日本の地熱発電への期待 - 神戸大学大学院

日本の地熱発電への期待
#1086599c 中村幸代
コンテンツ
現状のエネルギー政策の問題認識
 地熱発電の魅力
 なぜ地熱発電は促進されなかったのか
 課題克服のための選択肢とその可能性
 政策提言
 まとめ
 論点

エネルギー政策の転換
•
福島原発事故後

「エネルギー基本計画」の見直し

再生可能エネルギーの普及促進
地熱発電の魅力①
純国産の再生可能エネルギー
→世界第3位の地熱資源保有国
出所:産業技術総合研究所資料
地熱発電の魅力②

電力の安定供給が可能
→天候に左右されない
→昼夜問わず利用可能
地熱
約70%(≒原子
力)
風力
約20%
太陽光
約12%
電源別の設備利用率
地熱発電の魅力③
•
二酸化炭素排出量が少ない
出典:資源エネルギー庁「日本のエネルギー2008」)
地熱発電の魅力④

世界基準を超える地熱技術保持国
→日本製地熱タービンは
三菱重工業、東芝、富士電機3社合計で
世界のシェアの約70%占める
→地熱探査技術にも優れている
日本の地熱発電の変遷
1966:日本初、松川地熱発電所が運転
開始
 1970年代:オイルショック→地熱開発
促進
 1996:全国18か所の総設備出力が53万
5000kWに達し設備容量は世界第5位
 その後、政府は地熱発電に関する支援
を取りやめ
 2010年では世界第8位まで後退

なぜ促進されなかったのか
①
②
③
国立公園の開発規制
温泉事業者からの反発
他のベース電源とのコスト競争
国立公園における
大幅な開発促進の可能性

国立公園:全資源量の81.9%が存在
◦ 環境省は、規制緩和発表(2012.3.21)
 特別地域外での「傾斜掘削」容認
◦ 傾斜掘削はコスト高、適当な場所少ない
◦ 条件付きで、一部地域で「垂直掘削」も
認める(2012.5.25)
コスト・リスク共にかかる
反対意見も未だ多い
→道のりは長い
政策提言
温泉発電の促進

バイナリー発電
◦ 一般に80~150℃の蒸気や熱水を熱源として、低
沸点の媒体を加熱・蒸発させて、その蒸気で
タービンを回し発電する。

メリット
◦ 新たな掘削不要(リスク、コストなし)
→事業化進めやすい
◦ 固定価格買取制度の対象
→地域活性化となりうる
http://cgi4.nhk.or.jp/ecochannel/jp/movie/play.cgi?movie=j_ohayou_20110613_1223
電気事業法の規制緩和

RPS法(電気事業者による新エネルギーなど
の利用に関する特別措置法) [2003~]
◦ 電気事業者に、新エネルギーから発電される電
気を一定量以上利用することを義務付けた法律
「熱水を著しく減少させないもの」に限る
(バイナリー発電のみ)と規制
→小規模発電所ほどコスト高に

2012.07.01より全量固定価格買取開始
地熱開発の補助率の拡大

現行
発電方式
蒸気発電方式
(バイナリー発電除く)

補助率
20%
拡充案
補助率
民間事業者に対して1/2~1/3
電源開発促進税を地熱へ

電源開発促進税とは
◦ 発電所の建設を促進するための目的税
◦ 東京電力管内の標準家庭では月108円
程度を負担。
◦ 使い道は、原子力発電所のある自治体へ
の交付金や、原子力関連の技術開発など
に限定されている。
◦ 2010年度の税収は3300億円。
法制を改正し、使い道を地熱へ!

2005年:エネルギー政策法

→地熱発電が米国政府の再
生可能エネルギー生産税控
除を受けられるようになる


地熱資源で発電される電力
のコストが化石燃料による
電力コストと等しくなる
経済情勢が追い風となり、
地熱産業は急速に活性化



アキノ政権(1986発足)
は原子力発電所の安全
性、および経済性を疑問
視。運転認可見送る
1990年代、地熱発電量大
きく増大
発電量の17.6%が地熱
現在も政府は地熱をさら
に推進していく方針
世界の地熱大国に学べ
まとめ
政策
• 地域分散型、中小地熱発電の促進
提言
提言
理由
• 脱原発依存型のエネルギー政策の推進
• 現実的で持続的な打開策として有効
• 再生可能エネルギーの「地産地消」への期待
具体
案
• 温泉発電促進のための支援政策措置
• 電気事業法の改正
• 電源開発促進税の制度改正、補助率の増大
論点

地熱発電推進政策として、大幅改革、
大規模開発を進めていくべきか、中小
規模の発電や温泉発電への支援に的を
当てていくべきか。

原発再稼働が決まったが、今後の電源
開発促進税の使い道についてどう考え
るか
参考文献
月刊ビジネスエネコ 2011.8月号
 月刊ビジネスエネコ 2012.1月号
 エコノミスト 2011.10.10号
 毎日jp(2012.05.25)
http://mainichi.jp/feature/news/20120506org00m010031000c5.html


新エネルギー財団HP
http://www.nef.or.jp/introduction/teigen/te_h21_07.html

経済産業省HPhttp://www.meti.go.jp/

自然エネルギー財団HPhttp://jref.or.jp/energy/geothermal/policy.html

NHK ECO CHANNEL http://cgi4.nhk.or.jp/ecochannel/jp/movie/play.cgi?movie=j_nw9_20111007_1400