日本麻酔科学会「麻酔関連薬 ガイドライン」策定に参加して 望月 亮 野口いづみ* 一戸達也** 静岡市、望月歯科 鶴見大学歯学部歯科麻酔学教室* 東京歯科大学歯科麻酔学講座** 麻酔関連薬の適応外使用ー典型例と弊害ー エフェドリン:代表的な術中昇圧薬だが 適応は「脊椎麻酔時の血圧降下 」 フェンタニル:硬膜外投与の有用性にも かかわらず、いまだに未承認 診療報酬に際して査定の根拠に 医療裁判に際しての反証に 添付文書 実際の使用にはあまり参考にならない 改訂には膨大な治験が必要 日本麻酔科学会が位置付ける 本ガイドラインの意義 薬剤使用に際して、添付文書より 質的に強力な指針に 正式な承認への期待 実 厚生労働省関係学会医薬品等 適正使用推進試行的事業 予算給付(約600万円) Ad-hoc委員会「医薬品等適正使用評価委員会」 執筆者を日本麻酔学会員から公募 薬剤別担当者一覧 執筆上の注意点(1) 添付文書上は保険適応外(適応症, 投与法, 使用方法など)であっても、 現在国内のみならず国外で通常使用 されている場合には、適応欄、使用 法欄に詳記する その際必ずエビデンスを示す論文を付す 執筆上の注意点(2) -evidenceの質- Ⅰ:ランダム化比較試験 Ⅱ-a:非ランダム化比較試験 Ⅱ-b:コホートまたは症例対照研究 Ⅱ-c:時系列研究、非対照実験研究 Ⅲ:権威者の意見、記述疫学 文献の収集方法 PubMed、医中誌web 製薬会社から…国内未発行文献など 貢献度大だったが、ガイドライン 意義の理解度に疑問 医学系図書館…文献複写に 著作権法の壁。個人的好意が頼り 一臨床医の手には余る難事に ジクロフェナク執筆上の問題点 -どのような適応外使用を主張すべきか?- 小児への投与の是非 術後体温上昇時の解熱 先制鎮痛目的の使用 歯髄炎・歯根膜炎への使用 癌性疼痛への使用 フルマゼニル執筆上の問題点 ●静脈内鎮静法をどこまで意識するか? 「手術、処置時の鎮静からの覚醒」適応を 「処 置時」→「処置および歯科処置時」 とすべき か? 使 分類に ●review、症例報告、死亡例、特異な 用法などのevidence評価および 苦慮 ガイドライン参加の意義 1.ガイドラインと添付文書の 位置関係 2.歯科医師の参加→NSAIDsの 適応拡大への一石? 3.歯科麻酔科医の参加→麻酔科 学会への積極的な交流 1.ガイドラインと添付文書の 位置関係 添付文書は早急な改訂が難しい →学会に学術的なガイドラインを 作成させ、それを法規より上位に 位置づけることによって、現実的 に法規改正と同じ効果を意図する、 という行政手法。行政と学会双方 に有益 2.歯科医師の参加 歯科臨床で頻用されているボルタレンTMには 「歯痛」への適応拡大が求められていた 3.歯科麻酔科医の参加 歯科麻酔科医の日本麻酔科学会への 学術面、および社会面での積極的な 交流は、一会員レベルでも推し進め られてよい cf.各種委員会公募への参加 「歯科麻酔科医であること」→同等なintelligence と歯科医師のidentificationの両立 今回のガイドラインの問題点 笑気の適応:「歯科手術時の鎮痛」 →本来は「鎮静」が正しい表現 ミダゾラム、ジアゼパムの適応: 「局所麻酔時の鎮静」 →一歩踏 み込んで、静脈内鎮静法への 積極的な言及が欲しかった さらなる歯科麻酔科医からの参加・指摘があれば克服出来た 結 語 日本麻酔科学会「薬剤ガイドライン」 策定に参画する機会を得た 適応外使用のevidence確立に難渋 したが、歯科麻酔科医としての 参画 に多大な意義を感じた
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