科学研究費補助金の 予算執行に関する説明会 2009.6.26 お茶の水女子大学研究協力チーム 基本的な考え方 研究代表者は、当該年度(4月)の交付申請書に記 述した研究計画(予算執行計画を含む)と「研究者 使用ルール」にしたがい、研究活動を行います。 交付申請書は、研究計画のベースとなるもの。各種 変更手続きや実績報告書は、交付申請書に記載した 年度当初の計画を基準とします。 年度途中の計画の変更 研究活動を行っていると、当初の計画を一部変更せざるを 得ない場合もあり得ます。 そんなときには、「研究者使用ルール」を確認してください。 必要な手続きを経ることで、当初の計画を一部変更できる 場合があります。 何かを変更したいと思ったとき、事前に手続きが必要な場 合が多いのでご注意を! 「研究代表者自らの判断で変 更できる軽微な変更」もありますが、判断に困ったとき、まず は研究協力チームまでご相談を そんな具体例や注意点等をご紹介します。 分担金の配分① 研究代表者は、研究代表者と異なる研究機関に所属する 研究分担者がいる場合には、補助金受領後、当該研究分 担者が使用する直接経費及びその30%分の間接経費を、 当該研究分担者に配分しなければなりません。 交付決定後、該当する方には、研究協力チームより個別に ご連絡し、具体的な手続きについて説明します。 チェックポイント ●研究代表者・研究分担者・連携研究者の違いは? ●研究組織に、他大学等に所属する研究分担者を含む? ●研究分担者でなければ、本当に研究を遂行することが できない? 分担金の配分② 具体的な手続きの流れ ①交付決定後、本学(=A)の銀行口座に研究代表者分の補助金 が振込まれます。 ②Aは、交付申請書を元に、異なる研究機関(=B)に所属する研 究分担者に対し、分担金を配分するための通知文を送付しま す。(受領の可否伺い、振込先口座伺い) (6月中旬~) ③Bは、分担金の受領承諾書等を作成し、Aに送付します。 ④Aは、③を受領した後、Bに分担金を振込みます。 ⑤Bは、受領した分担金の予算執行を管理します。 ⑥年度末、Bは予算執行関係書類をとりまとめ、Aに送付します。 ⑦研究代表者は、研究分担者から送付された⑤の書類をもとに、 実績報告書(収支決算報告書及び研究実績報告書)を作成し ます。 直接経費の使用内訳の変更① 研究代表者及び研究分担者は、交付申請書に記載した各 費目ごとの額にしたがって、直接経費を使用するものとする。 ただし、研究代表者は、直接経費の使用内訳について各費 目の額を、交付する直接経費の50%未満(直接経費の総額 の50%の額が300万円以下の場合は、300万円まで)の範 囲内で、文部科学省(日本学術振興会)の承認を得ることな く変更することができる。 …ちょっと、わかりにくい文章ですよね。そこで、場合分け して考えてみます。(チェックポイントは以下。) チェックポイント ●交付を受けている研究種目は? ●当該年度に交付される直接経費の金額は? 直接経費の使用内訳の変更② 特定領域研究・基盤研究・若手研究・挑戦的萌芽研究等の 場合、当該年度に交付される直接経費の総額が重要です。 ①直接経費の総額が600万円以下の場合 交付申請書に記載した各費目間で300万円まで変更すること ができます。(極端な例ですが、使用ルール上では、直接経費 の総額が300万円未満の研究課題については、使用内訳をど のように変更してもOKです。) ②直接経費の総額が600万円を超える場合 交付申請書に記載した各費目の額を、交付される直接経費 総額の50%未満の範囲内で変更することができます。 具体例は、別添「科学研究費補助金交付決定後の 手続きについて」を参照。 直接経費の使用内訳の変更③ 特別研究員奨励費の使用ルールには、そもそもこの項目が ありません。では、特別研究員奨励費の場合はどのような ルールになっているのでしょうか? 使用ルールより抜粋 「直接経費の費目別内訳」、「役割分担等」、「本年度の研究 実施計画」及び「主要な物品の内訳」の各欄の記載事項は、 補助事業の遂行について必要がある場合には変更すること ができるが、補助事業の目的は変更してはならない。 つまり(極端にいえば)、特別研究員奨励費の場合、直接経 費の使用は、交付申請書に記載した使用内訳とまったく 異なっても良いことになります。 翌年度における直接経費の使用① まずは、使用ルールの確認(文科省使用ルールより) 研究代表者は、当該年度の補助事業が、交付決定時には 予想し得なかった要因による、研究に際しての事前の調査、 研究方式の決定の困難、計画に関する諸条件、気象の関係、 資材の入手難その他のやむを得ない事由に基づき、補助事 業が予定の期間内に完了しない見込みとなった場合に、補 助事業の期間を延長するとともに、補助金の全部又は一部 を翌年度に使用することを希望する場合には、平成22年3月 1日までに、様式C-1「繰越(翌債)承認要求額の算定根拠」、 様式C-2「繰越(翌債)を必要とする理由書」及び様式C-3「事 業計画行程表」により文部科学大臣に対し申請を行い、必 要な手続を経なければならない。 翌年度における直接経費の使用② 少し分かりやすく言うと 科学研究費補助金による研究のうち、交付決定時には予想し得 なかったやむを得ない事由に基づき年度内に補助事業が完了し ない見込みのあるものについては、当該経費を翌年度に繰越し て使用することができます。業者に対する預け金など、不正行 為を行う必要がないのです。 「繰越し」は例外的な措置 基本的には、研究代表者は交付申請書に記載した研究計画を遂 行することが義務であり、繰越しは、どのような場合にでも認めら れるわけではありません。したがって、交付申請時に繰越しを前 提とした研究計画を立てることや、「ただ経費を使い切る時間 がなかったから」といった理由で翌年度に経費を繰越すこと は認められません。 翌年度における直接経費の使用③ 繰越の対象として認められるための要件 ①その事由が交付申請書における研究計画の範囲内であること ②執行過程において、交付決定時には予想し得なかったもので あること ③外部的要因(自然的、社会的諸条件※)によるものであること。 ④当該計画部分に係る経費を繰り越す必要が生じた場合である こと ⑤かつ、翌年度に完了する見込みのあるものであること ※外部的要因(自然的、社会的諸条件)とは (1)研究に際しての事前の調査 (2)研究方式の決定の困難 (3)計画に関する諸条件 (4)気象の関係 (5)資材の入手難 責任体制の 明確化 環境の整備 情報を伝達 する体制の 確立 公的研究費等の 不正使用防止等に 関する基本方針 不正発生要因の把握 不正防止計画の策定・実施 研究費の 適正な 運営・管理 モニタリング 公的研究費等の適正な管理・運営のための責任体系 【イメージ図】 モニタリング 責任体系 不正防止計画 【最高管理責任者】 学 長 不正使用防止対策委員会 進捗管理 【統括管理責任者】 総務担当理事 監査チーム 【部局責任者】 ○生命情報学教育研究センター長 ○リーダーシップ養成教育研究センター長 ○教育研究特設センター長 ○湾岸生物教育研究センター長 ○サイエンス&エデュケーションセンター長 ○ライフワールド・ウオッチセンター長 ○保健管理センター長 ○学生支援センター長 ○人間発達教育研究センター長 ○ジェンダー研究センター長 ○各附属学校園長 ○いずみナーサリー施設長 ○文教育学部長 ○理学部長 ○生活科学部長 ○大学院人間文化創成科学研究科長 ○グローバル教育センター長 ○グローバル協力センター長 ○情報基盤センター長 ○共通機器センター長 ○ラジオアイソトープ実験センター長 ○生活環境教育研究センター長 ○糖鎖科学教育研究センター長 ○ソフトマター教育研究センター長 ○比較日本学教育研究センター長 連 携 監 事 会計監査人 不正使用等に係る通報(相談)~調査結果の報告・公表の流れ【イメージ図】 ⑫是正結果・再発 防止措置の通知 通報者 ①通報・相談 【統括管理責任者】 総務担当理事 ⑪是正措置・ 再発防止措置命令 監査チーム ⑫是正結果・再発 防止措置の報告 ⑤不服申立 ②情報整理・報告 ⑨再調査 結果の開示 ④判定結果 の開示 ③招集命令 【最高管理責任者】 学 長 ⑩報告・ 公表 ⑦審査結果 の報告 ④判定結果 の通知 ⑥設置 ⑧再調査の命令 不服審査委員会 配分機関 関係府省 外 部 研究倫理委員会 ⑨再調査 結果の開示 ④判定結果 の開示 ⑤不服申立 被通報者 ⑪処分 科研費の不正使用等に伴う科研費交付対象からの除外について① 科研費の不正な使用等が行われた研究の遂行に研究代表者・研究分担 者等として加わった者が行う研究は、一定期間、科研費交付対象から 除外されます。 ① 不正な使用等を行った研究者本人は、 ①-1 他の用途への使用を行っていない場合は、 ・返還命令が行われた年度の翌年度から2年間、 ・新規課題か、継続課題であるかを問わず、 ・研究代表者にも研究分担者にもなることができない。 ①-2 他の用途への使用を行っていた場合は、 ・返還命令が行われた年度の翌年度から程度に応じて2~5年間 (具体的に何年にするかは別表の基準に基づき交付決定権者が決める)、 ・新規課題か、継続課題であるかを問わず、 ・研究代表者にも研究分担者にもなることができない。 科研費の不正使用等に伴う科研費交付対象からの除外について② (不正使用の場合に科研費を交付しない期間) 科学研究費補助金の他の用途への使用の内容等 交付しない期間 1 補助事業に関連する科学研究の遂行に使用した場合 2年 2 1を除く、科学研究に関連する用途に使用した場合 3年 3 科学研究に関連しない用途に使用した場合 4年 4 虚偽の請求に基づく行為により現金を支出した場合 4年 5 1から4にかかわらず、個人の経済的利益を得るために 使用した場合 5年 ② 不正な使用等を行った研究者の共同研究者は、 不正な使用等を行った研究者本人が他用途使用を行ったか否かに関わらず、 ・返還命令が行われた年度の翌1年度の間、 ・新規課題についてのみ ・研究代表者にも研究分担者にもなることができない。 科研費の不正使用等に伴う科研費交付対象からの除外について③ 図)研究組織における役割分担と応募制限の対象となる者 研究組織内の役割 不 正 使 用 実 行 者 代表者 分担者 連携者 協力者 研究代表者 × △ - - 研究分担者 △ × - - 連携研究者 △ △ × - 研究協力者 △ △ - × ・「×」… 不正使用の実行者として、2~5年間、新規課題及び継続課題のいずれ についても、研究代表者及び研究分担者になることができない ・「△」… 不正な使用等を行った研究者の共同研究者(補助事業者)又は研究組織 における研究の協力を得る者として、1年間、新規課題について、研究代 表者及び研究分担者になることができない ・「-」… 共同研究者(補助事業者)でないため、応募の制限の対象外 公的研究費等に係る不正使用防止計画を策定しました。 (一部抜粋) 発生要因・現状分析 1 ルールの明確化・統一化(第2節(1)関連) 補助金等の執行にあたり、使用ルールが不明確・不明瞭であると研究者はどう 使っていいか分からず、誤った解釈で執行する虞がある。ガイドラインでは ルールと実態が乖離していないか、チェック体制が保持されてるか、ルールが 統一されているかが問われている。ルールのマニュアル化は「IT便利帳」を作 成しているが、周知を徹底することと内容について今一度検討し、ルールと実 態の乖離や統一化についても整理する必要がある。 対応部署 対応策・今後の課題 契約第一チーム 契約第二チーム 人事労務チーム 図書・情報チーム 1.学内ルールを、「IT便利帳」として大学HPに掲載した。 2.研究協力チーム所管の大学HP(科研費ページ)からも 閲覧可能とした 3.多様化する補助金等に対応できるマニュアルとして「IT 便利帳(研究費使用ルールブック)」を作成し、また会計関 連規程を整理することでルールの明確化・統一化を図っ ていく予定 経理チーム 1.職務権限は会計規則と契約規程に記載されているが、 周知徹底するためにイメージ図を作成し、大学HPに公開 する予定 2.平成19年4月から設置した納品検収チームについて、 取引業者に対しイメージ図で周知を図っている 研究者の対応 1.補助金等の趣旨に照らして適正な執行をする 2.疑義が生じた場合はIT便利帳を参照する 3.不明点は勝手に判断せず、必ず各相談窓口へ問い合 わせる 2 職務権限の明確化(第2節(2)関連) 補助金等の多くは研究代表者が申請をし、獲得したものであるため、研究代表 者の責任において管理し執行されてきたのが現状である。職務権限は従前か ら整備されていたが、教職員に十分に周知されているとはいえない。また、実 態と乖離していたり、処理の迅速化・簡素化と不正使用防止の観点から、再検 討する必要がある。 1.50万円以下の図書・消耗品は予算執行者(教員等)に 発注権限を付与されている代わり、少額であっても納品検 収チームが納品検収を行うので、納品後は速やかに検収 を行う 3 関係者の意識向上・理解度の確認(第2節(3)、第5節④関連) 1.説明会、大学HPでの情報提供は行っているが、効果 的な時期に各教職員へ一斉メールを利用して周知するな ガイドラインでは、公的研究費を管理・執行するという意識の向上、研究規範の ど、より効率的な情報提供の方法を検討する 1.説明会及びアンケート実施へ積極的に参加・協力する 策定、理解度の確認方法について求めている。公的研究費等の不正使用防 2.教職員を対象としてアンケートや理解度チェックなど、 2.研究協力チーム所管の大学HP及び学内一斉メールの 止等に関する情報提供は、年1回の説明会のみならず、大学HPや一斉メール 会計ルールや行動規範の理解度の確認方法を検討する 確認を習慣づける での情報提供を行っているところだが、周知手段が他にないか、効率的な情報 研究協力チーム 3.理解不十分であれば補助金等の申請をさせないなど、 3.IT便利帳Q&Aを参照する 提供手段についての検討を行う。また、会計ルール・行動規範の教職員の理 意識向上に繋がる方策を考える 4.各相談窓口を利用する 解度確認方法について、教職員からの照会・回答をIT便利帳の更新やQ&A 4.教職員の意識の向上に努めるため、会計ルールや行 で反映させているが、確認手段についても検討する。 動規範を周知する方法を再検討するとともに、アンケート 等の結果をQ&Aにフィードバックする 4 不正発生要因の把握について(第3節(1)関連) ガイドラインでは、公的研究費等の不正使用の発生要因の把握について、各 研究機関全体での公的研究費等の管理状況を体系的に整理し評価の上、不 正発生要因を把握し、それぞれの不正発生要因に対応した不正防止計画を 策定すべきであるとしている。本学では体制やフロー、諸規定から不正発生要 因を分析していくが、今まで起こった不正は何が原因か、今後起こりうる不正は どういうものがあるかといったいろいろなアプローチから考えていく必要がある。 不正使用防止 対策委員会 1.不正使用発生要因をヒアリングやアンケート調査等で 1.不正防止計画委員会の実施する不正発生要因の調 洗い出し、その過程で他大学の過去の事例やその対応、 査・資料収集等の際は、積極的に協力する 本学に当てはめた場合の想定、本学の体制の欠陥や 2.研究者として、本学の不正使用防止体制の整備に協力 チェック体制の不備等の観点から分析・検討を行う する 本学の公的研究費の不正使用防止に係る取組みは、HPで公表しています。 基本方針及び具体的な取組みについては、こちらから http://www.ocha.ac.jp/introduction/unlawfulness.html
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