論文作成のコツ ver.1

北海道大学工学部材料工学科
材料工学実験I
状態図の作成
レポート作成のコツ
ver. 1.04
エネルギー・マテリアル融合領域研究センター
エネルギーメディア変換材料研究室
沖中 憲之
状態図レポートに関する約束事
•レポート本文は手書き
図表(キャプションを含む)は,プリンタ出力やテキストのコピー
を使用しても差し支えない。
•3部構成のレポートを作成しない
測温系の補正,状態図の作成,合金の組織観察という3つの異なる
実験を行ったかのような3部構成のレポートを作成しない。
•提出締め切りは最終実験日の1週間後13時まで
当日が休講日に当る場合は,翌日以降の最も早い講義日とする。
•提出先は滝沢先生居室(MC634)
不在の場合は研究室の他者に委託することも可であるが,相手の
氏名,素性は確認しておくこと。
レポートとは
緒言(目的)に明確に何をするのか書いてあり,
結言(結論)にその答えが明確に述べられている
報告書のこと。
将来君たちが書く論文についても同様のことが
言える
レポート作成までのステップ
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
参考文献をファイルする。
実験結果をまとめ,考察する。
図・表を準備する。
緒言(目的)を書く。
結言(結論)を書く。
実験方法を書く。
結果および考察を書く。
ステップ1
参考文献をファイル
する。
• 緒言(目的)を書くのに不可欠である。
• 主要データベースを使い文献を調査し,
ファイルしておく。
有益な情報は将来の糧となる。調査内容は再利用
できるように,ファイリングしておく。
ステップ2
実験結果をまとめ,
考察する。
• 結言(結論)のネタになる結果はどれ
かを考えながらまとめる。
• 結果の特徴(アピールポイント)は,
それぞれ何かを検討する。
注)針小棒大になってはいけない。
ステップ3
図・表を準備する。
• 図(は極力)表は本文中に書く。
• 規定に基づき,単位などに注意する。
• 写真にはスケールを入れる。
• 図は数枚。10枚超は多すぎる (まとめる工夫を)。
• 図の説明はぶっきらぼうにならない程度に長く
書く。
図番号のみでは説明とは言えない
ステップ4
A but B型で緒言
(目的)を書く。
• (背景)はじめに背景を書く。特に技術
の重要性を強調して書く。
• (問題点)重要ではあるが,適用上問題
となることを書く。
• (解決策)そのために,何を,どんな方
法で,どうしたいのか,より具体的に書
く。3つ位の項目を挙げられれば良い。
レポートでの実践は難易度が高いので,将来の論文作成
ノウハウとして記憶しておく。
ステップ5
結言(結論)を
書く。
• 緒言(目的)で書いた,やるべき項目
に対応させて回答を直接的に箇条書き
で明確に述べる。それに至った理由は
述べる必要はない。
• 結言(結論)は箇条書きで3つもあれ
ば十分である。数字を交えて結果を簡
潔に述べる。
• 研究の意義を述べると内容が締まる。
ステップ6
理論・実験方法を
書く。
• 実験方法は装置(測定系),手順に分
けられる。
• 読者が同じ結果を得られるために,必
要十分な情報を記述する。
実験では「再現性」が重要である。
ステップ7a 結果および考察を
書く。
• 図を説明しつつ,結果を記述する。通常は図
の数だけ段落ができる。
• その結果は予想されたものか。予想通りでな
いときは,何故そうなったか考えられる理由
を記述する。
• 考える,思う等の単語は極力避ける。見なさ
れる,判断する,結論する,推察する,等の
異なる動詞で表現できないか検討する。
ステップ7b 結果および考察を
書く。
• 得られた結果は既存の実験結果を否定するの
か,支持するのか検討する。
• さらに一般化できないか,考える。
• 得られた結果は何か実用的に役立つことを示
唆しているか。あればそれは何か記述する。
So what ?と突っ込まれないように注意!
• 結論に対する証拠をここで明確に示しておく。
• 例外等あれば記述し,よく一致しないデータ
を含めた作り話はやめる。
目的の例(卒業生のレポートより抜粋)
1. 熱電対の原理を理解し,3つの温度定点(氷の融点,水
の沸点,スズおよび亜鉛の凝固点)を利用して,クロメ
ル・アルメル熱電対の起電力と温度の関係を求める。
2. 冷却曲線のうち,過冷却を起こしている試料の様子を観
察し,過冷却が起きやすい条件を調べる。
3. 合金の冷却曲線をたどり,屈曲点においてどういう反応
が起こっているのか,相律をもとにして考察する。
4. 共融(共晶)点において一定となっている時間の長さが何
を表しているかを調べる。
掟(ルール)無用の
トホホなレポート
こんなレポートは嫌だ!
トホホ度:最大
提出されないレポート
採点不可:0点
トホホ度:大
結論が書かれていない
-50点
満点:120
トホホ度:大
考察が書かれていない
-30~-40点
トホホ度:中
結果のグラフが添付
されていない
-20~-30点