「総合的な学習の時間」 研修会 総合教育センター研修主事 橘田美喜恵 能力形成とは何か どんな能力を形成するのか ①コンセプチュアルスキル 問題の本質をとらえ具体的な目 標や戦略を構築する能力。 ②ヒューマンスキル よりよい人間関係を構築し仕事 を円滑に進める能力。 ③テクニカルスキル 仕事に直接関連する分野の専門 的な知識と技能。 パイオニア株式会社社員研修資料より ①コンセプチュアルスキル 問題の本質をとらえ具体的な目 標や戦略を構築する能力。 問題の本質 1 学習指導要領 2 評価基準等参考資料 目標や戦略 1 年間指導計画の作成 2 題材指導計画の作成 3 評価の進め方 年間計画 題材計画 評価計画 指導案 ②ヒューマンスキル よりよい人間関係を構築し仕事 を円滑に進める能力。 教室内 教師と子ども 子どもと子ども 魅力ある教師 (子どもが憧れる) 学校内 教師と教師 教師と保護者 地域社会 学校と地域社会 子どもの気持ちを 感じ取る教師 ③テクニカルスキル 仕事に直接関連する分野の専門 的な知識と技能 知識・技能及び資質が優れている 授業の進め方が卓越している 子ども一人一人とかかわれる (子どもが見える) 常に学び,努力し還元できる 「総合的な学習の時間」とは… ★これまでとかく画一的といわれる学校の授 業を変えて,新しく設けられたもの ★この時間は,子どもたちが各教科等の学習 で得た個々の知識を結びつけ,総合的に働 かせることができるようにすることを目指 した 「総合的な学習の時間」のねらいは… ★「総合的な学習の時間」においては,知識 を教え込む授業ではなく 自ら学び,自ら考える力の育成 学び方や調べ方を身に付けること 総合的な学習の時間の創設 ・「ゆとりの中で『生きる力』をはぐくむ」 ・各学校が地域や学校、児童の実態等に応じ、横断的・ 総合的な学習など創意工夫を生かした教育活動 平成8年中央教育審議会 平成10年 学習指導要領の改訂において(高校は11年) 「総合的な学習の時間」の創設 標準授業時数・趣旨、ねらいの設定(教科書はなし) 平成15年度一部改正 一層の充実を図る。学習指導要領の一部を改正し,明確に位置付けた 平成20年1月 中央教育審議会の答申において 総合的な学習の時間 実施状況からみる課題 課題①当初の趣旨・理念が十分達成されていない 学校間の取組の重複 大きな成果をあげている学校がある一方,十分に達成されていない状 もある 課題②総合的な時間のねらいの明確化 子どもたちに育てたい力(身に付けさせたい力)や学習活動の示し方 について検討する必がある 課題③ 補充学習,運動会の準備などと混同された実践 ・関連する教科内容との関係整理の必要 ・選択教科との関係整理の必要 ・特別活動との関係整理の必要 課題を受け,改善の具体的事項 ・ ねらいについては,小・中・高等学校共通とし,実社会 や実生活とのかかわりを重視 ・ 教科等の枠を越えた横断的・総合的な学習,探求的な活 動を行う ・ 学校間,学校段階間の取組の実態の差の改善 →育てたい力の視点を例示 ・ 各学校において,育てたい力や取り組む学習活動や内容 を,実態に応じて明確に定め,適切に評価 ・ 小学校では地域の人々の暮らし,伝統や文化に関する活 動,中学校では職業や自己の将来に関する学習活動などの 例示が加わる 改善の具体的事項のつづき ・小学校 国際理解にかんする学習を行う際には, ・小学校 情報に関する学習を行う際には, ・中学校 職業や自己の将来に関する学習を行う際には, 問題の解決や探求的な活動を通して… 学習活動が行われるように ・他者と共同して問題を解決しようとする学習活を重視す るとともに,言語により分析し,まとめ・表現する問題 の解決や探求的な活動を重視する 改善の具体的事項のつづき ② ・事例の情報提供やコーディネートの役割を果 たす人材の育成 ・学校全体として組織的に取り組み,指導計画 や指導 体制,実施状況について,点検・評 価することを推進 平成20年1月の答申に基づき 平成20年3月 学習指導要領改訂 本県における総合的な学習の時間の実態 全国学力・学習状況調査の結果から № 質 問 内 容 山梨 全国 43.8% 34.3% Q 4 総合的な学習の時間は好きですか? Q 5 総合的な学習の時間には,新しいことを発見 ますか? 37.9% Q 6 学習したことが普段の生活や社会の中で役立 ますか? 49.5% Q 7 (総合の授業によって)他の授業もわかりや りましたか? 19.9% +9.5 29.0% +8.9 40.5% +9.0 +5.4 14.7% 新学習指導要領 [改訂のPOINT] 1. 総合的な学習の時間においては,教科の枠を 越えた横断的・総合的な学習,探求的な学習 を行うものであることをより明確化 目標に,探求的な学習を明示 新学習指導要領 [改訂のPOINT] 2.学校種間の重複を避け,発達の段階に応じた取組を促 すため,小学校で地域の人々の暮らし,伝統と文化に ついての学習活動,中学校で職業や自己の将来に関 する学習活動を例示として追加 ・各学校は社会や日常生活とのかかわりを 重視して目標 及び内容を設定 ・育てようとする資質や能力及び態度についての,視点を 例示 新学習指導要領 [改訂のPOINT] 3.総合的な学習の時間の教育課程における位置 づけを明確化し,その指導を充実 構成の見直し→総則から取り出し, 新たに章立てする 「総合的な学習の時間」の 第1 目標 横断的,総合的な学習や探求的な学習 を通して,自ら課題を見つけ,自ら学び, 自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題 を解決する資質や能力を育成するとともに, 学び方やものの考え方身に付け,問題の解 決や探求活動に主体的,創造的,協同的に 取り組む態度を育て,自己の生き方を考え ることができるようにする。 「総合的な学習の時間」の 第2 各学校におけて定める目標及び内容 1目標 各学校においては,第1の目標を踏まえ,各学校の総合 的な学習の時間の目標を定める 2 内容 各学校においては,第1の目標を踏まえ,各学校の総合 的な学習の時間の内容を定める 「総合的な学習の時間」の 第3 指導計画の作成と内容の取扱い 指導計画の作成にあたっての配慮事項(9項目→抜粋) ★全体計画及び年間指導計画の作成 (両方を作成すること) ★学校において定める目標及び内容については, 日常生活や社会とのかかわりを重視すること ★学習活動については,学校の実態に応じて, 例えば ①国際理解,情報,環境,福祉,健康などの横断的総合 合的な課題についての学習活動, ②児童の興味・関心に基づく課題についての学習活動, ③地域の人々の暮らし,伝統と文化など地域や学校の特 色に応じた課題についての学習活動などを行うこと 「総合的な学習の時間」の 第3 指導計画の作成と内容の取扱い 取扱いついての配慮事項 内容の (小学校8項目,中学校7項目→抜粋) ★ 問題解決や探求活動の課程においては,他者と協同して 問題を解決しようとする学習活動や,言語により分析し, まとめたり表現したりするなどの学習活動が行われるよ うにすること ★体験活動については,目標並びに各学校において定める 目標及び内容を踏まえ,問題の解決や探求活動の過程に 適切に位置付けること ★国際理解に関する学習を行う際には,問題の解決や探求活動に取り 組むことを通して,諸外国の生活や文化などを体験したり調査した りするなどの学習活動が行われるようにすること(小学校) ★情報に関する学習を行う際には,問題の解決や探求活動に取り組む ことを通して,情報を収集・整理・発信したり,情報が日常生活や 社会に与える影響を考えたりするなどの学習活動が行われるように すること (小学校) ★職業や自己の将来に関する学習を行う際には,問題の解決や探求活 動に取り組むことを通して,自己を理解し,将来の生き方を考える などの学習活動が行われるようにすること(中学校) 実施学年と実施時数 小学校 3年……105 4年……105 5年……110 6年……110 時間 時間 時間 時間 中学校 高等学校 1年……70~100 時間 2年……70~105 時間 3年……70~130 時間 卒業までに105~210単位 時間を標準とし,各学校 において,学校や生徒の実 態に応じて,適切に配当す る。 ・選択教科に充てる授業時 数と調整。 ・ 「各学校が創意工夫を生かし、特色ある教育・特色ある学校づくりを進める」という ねらいから学校の裁量で設定できる。 ・ 活動内容によっては、一定期間連続して特定の時間に集中的に実施してもよい。 (2時間連続、一日集中的等) ・ 高校では特定の年次において実施することも可能。 総合と外国語活動の授業時数(小学校) 領域 ~H20 H21~ H22 H23~ 〔新課程〕 3年 4年 5年 6年 合計 総 合 105 105 110 110 430 総 合 95 100 75~ 110 75~ 10 345~ 415 - - 35~ 35~ 70~0 70 70 70 70 280 - - 35 35 70 外国語 総 合 外国語 選択授業と総合の授業時数(中学校) 領域等 1 年 選 択 0~30 2 年 3 年 合計 50~85 105~165 155~280 70~105 70~130 210~335 現行 総 合 H21 70~100 選 択 0~15 50~85 80~140 130~240 総 合 50~65 70~105 70~130 190~300 選 択 0~15 15~50 45~105 60~170 総 合 50~65 70~105 70~130 190~300 選 択 0~15 15~50 10~70 25~135 総 合 50~65 70~105 70~130 190~300 H22 H23 H24 総 合 50 70 70 190 全体計画の作成 1 学校全体の目標 2 各学年の目標 3 育てようとする資質や能力及び態度 4 学習内容,学習活動 (年間指導計画) 5 指導方法や指導体制 6 学習の評価 全体計画 学校全体の目標 各学年の目標 学習評価 学習活動の内容 育てようとする資質や能力及び態度 年間指導計画 授業のイメージとして ①観察・実験、見学や調査による情報の集め方、ま とめ方、調べ方が身に付くような授業。 ②自分の考えたことを発表したり、討論したりする 力が身に付くような授業。 ③子どもの興味・関心を最大限引き出し、子どもの 自発性や主体性を大切にする授業。 ④教科で学習していることと実生活で必要なことの 関係を実感できるような授業。(例えば、 身近な 環境の問題と理科や社会科の学習内容との関係に気 づかせる。) ⑤課題を明確にした深まりのある授業。(例えば、 お年寄りとの交流体験から、福祉とこれ からの社 会について考えさせるなど) ⑥実社会で働く様々な人とふれあう中で、自分 の生き方について考えられるような授業。 ⑦地域の様子やくらしなどについて、自分の考 えを出したり、ボランティア活動をしたりす るなど、地域の一員としての自覚育成するよ うな授業。 ⑧国際的な課題を取り上げるなど、国際社会の 一員としての資質や能力をはぐくむような授 業。 ⑨いろいろな課題を取り上げて調べたり、まと めたり、直接体験したりする中で、子どもが 自分の課題を見付け、主体的に探究活動に取 り組めるような授業。 教師の適切な指導 「指導」と「支援」の両面から計画 「活動あって学びなし」とならない 調査の方法など学習の進め方の指導 他教科で学習した知識や技能を生かす指導 学習を進めるにあたって 一斉授業ではなく、個別または、グループ の学習を通し、個々の学習課題を明確にし、 子どもたちが自らのねらいを設定すること。 問題を解決する資質や能力を育成し、学び方やものの考え方を 身に付け、問題の解決や探求活動に主体的、創造的に取り組む 態度を育成するためには、学習のスキルアップを図る必要がある。 学習スキルの育成 ①課題の設定 自ら課題を見付けられるようにする。 ②課題を通して探求 自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、問題の解決や探求 方法に主体的、創造的に取り組む。 自らの生き方を考え、よりよく問題を解決する資質・能力や学び 方・ものの考え方などを身に付ける。 教え込み学習や「活動あって学習なし」そして「学びが あっても行動なし」の授業にならないこと。 ウェビングマップの手法を用い た学習 ①活動や題材の教材としての広がりを見る。 ②活動を通して、どのような学習内容を学ぶのか を明らかにする。(だれが・いつ・何のために) ③単元を通しての活動の流れを決める際の地図と なる。 活動において自分たちが解決しなければ ならない課題を考えるうえで有効な手段 ウェビングマップ=学びの地図 田富小学校 藤巻稔先生より ☆目的地もいろいろ、行き方もいろいろ こどもにとってのウェビング ① 活動を決めるとき、ウェビングを書くことにより、それ ぞれの活動の広がりを知る。客観的な話し合いができる。 ②ウェビングを書くことで、今後の活動の見通しをもつこと ができる。 ③発想力、多面的な思考力などが育つ。 ウェビングの学習の流れ ①ウェビングを作成する。 ②単元を通しての活動の流れの決定 ③学習内容の洗い出し 実際にウェビングを 体験してみましょう。 総合と外国語活動の授業時数 (小学校) 領域 ~ H20 H21 ~ H22 H23 ~ 〔新課程〕 総 合 3年 4年 5年 6年 合計 105 105 110 110 430 75~ 110 総 合 95 100 75~ 110 外国語 - - 35~ 35~ 70~0 70 70 70 70 280 - - 35 35 70 総 合 外国語 345~ 415 総合と外国語活動の時 数配分 小学校第5・6学年における「外国語活動」は,各 学校の裁量により授業時数を定めて実施することが 可能。(各学年週当たり1コマまでは,総合的な学 習の時間の授業時数を充てることが可能) ・例 1…総合的な学習:75時間,外国語:35 時間 ・例 2…総合的な学習:85時間,外国語:25 時間 総合的な学習+外国語(35以下)=110時間 ・H23…総合的な学習:70時間,外国語:35 時間 選択授業と総合の授業時数 領域等 1 年 選 択 0~30 2 年 (中学校) 3 年 合計 50~85 105~165 155~280 70~105 70~130 210~335 現行 総 合 H21 70~100 選 択 0~15 50~85 80~140 130~240 総 合 50~65 70~105 70~130 190~300 選 択 0~15 15~50 45~105 60~170 総 合 50~65 70~105 70~130 190~300 選 択 0~15 15~50 10~70 25~135 総 合 50~65 70~105 70~130 190~300 H22 H23 H24 総 合 50 70 70 190 総合の内容は,本当に減った のか? Q&A 国際理解について… 中学校の外国語教育の先取りでない 外国の生活や文化に慣れ親しむ (体験的な学習) 自国理解と外国の異文化理解 教科としての設定でない ねらいに沿った学習活動 今回の改訂では・・・ ☆改訂では… 外国語の習得や,それに親しむことをねらい とした学習は外国語活動へ 総合的な学習の時間では いっそう探求的な学習として 実施することを明確化 総合的な学習の時間と特別 活動 総合的な学習の時間における学習活動により, 特別活動の学校行事に掲げる各行時の実施と 同様の効果が規定できる場合においては,総 合的な学習の時間における学習活動をもって 相当する特別活動の学校行事に掲げる各行時 の実施に替えることができる。(学習指導要領 「総則」) Q&A 特別活動での体験活動 と 総合での位置づけ… ☆特別活動の体験活動を無条件に総合的な学習の時間 に位置付けることはできない ①その体験活動が,学習指導要領における総合的な学習の 時間の目標,及び各学校で定める目標及び内容に即した 体験活動であること ②総合的な学習の時間における体験活動は,それが問題の解決や 探求的な活動の過程の一つとして構成されること (解決するための体験活動,予想や仮説を検証する体験活動) 評価について ①何のために評価するか。 ・児童生徒がどのような変容を遂げたのか。 ・つまずき、その改善のためにどのような支援を行えばよいか。 ・自己の学習状況の気づき、見つめ直すきっかけ。 ・その後の学習を促す役割。 ②何を評価するか。 ・各学校で定めた目標を踏まえた評価観点と評価規準に則して。 「よい点」 「意欲や態度」 「進歩の状況」 ③誰が評価するか。 ・教師ばかりでなく、自己評価や相互評価を取り入れる。 ・学習活動に関わった人から評価の資料を収集。 ④どうやって評価するか。 ・活動や学習の過程。 ・報告書や作品。 ・発表や討論に見られる学習の状況や成果 → 記述による評価 終わりです m(_ _)m
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