期末試験 1.日時: 2月2日(木) 4,5限 2.場所: 1321番教室 3.試験範囲: 講義・演習で扱った全ての範囲 4.注意: ・集合時刻厳守のこと ・途中退出は認めない ・全員受験必須 ・資料持込不可 既に60点以上を獲得している者も受験すること。欠席 及び期末試験の得点が2点未満の場合、単位取得の 意思が無いものと見なす。 3-1 重心座標 複数の物体の運動は重心の運動と相対運動に分けられる。 質量mA、位置 rAとmB、rBとの2つの物体の運動を考えよう。 簡単のために2次元平面運動とする。 物体の位置は r A x , y ,0 r B x , y ,0 A A B B 重心の位置は r G x , y ,0 m A r A mB r B G G m A mB m A x A mB x B m A y A mB y B , ,0 m A mB m A mB 3-1 重心座標 rAとrBを重心を使って表すと、 r A x A , y A ,0 mA x A mB xB mB x A mB xB mA y A mB yB mB y A mB y B , ,0 m A mB m A mB m A mB m A mB mB x A mB xB mB y A mB y B xG , yG ,0 mA mB mA mB r B xB , yB ,0 m A x A m A xB mA y A mA y B xG , yG ,0 mA mB mA mB 3-1 重心座標 従って2つの物体の運動量を重心の速度を用いて表すとそれぞれ、 x x y y m v m v m v m v B A B B B A B B x y P A m Av G m A , m Av G m A ,0 m A mB m A mB x x y y m v m v m v m v A A A B A A A B x y P B mB v G mB , mB v G mB ,0 m m m m A B A B 全体の運動量は当然以下のようになる。 P P A PB m x y m v , m m v ,0 A B A B G G 3-1 重心座標 それでは2つの物体の運動エネルギーを重心の速度を用いて 表すとどうなるのか? KA 1 PA PA 2m A 1 m A v Gx 2 v Gy 2 2 1 1 2 mA v G mA 2 2 1 1 2 K B mB vG mB 2 2 x x m v m v 1 B A B B m A 2 m A mB m2B v 2A v 2B 2v A v B mA mB 2 m2A v B2 v 2A 2v B v A mA mB 2 2 mB v A m B v B m A mB y y 2 3-1 重心座標 従って全体の運動エネルギーは 1 1 mBm A 2 K K A KB mA mB vG v 2B v 2A 2v B v A 2 2 mA mB 1 1 mB m A 2 mA mB vG vA vB vA vB 2 2 mA mB 第1項は重心の運動エネルギー 第2項はAとBの相対運動の運動エネルギー mB m A m A mB を換算質量という。 3-1 重心座標 物体A,Bの運動のまとめ mA r A mB r B mA x A mB xB mA y A mB yB , ,0 1:重心r G xG , yG ,0 mA mB mA mB mA mB 2:全運動量:重心の速度に総質量をかけたもの。 P P A PB x y m m v , m m v ,0 A B A B G G 3:運動エネルギー:総質量*重心の速度の2乗*0.5 +換算質量*AとBの相対速度の2乗*0.5 1 1 mBm A 2 K mA mB vG vA vB vA vB 2 2 mA mB 3-1 重心座標 例1 一体並進運動& m mA mB mAvG mB vG r A rB 1:重心 r G xG , yG ,0 2 2:全運動量: P P A P B 2mv x , 2mv y ,0 G 2 K mv 3:全運動エネルギー: G G 3-1 重心座標 例2 原点回りに半径rで相対して、角速度ωの回転円運動 rG xG , yG ,0 0,0,0 1:重心 2:全運動量: P P A P B 0,0,0 Y 3:全運動エネルギー: mA 1m K v A v B v A v B mr 2 2 22 X mB 3-1 重心座標 問 1)あなたm1が速度v1で道を歩いていた。枯葉m2が速度v2で体に衝 突した。その後一緒に移動したとする枯葉衝突後のあなたと枯葉の 凡その運動エネルギーはいくらか? 2)直径1mの小さな隕石m1が地球m2に第二宇宙速度でぶつかっ て地球にめり込んだとする。地球は静止していたとすると、衝突後 の地球と隕石の凡その運動エネルギーはいくらか? 3-1 重心座標 例3 衝突問題に取組もう 固い小さな物体m1、m2の衝突を考える。最初、m1は速度v0でm2 に向かって進み、m2は原点に静止している。空気等の抵抗は無 い。重力等の力は働かない。時刻ゼロで衝突後、物体m1、m2は 速度v1、v2で進むとする。 衝突後 衝突前 m1 m2 m1 m2 v0 v1 v2 A 衝突前: m1 m1 r 1 m2 r 2 m1 r1 v0t ,0,0 1:重心 r G m1 m2 m1 m2 m1 m2 2:全運動量: P m1 v0 m1 2 3:全運動エネルギー: K 2 v 0 3-1 重心座標 B 衝突後、運動量と運動エネルギーが保存されるとき 全運動量保存: m1v0 m1v1 m2v2 m1 2 m1 2 m2 2 v0 v1 v2 2 2 2 m1 m2 2m1 v1 v0 v2 v0 m1 m2 m1 m2 全運動エネルギー保存: 上2式を解いて、 衝突後: 1:重心 2:全運動量: m1 r 1 m2 r 2 m1 rG v0t,0,0 m1 m2 m1 m2 P m1 v0 m1 2 v0 3:全運動エネルギー: K 2 3-1 重心座標 問 物体m1 は衝突によりm 2 に運動エネルギーを与える。衝突前 のm1の運動エネルギーをE0、衝突後のm2の運動エネルギーをE2 とする。エネルギー伝達率E2/E0 が最も大きくなる条件と、その時 のE2/E0の値を求めよ。 エネルギー伝達率E2/E0が最も大きくなる条件:m1=m2 その時のE2/E0 = 1 問 v2の最大値は何v0か?またその時のエネルギー伝達率はい くらか? v2が最も大きくなる条件は:m2/m1 =0 Max v2= 2v0 そのときのエネルギー伝達率 = 0 3-1 重心座標 C 運動量はあらゆる場合に保存される、宇宙不変の大原則である。 これに対し、運動エネルギーは保存されるとは限らない。 ・例えばポテンシャルエネルギーに変化したりする。 熱エネルギーにも変わる、光エネルギーになる場合もある。 ・もし、初め、全エネルギーが運動エネルギーだとする。 運動エネルギーが保存されないイベントがおこった場合、当然運 動エネルギーは小さくなる。 よって、 m1 2 m1 2 m2 2 m1v0 m1v1 m2v2 v0 v1 v2 2 2 2 である。典型的なのは、衝突後一緒に運動する場合である。 m1 衝突前 v0 m2 衝突後 m1 m2 v1 3-1 重心座標 このとき運動量の式は、 m1v0 m1 m2 v1 m1v0 v1 m1 m2 m1 衝突前 v0 衝突後 m1 m2 m2 v1 衝突後の運動エネルギーは m1 2 m2 2 1 m1 v1 v1 m1 v02 2 2 2 m1 m2 m1 2 1 m1 2 v m v これは当然、 2 0 2 m1 m2 1 0 である。衝突後、運動エネルギーが減少する衝突を非弾性衝突という。 3-1 重心座標 問 1)あなたm1が速度v0で道を歩いていた。枯葉m2が速度v2で体に衝 突した。その後一緒に移動したとする枯葉衝突後のあなたと枯葉の 凡その運動エネルギーはいくらか? m1 2 m2 2 1 m1 1 2 v1 v1 m1 v0 ~ m1 v02 2 2 2 m1 m2 2 2)直径1mの小さな隕石m1が地球m2に第二宇宙速度でぶつかっ て地球にめり込んだとする。地球は静止していたとすると、衝突後 の地球と隕石の凡その運動エネルギーはいくらか? m1 2 m2 2 1 m1 v1 v1 m1 v02 ~ 0 2 2 2 m1 m2 3-2 剛体の運動 硬い、大きな物体があり、回転中心軸Bのまわりにそ の物体を角速度ωで回転させた。このとき、物体の 角運動量大きさを LB I B と書く。 回転運動エネルギーは と表せる。 2 B 1 L 2 E I B 2 2I B このとき、IBを物体のBまわりの慣性モーメントという。 3-2 剛体の運動 名作「FN物語」を読もう。 F君:1月9日:今日は、成人式に相応しいことをしようと思い、一日 中物理のことを考えていた。重心について考えているうちに、頭が 混乱してしまった。剛体の重心は、そこに全ての質量が集中して いると考えられる点だ。 例えば、質量Mで長さLの一様な棒を考える。この棒を一端を中 心に回転させるとき、角運動量を計算したい。棒の中心に質量が 集中していると考えれば、質量Mの質点を半径L/2で回転させると 考えていいのだろうか。しかし教科書の答えは違っている。回転運 動に重心の考えを使ってはいけないのかなぁ?でも、質量の無視 できない棒におもりをぶら下げて、天秤をつりあわせることを考え る問題では、重心の位置に棒の重さが集中していると考えると考 え易かった。あの問題は力のモーメントのつりあいの話だから、回 転が関係する問題に重心の考えを使ってはいけないということで もなさそうだ。やっぱり、まだ角運動量や運動量のことがわかって いないような気がする。 3-2 剛体の運動 N君:1月12日:今日は僕が主役だ。 F君マスゲーム知ってるかい? F君:ああ、運動会で集団でやるお遊戯のことだろう。 N君:その通り、物理かぶれのF君は「質量ゲーム」と答えるんじゃ ないか、と心配したよ。マスには質量と集団の2つの意味があるか らね。 F君:僕を見くびるんじゃない。君よりもよっぽど常識をわきまえてい るつもりだよ。 N君:・・・・・・・ F君:ところでマスゲームと僕の悩みとどんな関係があるんだい? 10 N君:右図のように10人が手を繋いで横一線に並び 左端の人を中心に横一線を崩さず回転することを考えよう。 F君:中学校でやったことがある。 5 N君:ゲームの後、左から2番目、5番目、 10番目の人に感想を聞いてみよう。 2 F君:オーケー 3-2 剛体の運動 2番目の人:楽ちんでしたが意外に難しいですね。ゆっくり歩かない と前に飛び出して列を乱してしまうんです。 5番目の人:まあ普通に歩けばいいので楽なゲームです。左右の人 を見ながら仲良く歩けばいいんです。 10番目の人:いやー、見た目より実際は大変な運動ですよ。必死に 歩かなければ追いつかない。私は足が遅い方ではないですが、20 秒で一回転ですからね。どうしても列に遅れがちになりますよ。疲れ た、疲れた。 F君:まあ予想通りの感想だな。 これと物理と何が関係ある? N君:2番目の人の運動は? F君:それはゆっくり歩くのがコツさ。5番目は普通に歩く。一番端の 10番目は必死に歩く。そうしないと列が乱れるからね。 N君:横一列でも場所によって仕事量が違うということ? F君:もちろんそうだね。中心の人はほとんど仕事しない。一番端の 人は目一杯の仕事をしなければならない。 N君:運動エネルギーで説明して下さい。 3-2 剛体の運動 F君:任せとけ。横一列で列を乱さないで動くから、一回転の周期は同 じなんだ。しかし、場所によって一周の長さは違うだろう。中心からの距 離に比例して一周の長さが長くなるんだ。だから一定周期で回ろうとす ると、端の人ほど速く動かなければならない。中心からの距離に比例し て速度が速くなる。だから歩く人の運動エネルギーは中心からの距離 の2乗に比例して大きくなるんだ。どうだ、いい説明だろう。 N君:じゃあ、運動エネルギーの平均の人は何番目だろう? 太郎:それは丁度真ん中の人、・・じゃないな、何処だろう? 中心からの距離をLとすると、回転の線速度は距離Lに比例するから運 動エネルギーはL2に比例する。 それを中心から全て足すと、L3/3に比例する。 平均の運動エネルギーを人数分足すと上の値になるから、 平均の運動エネルギーはL3/3をLで割ればいいね。 だからL2/3だ。 これの平方根をとると位置がでるよ。(L2/3)0.5です。どうだ、完璧だろう。 3-2 剛体の運動 N君:具体的には何処? 太郎:わからないかい?中心よりちょっと外側さ。30.5は2より少し小 さいからね。外側の人の運動エネルギーは非常に大きくなるから、 平均位置が中心より外側にずれるんだよ。10人の場合は6番目さ。 ようし、もっと数学的に説明してやろう。 マスがmの人がN人横一列長さLに並んで角速度ωで回転したとす る。平均運動エネルギーを持つ人は、前の議論から(N/3)0.5番目の 人で中心からの距離はLx3-0.5だ。この人の運動エネルギーは 2 1 L 11 2 2 m 0.5 mL 2 3 23 となる。全員の運動エネルギーはこれにNを掛ければ良い。 全質量をM=m*Nとすると。 11 2 2 E ML 全体の運動エネルギーEは となる。 23 3-2 剛体の運動 確か回転半径L,角速度ωの質量Mの小さな玉の回転運動の運動エ ネルギーは 1 ML2 2 だったな。棒の場合は違うのか、棒の方が 小さいぞ。 2 N君:この論理を進めた場合の全体の運動量と平均値を持つ人の 位置は? F君:速度は L な形をしているから、平均値は真ん中だよ。そ して全体の運動量の大きさは NmL ML です。 2 2 1 2M ML 2 2 N君:それじゃあ、全体の運動エネルギーは でいいの? F君:いや、それは違うよ。場所によって速度と運動量が違うじゃな いか。例えば全く逆向きに同じ速度で進む同じマスの2つの物体の 合計運動量はゼロだろう。でも2つの物体の合計運動エネルギー はゼロではない。こういう場合は全体の運動量の大きさを単純に2 乗してはいけません。 3-2 剛体の運動 N君:そこで回転の場合の運動量をあたかも並進と同じように扱う 量として角運動量が登場するのです。 mLL F君:なるほど、この場合L2があるから、僕の得意技が使えるな。 なんだか、分かったような、騙されたような・・・・・・ -F君の悩みは尽きません- 3-2 剛体の運動 問 右図のように質量mの非常に小さい物体 が間隔aで0番からN+1個並んでいる。 m これらの物体が、0番の物体を中心として その配列を乱すことなく、角速度ωで回転 O1 2 する。 a ω N 1)1番目の物体の回転運動の慣性モーメントI1を求めよ。 2)N番目の物体の回転運動の慣性モーメントINを求めよ。 3) 1~N番の物体の回転運動の合計の慣性モーメントIを求めよ。 3-2 剛体の運動 問 右図のように質量mの非常に小さい物体 が間隔aで0番からN+1個並んでいる。 m これらの物体が、0番の物体を中心として その配列を乱すことなく、角速度ωで回転 O1 2 する。 a ω N 1)1番目の物体の回転運動の慣性モーメントI1を求めよ。 I1 ma 2 2)N番目の物体の回転運動の慣性モーメントINを求めよ。 I N mN 2a 2 3) 1~N番の物体の回転運動の合計の慣性モーメントIを求めよ。 1 I N N 1 2 N 1 ma 2 6 3-2 剛体の運動 問 右図のように質量mの非常に小さい物体 が間隔aで0番からN+1個並んでいる。 m これらの物体が、0番の物体を中心として その配列を乱すことなく、角速度ωで回転 O1 2 する。 a N 4)Nが非常に大きい数のとき、Iを近似的に表せ。 5)4)のとき、M=Nm, R=Naとするとき、IをMとRを用いて表せ。 問 長さL、質量Mの細い棒を棒の端を中心 として角速度ωで回転するときの慣性モーメン トを求めよ。 ω ω L, M 3-2 剛体の運動 問 右図のように質量mの非常に小さい物体 が間隔aで0番からN+1個並んでいる。 m これらの物体が、0番の物体を中心として その配列を乱すことなく、角速度ωで回転 O1 2 する。 a N 1 3 2 4)Nが非常に大きい数のとき、Iを近似的に表せ。 I ~ N ma 3 5)4)のとき、M=Nm, R=Naとするとき、IをMとRを I ~ 1 MR 2 3 用いて表せ。 ω 問 長さL、質量Mの細い棒を棒の端を中心 として角速度ωで回転するときの慣性モーメン 1 トを求めよ。 I ~ ML2 3 ω L, M 3-2 剛体の運動 問 長さL、質量Mの細い棒を、棒の中心を中心として角速度ωで 回転するときの慣性モーメントを求めよ。 ω 問 半径r質量Mの細い赤いリングを図の ように角速度ωで回転するとき、角運動量 の大きさを書け。慣性モーメントを求めよ Y r O M X 3-2 剛体の運動 問 長さL、質量Mの細い棒を、棒の中心を中心として角速度ωで 回転するときの慣性モーメントを求めよ。 ω 1 M L2 1 2 I 2 ML 12 3 2 4 問 半径r質量Mの細い赤いリングを図の ように角速度ωで回転するとき、角運動量 の大きさを書け。慣性モーメントを求めよ L Mr 2 I Mr 2 Y r O M X 3-2 剛体の運動 半径aで質量Mの薄い一様な円板の中心を通り、円板に垂直な 軸周りの慣性モーメントを求めよう。 (1)まず円板を右下のように細いリングの集まりと 考えよう。重さ面密度をρとする。 (2) 半径r厚さdrのリングの角運動量は dL 2 rdr r 2 (3)全体の角運動量は、 dL a 0 4 2 2 a Ma 2 2 rdr r I 4 2 よって慣性モーメントは Ma 2 I 2 3-2 剛体の運動 (4)半径r厚さdrのリングの運動エネルギーは 1 dE 2 rdr r 2 2 r 3 2dr 2 (5)全体の運動エネルギーは、 a a 4 2 0 4 3 2 dE r dr Ma 2 2 1 2 I 4 2 a 3-2 剛体の運動 (6)もし円の中心で回転しながら、速度vで 並進運動しているときの運動エネルギーは 1 1 2 2 E Mv I 2 2 となる。 ω V 3-2 剛体の運動 (7)半径a、角速度ω1の自転回転しながら、 ω2 半径b、角速度ω2の公転回転するときの 合計の角運動量と運動エネルギーエネルギー を求めよ。 1 L Mb 2 I 1 Mb 2 Ma 21 2 1 1 2 1 1 2 2 2 2 E Mb 2 I 1 Mb 2 Ma 212 2 2 2 4 2 2 (8)もしb=a、 ω1=ω2 =ωならどうなるか? ω1 3-2 剛体の運動 (8) b=a、 ω1=ω2 =ωなら、 1 3 2 2 L Ma Ma Ma 2 2 2 1 1 3 2 2 2 2 E Ma Ma Ma 2 2 2 4 4 ω1 ω2 自公転半径が同じ場合の自公転の合計慣性モーメントは 3 I Ma 2 2 (9)これはどのような運動か? 3-2 剛体の運動 問 長さa、質量mの細い棒を、棒の中心を中心として角速度ωで 回転するときの慣性モーメント、角運動量、 回転運動エネルギーをa、m、ωを適宜用いて ω 表せ。 m a 問 長さa、質量mの細い棒を、棒の中心か らb離れた所を中心として角速度ωで回転す るときの慣性モーメントを求めよ。 ω b m a 3-2 剛体の運動 問 長さa、質量mの細い棒を、棒の中心を中心として角速度ωで 回転するときの慣性モーメント、角運動量、 回転運動エネルギーをa、m、ωを適宜用いて ω 表せ。 1 1 1 2 2 I ma L ma L ma 2 2 12 12 24 問 長さa、質量mの細い棒を、棒の中心か らb離れた所を中心として角速度ωで回転す るときの慣性モーメントを求めよ。 m 2 I a mb 2 12 m a ω b m a 3-2 剛体の運動 (10)右図のように円板を縦に回転する場合を考えよう。 ω 右図のように円板を細い赤い棒に分けて考えよう。 棒の中心を回すときの慣性モーメントは 1 I mr 2 12 と知っている。棒の長さが場所によって違うことを 考慮しておのおのの棒の慣性モーメントを足し合わ せれば目的の値が得られるだろう。 a θ O 3-2 剛体の運動 Y 右図のように円板を細い棒に分けて考えよう。 円板の重さ面密度をρとする。図の座標Y軸の点 (y,0)を横切る幅dyの細い棒の慣性モーメントは 3 1 1 2 x dy 2 I mr 2 dy 2 x 2 x 12 12 3 3 2 2 2 dy 2 2 2 2 a y x y a だから、 I 3 ω a 全体の慣性モーメントは I11 a a y a cos 2 a y 2 3 2 2 3 と置けば、 dy 4 4 2 a sin 2 I11 2 d 0 3 a 4 4 Ma 2 4 θ (y,0) O X 3-2 剛体の運動 (11)縦に回転する場合をもう一つ別の考え方にトライしよう。 ω 下図のようにX-Y平面上に質量miの小さな 物体が位置ri(xi,yi)にある。物体をY軸周りに 回したとき、慣性モーメントは Y軸周り: a I Yi mi xi2 X軸周りに回したときの慣性モーメントは、 X軸周り: I mi ri mi x y i Z Y I Xi mi yi2 xi それではZ軸周りに回したときの 慣性モーメントはどうなるか? Z軸周り: 2 2 i 2 i O mi ri(xi,yi) yi I I i X O i Y Z X 3-2 剛体の運動 即ち、ある平面(ここではX-Y)上に小さな物体があるとき、 その平面に垂直な軸周りの物体の慣性モーメントは、 平面内の直交する軸周りの慣性モーメントの和に等しい。 Y I Zi I Xi IYi 任意の平たい剛体物体を微小物体の集合と 考えれば、任意の平らな剛体の慣性モーメントは IY m x xi 2 i i yi i I X mi yi2 O i I Z mi ri 2 mi xi2 yi2 i やっぱり mi ri(xi,yi) i I Z I X IY Z X 3-2 剛体の運動 それでは I Z I X IY を利用しよう。 円板の中心を通り、円板に垂直な軸周りの慣性モーメントは Ma 2 I Y 2 これはZ軸周りの慣性モーメントに相当する。 a Ma 2 IZ 2 それではX軸、Y軸周りの慣性モーメントは?? 分からないが、少なくとも円板である限り対称性 から I X IY は確実である。だから、 I Z I X IY 2IY よって、 Ma 2 IY 4 O Z X 3-2 剛体の運動 (12)それでは、右図のようなひどい問題の場合は どうするか? ω (8)を思い出そう。 ωの自転回転しながら半径b、角速度ωの 公転回転するときの慣性モーメントは、 Mb2 I だった。 Ma 2 ここでb=a,であり、 I だから、 4 目指す慣性モーメントは 5Ma 2 I 4 a O 3-2 剛体の運動 いろいろな物体の慣性モーメントを求めてみよう。 Y (1) 質量Mの長方体X軸回り Y軸に平行な細い棒の集まりと考える。 3 1 1 2 a dx 2 I mr 2 dx 2a 2a 12 12 3 O 3 b 2 a 4 ba 3 Ma 2 Ix dx b 3 3 3 これはどこかで見たことがある。 (2)もちろんY軸回りの慣性モーメントは Mb2 Iy 3 (3)ならば、原点O軸紙面垂直回りの慣性モーメントは Iz M a 2 b2 3 (b,a) X 3-2 剛体の運動 半径R、質量Mの円板滑車に質量m1、m2の物 体が糸でつるされている。糸の張力を図のよ うに定める。重力加速度を gとする。時刻ゼロ で物体を固定していた手を離した。糸は滑車 に巻きつき、滑ることなく移動すると考える。 m1>m2のとき、滑車は反時計方向に回転して T1 m1 は落下する。もしM>>m1,m2ならば、m1は 非常にゆっくり落ちることを経験的に知ってい る。これを考察しよう。 下向きを正にとれば、m1についての運動の式 は、 m1a T1 m1 g である。 m2については、 m2 a T2 m2 g である。 M R T2 m2 m1 g 3-2 剛体の運動 M よって、 R m1 m2 a T2 T1 m1 m2 g である。T2-T1はMを回す力である。 ちからのモーメントの大きさは、 N R T1 T2 である。(T1>T2) dL d MR 2 d I N I a dt dt 2 dt R だから、 m m I a m m g 2 1 2 1 2 R T2 T1 m2 m1 g 3-2 剛体の運動 M 結局、m1が落下する加速度は、 a m1 m2 g I m1 m2 2 R m1 m2 g M m1 m2 2 となる。 1.m1=m2の場合、a=0 自明 R T2 T1 2.Mがm1,m2に比べて重ければ、aは小さい。 3.Mがm1,m2に比べて軽ければ、自由落下。 m2 m1 g 3-2 剛体の運動 右図のように重心からaだけ離れたO点を 軸とした長さl 質量Mの棒の振動を考える。 1.O点回りの慣性モーメントは半径aの公転と 中心回りの自転の慣性モーメントの和である。 I a O θ 1 Ml 2 Ma 2 12 l M g 2.力のモーメントは N aMg sin θが小さいとき ~ aMg dL d d 2 I I 2 N Mg dt dt dt θの振動の角速度は 回転角に関する運動の式 ~ Mga I ga 1 2 l a2 12 3-2 剛体の運動 3.周期 ga 1 2 l a2 12 a O θ 1 2 l a2 2 T 2 12 ga l g 4.振動数ゼロ、周期無限大の条件はもちろん、a=0 l2 a 5.振動数最大、周期最小の条件は? 12a 6.5.の理由を考えよ。 7.どんな形の振り子が振動数が大きいだろうか。 a 1 2 3 l M 練習問題 問 半径aで質量Mの薄い一様な円板の問題 1)図1のように円板が地面を速度vで滑っているとき、 円板の運動エネルギーを求めよ。 v 図1 2)図2のように円板が地面を滑ることなく転がり、 円板の中心の速度がvで左向きに動くときの運動 エネルギーを求めよ。 v a (x,y) b 図2 練習問題 問 半径aで質量Mの薄い一様な円板の問題 1)図1のように円板が地面を速度vで滑っているとき、 円板の運動エネルギーを求めよ。 v Mv 2 K 2 図1 2)図2のように円板が地面を滑ることなく転がり、 円板の中心の速度がvで左向きに動くときの運動 エネルギーを求めよ。 v a (x,y) 2 2 Mv 2 1 2 Mv 2 1 v 3 Mv K I Ma 2 2 2 2 4 4 a b 図2 練習問題 問 右図のように重さ5kg、半径50cmの円盤を縦に回転する場合 の慣性モーメント[kgm2]を求めよ。 ω 問 同じ重さの細いリングを同様に縦に回転した 50cm とき、上記円盤の場合と同じ慣性モーメントをもつ ようにするにはリングの半径をいくらにすればよいか。 O 練習問題 問 右図のように重さ5kg、半径50cmの円盤を縦に回転する場合 の慣性モーメント[kgm2]を求めよ。 ω 2 Ma 51 5 I 4 4 2 16 2 問 同じ重さの細いリングを同様に縦に回転した 50cm とき、上記円盤の場合と同じ慣性モーメントをもつ ようにするにはリングの半径をいくらにすればよいか。 5 1 2 5b 16 2 1 1 b ~ 35.4cm 8 2 2 O 慣性モーメントまとめ Y 1.質量mの円板をZ軸周りに回した。 1 2 I mr 2 r O 2.質量mの円板をY軸周りに回した。 Z 1 2 I mr 4 3.質量mの球をZ軸周りに回した。 2 2 I mr 5 4.質量mの球をY軸周りに回した。 2 2 I mr 5 r O X 慣性モーメントまとめ 5.質量mの長さ2rの棒をZ軸周りに回した。 Z 1 2 I mr 3 m 2r 6.質量mの長さrの棒の端をZ軸周りに回した。 Z 1 2 1 1 2 2 I mr mr mr 3 12 4 m r 問 題 7.質量m、開き角45°の扇をZ軸周りに回した。 Y 1 2 I mr 2 r O Z X 8.質量がmであり、半径がrの2つの球体の おのおのの赤道面がX-Y平面上にあり Y お互いに接している。左方の球の重心 を貫くZ軸周りに2個の球を回した。 r 2 2 2 2 24 2 2 I mr 4mr mr mr 5 5 5 O Z X
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