歩行速度に着目した急ぎ足選択モデル J班 高取千佳 大村朋之 斎藤いつみ 瀧口洋平 植村恵里 0.問題意識 移動には目的地へ向かって真っすぐ向かうケースと,寄 り道を行いながらゆったりと向かうケースがある.これら の違いは歩行速度に着目することで判断できる. 人々がこの判断を行う際,どのような要因が関係してい るのだろうか. ゆったりとしたスピードで人々が回遊することは,賑わい を生み出し,都市の魅力向上に寄与する. 寄り道をする要因を明らかにすることで,回遊を高める 方法・施策について提案する. 1.分析のフレーム 横浜中心部における移動の速度分析 位置データを用いて,トリップ内の詳細な速度変化を把 握し,傾向を分析する 対象トリップの抽出 速度変化の影響が大きいと考えられる徒歩,自転車ト リップを抽出 サンプル数:急ぎ足分析には131トリップ トリップ内速度変化分析は92トリップ 1.速度の算出方法 マップマッチングの代わりに, GPS測位点をつなぐことで, 微小な時間の速度を計算し た. GPS測位点 2.1 基礎分析(1) 移動速度可視化(全体像) 対象地全体における移動 の速度を可視化する. ・速度を色分けで表示 ○:2m/s以上 ○:2m/s未満 2.2 基礎分析(2) ・移動手段別の速度ヒストグラム 横浜中心部における回遊行動分析のために,自転車および歩行者速度のヒ ストグラムを作成. 自転車速度 歩行速度 2.3 基礎分析(3) ゾーンごとの速度比較 ・更に各小ゾーン別の速度ヒスト グラムを作成. 6.526m/s 13 7.08m/s 15 14 5.594m/s 6.059m/s 9 5.594m/s 6.059m/s 10 5.793m/s 11 16 12 ・ゾーン4,13,14において 比較的移動速度が速いことが わかる. 5.838m/s 5 1 6 6.093m/s 2 6.126m/s 7 4.765m/s 8 5.345m/s 3 6.237m/s 4 2.4 基礎分析(4) ・移動目的別の平均速度 食事や買い物など,目的が明確に決めら れていないトリップは速度が遅くなる傾向 にあると考えられる. 0.012 0.01 0.008 0.006 0.004 0.002 0 ・到着施設属性別の平均速度 同様に,明確な目的のない娯楽施設など へのトリップの速度は遅く,通勤・通学先 への速度は速いという傾向が伺える. 0.012 0.01 0.008 0.006 0.004 0.002 0 2.5 基礎分析(5) パターン1 パターン2 パターン4 パターン3 3.1 モデル推定 効用関数 速い,遅いの2項選択モデル トリップiの平均速度/全トリップの平均速度>1⇒速い トリップiの平均速度/全トリップの平均速度≦1⇒遅い U slow V1 1 d1 (距離walk ) f1 (飲食店ダミー ) b(到着地 3ダミー) 1 1 U fast V2 2 d1 (距離walk ) f1 (飲食店ダミー ) b(到着地 3ダミー) 2 2 選択確率 Pn (i ) exp( Vni ) 2 exp(V j 1 i j {1,2} 10 nj ) 速い 遅い 3.2 モデル推定結果 例)推定結果の表 定数項 距離walk 出発地施設(飲食店) 到着地ゾーン(3) サンプル数 初期尤度 最終尤度 決定係数 修正済み決定係数 11 パラメータ -14.14 -2.06 2.35 1.96 t値 -2.56 ** -2.69 ** 1.74 * 2.05 * 131 -90.80 -30.40 0.67 0.62 *5%有意 **1%有意 3.3 考察 考察 遠距離の移動は明確な目的があるため、移動速度は速い 近距離の移動というのは、目的が無い、もしくは予定の目的を消化する前 後の移動のため、移動速度は遅く、探索型の移動と考えられる。 出発地施設/到着地施設/目的の中で最もt値が高かったのは食事 これは食事場所を探すという探索型の移動や食後にはゆっくりしたいと人 は感じることが多いためと考えられる。モデルでは出発地施設属性が飲 食店・喫茶店のものを分析している。 出発/到着地ゾーンが3,4の時は共に遅い移動のトリップが多い。これは 3,4エリアが関内~元町中華街の場所であり、 横浜スタジアムといった大規模な集客施設があり、また食事場所のメッカ である中華街を持つためと考えられる。 元町中華街はみなとみらい線の終点でもあり、駅の乗降者が行う移動も 遅いトリップの発生に寄与していると考えられる。
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