麻酔と鎮痛

麻酔と鎮痛
全身麻酔法に対する最近の考え方の変化についての、
ヒト麻酔科医と獣医師との意見交換
手術中の鎮痛手段
1)局所麻酔系2
2)オピオイド系
日本麻酔科学会指導医
 曽我武久
2008.9

鎮痛方法の各論

術中から術後
複合的な鎮痛手段を連続的に用いる。
1)局所麻酔系
局所麻酔法
硬膜外麻酔 脊椎麻酔
伝達麻酔 エコー利用
浸潤麻酔 その他
局所麻酔薬
局所麻酔薬中毒
2)オピオイド系
以前から術中の吸入麻酔薬減量:重症患者
鎮痛手段の主役?
3)NSAIDs系(カルプロフェン、メロキシカムなど)
4)その他 アルファ2作動薬(メデトミジン)
ケタミン(NMDA受容体拮抗薬)
吸入麻酔薬
浸潤麻酔
特別な手技も装置も不用。
体表の疼痛閾値は、低いので、全身麻酔補助とし
ても、術後鎮痛でも意外なほど有効だが、評価さ
れていない。
術前か術後に 皮内、皮下ややや深部に局麻
前がよりよい
安全効率良い
 閉創前の長時間型局所麻酔薬追加も良い
はじめに 短時間型と長時間型を等量混合?
オピオイドより有効?
リングブロック 末端部の鎮痛に、皮下環状浸潤を
スプラッシュブロック:簡便、効果は今ひとつ。
猫の抜爪
リングブロック
肉球の少し近位で 皮下にリング状に
局麻
エピネフリン入りは禁忌

ブピバカインかロピバカイン

2mg/kg
6時間効果

毛は刈らずに消毒して投与

四肢末端の手術に

血管穿刺が心配?

vmthpub.vetmed.wisc.edu/hosp_services/anesthe..
vmthpub.vetmed.wisc.edu/hosp_services/anesthe.
リドカイン 2mg/kg .ブピバカイン1mg/kg
モルヒネ0.1mg/kg
閉創前に
皮膚表面の局麻
主に点滴時の鎮痛。 創部?
皮内、皮下 局麻薬注射 太い針
 ペンレス リドカインパッチ 50円/枚
ヒト
3*5cm
 EMLA 5%クリーム 30g 6500円

リドカインとプリロカインの合剤
日本にない。毛のあるときに?
1(2)時間前に塗布、ラップ閉鎖
局所静脈内麻酔??
四肢の手術
局麻薬の価格
リドカイン
スプレー 10% 0.1ml/回 12-14円/g,cc
1%局麻 10ml プラ 140円 (後 120円)
2%局麻 5ml プラ 88円
(後 64円)
2%静注 5ml アンプル 180円
ブピバカイン 0.25%
16.7円/ml
ロピバカイイン0.2%
1636 円/100ml
337円/10ml
0.75%
624円/10ml
ロピバカイインは 高価?
局麻薬
リドカイン
種によって少し差
開始 1-2分
持続 1(-2)h
ブピバカイン
開始 5-10分
持続 4-8h
ロピバカイン 効果は、上とほとんど同じ
毒性 弱い 3mg/kg
近位部ほど持続長い 神経叢など
(低容量静注(粘膜吸収)で、鎮痛、鎮咳効
果)
エピネフリン10-20万倍添加により
効果時間延長(リドカインで最大)
血管内吸収抑制
局麻薬
許容量
種によって少し差
リドカイン1-2h許容量4-5mg/kg
ネコはより少量?
ブピバカイン6-8h 1-2mg/kg
ロピバカイン 効果は、上とほとんど同じ
3mg/kg
 心停止濃度:全身痙攣濃度は、
リド;7:1,ブピ;3:1
 症状1.鎮静 2.刺激 不穏、嘔吐、痙攣
3.CNS抑制強度 4.心障害
 ブピバカインは局麻中毒時に CNSと心障害
がほぼ同時に出る。
局麻薬中毒
ブピバカイン:長時間作用性
循環虚脱からの蘇生困難
循環虚脱 ブピバ 22mg/kg.蘇生 50%
(犬)
ロピバ 42mg/kg蘇生 90%
レボブ 27mg/kg蘇生 70%?
リドカイン 127mg/kg蘇生 100%

治療法
気道確保、抗痙攣薬など対症療法
リポイドレスキュー
イントラリピッド 250ml/袋 1021円
オピオイド系
オピオイド
麻薬免許

モルヒネ、フェンタネスト、レミフェンタニル
 部分拮抗性オピオイド
天井作用
麻薬規制なし、
術中鎮痛には、補助的な役割?
体性痛抑制は 内蔵痛抑制より弱いが、
用量増加により 抑制可能
短時間型の投与は、分割して必要なだけ追加。
徐脈には、硫酸アトロピン。
呼吸抑制は、コントロールできるはず。

オピオイド系
0.1-0.6mg/kg 犬
0.1-0.2mg/kg
猫 6h
フェンタニル
1-2γ/kg iv
術後鎮痛
1-5γ/kg/時
レミフェンタニル 0.1-0.25γ/kg/m 犬?
 スタドール 0.005-0.01mg/kg 犬(教0.2mg/kg
0.005mg/kg
猫 (教0.1mg/kg
 レペタン
0.01mg/kg
犬
0.005mg/kg
猫
座薬もある
 (ナロキソン)
0.04-1mg/kg iv, im,sc
再発に注意

モルヒネ
オピオイド系
モルヒネ
 フェンタニル

10mg:321円
0.1mg;2ml:357円
120円/h/10kg?

レミフェンタニル
2mg;20ml:2534円
120円/h/10kg?
強力、呼吸抑制大 手術中のみ
ブトルファノール(スタドール)1mg:131円
 ブプレノルフィン(レペタン)
長時間作用 0.2mg:190円 座薬もある


ナロキソン
競合
再発に注意






短時間型20-60分
麻酔として 現在も重要
1-5γ/kgIV
フェンタニル
犬 2-6,猫 1-3 γ/kg
長時間使用により、総量が増えると、
徐々に蓄積して作用の増強、持続の延長
を生じる。
術後鎮痛に有利?
徐脈
硫酸アトロピン
嘔吐少ない
消化器抑制も少ない
合併症
? 振戦
レミフェンタニル



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


超短時間型
効力 1/2?
シリンジポンプ
長時間多量でも蓄積なし
必要なだけ投与できる
急速投与時の 徐脈と低血圧に準備
術後鎮痛法に注意
一時的に疼痛増強
急性耐性のため オピオイドの必要量増加
呼吸抑制のために、術後には勧められない
笑気不用になった?
エステラーゼ分解
猫?
術中 0.3-1γ/kg/m
徐脈、低血圧
最大の欠点:1バイアル 粉 2000γ(20A分)
グリシン含有のため 硬膜外、くも膜下に投与不可
フェンタとレミの違い1
フェンタニルパッチ
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ヒトでは、癌性疼痛に適用制限があるが
3日に一回の投与で使いやすい
パッチの種類により 時間当たりの吸収速度が
違う
2.5mgパッチ量/10kg
2.5mgパッチ量
速度25γ/時間
貼附後に12-24時間ほどで 治療血中濃度に
効果時間:犬 72時間。ネコ 104時間
除去後も12時間ほど効果持続
吸収速度: 皮膚温、皮膚血流、接触状況で
過量投与を見逃さない
2.5mg/3500円
デュロテップMTパッチ

フェンタニルを粘着層に溶解させた薄い半透明フィ
ルム状の経皮吸収型製剤
(新製品)

誤って製剤を切断した際も薬液が流出する懸念が
ない 。
薄くてしなやかな製剤形状によって貼り心地の向上
最小規格12.5μg/hr製剤 より
価格は同じ
囓られて中毒になったときの対処法と指示
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vmthpub.vetmed.wisc.edu/hosp_services/anesthe..
フェンタニル パッチ ヤンセン
デュロテップパッチ2.5mg/10kg
 デュロテップパッチ5mg
 デュロテップパッチ7.5mg
 デュロテップパッチ10mg
 デュロテップMTパッチ2.1mg
 デュロテップMTパッチ4.2mg
 デュロテップMTパッチ8.4mg
 デュロテップMTパッチ12.6mg
 デュロテップMTパッチ16.8mg

枚3467.8円
枚6538.9
枚9356.6
枚12047.7
枚1926.2
枚3467.8
枚6538.9
枚9356.6
枚12047.7
部分拮抗性オピオイド
天井効果のため、重度の疼痛には不向き。
麻酔中は、補助的投与


ブトルファノール(スタドール)
効果:2-3時間?
鎮静作用も。MAC減少作用少ない
術後? 0.1-0.4mg/kg/h 犬猫
0.01-0.05mg/kg im,sc,iv /2-4h
ヒトでの使用頻度は少ない
ブプレノルフィン 長時間作用型
相対的安価
効果: 10時間以上 拮抗 難
0.005mg/kg im,sc,iv /6-12h
バランス麻酔の鎮痛薬として?
フェンタニルの効果減弱(部分作動)
舌下、粘膜からの吸収良(利用率50%)
オピオイドの副作用(1)

興奮または不快感
ヒト?
犬より猫に多い
報告:フェンタニル 脳波上ケイレン活動
レミフェンタ ケイレン様症状
治療:ミダゾラムなど
鎮静薬の併用しておく?
振戦?
猫;ブプレやブトルのほうが良い?
 筋硬直
筋緊張亢進 急速投与時
レミフェンタでは、普通速度でも
声門閉鎖
胸郭緊張
肺換気低下
四肢硬直、
異常な筋肉の動き、ケイレン様
予防と治療 筋弛緩薬、ミダゾラムなど少量
大事なのは、起きうることを知っていること。
マスク換気に固執しないで、薬物を
オピオイドの副作用(2)

呼吸抑制
常に意識
全身状態不良、
危険性のあるとき:高齢、CNS併用薬)
特に、効果をみながら追加投与。
ドロペリドール、クロニジンは増強しない。
ヒト 大量投与時に
オンディーヌの呪い
指示に応じるが、自発呼吸停止も。
ピークは、モルヒネ 30分前後
フェンタニル 5-10分
呼
吸数低下を監視する ヒトより少ない
フェンタニル急速静注後に 咳の誘発
気道の反射を抑制するので、咳やバッキングせずに
チューブに耐えられる。十分覚醒してから、抜菅可能になった。
誤嚥の危険性。胃管を挿入。
オピオイドの副作用(3)
循環
心筋収縮の抑制少ないのが利点
部分作動薬は除く。心不全には笑気併用不可。
ヒスタミン遊離、交感神経系緊張低下
徐脈 低血圧
ゆっくり投与、皮下筋注
 悪心嘔吐
麻酔科医の関心事
オピオイド、笑気が 増強
プロポフォール 抑制
制吐薬
ヒト ドロペリドール少量、プリンペラン
 急性耐性
ケタミンの併用
 体温調節閾値低下
吸入麻酔と同じ
シバリング抑制 オピスタン、トラマドール
