2011/7/30 簡易懸濁法 ー安全・確実な薬の投与法ー 説明スライド作成 昭和大学薬学部薬剤学教室 元昭和大学藤が丘リハビリテーション病院 倉田 なおみ 投与時の問題点 医師 粉砕指示処方 液剤・散剤に振り替える 薬剤師 錠剤粉砕・脱カプセル可否の検討 錠剤粉砕・脱カプセルして粉末状に調剤し、分包 薬をカップ内の水に入れてかき混ぜる 看護師 懸濁した薬液をシリンジに吸い取る シリンジをチューブの先端 に取り付け薬液を注入 チューブ閉塞 粉砕した薬を 投与するときの問題点 1.チューブの閉塞 ・確率:6~38% 2.投与量のロス ポンタールCap ・薬品が疎水性で水に懸濁しない ・注入器に吸い取れない ・注入器内に薬が残り、投与できない 3.投与者の健康被害 ・接触・吸入 グラマリール細粒 粉砕調剤時の問題点 1.物理・化学的安定性に対する影響 ・光に対する安定性(酸化分解など) ・温度、湿度に対する安定性(吸湿による湿潤など) ・着色、配合変化 2.薬物動態、薬効・副作用に対する影響 ・腸溶性および徐放性の破壊 ・吸収・バイオアベイラビリティの変化 3.感覚器への影響 ・味、臭い(苦味、酸味、不快臭など) ・刺激感、しびれ感、収斂性 4.調剤上の影響 ・粉砕・分割分包によるロス(粉砕機や乳鉢への付着) ・混和、混合による配合変化(賦形剤、他剤との配合変化) 5.調剤者への影響 ・接触、吸入などによる健康被害 6.調剤業務の煩雑化、調剤時間の増大、過誤の危険性 つぶしてはいけない錠剤:徐放性製剤 ロンタブタイプ(アダラートCR) 徐放部分 速放部分 レペタブタイプ(デパケンR) 白糖 薬 腸で溶ける膜 つぶしは危険! ちょっと待って そのつぶし! 薬の加工は 危険です 薬剤師に ご相談ください 錠剤をつぶすことに問題あり 簡易懸濁法のすすめ 今の方法がベストではない! Simple Suspention Method 錠剤粉砕・脱カプセルはもうしない! より良くするために! 簡易懸濁法とは・・・ つぶしの処方であっても、水にいれて 崩壊・懸濁する錠剤・カプセルならば・・・ 錠剤をつぶしたりカプセルを開封しない 投与時に錠剤・カプセル剤をそのまま崩壊・懸濁させる (カプセルを溶解するため、水温を55℃とする。) 錠剤例 カプセル例 マグミット錠330mg 直後 ユベラニコチネート100mgCap 40秒後 2分後 簡易懸濁法を多くの医薬品に 応用するために 1.温湯に崩壊・懸濁するか 2.チューブを通過するか 科学的に検証する 1200余薬品を1薬品ずつ実験 内服薬 経管投与ハンドブック 商品名 プレタール散 20% 水 (55℃) 最小 通過 サイズ 5分 8Fr. ○ 10分 破壊→水 商品名 5分 10分 バイアスピリン錠 100mg 8Fr. ○ バファリン81錠 81mg 水 (55℃) 最小 通過 サイズ 5分 10分 8Fr. × × ○(直前) × × ○(直前) ○ プレタール錠剤 50mg,100mg ㈱じほう 8Fr. ○ 8Fr. ○ 破壊→水 5分 ○ シロスレット内服ゼリー 50mg,100mg プラビックス錠 25mg,75mg パナルジン錠 100mg パナルジン細粒 10%散 8Fr. 8Fr. 8Fr. 18Fr. × ○ × ○ × × ○ × × ○ × × × ワーファリン錠 1mg,5mg ○ 再分散性悪い 上段:経鼻胃チューブ 下段:ガストロボタン(18Fr.) エパデールSカプセル 300mg,600mg 8Fr. ○ ○ ○ アンプラーグ錠 50mg アンプラーグ錠 100mg 8Fr. 8Fr. × ○ × ○ × × ○ × × ○ 10分 錠剤に亀裂を入れる方法 簡易懸濁法は 医薬品の 崩壊性とチューブ通過性 を測定した初めての実験 チューブの太さとして8Fr.(2.7mm)、 12Fr.14Fr.16Fr.18Fr.(6mm)を使用 患者QOLの向上をめざして、 「8Fr.のチューブの通過性」 を基準に判断した 安全・確実な経管投薬法 簡易懸濁法の実際 10分以内 使った薬の 分包紙をかぶせて 撹拌する 簡易懸濁法のメリット 1.調剤時問題点の解決 2.投与時の問題、経管栄養チューブ閉塞の回避 3.配合変化の危険性の減少 粉砕法:粉砕して混合したあと投与日数期間、配合変化の危険性がある。 簡易懸濁法:投与前水に入れる10分間のみ。 4.投与可能薬品の増加 ・錠剤・カプセル剤ハンドブック掲載1003薬品中 粉砕法:694薬品(69%) 簡易懸濁法:850薬品(85%) ・粉砕法で投与できない細胞毒性を有する薬品が投与可能となった。 5、投与時に再確認ができる ⇒ リスクの回避 6、錠剤は安い、中止・変更の対応が容易 ⇒ 経済的効果 7、細いチューブを安心して使用できる ⇒ 患者QOLの向上 お湯の温度は約55℃ 1.55℃とした理由 ⇒ カプセルを溶かすため 55℃の温湯の作り方 ⇒ 「約」でOK ・ポットのお湯:水道水=2:1で約55℃となる。 ・多くの病院でNsステーションの水を一番熱くすると約55℃ ・60℃設定の電気ポットを使用する 崩壊時間は10分以内に!! ちょっとだけ作業手順を変更する 栄養剤を準備する前に まず薬を温湯に入れる 食後投与にこだわらない ・食直前投与とする(吸収に影響ないか確認する) ・栄養剤投与中でも崩壊した時に投与する (投与前後に必ずフラッシュする) ホームページの紹介 簡易懸濁法の手技(動画) オリジナルホームページへ 昭和大学薬学部 ↓ 研究室紹介 ↓ 薬剤学教室 ↓ オリジナルHP http://www10.showau.ac.jp/~biopharm/kurata/index.ht ml 大鵬薬品ホームページ ↓ 医療用医薬品情報 ↓ 倉田なおみ先生の 簡易懸濁法 http://www.taiho.co.jp/faq/ 簡易懸濁法研究会 2007年1月26日発足 http://kendaku.umin.jp/ 会員の特典 ・実演を交えた研修会 ・実施施設の見学斡旋 ・疑問点・問題点の問い合わせ ・会員同士の意見交換
© Copyright 2024 ExpyDoc