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目標利益の求め方1
目標利益の算定は、企業の過去の実績、現状
判断、同業他社の収益状況、経営方針、希望配
当率その他の事情によって影響をうける。目標利
益の求め方には、いろいろな方法があるが、いく
つかの方法を併用し、諸条件を検討して目標利
益が決定される。
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目標利益の求め方2
目標利益の求め方
①必要資金計画を基準にする方法
②付加価値関連指標を利用する方法
③損益分岐点分析から求める方法
④過去の資本利益率・売上高利益率から求める
方法
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目標利益(例題1-1)
いま仮に、資本金100,000千円、来期の目標配当率20
%、目標利益留保率40%、予定役員賞与率10%、実効
税率(税引前利益に課される法人税・地方税等の割合)
50%とすれば、目標利益はつぎのように求められる。な
お、配当率とは資本金に対する配当金の割合であり、
利益留保率・役員賞与率はいずれも当期利益(税引後
利益)に対する利益留保・役員賞与のそれぞれの割合
である。
資本金 配当率
目標利益(税引後)= 1  利益留保率+役員賞与率
100,000 20%
 40,000千円
1  40%+10% 
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
目標利益(例題1-2)
目標利益(税引後)
目標利益(税引前)=
1  実効税率
40,000

 80,000千円
1  50%
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目標利益(例題2-1)
付加価値関連指標を利用して求める方法
人件費予定額
①目標付加価値=
目標労働分配率
人件費
労働分配率=
付加価値
②目標利益=目標付加価値×目標利潤分配率
利益
利潤分配率=
付加価値
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目標利益(例題2-2)
いま仮に、次期の人件費見積り2,050万円、目標労働分
配率53%、目標利潤分配率17%とすれば、目標利益は
つぎのように求められる。
2,050
目標付加価値 
 3,870万円
53%
目標利益=3,87017%  658万円
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利益計画の問題1-1
利益計画に関する次の記述中の(
き適当な数値を解答群の中から選べ。
)に入れるべ
A社の予算編成係は、第1表の来期利益計画案を作成
し、上司に提出した。上司は、この原案を検討した結果、
新規設備投資に伴う減価償却費(固定費)の増加600万
円をおりこみ、かつ、利益を2,000万円とするように再検討
を指示した。この指示にもとづいて、予算編成係が再検討
したところ、原案に比較し、売上高を( a )万円増加さ
せるか、又は、変動費率を( b )%引き下げることに
より、2,000万円の利益をだせることがわかった。しかし、
来期の変動費率は、10%しか引き下げられる見通しがな
いため、売上高を( c )万円とし、変動費率10%引き
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利益計画の問題1-2
下げて、変動費を( d )万円とすることにより、利益
を2,000万円とする利益計画案を、上司に再提出し、承
認を得た。なお、固定費は、原案の4,000万円に、減価償
却費の増加600万円を加えた4,600万円である。
(第1表) 売上高
10,000万円
変動費
5,000万円
売上総原価 固定費
4,000万円
計
9,000万円
利
益
1,000万円
(解答群) ア 16 イ 25
ウ 34
エ 1,200
オ 1,600 カ 3,200 キ 4,000 ク 4,400
ケ 10,000
コ 11,000
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解答解説1-1
a.限界利益=目標利益+固定費=2,000+4,600=6,600
限界利益=売上高×限界利益率 6,600=X×0.5
X=13,200万円
13,200-10,000=3,200万円 (カ)
b.再検討後の変動費=原案の売上高-再検討後の限界
利益
=10,000-6,600=3,400万円
再検討後の変動費率=再検討後の変動費÷原案の売上
高
=3,400÷10,000=34%
変動費率の引き下げ=原案の変動費率-再検討後の変
動費率
=50%-34%=16%
(ア)
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解答解説1-2
c.再検討後の限界利益率=1-(原案の変動費率-変
動費率の引下率)
=1-(50%-10%)=60%
売上高=再検討後の限界利益÷再検討後の限界利益
率
=6,600÷60%=11,000万円 (コ)
d.この値は、cによって算出された売上高から、再検討
後の限界利益を差し引けばよい。
11,000-6,600=4,400万円
(ク)
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利益計画の問題2-1
A社のB事業部においては、当該事業部製品を生産するた
めの専属工場を持っており、同一製品を連続生産している
。当期における固定費総額は、前期に比べて10,000千円
だけ増加しており、来年度の固定費総額は、当期に比べて
さらに10,000千円増加する見込みである。売上高と営業
利益は次のとおりである。各問には計算過程を示すこと。
売上高
営業利益
前期
70,000千円
△ 10,000千円
当期
110,000
△ 4,000
来期
150,000
?
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利益計画の問題2-2
問1 売上高に対する変動費率はいくらか(変動費率は、
前期・当期・来期とも変わらない)。
問2 当期の固定費総額はいくらか。
問3 来年度の損益分岐点の売上高はいくらか。
問4 来年度の売上目標を1億5千万円とするとき、来期
の営業利益はいくらか。
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解答解説1-1
問1 変動費率の計算
前期の費用総額=70,000+10,000=80,000
当期の費用総額=110,000+4,000=114,000
当期の費用構成を前期費用ベースのする
114,000-10,000=104,000
104,000 80,000
変動費率 
100  60%
110,000 70,000
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解答解説1-2
問2 当期の変動費額=当期売上高×変動費率
=110,000×0.6=66,000
当期の固定費額=費用総額-変動費額
=114,000-66,000=48,000
問3 来年度の損益分岐点の売上高
損益分岐点=固定費÷限界利益率
=58,000÷0.4=145,000
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解答解説1-3
問4 来期の営業利益の計算
営業利益=売上高-(変動費+固定費)
=150,000-(150,000×0.6+58,000)
=150,000-(90,000+58,000)
=2,000
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利益計画の問題3-1
甲社は、単一製品を製造・販売しているが、当期の売上損益の
記録は次のとおりである。
15,000千円
売上高
売上原価
直接材料費(変動費) 7,200
エネルギー費(変動費)1,800
製造固定費
3,000
12,000
3,000
売上総利益
よって、計算の過程を示し、つぎの問に答えよ(各問はそれぞ
れ独立した問題である)。
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利益計画の問題3-2
問1 来期においては、材料価格・エネルギー費の
高騰により、製品単価当たり変動費が10%増加する
ものとした場合、製品売価を据え置きのまま当期と
同様の売上総利益を維持するためには、当期の販売
数量を前期より何%増加しなければならないか。た
だし、製造固定費は来期において、200千円節約で
きるものと予想されている。 売上高をXとすると
(3,000-200) 0.2x
x
 20,000
( 7,200+1,800) 1.1
1-
15,000
20,000-15,000
≒0.33333 33.3%増加
15,000
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利益計画の問題3-3
問2 材料・その他変動費に値上がりがないとした
場合、製品売価を5%引き下げて、販売数量を10%
増加し、当期と同額の売上総利益を確保するために
は、来期において製造固定費はいくら節約しなけれ
ばならないか。
当期の固定費節約額をXとおくと求める式は
9,000
15,000(1-

0.05)(
 1+0.1)- 15,000(
 1  0.1)
15,000
-( 3,000-x)  3,000
X=225千円
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利益計画の問題3-4
問3 材料価格に変動はないが、歩留まりの向上
により、直接材料費が10%の低下が見込まれる場
合、来期の販売数量を当期より25%増加し、売上
総利益を当期に比し5%引き上げたい。その際、製
品売価の引き下げ率を何%くらい見込めるか。
製品売価をXとおくと求める式は
7,200
( 1-0.1)+ 1,800

15,000
(1- 0.05) x-( 15,000
( 1.25)

15,000


-3,000 3,000
( 1+0.05)
X=0.88
1-0.88=0.12
12%の売価引き下げ
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利益計画の問題3-5
問4 直接材料費・エネルギー費の高騰により、製品
単位当たり変動費が10%増加するならば、当期より
も売上総利益を10%増加させるためには、来期の販
売数量は何個にすればよいか。なお、製品売価は当期
に比し4%引き上げえるものとし、当期の販売数量は
10,000個とする。さらに、来期の固定費は、当期に
比し540千円だけ増加するものと予想されている。
問題条件によって売価、一個当たり変動費、売上総利
益、固定費を求めると、次のようになる。
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利益計画の問題3-6
15,000千円
売価 
( 1+0.04)  1.56千円

10,000個
9,000千円
変動費 
( 1+0.1)  0.99千円

10,000個
売上総利益 3,000千円
( 1+0.1) 3,300千円
固定費  3,000千円+540千円 3,540千円
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利益計画の問題3-7
3,300千円+3,540千円
必要販売数量
 12,000個
1.56千円-0.99千円
増加販売数量は 12,000個-10,000個=2,000個
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予算管理
予算管理の意義
予算管理は、経営管理者が企業目標達成の一環と
して、予算期間における企業の利益目標を指示し、全
社的立場から各業務分野の具体的な計画を金額で表
示し、各部門の諸活動を調整し、予算と実績の差異を
分析し、各管理者の業績を明らかにして、経営管理の
合理化に資するための総合的管理方法である。
予算とは、将来の一定期間における企業の各業務
分野の具体的な計画、すなわち利益計画を貨幣数値
で表わしたものである。
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予算管理の内容
予算管理の内容は、
①各部門活動に対する部門予算並びに企業全体の総
合予算を編成する。
②予算達成のための実施活動と必要な監督をする。
③実施結果と予算とを比較して、予算・実績の差異分析
を行い、その差異発生の原因分析と改善措置を講じる
こと。
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総合予算編成の順序1
利益計画から予算編成終了までの過程は、基本的
には次の段階を取る。
第1段階 トップ・マネジメントが大綱的利益計画を
立て、利益計画の骨子である目標売上高および関
連方針などの予算編成方針を各部門に提示する。
第2段階 予算編成方針に基づいて、各部門は部
門予算案を作成して予算課に提出する。
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総合予算編成の順序2
第3段階 企業の全体からすべての部門予算案を相
互調整し総合予算を編成する。そして、総合予算とし
ての見積損益計算書の利益が、予算編成方針の目標
利益に達しないときには、達成するための方策を検討
し、部門予算案を再編成し、目標利益が得られるよう
努力する。
どうしても目標利益が達成できない場合には、トップ
の承認を得て、目標利益を引き下げることになる。い
ずれにしても、部門間の相互調整が行われ、目標利益
が確定する。そして、部門予算と総合予算が完成する
。
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部門予算の編成順序1
1.販売予算
販売予算の編成は、予算管理の出発点であり、製品
別、地域別、期間別に作成する。
販売予算を編成するにあたっては、将来における適
正な販売方針を樹立したうえで、さらに市場動向、一
般経済界の変動などを十分検討する必要がある。
販売方針は、新製品の開発、既存製品の廃止、価格
の決定、市場の拡大または縮小、販売員数の大きさ、
販売費の許容限度、販促政策などに関する具体的行
動方針である。販売費予算は販売方針に基づいて作
成する。
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部門予算の編成順序2
2.製造予算
製造予算の出発点は、生産量予算である。生産量
計画は、製品別に販売量計画と在庫計画を勘案して
、四半期別あるいは月別に作成する。
製品の生産量計画によって、所要材料投入量が算
定され、材料在庫方針を勘案して、材料購入量予算
が決まり、材料単価を乗じて材料購入予算が確定す
る。
四半期別あるいは月別の工場操業度から、所要作
業時間、機械時間などの生産キャパシティの計画が
立てられ、作業時間に賃率を掛けて直接労務費予算
が決まる。
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部門予算の編成順序3
機械時間は、動力・ガスなどのエネルギー計画の基
礎となる。製造間接費予算は、科目別の各種の予測デ
ータに基づいて作成される。
3.一般管理費予算
経理、総務、人事といった本社部門の部門費は、
部門別、一定期間別、勘定科目別に、各種の全社方
針の基づく業務内容の明確化を意図しながら必要経
費を見積もる。
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部門予算の編成順序4
4.資金予算
販売予算に基づいて、売上回収予算、売掛金回収予
算、さらに雑収入や資産売却などの現金回収予想を加
えて、現金回収額集計表がそれぞれ作成される。次に
製造・販売および本社部門の経費支出、支払利子、決
算支出などの現金支出予算を見積もる。
設備関連支出は資本予算としてまとめられる。以上
各種の予算を集計して、現金予算集計表が得られる。
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部門予算の編成順序5
5.見積損益計算書・見積貸借対照表の作成
最後に、部門予算を企業全体の立場から総合調整し
た総合予算としての見積損益計算書と見積貸借対照表
を作成する。
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予算体系の例
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