日本の高校に於ける英語の授業は 英語で行うのがベストか フランス語圏言語文化領域 2年生 溝口 大将 (Hiroyuki MIZOGUCHI) 「英語を英語で」に対する期待 • 英語を英語で理解することを促す ‣ 音と意味を日本語を介さずにダイレクトに結ぶ • 英語を日本語で : Sound → 意味 → Meaning • 英語を英語で : Sound → Meaning 「英語を英語で」に対する懸念 • 生徒は教師の英語を理解できるのか? • 生徒の英語力は教師の使用言語を英語に変更しただけで 伸びるのか? 「英語を英語で」に対する懸念 • 生徒は教師の英語を理解できるのか? ‣ 脳の観点から考える • 生徒の英語力は教師の使用言語を英語に変更しただけで 伸びるのか? ワーキングメモリー • 言語を処理する時に機能する情報処理システム • 前頭前野に存在すると考えられる • 前頭前野:計画的な行動の調整を行う • 必要な情報を前もって準備している • 数秒内に脳内で処理される言語情報を扱える • but 容量が限られている ワーキングメモリーモデル (Baddeley) Central exective 中央実行系 Visuospatial sketch pad Episodic buffer Phonological loop 視空間的スケッチパッド エピソード・バッファ 音韻ループ Visual semantics Episodic LTM Language 視覚的意味 エピソード長期記憶 言語 ワーキングメモリー • 慣れているL1(日本語) ‣ 速やかに処理される ‣ 理解できる • 慣れていないL2(英語) ‣ 処理が間に合わない ‣ 情報のオーヴァーフロー ワーキングメモリー • 生徒は言語処理に必要な十分な情報を持っていない ‣ 教師による tuning up • 言語処理の時間を与える工夫が必要 ‣ ゆっくり話す、ポーズを長く置く、 頻繁に使用する語彙・言い換えを繰り返す ジェスチャーや顔の表情を豊かにする、etc. 「英語を英語で」に対する懸念 • 生徒は教師の英語を理解できるのか? ‣ 脳の観点から考える • 生徒の英語力は教師の使用言語を英語に変更しただけで 伸びるのか? 「英語を英語で」に対する懸念 • 生徒は教師の英語を理解できるのか? ‣ 脳の観点から考える • 生徒の英語力は教師の使用言語を英語に変更しただけで 伸びるのか? ‣ 授業形式の観点から考える Input仮説 と Output仮説 • input仮説 (Krashen) • 理解可能なinputを豊富に与えると自然にoutputが可能に ‣ inputだけで言語は習得される? • output仮説 (Swain) • inputが豊富でもoutputが無ければ言語形式は獲得できない • 思考の過程で目標言語を通して考えることで習得に近付く ‣ 「英語を英語で」は英語力を高めるための必要条件 ‣ 先生だけでなく生徒も「英語で」 PPP と TBL • Present Practice Produce (PPP) • 教師が生徒に教え込む • 言語形式(正確さ)に焦点が当てられている • 分析的処理 • Task-based learning (TBL) • 生徒自らが英語を使う • 意味内容(豊かさ・流暢さ)に焦点が当てられている • 全体的処理 「英語を英語で」は可能か • 不可能ではないが、全てを英語で行うには限界がある • 言語形式(分析的)を扱う場合は日本語で行う • 意味内容(全体的)を扱う場合は英語で行う • その際、教師は生徒に解りやすい英語を話す • 無意識に言葉を使うことを目標にするのであれば、 言葉による説明(input)よりも 練習させる機会(output)を設けるべき Fin Merci de votre attention
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