コーパスによる比較文体学 Corpus-based Comparative Stylistics コーパス言語学2013 1 1.文体比較の方法 1.準備 a. 文体比較の尺度 b. 対象テキストの選定 2.データ処理 a. 前処理(品詞タグづけ) b. データ収集(AWKプログラム実行) c. データ解析(Rによる統計処理) 3.結果と考察 2 2.準備 • 文体比較のための尺度 (対象テキストに対する調査項目) ①文長(平均、分布) ②語長(平均、分布)Mendenhall, Branigan ③語彙の豊富さ Yule’s K(1944) Gillard’s C Herdan’s D ④ type-token ratio(平均異なり語率) 3 2.準備 • 文体比較のための尺度(調査項目) ⑤名詞率 ⑥動詞率 ⑦形容詞(+副詞)率 ⑧接続詞率(順接・逆接) ⑨数詞率 ⑩記号率 ⑤~⑩の調査には、品詞タグづけ処理が必要 4 2.準備 • 対象テキスト(作品)の選定 Project Gutenberg (http://www.gutenberg.org/) に公開されている、著作権の消滅した現代英 語で書かれた文学作品(fiction)。 (上記サイトからダウンロードしたファイルから、 テキスト本体以外の部分を手作業で除去) 5 2.準備 調査対象の作家と作品数 (\work\texts\*.txt) Carrol, Lewis 5 James, Henry 10 Christie, Agatha 2 Joyce, James 4 Conrad, Joseph 12 Melville, Herman 10 Dickens, Charles 10 Twain, Mark 12 Doyle, Conan 12 Wodehouse, P.J. 13 Hardy, Thomas 12 合計 102 6 3.1.前処理 品詞タグづけ処理 ・Helmut Schmid氏が開発したTreeTaggerのPCLinux版をダウンロードして使用 (http://www.cis.unimuenchen.de/~schmid/ tools/TreeTagger/) ・PennTreebank Project方式のタグづけ http://www.comp.leeds.ac.uk/ccalas/tagsets/upenn .html http://www.americannationalcorpus.org/OANC/pen n.html 7 3.1. 前処理 TreeTaggerの使用法 (コマンドライン上から) E: (USBのドライブ名) cd TreeTagger (タガーのフォルダに移動) bin\tag-english.bat <入力ファイル名> 出力例 word pos lemma The DT the TreeTagger NP TreeTagger is VBZ be easy JJ easy to TO to use VB use . SENT . 8 3.1. 前処理 ・事前に入力形式の修正が必要(pretag.awkを準備) ・行末のハイフン処理 ・ハイフン2個(ダッシュ)の前後分割 ・AWKプログラムの使い方 awk -f <awkスクリプト名> <input_file> ・処理結果が画面(標準出力)に表示される ・ファイルに出力するには、リダイレクション+出力ファイル名 ・ある処理の出力結果をその次の入力とするには、パイプ ・2つ以上のコマンドをまとめて、一括で処理するには、バッチ ファイル作成 (バッチファイルから別のバッチ処理を呼び出すことも可能) ⇒textsフォルダの全テキストに品詞タグづけをして、結果ファイ ルをtagフォルダに収納しておく 9 3.2 データ収集 • AWKスクリプトを作成、実行する ①文長(sen_length.awk) SENTからSENTまでの間の語数をカウントし、平均と分布と出力する ②語長(word_length.awk) 語の文字数を取得し、平均と分布を出力する ③Yule’s K特性値(yule_K.awk) 公式に基づいてK特性値を計算する ④異なり語率(type_token.awk) テキスト先頭部分(一定語数)に関し、延べ語数と異なり語数をカウントし、 異なり語の割合を計算する 10 3.2 データ収集 • AWKスクリプトを作成、実行する ⑤~⑩特定品詞率 タグづけ出力ファイルに対し、名詞、動詞等、特定品詞の語数をカウントし、 割合を算出する。 ※使用語彙(好んで使用される動詞意味クラスの割合) cf. Levin(1993) English Verb Classes ※使用語彙の難易度を判定 cf. ALC12000語リスト、北大語彙表などのリスト ※文体特徴(好んで使用される構文) cf. 受動構文、疑問文・感嘆文、強調構文、関係節、… 11 3.2. データ収集 • 行にテキスト名、列に調査項目を取り、対応するセル に数値を入力する。 • 統計解析環境Rを準備し、表形式のデータファイルを 読み込む。 Rの使い方:基礎文献 「統計解析ソフトRの備忘録:R tips」(PDF) (http://www.is.titech.ac.jp/~shimo/class/doc/r-tips.pdf) 「Rによるデータ解析」(熊澤吉起) (http://www.biwako.shiga-u.ac.jp/sensei/kumazawa/R/c2.pdf) 12 3.3. データ解析 • 全体の平均、標準偏差を算出し、各テキスト の偏差値(Z得点)を算出する。 • 調査項目ペアの散布図行列により、作家ごと の特徴が観察されるか。 • 各テキストと他のテキストの「一致度」(一致 係数、相関係数など)を計算する。 13 参考になる文献 • 金 明哲(2003-2009) 「フリーソフトによる データ解析・マイニング」、Estrela誌連載記事 • (『Rによるデータサイエンス』『テキストデータ の統計科学入門』として後に出版される) • 村上征勝(2004)『シェイクスピアは誰です か』(文芸春秋新書) • 「文体診断ロゴーン」(http://logoon.org/) • 前川 守(1995)『1000万人のコンピュータ科 学(3)文章を科学する』、岩波書店。 14
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