はじめての水道 京都市分

5時限目
第2章 機械・電気・計装設備の役割と維持管理
2.3
2.3.1
2.3.2
2.3.3
2.3.4
電気設備の役割と維持管理
受電・変電・配電設備
運転操作設備
無停電電源装置
発電設備
2.4 計装設備の役割と維持管理
2.4.1 計装設備
2.4.2 監視制御設備
2.3 電気設備の役割と維持管理
2.3.1 受電・変電・配電設備
ポンプ・バルブ等水道設備
⇒ 電気をエネルギー源として動作
電力会社から購入
受電
使用機器の定格電圧に変換
変電
ポンプ等の各設備に供給
配電
電
気
受 電 設 備
①特別高圧受電(AC7,000V超)
・特別高圧ガス絶縁開閉装置(GIS)
②高圧受電(AC600V超~7,000V以下)
・柱上気中開閉器(PAS)
・断路器(DS)
・遮断器(CB)
③低圧受電(AC600V以下)
・アンペアブレーカー
変 電 設 備
①ガス絶縁変圧器
ガス(ex.SF6)による絶縁
消火設備が不要
②モールド(乾式)変圧器
油を使用しないため、消火設備が不要
小型、軽量
③油入変圧器
絶縁油による絶縁
絶縁性能は高いが火災の危険性有
配 電 設 備
①高圧配電設備
断路器、遮断器、変圧器、高圧電磁接触
器、計器類等が一つの箱内に収納されたキ
ュービクル式が主
②低圧配電設備
高圧配電設備同様、キュービクル式が主
キュービクル内部には、配線用遮断器、
漏電遮断器、電磁開閉器等を収納
共 通 設 備
①管理設備
状態監視のための電気計器・表示装置
②接地設備
機器及び人身事故の防止
③保護継電器設備
異常電流や異常電圧から設備を保護し、
電気事故発生時に他への波及を防止
2.3 電気設備の役割と維持管理
2.3.2 運転操作設備
水道設備を操作及び制御するための設備
◎バルブの開閉
◎ポンプの運転・停止
◎浄水処理量に応じて、薬品注入量を変更したり、
ろ過速度の設定
代表的な運転操作設備①
(1) 動力制御盤
動力負荷を運転させるための制御機器等を内蔵し
た盤。制御対象の機器の近くに設置されることが多
く、自立型・スタンド型・壁掛型がある
(2) プログラマブルロジックコントローラ(PLC)
ソフトウェアによりシーケンス制御を行う装置
シーケンス制御:あらかじめ定められた順序または
手続きに従って制御の各段階を逐次進めていく制御
例)配水池流入バルブのシーケンス制御
水位 流入量=0 m3/h
3.5m
3.6m
流入量=400 m3/h(定常)
3.0m
定常復帰
3.2m
流入量=700 m3/h
代表的な運転操作設備②
(3) プロセスコントローラ(PCS)
対象設備単位でシーケンス制御を行うた
めの装置
(4) コントロールセンタ
配線用遮断器、保護装置、表示器などを
一つにまとめたユニットを複数収納したキ
ュービクル型制御盤
代表的な運転操作設備③
(5) インバータ盤
電気的に直流から交流を生成する電力変
換装置
(6) 現場操作盤
設備の近くに設置し、機械の状態監視、
運転・停止などの操作を行う盤
(7) 補助継電器盤
シーケンス制御を行うため、リレーやタ
イマーなどを収納している盤
2.3.3 無停電電源設備
1)無停電電源設備の役割
直流電源
交流電源
2)無停電電源設備の構成
交流入力
(商用電源)
1φ100V
AC
バイパス回路
切替
スイッチ
交流出力
AC1φ100V
3φ200V
直流出力
交流入力
(商用電源)
インバータ
(直流→交流)
整 流 装 置
直流出力
(交流→直流)
負荷電圧補償装置
交 流
直 流
蓄 電 池
直流電源設備
無停電電源設備
(1)蓄電池
鉛畜電池
MSE形
鉛蓄電池
種別
アルカリ蓄電池
形式名
CS形
MSE形
ポケット式
公称電圧
浮動充電電圧
V/セル
期待寿命
2V
2.15V
2V
2.23V
1.2V
1.41~
1.45V
12~15年
アルカリ蓄電池 特徴
10~14年
経済的
7~9年
長寿命形
13年以上
・高率放電特性良 ・機械的強度大
・補水、比重測定 ・放置過放電に
均等充電の保守が 耐える
不要
・高率放電特性良
(2)整流装置
充電方式
浮動充電
均等充電
回復充電
(3)負荷電圧補償装置
負荷へ印加
・整流装置
蓄電池の充電
・負荷電圧補償装置
(4)インバータ
2.3.4 発電設備
1)非常用発電設備
• ディーゼル発電
• 燃エネルギー → 往復運動
→ 回転運動
・ガスタービン発電
熱エネルギー → 回転運動
発電設備の構成例
排 気
消音器
電力発生
発電機
セルモーター
非常用発電設備による電力供給
単一母線方式
受 電
受 電
受 電
発電機用
遮断器
インターロック
受電用
遮断器
イ
ン
タ
ー
ロ
ッ
ク
インターロック
母線連絡用
遮断器
フィーダ
遮断器
一般負荷および非常用負荷
単一母線方式
・発電機の負荷選択は,フィーダ遮断器で行う
・一般負荷と非常用負荷を特に分離する必要が
ない
・発電機に余力がある場合は,一般負荷にも電
力を供給することができる
一般負荷
非常用負荷
母線分割方式
・一般負荷と非常用負荷を分離する
・遮断器間のインターロックが簡単である
・非常用負荷のみ発電機から供給
遮断器「入」
遮断器「切」
一般負荷
非常用負荷
非常用負荷集約方式
・一般負荷と非常用負荷を分離する
・遮断器間のインターロックが簡単である
・インターロックはフィーダ遮断器のみ考慮する
電源供給
2)自然エネルギー利用
(1)太陽光発電設備
システム例
(2)水力発電設備
・水車
ペルトン水車
・設置事例
貯水池
落差
発電機
原水導水管
既設原水弁
浄水場
水車
余剰水圧
2.4 計装設備の役割と維持管理
2.4.1 計装設備
・水質,水量及び水圧等の品質管理の向上
・施設の稼働状況の把握並びに合理的な制御に
よる運転の安定性及び安全性の確保
・異常時における迅速かつ適正な対応
・労働の軽減,安全衛生の維持などによる労働
条件の向上
・薬品,動力等の適正使用による生産性の向上
・適切な情報管理による水道施設全体の運転管
理や保守管理機能の向上
24
(1)流量計測
流量は,流体が単位時間あたりに流れている体積
または質量の割合を表す量で,単位時間で流れる流
体の体積で示す流量を体積流量,質量で示す流量を
質量流量という。
ベンチュリ式流量計 (差圧流量計)
超音波流量計検出部・変換器
面積式流量計
電磁波流量計の検出器・変換器
ウォルトマン流量計
(2)圧力計測
圧力計は,圧力を液柱などの変化量で直接読みと
るものや圧力を機械的な変位に変え指針を振らすな
どして測定するもの,機械的変位を電気信号に変えて
指示計で読みとるものなどがある。
(3)水位・液位計測
液面や粉体面を直接検出する直接法と、液位等と
直接関係する他の量を測定してレベルに変換する間
接法がある。
投げ込み式水位計
フロート式水位計
超音波水位計
(4)重量計測
粉体や粒体の重量を測る方式に用いられており,ホッ
パーやタンクなど容器の中に入っている測定対象物の
重量を測定するものである。
重量計 (ロードセル)
(5)温度計測
温度計は,大別して熱電対温度計と抵抗温度計が
あり,水道施設では,原水・配水温度や室温,気温な
どの測定に使用されている。
熱 電 対 式
(6)水質計測
水質計器は,濁度,pH,アルカリ度,残留塩素,電気伝導
率,その他の水質測定を行う計器を総称したものである。
水質計器の配置状況
ア)濁度計
濁度計は,水の濁りの指標である濁度を測定する
計器である。原水の監視,浄水場や浄水の処理過程
で濁度の測定管理は重要な項目の一つである。
高感度透過光・散乱光比較方式濁度計
イ)pH計
pHは,水の酸性,アルカリ性を表す指標
である。
pH計
ウ)アルカリ度計
アルカリ度は,水中のアル
カリ分を炭酸カルシウム換算
した指標である。
アルカリ度計
エ)残留塩素計
残留塩素は,殺菌効果をみる指標として
使用され,塩素処理後のろ過水,浄水に対
して測定される。
無試薬式遊離残留塩素計
有試薬残留塩素計
オ)電気伝導率計
電気伝導率は,比抵抗(Ω・cm)の逆数で
電気伝導率計は水中に溶存する電解質の総量
を測定するものである。
セ ン サ
変 換 器
イ)指示調節計
ロ)ワンループコントローラ(マルチループコントローラ)
調節機器は,水量,水位,圧力,水質などの
計測信号と設定値を演算部によって比較してそ
の偏差を検出し,この偏差がゼロとなるよう操
作部に操作信号を出力するものである。
指示調節計
ワンループ
マルチコントローラ
6)信号変換用機器
水道施設の監視・制御及び情報処理を行うに
は,各種の機器間で様々な信号の送受信が行
われている。これらの信号は,使用目的に合っ
た信号に変換する必要がある。
信号変換器
各種変換器
7)水道の制御
流量制御
必要とする需要量を確保するための取水
流量制御,ろ過流量制御,送水流量制御,
送水圧力制御などがある
薬品注入制御
水質基準を満足する処理水を確保するた
めの凝集剤,アルカリ剤,消毒剤などの薬
品注入制御がある。
1)流量制御
水道施設で行われる流量制御には,取水
流量制御,着水流量制御などがある。
流量制御
(2)薬品注入制御
浄水場で行われる薬品注入は,注入方法
として,調節弁による方法と定量ポンプを
用いたポンプ注入方法に大別される。
調節弁又は定量ポンプの注入制御
8)制御目標値の定め方
比率制御
カスケード制御
9)自動制御
(1)自動制御の種類
フイードバック制御
フイードフォワード制御
フィードフォワード制御+フィードバック制御
10)制御動作による分類
(1)オン・オフ制御
SV
偏差
時間t
(2)比例動作(P)
MV
(3)積分動作(I)
I
時間t
I 動作
(4)微分動作(D)
MV
I
(5)PI動作
P
PI 動作
(6)PD動作
MV
時間t
D
I
(7)PID動作
P
PI D動作
時間t
2.4.2 監視制御設備
監視制御設備の目的
水道施設の監視、制御
監視制御設備
監視用テレビ設備
水道施設運用の高度化
情報処理設備
遠方の水道施設の監視、制御のための情報伝
送
伝送設備
監視制御設備
設備機器
監視装置
監視盤,計装盤,グラフィックパネル,
POD,VDT装置,
大画面表示装置制御
装置,PLC,PCS
システムの種類と構成
通信機能
監視制御設備(中規模)
監視制御設備(大規模)
監視用テレビ設備
設備機器
監視カメラ,制御盤(制御装置),操作器,
モニタ装置,その他の機器・装置
システム
画像信号伝送方式
NTSC方式
IP方式(有線)
IP方式(無線)
ネットワークシステム
監視用カメラ設備
基本的な構成
情報処理設備・伝送設備
情報処理設備
水運用計画システム
施設管理情報システム
災害時復旧支援システム
伝送設備
設備機器
テレメータ
テレコントロール装置
ルータ
伝送の種類
有線方式
無線方式
水運用計画システム
その他の監視設備
その他の監視設備
簡易テレメータ
非常通報装置
クラウドシステム
維持管理上の留意点
日常点検
定期点検
クラウドシステム