企業家論 ⑩ 増田宗昭 CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ) 「CCCを世界一の企画会社に」 生活に革命を起こすプラットホーム(自分らしさ)を提供 ミッションは「私をおもしろくする会社」 ドメインは「生活事業提案」 樋口徹 1 CCCについて 目標:「CCCを世界一の企画会社に」 ※生活に革命を起こすプラットホーム(自分らしさ)を提供 ミッション(行動規範):「私をおもしろくする会社」 ※私とはCCCの企画人財 ドメイン:「生活事業提案」 事業本部体制 エンタテインメント事業本部(ツタヤ中心) DBマーケティング事業本部(Tポイント) Tメディア事業本部 (ネット活用サービス) 連結売上高:1750億円(2013年3月期) 2 CCCの事業ドメイン(イメージ) 「自分らしさ」=「My Style」を持った人へ、 常に新しいライフスタイルの提案 ENTERTANMENT インフラ NEW BUSINESS インフラ CCC MARKETING インフラ HUMAN& MOTIVATION インフラ ※CCCのインフラを生かすことが できる企画人財の育成 3 CCCの行動規範 顧客を一番知っている人間になる。 顧客の言うことを聞くな、顧客のためになることをなせ。 顧客に「ありがとう」と言われる仕事をする。 自分の志で人生をつくり、世界一流になれる仕事の領域を持つ。 約束は誇りにかけても守る。やり切る。できない約束は悪をつくる。 その場で決断する。問題をのばすことが問題になる。 現場・現物・現実の情報を組み合わせる。 会社にいるな。世の中にいろ。 8.好感度人間たれ。好かれなければ情報は集まらない。 9.企画、企画、企画。勇気、勇気、勇気。 失敗を恐れない。その先に成長がある。 10.出を制して、入るを図る。 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 以上を、今日、行動せよ。 2003年10月28日 4 増田宗昭の年表 1951年 大阪生まれ 交通事故(半身不随状態)⇒レスリング部で鍛える(夢は叶う) 1969年 同志社大学経済学部入学(バンド活動⇒メンバー1人引き抜き⇒ギター を捨て、ファッションへ⇒洋裁学校にダブルスクール) ※モノ作りの時代からファッションの時代が来ると確信 1973年 洋服屋の鈴屋入社(軽井沢ベルコモンズ担当に) 1975年 軽井沢ベルコモンズ(長屋タイプのショッピングモール)オープン;店舗 開発や経営計画担当:開店準備から原価管理まで一から学ぶ) ※「と にかくやってみる」が人を育てるコツだと認識(しない理由は不要) 1982年 姉とLOFT(喫茶店兼レンタルレコード屋)を開業し、大成功。 ※「ライバルが出現する前に次を抑えておかなければならない。」 1983年 鳶屋書店(本、ビデオ、レコード屋)を創業 ※成熟した社会が求めているのはものでなく、ライフスタイル ※売れたらどうするかでなく、全然売れなかったらどうするか(リスク) 1985年 「カルチュア・コンビニエンス・クラブ」設立(TSUTAYAのFC展開) 1995年 ディレク・ティービー・ジャパン設立(衛星デジタル放送)⇒失敗し、1999 年に同社の社長解任 ※コンテンツをデジタル化して、ネットで課金の時代が日本にも来る 5 カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社グループ CCCグループ CCC TSUTAYA(FC事業) TSUTAYA.COM (ネット事業) Tポイント・ジャパン (Tポイントカード事業) 2011年10月にネット・エンタテインメント事業について100%子会社の株式 会社TSUTAYA.comに別会社化 2012年10月にTポイントプログラム運営事業を展開する新会社として株式 会社Tポイント・ジャパンを設立 6 CCC事業の沿革 1982年 増田宗昭が、大阪府枚方市に喫茶店兼貸レコード店 「LOFT」を開店 1983年 大阪府枚方市にTSUTAYA 1号店「蔦屋書店 枚方駅前店」 開店(蔦屋重三郎という浮世絵の版元で、写楽や歌麿を 送り出した人の名前から命名。) 1985年 カルチュア・コンビニエンス・クラブ設立(TSUTAYAのFC展開) 1993年 CD販売事業のFC展開 1994年 書籍販売事業(TSUTAYA BOOK NETWORK)のFC開始 1999年 ツタヤオンライン㈱設立 2003年 アライアンス先とTポイントに関する業務提携を締結 2006年 CCCからフランチャイズ事業部門を株式会社TSUTAYAに分 割し、TカードをTSUTAYA以外でも発行開始 2007年 Tカードが2000万人を突破(2月)(20代の40%利用)ファミ リーマートでもTカードの発行、Tポイント付与・還元開始 7 CCCがCDや書籍販売でFC方式を導入した理由 • 2号店を開業した時に、商売のノウハウへの質問殺到。 • しかし、直営店だけで大規模展開する資本力が不足していた(リ スクが大きすぎるので、躊躇)。 • そこで、「企画」を売ること(フランチャイズ)によって、展開を開始。 • 小規模の出資者が多数参加することによって、仕入れや宣伝など で規模の経済を享受できるようになる。 • 企画力があれば加盟店は脱退しない(増やすことより、減らさない ようにする)。 • 数が多くなると各加盟店のサービスの質を維持することが大変に なるし、現場で起こっている危機的状況への対処が遅れる(ゲオ の進出への対応が鈍く、まとまりがなかった)。 ※フランチャイズの意味 1. プロスポーツチームの本拠地。また、そこで試合する興行権を持っているこ と。 2. (チェーン店などに)一手販売権を与えること。また、その権利。 (最初のフランチャイズ展開はケンタッキーフライドチキン) 8 ゲオとのレンタルDVD「100円戦争」からの脱却 ゲオが全国一律で旧作を安価で貸し出すキャンペーンを実施し た。(ゲオの店舗数は2001年3月で285店であったが、翌年には 416店に) ↓ ↓ 地域で競争状況が異なるので、TSUTAYAは一律の対応策を採ら なかった。 ↓ ↓ ゲオが売上高でTSUTAYAを2009年9月に逆転した。 ↓ ↓ TSUTAYAも旧作100円/週を開始し、広告した(消耗戦の始まり)。 ↓ ↓ 一層の値下げ??? 9 TSUTAYAの消耗戦への対応策 • TSUTAYAが「発掘良品」を面白くなかったら返金という条件で 300~400円/週で貸し出しを開始した(差別化:新作依存型 の収益構造からの脱却)。 • データベース(貸出データや店長へのアンケートなど)を活用 し、過去に作品化された4万タイトルの映画の中から良品を探 しだし、定価で貸し出す。 • 他者が扱っていない良品を発掘することや認知度が低かった 良品の回転率を向上させることにも成功した。 ⇒値下げ競争に対して、良品の提供(値上げ)という形で対抗。 10 Tポイントカードの活用(2010年7月時点で3556万人が所有) 2003年にTSUTAYA会員向けTポイントサービス開始 (会員の囲い込みと実質的な割引) ↓ ↓ 2005年からTSUTAYA以外の提携先でも利用開始 (参加企業は、ファミリーマート、牛角、エネオス等80社) ↓ ↓ 会員データベース活用(参加企業間の相互送客;従来の得意客 以外を取り込む) ※相互送客 グループ企業内で顧客をシェアする。ツタヤでDVDはレンタルするが、 ファミマにはあまりいかいない人に割引券で誘導。加盟店が増えた方 が有利になる。 11 Tポイント 年 利用件 数(万 件) 2008 83,682 2009 115,303 3395 66 30,391 2010 149,307 3650 69 35,257 共通ポイントサービスが 一般的に浸透し、Tクーポ ンメール・POSクーポンな どにより個別店舗での利 用頻度が伸びた。 2011 157,274 3858(名 80 寄せ後) 42,157 地域に密着した中小店舗 やドラッグストアでTポイン トサービスの導入を順次 開始した。 加入者 数(万 人) Tポイント提 店舗数 (年末) 携先(年 末・社) 2013年4月末時点の利用可能店舗数は57977店 備考 12 Tポイントカード加入者数の推移 13 CCCの組織改革 • 3000人の会社を10人の組織のように動かせる会社を目指し た。 • 効率的に顧客満足を高めるために、従来の支社・部・課など は廃止・統合して「ビジネスユニット」に改編し、各ビジネスユ ニット(現場のリーダー)に権限移譲した。 • それによって、店舗のレイアウトを変更するには本部への報 告などで1ヶ月は必要であったものが、即座にできるように なった。 (「カルチュア・コンビニエンス・クラブ組織壊し第2の創業」『日 経ビジネス』2009年5月4日号)。 14 クイズ 1. TポイントのTはTSUTAYAのTである。 YES or NO 2. 増田宗昭はリスクを回避する行動を最優先するタイプの 人間である。 YES or NO 3. 増田宗昭は同志社大学を卒業した。 YES or NO 4. 増田宗昭は「私をおもしろくする会社」をCCCのミッション (あるいは行動規範)として掲げているが、ここで言う“私” とは顧客のことである。 YES or NO 5. 増田宗昭は手掛けてきた事業に関して全て大成功を収 めている。 YES or NO 6. 増田宗昭はTSUTAYAをチェーン化する際に直営店しか設 立を認めなかった。 YES or NO 7. 2000年頃にゲオが攻勢を仕掛けてきたときに、迅速に組 織的に対応した。 YES or NO 8. Tポイントカードは提携先との相互送客・連携を積極的に 進めている。 YES or NO 15 増田宗昭の偉業 • 「TSUTAYA」(「映画、音楽、本を、一つのお店で買える、借りられ る」という生活を提案 ⇒「映画館での鑑賞から自宅(ビデオやDVD)での鑑賞」 ⇒日本の音楽市場(CDやダウンロード)は金額ベースでアメリカ と2強(2010年) ※一位はアメリカで43億ポンド、日本は35億ポンド(2010年) • 「Tポイント」の展開 ⇒顧客囲い込み ⇒相互送客・連携(連合形成) ⇒ビッグデータ(マーケティング) 16
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