骨髄腫の治療の 基礎と最新情報 福岡大学病院 輸血部 熊川みどり 本日の内容 1.治療の考え方 2.骨髄腫の治療法の選択 (自家移植) 3.ビスホスホネート 4.サリドマイド 5.プロテオソーム阻害剤 6.同種移植 本日の内容 1.治療の考え方 2.骨髄腫の治療法の選択 (自家移植) 3.ビスホスホネート 4.サリドマイド 5.プロテオソーム阻害剤 6.同種移植 治療の考え方 治療が“効く”かどうか 患者さんの希望 効く治療=治る 治療の考え方 治療が“効く”かどうか 骨髄腫の場合 効く治療?治る 治療の考え方 治療が“効く”かどうか 骨髄腫の場合 効く治療≠治る 治療の考え方 治療が“効く”かどうか 骨髄腫の場合 効く治療≠治る 治療目標は病気と共に元気で長生き 治療の考え方 治療が“効く”かどうか 骨髄腫の場合 効く治療≠治る 治療目標は病気と共に元気で長生き 治療法の選択は? 本日の内容 1.治療の考え方 2.骨髄腫の治療法の選択 (自家移植) 3.ビスホスホネート 4.サリドマイド 5.プロテオソーム阻害剤 6.同種移植 骨髄腫の治療法の選択 ① 初期治療 → 寛解(かんかい) ② 寛解後療法 ③ 維持療法 骨髄腫の治療法の選択 ① 初期治療 → 寛解 MP療法(メルファラン・プレドニゾロン) ② 寛解後療法 ③ 維持療法 骨髄腫の治療法の選択 ① 初期治療 → 寛解 MP療法(メルファラン・プレドニゾロン) 効く≠治る ② 寛解後療法 ③ 維持療法 骨髄腫の治療法の選択 自家(己)移植 骨髄腫の治療法の選択 自家(己)移植 ・(超)大量の抗がん剤治療の後に 自分の造血幹細胞を体に戻す ・予め自分の造血幹細胞を保存 ・年齢制限:65歳まで 自家移植 1.多剤併用療法 → 寛解 VAD療法 (ビンクリスチン・アドリアマイシン・ デキサメサゾン) 2.自己(末梢血)幹細胞採取 3.自己(末梢血)幹細胞移植 骨髄腫の治療法の選択 65歳以下 ① 初期治療 → 寛解 VAD療法 ② 寛解後療法 自己(末梢血)幹細胞採取→移植 70歳以上 MP療法 骨髄腫の治療法の選択 ① 初期治療 ② 寛解後療法 ③ 維持療法 標準治療として確立されたものはない インターフェロン使用で生存期間が 6ヶ月ほど延長することが報告されている 多発性骨髄腫の治療フローチャート MP 抵抗性症例 初期治療 MP VAD CP 70歳以上等 自家移植できない 65歳以下 病期Ⅱ、Ⅲ PS 0-2 プラトー状態 寛解 プラトー 状態 寛解後療法 自家移植 補助療法 ビスホスホネート 再発後療法 維持療法 インターフェロン? サリドマイド 本日の内容 1.治療の考え方 2.骨髄腫の治療法の選択 (自家移植) 3.ビスホスホネート 4.サリドマイド 5.プロテオソーム阻害剤 6.同種移植 ビスホストネート ・「骨塩が減少する病変」に対し効果 ↓ 骨痛や骨折の減少 ・抗骨髄腫作用の可能性 「骨髄腫細胞が生き続ける」情報を抑制 (アポトーシス) 患者の生存期間延長は未確認 本日の内容 1.治療の考え方 2.骨髄腫の治療法の選択 (自家移植) 3.ビスホスホネート 4.サリドマイド 5.プロテオソーム阻害剤 6.同種移植 サリドマイド サリドマイド による 多発性骨髄腫治療 単剤での効果 30% (M蛋白減少率25%以上) サリドマイドとデキサメサゾン との併用療法 50~70% サリドマイドの副作用 1)神経・精神症状: 眠気、頭痛、四肢の感覚異常(しびれ感) 2)消化器症状:便秘 3)発疹 その他:発熱、深部静脈血栓、白血球減少 1960年代前半に催奇形性が報告され、薬害事件を 引き起こし、販売停止となった。 現在日本では保険承認されていない。 2004年12月以降は日本血液学会研修施設において、 サリドマイド治療が倫理委員会において承認を受けた上で 血液専門医の指導のもと実施されることが決定された。 福岡大学病院サリドマイド自主研究の対象患者 1 選択基準 1-1 標準的な化学療法によって部分寛解(PR)未満の 抗腫瘍効果が得られた症例、または再発治療 抵抗性の多発性骨髄腫症例 一般状態が不良であっても、患者からの強い希望 があり、同意が得られれば治療を施行する 2 除外規定 2-1 妊娠中あるいは妊娠の可能性のある女性および その配偶者 2-2 その他、担当医が不適当と判断した症例 福岡大学病院におけるサリドマイド治療 自主研究として福岡大学病院倫理審査委員会の 承認を2001年8月に受け、治療開始 15例治療 男女比 年齢中央値 投与期間中央値 治療効果 PR MR NC PD 5例 1例 5例 4例 7:8 61歳(48-73) 284日(26-1024) 奏効率40% M蛋白が50%以上 減少した症例 50代男性 IgGκ 骨痛 発熱 CP療法 サリドマイド 200 IgG 12000 10000 8000 6000 4000 2000 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 14 Hb 12 赤血球 輸血 10 8 6 4 2 0 8 2002年 1 9 10 11 3 4 12 1 2 3 4 5 2003年 2 5 6 7 8 9 10 70代女性 IgGλ/ⅢA 浮動感 全身倦怠感 腰痛 放射線 IgG 7000 6000 5000 4000 3000 2000 Hb 1000 12 0 10 サリドマイド 系 1 赤血球輸血 3 5 7 4 6 8 9 11 10 12 13 15 8 6 4 2 2 2002年 1 2003年 3 5 M蛋白の減少率が 25%未満の症例 デキサメサゾン 1000 800 60代女性 IgGκ/ⅡA 600 300 200 IgG 400 300 サリドマイド 7000 6000 5000 4000 3000 2000 3/3/10 2003年 7 10 1 2004年 /12/10 4 3/9/10 1 3/6/10 10 /12/10 7 2/9/10 2002年 2/3/10 2001年 4 2/6/10 12 1 /12/10 0 9 1/9/10 1000 本日の内容 1.治療の考え方 2.骨髄腫の治療法の選択 (自家移植) 3.ビスホスホネート 4.サリドマイド 5.プロテオソーム阻害剤 6.同種移植 プロテオソーム阻害剤 骨髄腫細胞の増殖や生存に必要な 情報を抑制する 再発期の骨髄腫に有効 ボルテゾミブ : 日本で肺障害の報告 本日の内容 1.治療の考え方 2.骨髄腫の治療法の選択 (自家移植) 3.ビスホスホネート 4.サリドマイド 5.プロテオソーム阻害剤 6.同種移植 移植 前処置 自家移植 造血幹細胞 大量抗がん剤 自分の細胞 大量抗がん剤 他人の細胞 (ヒトからヒトへ) や放射線 減量抗がん剤 他人の細胞 ミニ移植 や放射線 同種移植 *造血幹細胞の種類 骨髄幹細胞、末梢血幹細胞 同種移植は研究的治療法 ドナー由来の細胞が骨髄腫細胞を攻撃 同種移植では感染症や移植片対宿主病 による治療関連死亡率 30% ミニ移植(移植前処置が弱い)では 再発や移植片対宿主病による死亡が問題 ↓ 自家移植に比べ生存期間で有利な点なし (2回)
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