地球環境の保全と修復のための科学と技術

地球環境科学総論
地球環境の修復のための
科学と技術
環境起学専攻
課題「環境修復」 田中俊逸
地球環境に関する科学技術の取り組み方
(病人に対する取り組みと対比)
診
断
状況を知る
原因を探る
検査、観測、モニタリング
原因の解明
過去の状況調査
将来の予測
調 査、 観 測
評 価、 予 測
治
療
痛みを和らげる
原因を取り除く
元に戻す(修復)
修
復
予
防
原因を削減する
原因を作らない
節制(リサイクル)
鍛える
保全・削減
地球環境保全のための科学技術の展開
材料・エネルギー
加工
使用
廃棄
予防・削減技術
クリーンなエネルギー・材料・
製造プロセスの開発、廃棄物
削減プロセス・触媒の開発
汚染物質
(グリーンケミストリー)
対処療法的・修復技術
100 %
削減技術で処理できる分
汚染物質を取り除き
元の安全な状態に戻す
環境修復(Remediation)
汚
染
割
合
汚染が残っている分
修復技術で処理できる分
汚染物質の検出法
時 間
図1 削減技術と修復技術の相補性
保全技術
クリーンエネルギーの開発
(風力、太陽、燃料電池、量子エネルギー)
クリーン製造プロセス(合成、触媒)
ゼロエミッションプロセス
リサイクル技術
グリーンケミストリー(green chemistry)
(環境物質科学専攻の講義)
修復技術(remediation)
バイオレメディエーション
物理化学的レメディエーション
(環境修復学総論)
環境修復技術について
修復技術の種類
封じ込め・貯蔵
(汚染物質の拡散を抑制)
分解
(汚染物質の無害化)
手
法
スラリーウォール法
固体化・安定化、セメント固化
溶融(ガラス)固化
焼却、化学的酸化、触媒、光触媒
超臨界水分解、電気化学的分解
バイオ・ファイトレメディエーション
洗浄(溶媒抽出、フラッシング)
分離・捕集
真空吸引、電気化学的捕集
(汚染物質の除去)
エレクトロレメディエーション
透水性反応壁
Remediation(環境修復法)
利点:掘り出し・
運び出しの際
の汚染物質の
飛散が少ない。
環境に対する
負荷が少ない。
In-situ
(原位置)
||
On site


Ex-situ
(搬出)
||
Off site
欠点:汚染箇所
ごとに処理施
設が必要。
汚染箇所で処理をする
運び出して処理をする
利点:処理
施設を集
約できる。
欠点:環境
への負荷
が大きい。
運搬、掘り
出しの際
に二次汚
染の心配。
化学物質のリスク
Risk = Effect x Exposure
(リスク = 影響 x 暴露量)
リスクは影響と暴露量のかけ算で表される。
どちらか一方だけで議論すべきでない
封じ込め法(1)
土壌有機物が拡散を促進することがある。
現世代に対するリスクは小さいが、後世代に
対するリスクは不明。
縦
坑
キャニスター
覆い
緩衝材
トンネル
高レベル放射性廃棄物の
深層地下処分
ガラス
固化体
縦
坑
500~
1000 m
封じ込め法(2)
地下水
河川
スラリー
soil/cement
bentonite
water
母岩
10-3 – 10-6 cm/s =
1 m/1000day
光触媒によるNOx、SOxの分解
NOx、SOx
紫外線
(300-400 nm)
NO
O 2O2
H 2O
OOH
NO
NO 2
NO 2
HNO
3
TiO2:酸化チタン
活性炭への吸着
片岡・竹内著、「酸性雨と大気汚染」
地球環境サイエンスシリーズ(三共出版)
米国スーパーファンド法で用いられた土壌修復法(総数=598)
既存の方法
(335)56%
場外焼却(92)15%
場内焼却
(88)11%
固化不溶化
(165)28%
革新的方法
土壌洗浄(20)3%
溶媒抽出(5)1%
(263)44%
搬出バイオ(34)6%
原位置バイオ(26)4%
原位置土壌洗浄(20)3%
真空吸引(107)18%
脱塩素化(5)1%
原位置ガラス固化(3)1%
熱分解(32)5%
その他新技術(8)1%
その他新技術(10)2%