研究をスター
トする時
結
論 (2)
• 地震学と地震予知は全く違う学問,音響学と音楽の
違いに相当か.音響学をいくら勉強してもベートーベ
ンやモーツアルトにはなれない
• 地震計は地震予知研究には不向きな装置
• 地震計は地震が発生しないと動かない
• 地震予知研究のためには地震発生前に“動く”装置が
必要
-> 年1億円で10年間,10億円の予算措置
-> たとえば大規模余震,津波地震の予測と
いう位置づけで復興庁でプロジェクト研究?
東日本大震災は予知できたか?
• 実は複数の手法で明瞭な先行現象がとら
えられていた!
• しかしそれは国の予知研究には含まれて
いない!
• さらに驚くべき事だが、国が行っている予
知研究では実際には我々の考える「予知」
研究はほとんど行われていない!
-> 国民はこれを知らない!
現在行われているのは「予知を目指さない予知研究」
判明している国の地震防災関係予算
120億円(H22年度)
東海・東南海・南海地震の連動性評価研究
地震・津波観測監視システム
東海地域等の常時監視
活断層調査の総合的推進
ひずみ集中帯の重点的調査観測・研究
首都直下地震防災・減災特別プロジェクト
防災科研 災害リスク情報プラットフォームの構築
防災科研 地殻活動・地震動総合モニタリングと活動予
国土地理院 基本測地基準点測量経費
気象庁 地震観測網、地震津波監視システム等
大学 地震及び火山噴火予知のための観測研究
その他
大学の予知研究予算(4億円)の内訳
ここだけが直前予知(約5%)
大学の予知研究(4億円)
18,105
4,899
17,800
地震観測
42,200
火山観測
強震動(揺れの予測)
15,424
1700万円を19大学
150人以上で使用!
火山観測
機器開発
218,540
地震観測
71,302
データベース構築
室内実験
短期予知研究
わずか1700万円のみが
短期予知研究へ
阪神大震災前のラドンの異常
神戸薬科大学の測定結果
観測値
平年値(平均値)
放射性物質・化学物質の変化
西宮で観測された地下水中
のラドン濃度
塩化物イオン濃度(ppm)
17
地下水に現れた阪神大震
災(1995年1月17日,M7.3)
の前駆的変化
16
15
六甲の地下水のイオン濃度
14
13
1993
1994
1995
東日本大震災前にどんな異常があったか?
• 10年ー数年前から
地震活動度の異常
• 数ヶ月前から
地磁気(女川)の異常
• 数日ー数分前
前震活動(あとから前震とわかった)
電離層電子密度の異常
地震活動度の異常
北海道大学の解
析(GPS衛星によ
る電子密度変化)
北海道大学の日置教授
は、東日本大震災の40
分ほど前から震源上空の
電離層の中の電子数が
有意に増加していた事を
発見。電子数はGPS衛
星からの電波の遅延の
度合いから計算できる。
他の巨大
地震では?
2004年12月
スマトラ島沖地震
GPSが実用化されてか
らのM9クラス地震は3
個発生したがいずれも
同様の現象が確認され
た。
2010年2月 チリ地震
RTM法における結果の例
ー地震活動度の異常ー
阪神大震災(1995)前の
RTMの値の変化
地震発生!
2007年,能登半島の地震
(M:6.9)
地震発生!
2008年,岩手宮城内陸地震
(M:7.2)
地震発生!
東日本大震災前
に観測されてい
たRTM値の異常
(震源近傍での地震
活動の活性化)
グレーの部分は地震活動が存在し
ないため評価できない地点
東日本大震
災前に観測さ
れていたRTM
値の異常
(日本列島全域
にわたる地震活
動の静穏化)
グレーの部分は地震活動が存在し
ないため評価できない地点
RTMの異常(時系列変化)
釧路沖
震源
紀伊半島沖
空気より重い空飛ぶ機械は不可能である
ケルヴィン卿 (1895)
2-3年前までは可能かと思われた飛行機に関する
全ての可能性は否定しつくされた.今や,何か別の
事を考えねばならない.
トーマス・エジソン (1895)
人類は今後50年間は飛べないだろう.
ウィルバー・ライトより
オルヴィル・ライトへ (1901)
1903年に飛行機は飛んだ!42秒
超巨大地震
日本列島周辺でもこのような規模
の地震が発生してもおかしくない
日本とスマトラの比較