天空への漢方医学

天空への漢方医学
ー東百会特別編ー
漢方医学とは?
 東洋医学とはなんだろうか?
語源的には、東洋の医学全般であるが、日本で
は中国で発生した伝統医学を東洋医学と呼ぶ。
東洋医学的理論に基づいて、漢方、針灸、気功
などを用いて、行う医療行為。
漢方医学の未来
 東洋医学の利点と問題点。
 利点‥オーダーメイドの医療、副作用の少なさ、
患者満足度の高さ。老人の増加などに伴う
ニーズの増加。
 問題点‥西洋医学の医者に不評なことも多い。
診察に時間がかかる⇒採算がとりにくい。あと
勉強が大変。
利点の素晴らしさ
 患者満足度の高さ⇒訴訟対策にもなり、患者の
笑顔も見れる。あら素適。
 副作用の少なさ⇒漢方薬が適正使用されたと
きの副作用の少なさ。
問題点
①科学的でない?
②勉強が大変。
とりあえず、①の解決を考えて見ました。時間
が余れば②もやります。
①背景
 科学的でないという背景には何があるだろう?
・医療のタイプへの理解の欠如。
・東洋医学の学問的考察の難しさ。
・健康食品などの利益を狙った怪しい業者
などの存在
医療のタイプ
 医療を二分化してみました。
 命を救う医療。⇒救急、循環器、内分泌、感染、
各外科、腎臓内科など、治療しなければ命に関
わるものが多い。
 健康に貢献する医療。⇒予防医学、産業医学、
漢方医学、皮膚科、眼科などマイナー科。
死ぬことは少ない科が多い。
※もちろん例外はあります。
見てみると
 健康のための医学は軽んじられる傾向があります。名
前もマイナー科ってなんやねん。失礼な!って感じで
すよね。
 命を救うという第一目的からみた観点では、命を救う
方が本流であるとはいえます。
 しかし、健康の価値は、医療者側が思っているよりも
重い!
 患者は病気が治るだけでなく、健康を求めてい
る!
医療の流れ
 医療費削減を言われている社会では、東洋医
学を無駄と言い切る医者すらいるが、それはあ
る意味一理ある。
⇒命を救うだけなら、漢方はいらない。
しかし、世の中の人は、命さえ助かればいいと
いう人はどれくらいだろうか?
医者と患者の考えの差
 これらは、完全に医療のタイプに対する理解の
欠如だといえます。
 医者⇒命さえ救ったら、健康には自分たちで
なってね。
 患者⇒最後まで(健康になるまで)面倒を見て
欲しい。
医者の考えと、患者の考えの差があります。
この差を埋めるのが
 この差を埋めるのが東洋医学ではないだろう
か?
 西洋医学の治療と東洋医学の体質へのフォ
ロー。
⇒病気も治って、健康にもなって、患者満足。あら
素敵。
具体的には?
 東洋医学の考え方で、西洋医学を使ってみる
のはどうでしょうか?
東洋医学のシステム理論は非常に素晴らしい
ものであり、東洋医学で完結するにはもったい
ないとすら思いませんか?
証の応用
 東洋医学は患者の体質、『証』と、薬の性質を
合わせることで副作用の少ない治療を可能とし
ている。
 なら、西洋医学の薬では行えないだろうか?
体質把握は東洋医学の理論で行い、あとは西
洋薬の薬の性質さえ把握したなら、副作用を有
意に抑えれないだろうか?
漢方事始
織部先生の『漢方事始め』
西洋医学と東洋医学の融合の一例がここにあ
ると思います。非常に面白い本です。
一つ紹介します。
降圧剤
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Ca拮抗薬
βブロッカー
α遮断薬
Αβ遮断薬
ACE阻害薬
ARB
利尿剤
漢方的使い分け
 Ca拮抗薬 血管拡張→ほてりや顔面紅潮
陽証、熱証、実証のかたに処方すると、のぼせ
などの副作用がでやすい。
・βブロッカー 末梢を冷やす作用がある。
虚証、寒証、陰証の方に処方すると、体を冷や
してしまう。
高血圧にみられる証
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升証→降性薬
熱証→寒性薬
実証→寫性薬
湿証→燥性薬
寒証→熱性薬
東西医学へ
 治療から健康まで!!西洋医学と東
洋医学の利点の相乗効果を目指そう
じゃありませんか。
科学的ってなんぞや?
 いま、医療のタイプについての誤解を解こうと
いう話でしたが、もう一つ、漢方が科学的でな
いということはどうでしょうか?
というか科学的ってなんだろう?
科学って二つある!!
 還元主義的な科学
 複雑系の科学
カオス理論とか知らない?
学問的欠点?
 漢方医学の欠点として、分かりにくさがあります。
西洋医学は要素還元論により、明晰性を求め
る、デカルトの科学の流れをもっています。
漢方医学はどうでしょうか?
各々の因子が相互に影響をあたえるため、還
元主義的なアプローチがしづらい。
⇒複雑系である。
複雑系とは?
 複雑系(ふくざつけい complex system)とは、多数の
因子または未知の因子が関係してシステム全体(系
全体)の振る舞いが決まるシステムにおいて、それぞ
れの因子が相互に影響を与えるために(つまり相互作
用があるために)、還元主義の手法(多変量解析、回
帰曲線等)ではシステムの未来の振る舞いを予測す
ることが困難な系を言う。
 これらは狭い範囲かつ短期の予測は経験的要素から
不可能ではないが、その予測の裏付けをより基本的
な法則に還元して理解する(還元主義)のは困難であ
る。
人体は複雑系
 五行をはじめとした、東洋医学の理論は人体の
複雑系モデルに通じる。
科学的の定義
 一昔前の科学は、還元主義が中心であり、医
学もその例外ではなかった。
 しかし、科学の進歩により、複雑系というものの
存在が分かってきた。
⇒人体は複雑系であるのに、要素還元的な考
えかたでは限界があるのではないか?
複雑系の克服
 複雑系を精確に予想することは困難であるが、
経験と理論により、ある程度の予想はできる。
経験が科学的ではないという人もいるだろうが、
還元主義ではないが、科学でないとはいえない。
 ⇒漢方医学の経験は人体の複雑系に対しては
非常に有効であるといえないだろうか?
つまり
 (誤)科学的ではない。
 (正)要素還元的な科学ではない。
ということです。複雑系の科学は科学の先端で
あり、なじみがないというのが、一つの問題で
す。
そして天空へ
漢方医学は将来性が非常にある医療です。
今の医療の限界をこえるポテンシャルがありま
す。
その応用の広さは、何科に行っても非常に有効
であると思います。
医療のレベルをあげる、この武器を是非手に入
れようではありませんか。