障害者虐待防止のための 管理者の役割 佐賀コロニー 荒木邦彦 1 演習のねらい 事業所における虐待防止のためのさまざまな取り組 みを総合的に構築するための手法を検討する。 障害者虐待防止で必要とされる組織づくりを図るた めの知識等を学ぶ。 虐待防止のための組織の構成、権限、機能、役割等 を考え、その組織をどのようにつくっていくのかの知 識等を学ぶ。 実効性のある組織づくりを図るための知識等を学ぶ。 2 虐待は事業所の存続を危うくする 福島県の事業所ー廃園、法人解散 大阪市の複数事業所ー改善指導 等 山梨県の事業所ー査察指導、虐待者退職 山形県の事業所ー虐待者に懲役1年6ヶ月 等 3 虐待発生による事業所への影響 虐待発生による、刑事的、民事的訴訟 等の対応の可能性の発生 行政処分ー報告の徴収、立入調査、監 査、指定の取り消し、措置等の公表等 虐待発生による、事業所経営の危機的 状況の出現 虐待防止への真摯な取り組みの要求 4 管理者としての姿勢が問われる 障害者の尊厳の保持、人権擁護の責任 虐待を絶対に許さない信念と意志 虐待防止の責任者である自覚 虐待防止に取り組むことは、「サービスの 質の向上につながる」ことの認識 5 しあわせ、よい生き方への支援 ● 利用者の尊厳の保持 ● 利用者の自立、社会参加の促進 ● そのためには、「虐待防止」は障害者福祉 施設(事業所)にとって重要な取り組み(防 止法第15条) 6 事業所としての理念 理念の共有、周知 倫理綱領、行動規範の策定、見直し それぞれが現在の事業所の実態に合致し ているのか、事業所従事者に行き渡ってい るのかの検証 7 虐待を見逃さない事業所づくり 早期発見 不適切な対応への取り組み 家族、市町村等関係機関との連携 ボランティアや実習生の受入れ 市民との協働 8 虐待防止のための組織づくり 虐待防止のためには、虐待防止のため の組織づくりが最重要 管理者として、積極的に組織づくりを図 ることが必要 9 虐待防止ための組織の設置 法人・事業所内の位置づけ 権限・機能・役割 運営規定の整備 構成メンバー 形骸化しない方策の検討 10 実効のある苦情解決体制の構築 苦情相談窓口 運営適正化委員会 苦情対応マニュアル 第三者委員 オンブズパーソン 支援内容に踏み込んだ行政監査 11 虐待防止の取り組み 開かれた施設運営の推進 市町村障害者虐待防止センター、都道府 県権利擁護センターとの連携 サービス評価(自己評価、第三者評価)の 導入 管理職・職員の研修、資質向上 施設情報の公開 利用者、従事者への支援 12 管理職・職員の研修、資質向上 年間研修計画の策定 職員の人権意識向上のための研修 支援の技術や知識向上のための研修 事例検討 支援困難利用者に対する支援のスー パーバイズ体制 個別支援計画の策定(利用者中心の視 点によるケアマネジメントの活用した個 別支援の作成) 13 利用者への支援 利用者のエンパワメントを高める活動 利用者自治活動 職員が関与しない利用者同士の活動 自己決定を尊重した支援内容 選択できる場・機会の提供 ● 成年後見制度の利用 14 身体拘束における例外3原則 出典:「身体拘束ゼロへの手引き」 厚生労働省 身体拘束ゼロ作戦推進会議 2001年3月 やむを得ない場合の対応とは、「一時的 に発生する突発事態」のみに限定 ①切迫性、②非代替性、③一時性 例外3原則で身体拘束を行う条件 ・事業所としてのマニュアル(ルールや手続き)の作成 ・利用者本人や家族に対する説明と十分な理解が必要 ・身体拘束に関する記録の義務 15 従事者への支援 悩みや苦労を相談できる体制の整備 ・(例)相談できる場や人の確保、専門機関との連携 リスクマネジメント ・(例)ヒヤリハット体験の共有と対応、報告の公表 労働者としての労働環境の保障 ・(例)パート職員の身分保障、チームワークの醸成 健康管理 ・(例)健康診断、検診、健康管理 16 掲示物の掲示 ● 倫理綱領、行動規範の掲示と張り替え ● 市町村虐待防止センター、都道府県権利擁護セン ターの周知 ● 苦情処理窓口と第三者委員のこと ● 通報義務と通報者保護の内容 ● 虐待の当たる行為の啓発 など 17
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