キャリア教育の理解と実践

キャリア教育の理解と実践
キャリア教育研修プログラム
研修の流れと内容
ステップ1 (キャリア教育理論研修)
・基本的な理解(40分)
・キャリア教育の授業とは(40分)
ステップ2 (キャリア教育授業研修)
・キャリア教育授業の参観(45分)
・授業研究会(60分)
増加するフリーター・ニート
フリーター
ニート(NEET)
※15~35歳未満、主婦と学生を除く
1992年
15歳~25歳未満
101万人
1997年
151万人
8万人
2001年
206万人
17万人
2003年
217万人
総務省調査
40万人
キャリア教育の定義
「キャリア教育」を、キャリア概念に基づき「児童生徒一人一人の
キャリア発達を支援し、それぞれにふさわしいキャリアを形成し
ていくために必要な意欲・態度や能力を育てる教育」ととらえ、
端的には「児童一人一人の勤労観、職業観」を育てる教育とし
た。
キャリア教育の推進に関する総合的調査協力者会議
報告書
H16.1.28
○児童それぞれにふさわしいキャリアを形成していくため
に必要な意欲・態度や能力を育てる教育
○ 児童一人一人の勤労観、職業観を育てる教育
「キャリア」って何?
• 自分の役割を果たしたり学習したりすることによって
身に付けてきた能力、人間関係など
価 値
能力
技術
役割
人間関係
学習
価 値
意 欲
学習
人間関係
能力
技術
役割
仕事
キャリア発達
仕事
働く目的・意義(職業の役割)
○ 経済的自立
・お金のため ・住むため
・食べるため ・着るため
・
○自己実現
・自分らしさの発揮 ・楽しさの発見
・能力を高める
・
・他者に認めてもらう
○社会貢献
・国、地域の一員としての役割をはたす
・税金を納める
・
※森 清(著) 「会社で働くということ」岩波ジュニア新書
より
厳しい社会状況と若年層の意識
若者に厳しい雇用状況
若者の労働意識の変化
・実力、能力重視の雇用
・若年失業者の増加
・「とりあえず」就職という
意識の若者の増加
・目先の楽しさを求める傾
向の若者の増加
・仕事で自分の力を試し
てみたいという意識の
低下
・責任を伴うことは避けた
いという意識の増加
(就職する意識がある)
・フリーターの増加
・ニートの増加
(進学・就職する意識が低い)
・
若者たちの不安
職場での人づきあいに自
信がないんだよなぁ・・・
自分は何に向いているのか
分からないんだよなぁ・・・
やりたいことが、分からな
いんだよなぁ・・・
キャリア教育
小学校低学年から
発達段階・発達課
題に応じて
計画的に組織的に
基礎的な学力
社 会 性
学校別に見た職業的(進路)発達段階と発達課題
小学校段階
中学校段階
高等学校段階
< 職 業 的 ( 進 路 ) 発 達 段 階>
基盤形成の時期
暫定的選択の時期
< 職 業 的 ( 進 路)
社会的移行準備の時期
発 達 課 題>
○自分や周囲の人
への積極的な関心
の形成と発展
○肯定的自己理解
と 自己有用感の獲
得
○自己理解の深化と自
己受容
○身のま わり の仕
事や環境への関心
意欲の向上
○興味・ 関心等に基
づく 職業観・ 勤労観
の形成
○選択基準としての職
業観・ 勤労観の確立
○夢や希望、憧れる
自己イメージの獲得
○進路計画の立案
の暫定的選択
○将来設計の立案と社
会的移行の準備
○勤労を 重んじ 目
標に向かって努力
○生き 方や進路に
○進路の現実吟味と試
関する現実的探索
行的参加
する態度
国立教育研究所生徒指導研究センター「児童生徒の職業観・勤労観を育む教育の推進について」から
演習
社会に出て働くとき、必要な能力には
どのような能力があるか考えてみよう。
あなたは、競争の激しい業界で会社を切り盛りする経営者です。今年も就
職活動のシーズンになりました。あなたは、どのような能力をもつ若者を採
用したいと考えますか。
手順1
あなたが求める能力をカードに書いてください。(5枚)
手順2
一人ずつカードに書いたことを発表し、シートに貼り付けてください。
手順3
はられたカードをいくつかのグループに分けてください。
手順4
グループごとに発表してください。
キャリア教育で身に付けさせる能力
学習プログラム枠組み(例)
~職業的(進路)発達にかかわる諸能力の育成の視点から~
人間関係
形成能力
情報活用能力 将来設計能力 意思決定能力
自他理解能力
情報収集・探索
能力
役割把握・認識
能力
選択能力
コミュニケーショ
ン能力
職業理解能力
計画実行能力
課題解決能力
ここまでの まとめ
キャリア教育とは、
○ 児童それぞれにふさわしいキャリアを形成していくために必
要な意欲・態度や能力を育てる教育
○ 児童一人一人の勤労観、職業観を育てる教育
キャリア教育の取組は、
○小学校低学年から、子どもの発達課題が達成されるよう意図
的・継続的・組織的な取組をすることが大切。
○子どもに基礎的な学力と社会性をしっかり身に付けさせるこ
とが大切。
○今ある教育資源を効果的に活用してコツコツ
取り組むことが大切。
若者たちは・・・
自分がよく分からない
自分で決められない
人間関係を築けない
自立の遅れ
自己肯定感がもてない
意欲がない
目の前の子ども
たちは・・・
小学校では、どのような事にポイントをお
いて学習指導を行えばいいのでしょうか。
(例)グループごとの跳び箱の
練習では・・・
この練習を通して、子どもたちは
何を学んでいるのでしょう。
グループ
の友達と
協力する
練習の計
画を立てる
上手な跳
び方をま
ねする
根気よく
努力する
キャリア教育ではこのような能力の
育成をねらっています
上越教育大学助教授 三村隆男
根気よく
⑦選択能力
努力する
⑧課題解決能力
意思
決定能力
③情報収集・探索能力
上手な跳び 情報活用
④職業理解能力
方をまねする
能力
将来設計
能力
人間関係形成能力
⑤役割把握・認識能力
⑥計画実行能力
練習の計画
を立てる
①自己理解能力
グループの友
②コミュニケーション能力
達と協力する
演習2
キャリア諸能力の育成に
役立ちそうな教育活動を
さがしてみましょう。
グループごとに4つの能力領域から
担当する領域を決める。
1人、5つずつ書く。
演習シートにはる。
発表する。
演習シート№2
小学校教育課程と4領域能力の関係
上越教育大学 三村隆男
小
学
校
教
育
課
程
国語
社会
算数
理科
教
生活
科
音楽
図画工作
家庭
体育
特別活動
領
域
道徳
総合的な学習の時間
用
形人
成間 能 情
能関 力 報
活
力係
計将
能来
力設
能意
力思
決
定
実践のポイント1
キャリア教育は、学校教育の
あらゆる場面で行います
学
校
の
教
育
活
動
主に特活・総合
など
主に教科
主に日常の
生活指導
直接指導
間接指導
常時指導
たとえば、直接指導には・・・
総合的な学習の時間に職業調べ・
地域の働く人たちとの交流
道徳の授業で、家族のために役に立つ
社会科で、スーパー
喜び、働く意義の理解、社会に奉仕
マーケットの仕事調べ
主に特活・総合な
ど
学
校
の
教
育
活
動
直接指導
主に教科
キャリア教育の取組の
中心
主に日常の
生活指導
間接指導
常時指導
教科指導の中で
キャリア諸能力の育成を
図るには、
どうしたらよいのでしょう。
キャリア諸能力の育成を促す
支援の工夫
選択を促す
発問
自己決定を
促す指示
自分の考えを
みんなの前で
発表する場の
設定
キャリア能力の育成を視点とした学習指導
実践のポイント2
教科の授業では、
キャリア諸能力の育成を図る
支援を工夫しましょう
自己理解(自己への気づき)が
キャリアを発達させます
気づき
気づき
能力
技術
役割
学習
人脈
仕事
能力
技術
人脈
学習
役割
仕事
これまでの教育の中で、
子どもたちが自己理解(気づき)を
深める活動があったでしょうか?
自己理解(自分への気づき)のために
自己
理解
自己評価活動
自己評価活動
総
合
遊
び
国
語
特
活
算
数
体
育
活係
動
道
徳
自己評価活動
実践のポイント3
子どもたちが自己理解を深め
るような自己評価活動を取り
入れましょう。
まとめ
これまでの教育を
キャリア教育の視点で見直す
• キャリア教育は小学校教育のどこでもできます。
• 授業の中でキャリア諸能力の育成を図る支援
を取り入れましょう。
• 自己理解を深める自己評価活動を取り入れま
しょう
研修ご苦労様でした。内容は
いかがだったでしょう。
アンケートに率直なご意見を
お書きください。