スライド 1

中原区医師会糖尿病 病診連携の会
一般診療所における
インスリン外来導入について
~持効型インスリン1日1回注射による2型糖尿病治療法 BOT~
聖マリアンナ医科大学 内科学
代謝・内分泌内科
川田 剛裕
2009.6.23
2型糖尿病治療の実際
50%が経口糖尿病薬のみによる治療
HbA1c 6.5%未満 達成率
約30%
インスリン療法導入時の平均HbA1c 8.5%
コントロール目標達成困難であればできる限り
速やかにインスリン療法を導入することが重要
早期インスリン導入のメリット
インスリン治療を開始した患者の平均HbA1c値は9%を超えていた
開始時のHbA1cが高いと、なかなか6.5%未満に到達できない
HbA1c値 (%)
12
P<0.01*1
P<0.001*1
11
10
9.4
9
8
早く導入したほうが
血糖コントロールが
容易
8.9
8.9
8.5
P<0.05*1
7.9
7
インスリン治療を
開始しなかった患者
N.S.*1
6
観察期間開始時
(インスリン治療を
勧めた時点)
N=63
N=57
*1: non-paired t-test
インスリン治療を
開始した患者
インスリン治療
開始1ヵ月後
N=62
観察期間終了後
N=61
N=57
DAWN JAPAN調査2005
SU薬の二次無効
• SU薬により、しばらくは良好な血糖コントロールが得ら
れた後、その効力が低下し、高血糖となる現象
SU薬極量の75%
グリベンクラミド 7.5mg/dl
グリクラジド
90mg/dl
アマリール
4.5mg/dl
以上を投与しても空腹時血糖値150mg/dl以上
and/or HbA1c 7.5%以上のコントロール不良例
日本糖尿病学会編 糖尿病治療ガイド 2006-2007
糖尿病専門医研修ガイドブック
インスリン導入フローチャート
食後血糖が高い場合
食事療法 + 運動療法
α-GI、 グリニド系
BG薬、 チアゾリジン系
SU薬
SU薬+α-GI
肥満・インスリン抵抗性
がある場合
SU薬+BG薬 or チアゾリジン系
グリニド系+BG薬
SU薬+α-GI+BG薬
SU薬+BG薬+チアゾリジン系
SU薬+α-GI+BG薬+チアゾリジン系
良好な血糖コントロールが得られない場合 HbA1c7.5%以上
インスリン導入
2型糖尿病の治療戦略
インスリン療法
食
事
・
運
動
療
法
経口血糖降下薬
+
基礎インスリン
経口血糖
降下薬
(1剤)
経口血糖
降下薬
(2-3剤)
インスリン
導入
混合型
インスリン
基礎インスリン
+追加インスリン
(強化インスリン療法)
治療法と基礎インスリン製剤の内訳
(現治療)
インスリン処方患者数(2型)
(n=1305)
Basal-Bolus
21%
(n=277)
BOT
&Basal only
22%(n=292)
Bolus only
8%
Other
6%
(n=554)
(n=104)
(n=78)
NPH
16.4%
NPH
22.7%
ランタス
レベミル
27.1%
Pre-Mix
42%
50.2%
レベミル
18.5%
ランタス
65.1%
2型糖尿病患者に対するインスリン処方状況調査
EPOCA Marketing、2009年1月
従来療法における作用プロファイル
混合型 2回法
混合型インスリン (
低血糖発現により、積極的な
インスリンの増量が困難
低血糖
朝食前
昼食前
薬剤投与)
健常人の24時間インスリン分泌パターン
作用不足
作用不足
低血糖
夕食前
就寝前
Leahy JL. Insulin Therapy : 2002; 97,より一部改変
LAPTOP Study
グラルギン+OHA と 混合型インスリン1日2回投与の比較
試験デザイン
前治療
0週
試験期
24週
n:割付け症例数
<グラルギン+OHA群>
n=177
2型糖尿病患者
経口血糖降下薬
n=364
無
作
為
化
グラルギン1日1回 (朝)
+
*
グリメピリド +メトホルミン
*3または4mg/日
<混合型インスリン群>
■ 経口血糖降下薬(OHA)
SU薬はグリメピリドに切り替え、
メトホルミンとともに試験期間中、
用法・用量を変更せずに継続
n=187
混合型インスリン1日2回
(速効型30%/NPH70%)
Janka HU, et al. Diabetes Care 2005; 28: 254-259
LAPTOP Study
グラルギン+OHAと混合型インスリン1日2回投与の比較
インスリン投与量の調節方法
インスリンは治療目標を目指し、最初の8週間は週に一度、
その後は2週ごとに用量を調節
SMBG値
>100~120mg/dL
>120~140mg/dL
>140~160mg/dL
> 160mg/dL
インスリン追加量
(単位/日)
2
4
6
8
治療目標値:
グラルギン+OHA: FBG 100mg/dL以下
混合型インスリン: FBGおよび夕食前血糖値 100mg/dL以下
Janka HU, et al. Diabetes Care 2005; 28: 254-259
LAPTOP Study
HbA1Cの変化度とHbA1C7%以下の達成率
 HbA1Cの変化度
開始時
HbA1C
(%) 0
HbA1C
変化度
混合型
インスリン群
グラルギン
+OHA群
8.8%
8.9%
 HbA1C 7%以下の達成率
(%)
60
p=0.0596
(ANCOVA)
49.4
50
40
- 0.5
達
成
率
-1
39.0
30
20
- 1.5
-1.31
-1.64
-2
p=0.0003
(ANCOVA)
10
0
グラルギン
混合型
インスリン群 +OHA群
Janka HU, et al. Diabetes Care 2005; 28: 254-259
LAPTOP Study
1日血糖プロファイルの変化
(mg/dL)
260
開始時 終了時
試験開始時
240
混合型インスリン群
グラルギン+OHA群
* p<0.05
投与前後の差:
グラルギン+OHA群vs 混合型インスリン群
(ANCOVA)
220
200
血
糖 180
値 160
*
140
*
120
100
80
*
*
*
試験終了時
朝食前
朝食後
昼食前
昼食後
夕食前
夕食後
就寝前
午前3時
Janka HU, et al. Diabetes Care 2005; 28: 254-259
LAPTOP Study
低血糖発現頻度
(回/患者・年)
12
10
発
現
頻
度
* p<0.0001
混合型インスリン群
グラルギン+OHA群
9.87
* Cochran-Mantel-Haenszel検定
* p=0.0009
8
5.73
6
4.07
4
2.62
2
* p=0.0449
1.04
0.51
0.05
0
0
全低血糖
症候性低血糖
夜間低血糖
重症低血糖※
※重症低血糖:回復に第三者の介助を必要とし、血糖値<36mg/dLの場合、炭水化物の経口摂取や
グルコース・グルカゴンの経静脈投与により回復した場合
Janka HU, et al. Diabetes Care 2005; 28: 254-259
LAPTOP Study
インスリン投与量および体重変化度
混合型インスリン群
グラルギン+
OHA群
開始
インスリン
投与量
(単位)
朝
10.3
開始
夕
10.3
時
終了
時
朝
33.5
終了
夕
時
9.9
31.0
28.2
Mean
時
Janka HU, et al. Diabetes Care 2005; 28: 254-259
LAPTOP Study
治療満足度の変化
 DTSQスコアの変化
 試験終了時のDTSQスコア
p=0.002
4.5
3.95
4.0
16
14.0
14
3.5
12
変 3.0
化 2.5
度 2.0
DTSQ 10
スコア 8
2.32
p=0.001
11.5
6
1.5
1.0
4
0.5
2
0.0
0
混合型
グラルギン
インスリン群 +OHA群
混合型
グラルギン
インスリン群 +OHA群
Bradley C, et al. Diabetes 2005, 54 (suppl 1). Abstract 1246-P
LAPTOP Study
高齢者2型糖尿病におけるサブ解析
 夜間低血糖なしで
 HbA1Cの変化度
(%)
0
混合型
インスリン群
グラルギン
+OHA群
HbA1C 7%以下の達成率
(%)
p=0.006
80
-0.5
60
達
成
率 40
HbA1C
変化度 -1
-1.4
55.2
-1.5
-1.9
-2
20
30.2
p=0.003
-2.5
0
混合型
インスリン群
グラルギン
+OHA群
Janka HU. et al. J. Am. Geriatr. Soc.2007;55:182-188
LAPTOP Study
高齢者2型糖尿病におけるサブ解析
(回/患者・年)
12
10
発
現
頻
度
混合型インスリン群
p<0.008
グラルギン+OHA群
9.09
* Cochran-Mantel-Haenszel検定
p<0.06
8
6
4
5.01
3.68
p<0.26
2.22
p<0.21
2
0.71
0
全低血糖
症候性低血糖
0.39
夜間低血糖
0.09
0.00
重症低血糖※
※ 重症低血糖:回復に第三者の介助を必要とし、血糖値<36mg/dLの場合、炭水化物の経口摂取や
グルコース・グルカゴンの経静脈投与により回復した場合
Janka HU,et al.J.Am.Geriatr.Soc.2007;55:182-188より作図
LAPTOP Study
• 経口血糖降下薬のみでは十分な血糖コントロールを得られな
い2型糖尿病患者において、グラルギンを1日1回追加する方
法は、混合型インスリン1日2回投与に切り替える方法と比べ
て、HbA1Cは有意に低下した。
• グラルギン群では、1日血糖プロファイルが全体的に低下した。
• グラルギン+経口血糖降下薬群では、低血糖発現頻度が半
減し、夜間低血糖を発現することなくHbA1C7%以下を達成し
た患者の比率が高かった。
• 65歳以上の患者のサブ解析では、夜間低血糖をきたすことな
くHbA1c7%以下を達成した患者の比率は混合型インスリン群
に比べてグラルギン+OHA群で有意に高かった。
Janka HU, et al. Diabetes Care 2005; 28: 254-259
Janka,HU.et al.:J.Am.Geriatr.Soc.2007;55:182-188
BOT; Basal Supported Oral
Therapy
BOT =
OHA + Basal Insulin
「 経口薬(SU薬など)を服用しながら
基礎インスリンを追加する 」
経口血糖降下剤と併用する場合
経口血糖降下剤(SU薬・BG薬・α-GI etc)はそのままで
+ プラス
持効型インスリン 投与
• 用法:投与時期
夕食前又は就寝前
(いずれでもよいが、毎日一定にする)
• 用量:投与開始用量
4~8単位/日 ( 0.1単位/kg)
BOTにおけるインスリン用量調節
基本は 1ヶ月ごと2単位
調 整 法
2U
(可能なら導入後1ヶ月は2週間毎)
目標
低い
減
(朝)空腹時血糖値
高い
2U
80~130 mg/dl
1ヵ月後 経口剤 減量
導入
経口剤
(7.5 ⇒ 5mg)
+
+
インスリン 4~8U
2ヵ月後 経口剤 減量
(5 ⇒ 2.5mg)
+
インスリン 増量
インスリン 増量
(2U)
(2U)
増
2型糖尿病の段階的治療
Basalsupported
Oral Therapy
(BOT)
Step4
Step3
Step2
Step1
基礎+追加インスリン
+基礎インスリン
経口血糖降下薬 (2-3剤)
経口血糖降下薬 (1剤)
ライフスタイルの改善
Riddle M. Endo Metab Clin NA 1997; 26: 659
Riddle M. Am J Med 2004; 116: 35
BOTのコントロール目標
毎食前血糖値110mg/dl未満を目標に持効型
インスリンの用量を調節
SU薬の効果が改善する可能性
食後血糖値180mg/dl未満を目標に経口薬を調節
TOB導入の一例
55歳 女性 身長 150cm, 体重 38kg, BMI 16.9
FPG 152, PPPG 212, HbA1c 7.5
2008年 8月 アマリール3mg + グラルギン2単位(夕)
2008年10月 FPG 77~82, HbA1c 6.5↓
経過中、FPG 60前後と低値が続いたため
2008年11月 グラルギン投与を夕⇒朝へ同量にて変更
2009年 1月 FPG 67, HbA1c 6.6
自己血糖測定導入のタイミング
SMBG
導入時期
インスリン導入の前後1ヶ月 !
1ヵ月前
インスリン導入
1ヵ月後
導入の目安
・インスリン注射への抵抗が強い患者には、血糖自己測定をインスリ
ン導入前に指導することで、日常の血糖値が高いことを自覚させる
・インスリン注射への抵抗が弱い患者には、インスリン注射になれた後、
SMBGを導入し血糖コントロール改善に役立てる
自己血糖測定指導のコツ
朝食前 朝食後 昼食前 昼食後 夕食前 夕食後
160
143
132
184
168
226
192
188
159
214
172
121
156
235
低血糖を起こさずに血糖の正常化を
目指すことは、グローバルコンセンサス
科学的根拠に基づく
糖尿病診療ガイドライン
3 血糖コントロールの目標
 細小血管症の発症・進展抑制の観点
からはHbA1C 6.5%未満を目指す。
 大血管症の発症・進展抑制の観点か
らはHbA1Cの正常化、かつ食後高血
糖の是正を目指す。
 具体的には低血糖が起こらないこと
を確認しながらHbA1C 5.8%未満を目
指す。
ADA Guideline
Standards of Medical Care in Diabetes 2008
2.Glycemic goals(excerption)
Recommendations
● Lowering A1C to an average of 7%
has clearly been shown to reduce
microvascular and neuropathic
complications of diabetes and,
possibly,macrovascular disease.
Therefore, the A1C goal for
nonpregnant adults in general is 7%.
● Epidemiologic studies have
suggested an incremental benefit to
lowering A1C from 7% into the
normal range. Therefore, the A1C
goal for selected individual patients
is as close to normal (6%) as
possible without significant
hypoglycemia.
科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン改訂第2版,p44,2007.
Diabetes Care, 31, S12, 2008.
治療法と基礎インスリン製剤の内訳
(新規導入時)※
インスリン処方患者数(2型)
(n=144)
Basal-Bolus
15.3%
(n=22)
BOT
&Basal only
51.4%(n=74)
NPH
19.0% ランタス
28.6%
レベミル
52.4%
※製剤内訳は3ヶ月内で処方変更された症例を除き算出
Pre-Mix
22.9%
Bolus only
9.7%
Other
0.7%
(n=33)
(n=14)
(n=1)
レベミル
17.1%
NPH
2.9%
ランタス
80.0%
2型糖尿病患者に対するインスリン処方状況調査
EPOCA Marketing、2009年1月
ADA TOPIX
2-3剤の経口糖尿病薬(SU,BG,TZD)投与にて
HbA1c>8.0%を呈した2型糖尿病患者 631例
(平均HbA1c>10%)
グラルギンを用いたBOTを導入し、14週間追跡
288例 HbA1c<7.0%
343例 HbA1c>7.0%
さらに、インスリングルリジンを追加
24週間追跡
HbA1c<7.0% 達成
BOT + 超速効型インスリン追加投与により、更なる状態改善がもたらされた。
低血糖に注意が必要。状態に応じて、注射回数を段階的に増やす方法を推奨。