喫茶店文化とコミュニケーション ―<たまり場>の社会史― 東洋大学 社会学部メディアコミュニケーション学科 中舘 真理子 問題意識 日本の「喫茶店」の独特な歴史と文化 コーヒーショップ」の位置づけ 人が集まる場所には どのような意味や役割があるのか? 本論の構成 第1章 喫茶店の歴史、文化 第2章 大手2社のコーヒーショップの歴史 第3章 コミュニケーションの場としての 「喫茶店」の役割 本論での定義 「喫茶店」 日本で古くから親しまれている。 主にコーヒーなどの飲物や軽食をウェイ ターが提供する店。 「コーヒーショップ」 カウンターで飲物や軽食をリーズナブル な価格で提供する。 セルフスタイルの店。 利用者が求める「喫茶店」の意味 ・図 2.1 株式会社マークスJP 「喫茶店・カフェ・コーヒーショップの 利用実態、店舗別によく飲まれるドリン ク・店舗を選んだ理由 第3回調査」 2008年4月24日~30日実施。 全国の18歳以上の男女が対象 (男女比 男性55%、女性45%) 図2.1 過去一年間に最も多く利用した喫茶 店・カフェ・コーヒーショップを選ぶ理由 日本独特な文化 「喫茶店」に求められているもの 明治中期~末期 可否茶館 高級品とされていた コーヒーが大衆のものに メイゾン鴻の巣 その時代の芸術家たちが議論を交わす場所 =「たまり場」 日本独特な文化 「喫茶店」に求められているもの カフェー・プランタン 「西洋料理+コーヒー」 カフェー・パウリスタ カフェー・ライオン 大きく進む大衆化 関東大震災の震災復興事業 = ライフスタイルの変化 日本独特な文化 「喫茶店」に求められているもの 昭和初期 名曲喫茶 ジャズ喫茶 歌声喫茶 喫茶店の全盛期 日常的な飲料に 昭和20年代末 日中戦争 喫茶店の多くは閉店 昭和40年代末 人口急増・稠密化、「交流の場」を求める」 日本独特な文化 「喫茶店」に求められているもの 昭和60年代末~平成 高度経済成長が一段落 インスタントコーヒー、缶コーヒーの普及 住宅事情の改善=ライフスタイルの変化 喫茶店の必要性が薄れる 日本独特な文化 「喫茶店」に求められるもの ドトールコーヒー 低価格のチェーン店を展開 さまざまなコーヒーショップの基本 喫茶市場を創造、スタンダード化 一杯のコーヒーを通じて お客様に安らぎと活力を提供する 日本独特な文化 「喫茶店」に求められているもの スターバックスコーヒー アメリカから上陸 新たな側面から喫茶市場に参入 自宅でも職場でもない第三の場所、 「サードプレイス」を提供する 結 1 喫茶店は、社会的背景の変化や日本人の ライフスタイルの変化に伴って、利用者 層や利用目的が変化してきた。 喫茶店を単なる飲食施設ではなく、 「コミュニケーションの場所」という意 識を持つのは、喫茶店が日本の独特な文 化であることを示している。 結 2 古くからの喫茶店とは形態や内容が異な るコーヒーショップも社会背景の変化の 流れの中で誕生した。 喫茶店とコーヒーショップにはコミュニ ケーションの「空間」を提供する役割が 存在する。
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