Just-in-Time Lecture Influenza A(H1N1) (Swine Flu): A Global Outbreak 新型インフルエンザA(H1N1) (豚インフルエンザ) の世界的流行 (Version 11, 初版4月26日) 2009年6月11日 (木曜日) 米国東海岸時間午前1時30分 Rashid A. Chotani, MD, MPH, DTM Adjunct Assistant Professor Uniformed Services University of the Health Sciences (USUHS) 軍保健大学 240-367-5370 [email protected] 日本語版翻訳者 • 陸上自衛隊 医官 • 東北大学感染症内科 医師 • 山口由起子 • 山崎倫代 CHOTANI © 2009. 後藤浩也 宇佐美修 謝辞 本スーパーコースの運営、翻訳に関わるすべての皆様、特に下記の人たちに感謝いたします。 Dr. Ronald E. LaPorte, University of Pittsburgh, USA Dr. Eugene Shubnikov, Institute of Internal Medicine, Novosibirsk, Russia Dr. Faina Linkov, University of Pittsburgh, USA Dr. Mita Lovalekar, University of Pittsburgh, USA Dr. Nicolás Padilla Raygoza, Universidad de Guanajuato, México Dr. Ali Ardalan, Tehran University of Medical Sciences, Iran Dr. Mehrdad Mohajery, Tehran University of Medical Sciences, Iran Dr. Seyed Amir Ebrahimzadeh, Tehran University of Medical Sciences, Iran Dr. Nasrin Rahimian, Tehran University of Medical Sciences, Iran Dr. Mohd Hasni , University of Kebangsaan, Malaysia Dr. Kawkab Shishani, The Hashemite University, Jordan Dr. Nesrine Ezzat Abdlkarim, Beirut Arab University, Lebanon Dr. Khowlah Almohaini, University of Pittsburgh, USA Dr. Duc Nguyen, University of Texas, USA Dr. Elisaveta Jasna Stikova, University “Ss. Cyril and Methodius”, Skopje, Macedonia Dr. Michèle Cazaubon, Secrétaire Gle de la Société Française d' Angéiologie, France Dr. Yang Yingyun , Peking Union Medical College, China Dr. Jesse Huang, Peking Union Medical College, China Shimon Weitzman, Ben Gurion University of the Negev , Israel Dr. Nurka Pranjic, Medical School University of Tuzla, Bosnia and Herzegovina Dr. Shakir Jawad, Uniformed Services University of the Health Sciences, USA 後藤浩也 先生 防衛省 (日本語訳) 山口由起子様 山崎倫代様 (日本語訳) 宇佐美修 先生 東北大学感染症内科(日本語訳) Truly a global effort http://www.pitt.edu/~super1/ CHOTANI © 2009. 概要 インフルエンザウイルスとは 定義 はじめに 米国での歴史 拡散/伝染 経過/事実 対策 最新状況 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. • • • • • 症例提示 ガイドライン 9. 10. • • • 11. 12. 13. 14. 15. 16. CHOTANI © 2009. メキシコ 米国 カナダ 欧州 その他 医療関係者向け 検査技師向け 一般向け 治療法 その他の感染対策 まとめ 発生までの流れ 過去の大流行の教訓 結論と勧告 インフルエンザウイルス • エンベロープをもつRNAウイルス • オルトミクソウイルス科 • 大きさ: 直径 80-200nm (0.8 – 0.12 μm (ミクロン)) • 3種類 • A型、B型、C型 • 表面抗原 • H (ヘマグルチニン) • N (ノイラミニダーゼ) CHOTANI © 2009. Credit: L. Stammard, 1995 ヘ マ グ ル チ ニ ン ( H)の タ イ プ H1 H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 CHOTANI © 2009. ノ イ ラ ミ ニ ダ ー ゼ (N) の タ イ プ N1 N2 N3 N4 N5 N6 N7 N8 N9 用語の定義 一般 • エピデミック – 特定地域の集団的な発生 • パンデミック – 世界規模での集団的な発生 • 抗原連続変異 • 遺伝子の点変異と選別によるタンパクの変化 • 継続して変化し、毎年ワクチン株を更新する根拠となる • 抗原不連続変異 • 遺伝子再構成を通じたタンパクの変化 • 年次のワクチンでカバーできないような異なるウイルス を生み出す。 CHOTANI © 2009. インフルエンザウイルスの生存 物質表面と湿度・気温の影響 • 硬い非多孔質表面 24-48 時間 • プラスチック、ステンレス鋼 • > 24 時間以上 生存可能 • 手指への付着 24時間以内 • 衣服・紙・ティッシュペーパー • 8-12 時間 生存可能 • 手指への付着 15分以内 • 手指での生存 高ウイルス力価は5分以内 • 間接接触による感染の可能性 *湿度 35-40%, 気温 28℃ (82F) CHOTANI © 2009. Source: Bean B, et al. JID 1982;146:47-51 インフルエンザ 疫学 • 季節性インフルエンザ • 世界中で年間 25万 から 50万人死亡 • 米国(年間) • 3万5千人の死亡 • 20万人以上が入院 • 375億ドルの医療費 (インフルエンザと肺炎による) • 100億ドル以上の労働生産力低下による損失 • パンデミックインフルエンザ • いつか訪れる脅威 CHOTANI © 2009. 新型インフルエンザ A(H1N1) はじめに • 豚インフルエンザはSwine Influenza (swine flu)は、A型インフルエンザによる豚の呼吸器 疾患である。 時に豚の間で大流行する。 • 豚インフルエンザウイルスは、通常人間には 感染しない。しかし、実際に感染例があり、感 染した人が別の人に感染させるヒトーヒト感染 の例が報告されている。 • ほとんどの場合、豚インフルエンザの人間へ の感染は、豚に近いところにいる人にのみ起こ る。しかし、豚インフルエンザが人間の間で流 行する可能性はある。 CHOTANI © 2009. 豚インフルエンザ A(H1N1) 米国での歴史 • • • 1976年豚インフルエンザは、 ニュージャージ ー州のFort Dix陸軍基地で流行し、200人以上 が感染、数名が重症となり、1名が死亡した。 • 4千万人以上がワクチン接種を受けた • しかし、ワクチンの副作用として、GuillainBarré (ギランバレー)症候群が500例以上 報告され、ワクチンプログラムは中止とな った。 • ワクチンの副反応で30名が死亡した。 1988年9月ウイスコンシン州で、もともと健康だ った32歳妊婦が豚インフルエンザに感染し、肺 炎として入院し、8日後に死亡した。 2005年12月から2009年2月までで、米国内で 10州から12例の豚インフルエンザ感染例が報 告された。 CHOTANI © 2009. 豚インフルエンザ A(H1N1) ヒトへの感染 • 感染した豚との接触あるいは豚イ ンフルエンザウイルスに汚染され た環境への曝露すること • 豚インフルエンザに感染した人と の接触 • 豚インフルエンザのヒトーヒト感染 はこれまでも報告されており、季節 性インフルエンザと同じように、感 染者の咳、くしゃみによる 豚インフルエンザ→新型インフルエンザ CHOTANI © 2009. 新型インフルエンザ A(H1N1) 種を超えての感染 ヒトのウイルス 鳥のウイルス 鳥/ヒト 再構成ウイルス 豚のウイルス CHOTANI © 2009. 豚体内で再構成 新型インフルエンザA(H1N1) 2009年3月 経緯 • • • • • 2009年3月から4月初めにかけ、メキシコで呼吸器病 が流行し、いくつかの地域からインフルエンザ様症状 (influenza-like illness 、ILI)の報告が相次いだ。 4月12日、メキシコのGeneral Directorate of Epidemiology (DGE) は、 国際保健規則に則り、Pan American Health Organization (PAHO) に対し、 Veracruz州でのインフルエンザ様疾患の地域内流行 を報告した。 4月17日、 Oaxaca 州で非典型的な肺炎の症例が発 生したことにより、メキシコ国内全域でのサーベイラン スが強化された。 4月23日、重症の呼吸器障害の数例がインフルエンザ A(H1N1)による感染であることが確認され、PAHOに 通知された。 遺伝子配列解析により、カリフォルニアでの2例の小 児の感染例と同じ系統のウイルスに感染していたこと が判明した。 • CHOTANI © 2009. メキシコで流行していたサンプルは、米国の患者のイン フルエンザウイルスと一致した。 出典: CDC 新型インフルエンザ A(H1N1) 2009年3月 わかっていること • これまで豚、人間のいずれにも発見された ことがない新しいタイプのA/H1N1 ウイルス • CDC は、ヒトからヒトへの感染性をもち、感 染が拡大しているとした。 • ウイルスは4種類の異なるウイルスに由来 した遺伝子をもつ: • 北米 豚 • 北米 鳥 • 北米 ヒト • ヨーロッパ 豚 CHOTANI © 2009. 新型インフルエンザA(H1N1) 米国の対応 • 以下の戦略国家備蓄The Strategic National Stockpile (SNS) の25%を放出 • • • 抗インフルエンザ薬 個人用防護具 マスク • オバマ大統領は、議会に対して新型インフルエン ザ対策として15億ドルの追加支出を求めた。 • 2009年4月27日、CDCはあらゆる不要不急のメキ シコへの旅行を自粛するように勧告した。 CHOTANI © 2009. 出典: CDC 新型インフルエンザ A(H1N1) 世界の対応 • WHO は警戒レベルをフェーズ6に引き上げ • • • • • CHOTANI © 2009. WHOの警戒レベルは、2004年に鳥インフルエンザが広がった際に見直しが行われ、フェーズに上がった。 2009年4月後半、WHOは新型インフルエンザAの発生を報告。 2009年4月27日、フェーズ4に引き上げ。 2009年4月29日、フェーズ5に引き上げ。 2009年6月11日、フェーズ6に引き上げ。 Source: WHO 新型インフルエンザ A(H1N1) 2009年5月25日 最新状況 • メキシコ: 3月1日~6月9日 総計 • • • • 米国: 3月28日~6月9日 総計 • • • • • 確定6.241例 死亡56例 全国32州すべて 確定13.217例 死亡27例 48 州 ワシントンDCとプエルトリコを含むすべての州 ほとんど軽症例 カナダ: 6月210日まで 総計 • • • • • CHOTANI © 2009. 確定 2978例 死亡4例 全 13 州のうち12州 6月8日だけで533例の新たな確定例 ほとんど軽症例 Secretaria de Salud, Mexico, CDC, Public Health Agency of Canada, European CDC, WHO 発表より 新型インフルエンザ A(H1N1) 2009年5月25日 最新状況 • EUとEFTA諸国 : 4月27日~5月25日まで 総計 • • • • • • • 確定 1565例 死亡なし 19カ国 6月9日だけで126例の新たな確定例 国内感染 567例 報告された感染例の大半は20-49歳 世界: 5月1日から25日まで 総計 • • 74カ国で確定27,737例 確定例のうち7カ国から144例の死亡 • メキシコ: 108 • 米国 27 • カナダ 4 • チリ 2 • コスタリカ 1 • コロンビア 1 • ドミニカ共和国 1 CHOTANI © 2009. Secretaria de Salud, Mexico, CDC, Public Health Agency of Canada, European CDC, WHO 発表より 新型インフルエンザ A(H1N1) メキシコでの発生状況 日別グラフ 2009年6月9日 現在 確定 総計 6241例 不要不急の活動の自粛を延期 学校閉鎖 学校再開 400 No. of Confirmed Cases 400 385 350 309 290 300 270 262 250 224 217 221 214 199 201 200 186 176 150 148 流行警戒発令 128 127 122 100 168 158 126 112 92 90 76 50 77 31 8 4 8 6 7 7 3 3 1 3 4 1 0 0 0 1 1 2 1 1 1 1 2 2 4 3 2 0 2 3 5 3 2 85 76 22 15 14 10 1014 71 75 69 65 61 59 59 52 50 41 3637 31 33 29 25 20 8 16 4 0 Day CHOTANI © 2009. Secretaria de Salud, Mexicoより 豚インフルエンザ A(H1N1) メキシコにおける感染確定者数 年齢別 2009年6月9日 現在 No. Confirmed Cases 確定 総計 6241例 2000 1800 1600 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 1776 1720 1191 638 476 273 127 0-9 10-19 20-29 30-39 40-49 50-59 60+ 40 NA Age Group CHOTANI © 2009. Secretaria de Salud, Mexicoより 新型インフルエンザ A(H1N1) メキシコの確定例と死亡例 年齢グループ別 2009年6月9日 現在 Male: 48.1% 確定 総計 6241例 死亡 108例 Fem ale: 51.9% Deaths 16 % 100 71.3% Deaths No. of Deaths 80 12 70 10 60 8 50 40 6 30 4 12 2 2.8 3.7 6.5 12 9.3 20 13.9 7.4 3.7 8.3 8.3 5.6 1.9 0.9 0 0.9 1.9 Case-Fatality (%) 90 14 10 0 >75 70-74 65-69 60-64 55-59 50-54 45-49 40-44 35-39 30-34 25-29 20-24 15-19 10-14 5-9 1-4 <1 Age Group *NOTE: 確定43例は含まれていない。 CHOTANI © 2009. Secretaria de Salud, Mexicoより 新型インフルエンザ A(H1N1) メキシコの確定例と死亡例 職業別 House Bound 22 Independent Worker 15 Private Sector Worker 13 Student 8 Tradesmen 5 Minor 5 死亡80例の内訳 Professional 4 Pubic Sector Worker 3 Unemployed 3 Retired 2 0 5 10 15 Deaths CHOTANI © 2009. 20 25 la ba A Ala ma rk s a k A ns a C ri z as al o C Coifor na on lo n n ra i a D ec do el tic aw u Fl ar t G ori e eo d H rg a aw i a Id ai i Il l ah In in o o di is an K Io wa a K n a e Lo n tusas ui ck s y M as M M ian sa a ai a ch ryl ne a M us nd M ichetts M in n i g is e an si so M ssi ta i p M sso pi on u N r N ew eb r tan i a H N sk a N am eva a e p N w J sh da ew e i r e N N M rse or e ex y N th Cw Yi co or a o th ro rk D lin ak a o O kl O ta Pe ah h io O o R nns re ma h So o y go u d e lva n So th Is n ia u t Ca lan r Te h D o li d nn ak n a es o ta Tesee x Ve U as r ta W as W Vi mo h hi as rg n t W n g hin i nia es to gt t n, o W Vir D. n i s gi C. co n PuWy n s ia er om i n to in R g ic o A No. of Confirmed Cases 新型インフルエンザ A(H1N1) 米国の確定例と死亡例 州別 2009年6月11日東部時間午後12時半現在 確定例 総計 13217例 死亡27例 50州とDC、プエルトリコ 2500 2217 2000 5 1500 CHOTANI © 2009. 547 500 94 75 3 9 142 247 115 33 16 1670 3 1357 973 8 1000 4 858 1 787 395 173 92 92 96134 298 89 17 128 148 108 60 82 40 46 15 64 1 30 23 35 1 1 461 2 93167 104 18 60 10 577 299 9 55 1 24 6 25 1 0 US States Source: CDC 新型インフルエンザ A(H1N1) MMRW Report, April 28 • MMWR, April 28, 2009 / 58(Dispatch);1-3 • 64名の患者のうち、年齢の判明した47例(3-81歳)では、年 齢中央値は16歳 • 38 例(81%) は18歳未満 • 男性 51% • 発症日が判明している25例では、発症日は3月28日から4月 25日間に分布している。 • 入院したのは5名。 • 海外渡航歴の判明した14名のうち3名がメキシコ • 47名中40名(85%) は渡航歴・他の確定者接触のいずれもな い。 CHOTANI © 2009. Source: CDC. http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm58d0428a2.htm 新型インフルエンザ A(H1N1) MMRW Report, April 30 MMWR, April 30, 2009 / 58(Dispatch);1-3 • • • • • • • • • ニューヨーク市A高校 • 生徒数 2,686名、 教職員 228 名 4月22日から23日にかけ、222名の生徒が体調不良で養護室を訪れ、学校を休んだ。 市保健所は、症状のあるすべての生徒から鼻腔咽頭スワブを採取。 4月24日(金)、市保健所は、学校看護師が発見した新たに症状が出た5人の生徒と、近医で症 状ありと報告のあった4人の生徒から鼻腔咽頭スワブを採取した。 4月27日 学校閉鎖 市保健所は、A高校近辺のいくつかのクリニックに鼻腔咽頭スワブのセットを配布した。 4月26,27日には、24日に採取した検体24のうち9から新型インフルエンザを検出。 4月26-18日の間に、42中37の検体 (88%) が陽性反応を示し、合計44が新型インフルエンザ確 定。 4月27日、市保健所は44人の感染した生徒に電話調査 • 年齢中央値15歳 (14-21歳) • 21歳のスチューデントティーチャーを除き、感染者はすべて生徒 • 44人中31人(70%)は女生徒 • 30人(68%)はノンヒスパニックの白人、7人(16%)はヒスパニック、2名(5%)はノンヒスパニック の黒人、5人(11%)はその他の人種であった。 • 発症までの1週間の行動では、4人はニューヨーク市外の米国内を、1名はArubaを 旅行し ていた。感染した44名のうち誰も最近カリフォルニア、テキサス、メキシコを旅行してはいな かった。 CHOTANI © 2009. Source: CDC. http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm58d0428a2.htm 新型インフルエンザ A(H1N1) MMRW Report, April 30 MMWR, April 30, 2009 / 58(Dispatch);1-3 • 発症日 4月20日から24日 • 10 例(23%) は4月22日、28例(64%)は 月22日に発症。 • 最高体温が報告された35名では、最高 体温は37.2-40.0℃で、平均は39.0℃ で あった。 • 42 (95%) 名の患者で、発熱に加え、咳 または咽頭痛があり、CDCの定義するイ ンフルエンザ様症状ILIであった。 • 4月27日のインタビュー時には、37名 (84%) は症状が変わらないか改善してい ると答えた。3名(7%) は悪化していると 答えた(そのうち2名はその後の調査で改 善していると返答)。4名(9%) は症状が 全快したと述べていた。 • 1名のみ、失神のため入院したが、一夜 経過観察をして退院している。 CHOTANI © 2009. 症状 症例数 (n=44) % 咳 43 98% 発熱 42 96% 倦怠感 39 89% 頭痛 36 82% 咽頭痛 36 82% 鼻水 36 82% 悪寒 35 80% 筋肉痛 35 80% 吐き気 24 55% 腹痛 22 50% 下痢 21 48% 息切れ 21 48% 関節痛 20 46% Source: CDC. http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm58d0428a2.htm 新型インフルエンザ A(H1N1) カナダにおける確定例 地域別 2009年6月11日 午後3 時 (EDT)現在 2 1800 1562 1200 1 611 600 1 151 195 221 56 2 78 3 1 2 96 0 Nunavut Northwest Territories Yukon Newfoundland Prince Eward Island Nova Scotia New Brunswick Quebec Ontario Manitoba Saskatchewan Alberta British Columbia No. of Confirmed Cases & Deaths 確定例合計 2,978例、 うち死亡4例 13州のうち12州 Province or Territory CHOTANI © 2009. Public Health Agency of Canadaより 新型インフルエンザ A(H1N1) EU および EFTA諸国での感染確定例 国内感染 2009年4月27日-6月11日 1700 (CEST)現在 確定例合計 1565例、 死亡例なし 26カ国 国内感染567例 In-Country Transmission 900 822 600 380 357 300 21 7 56 4 3 12 1 4 1 23 4 13 1 7 1 2 19 18 4 11 6 3 1 United Kingdom Switzerland Sweden Spain Slovakia Romania Portugal Poland Norway Netherlands Luxembourg Italy Ireland Iceland Hungry Greece Denmark 8 Germany Czech Rep. 4 2 4 France 10 2 Finland 4 Estonia 1 Cyprus Belgium 2 Bulgaria 0 7 1 14 4 127 90 71 Austria No. of Confirmed Cases & In-Country Transmission Confirmed cases Country CHOTANI © 2009. Source: ECDC 新型インフルエンザ A(H1N1) EU および EFTA諸国での発生状況 日別グラフ 2009年4月27日~6月11日 (17-00 CEST) 1,565例の内訳 Number of Confirmed Cases Days CHOTANI © 2009. Source: ECDC 豚インフルエンザ A(H1N1) EU および EFTA諸国における感染確定者数 年齢別 4月27日~5月8日 46例 25 23 Confirmed Cases 20 15 10 7 6 5 5 3 2 0 0-9 10-19 20-29 30-39 40-49 50-59 Age Group (Years) CHOTANI © 2009. Source: ECDC 新型インフルエンザ A(H1N1) 確定例 国別 2009年6月11日 28,774 例 うち144例 74カ国 27 108 4 2 1 1 1 台湾では新型インフルエンザA(H1N1)の確定例36例(死亡なし)が報告されている。台湾からの報告も上の図に含んでいる。. CHOTANI © 2009. 各国当局発表に基づいた、新型インフルエンザA(H1N1)の確定お よび疑い患者の分布状況 2009年6月11日 (14:00 GMT) CHOTANI © 2009. Source: WHO 新型インフルエンザA(H1N1) 米国における症例定義 • 新型インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染の確定例とは、発熱を伴う急性 呼吸器症状のある患者で、CDCによる以下の検査のいずれかまたは両方に より 新型 インフルエンザA(H1N1)ウイルスが確認されたものをいう。 • リアルタイムRT-PCR • ウイルス培養 • 新型インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染の可能性例とは、発熱を伴う急性 呼吸器症状のある患者で、以下のいずれかを満たすものをいう。 • A型インフルエンザ陽性であるが、RT-PVRでH1またはH3が陰性とされたもの、 または: • 迅速検査または免疫蛍光抗体法(IFA)によりA 型インフルエンザ陽性とされ、か つ疑い例の条件を満たしているもの。 • 新型インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染の疑い例とは、発熱を伴う急性呼 吸器症状のある患者で、以下のいずれかに該当するものをいう。 • 新型インフルエンザA(H1N1)陽性確定患者と濃厚接触後7日以内に発症したも の、または: • 1例以上の確定例がある米国内の地域または他国の地域に旅行後7日以内に発 症したもの、または: • 1例以上の新型インフルエンザ確定例が報告された地域に住んでいる者。 CHOTANI © 2009. Source: CDC 新型インフルエンザA(H1N1) 米国における症例定義 • 確定例の「感染可能期間」は、発症前1日から発症後7日までと定義 される。 • 「濃厚接触」とは、感染可能期間中の確定例または疑い例とされた患者 から約2メートル以内の距離にいた者をいう。 • 「急性呼吸器症状」とは、以下の症状のうち2つ以上が急激に現れることを いう: 水、または鼻づまり、咽頭痛、咳(発熱または熱っぽさの有無は問わない) • 「ハイリスクグループ」:新型インフルエンザA(H1N1)により合併症を起こ す可能性が高い人は、季節性インフルエンザの場合と同様である。 (Reference参照) CHOTANI © 2009. Source: CDC 新型インフルエンザA(H1N1) 臨床医向けガイドライン • 発熱を伴う呼吸器症状のある患者で、以下の場合には新型イ ンフルエンザウイルスの感染を疑うべきである: • 豚インフルエンザA(H1N1)の感染患者が確認された地域に住んでいる 者、または • 豚インフルエンザA(H1N1)の感染者が確認された地域への旅行から帰 ってきた者、または • 上記の地域から来た患者に接触した後、7日以内に発症した者。 • 豚インフルエンザが疑われた場合、検査のために患者から鼻 腔咽頭スワブを採取し検体は冷蔵保存する(冷凍不可) • 採取後は州保健局または地元保健所に連絡し、検体の輸送と州保健 局における迅速な診断を依頼する。 CHOTANI © 2009. Source: CDC 新型インフルエンザA(H1N1) 臨床医向けガイドライン • 症状および兆候 • インフルエンザ様症状(ILI) • 発熱、咳嗽、咽頭痛、鼻汁、頭痛、筋肉痛。嘔吐と下痢がみられ ることもある。(今回の豚インフルエンザ症例は2009年3月下旬 から4月中旬の間に発症している) • 入院加療を必要とする重症呼吸器症状を呈した患者(死 亡例含む)がメキシコで報告されている • 新型インフルエンザウイルス感染によって慢性的基礎疾患が悪 化した可能性、または侵襲性の細菌感染が起こった可能性が考 えられる • 豚インフルエンザA(H1N1)の確定例または疑い例で入院加 療を必要としない患者は、少なくとも発症後7日間は診察時 以外家から出ない(自主的隔離)ことが推奨される CHOTANI © 2009. Source: CDC 新型インフルエンザA(H1N1) 臨床医向けガイドライン FDAが抗ウイルス薬の緊急使用許可(EUA) • 2009年4月27日、米国食品医薬品局(FDA)は、新型インフルエンザ流 行に対応するため、米国疾病予防センター(CDC)からの要請に基づい て緊急使用許可(EUA)を出した • EUAが出された理由のひとつは、2009年4月26日に米国保健福祉省 (HHS)が公衆衛生緊急事態を宣言したためである • 今回のEUAにより下記対応が可能に: • タミフル: 1歳未満の乳児に対し、治療もしくは予防用としてタミフルを使用 することが可能になり、それに伴い1歳以上の幼児に対する推奨投与量が変 更された。現在タミフルは1歳以上の幼児のインフルエンザ治療および予防 用として認可されている。 • タミフルおよびリレンザ: これらの抗ウイルス薬をできるだけ多人数に行き 渡らせるべく、通常処方薬に適用されるラベリング条件を満たしていない状 態で配布することと、緊急時の使用についての情報を記載することが可能に なった CHOTANI © 2009. Source: FDA 新型インフルエンザ A(H1N1) 検査室勤務員向け バイオセーフティーガラインイド • 新型インフルエンザA (H1N1)感染が疑われる患者から採取した生体材 料を用いた診断業務は、BSL-2検査室で実施すべきである。 • すべての検体はバイオセーフティーキャビネット(BSC) で取り扱わねばならな い • 新型インフルエンザA (H1N1)感染が疑われる患者から採取した生体材 料からウイルスを分離する作業は、 BSL-2検査室において、BSL-3の手 技を用いて行うべきである(enhanced BSL-2 conditions) • 追加予防策は以下のものを含む: • • • • • • • 推奨される個人用防護具 (施設ごとのリスク評価に基づく) 呼吸器防護 – フィッティングテスト済みのN95 マスクまたはそれ以上のもの 靴カバー 前閉じの ガウン 二重手袋 眼球防護 (ゴーグルまたはフェイスシールド) 廃棄手段 • あらゆる廃棄物の処理方法は当該施設の運用規定に従って行うこと CHOTANI © 2009. Source: CDC 新型インフルエンザ A(H1N1) 検査室勤務員向け バイオセーフティーガイドライン • 適切な消毒剤 • 70 パーセント アルコール • 5 パーセント リゾール • 10パーセント 漂白剤 • すべての勤務員は体温と症状の有無について自己チェック しなくてはならない。新型インフルエンザの症状には、下痢、 頭痛、鼻水、筋肉痛も含まれる。 • なんらかの体調不良の際にはただちに上司に報告しなくて はならない。 • 無防備あるいは個人用防護具に明らかな破損がある状態で、 新型インフルエンザA (H1N1)が確定した患者からの生の検 体や生ウイルスに曝露した場合、抗ウイルス剤のザナミビ ルあるいはオセルタミビルの予防的投与を、曝露から7日間 実施することを考慮する。 CHOTANI © 2009. Source: CDC 新型インフルエンザ A(H1N1) 検査室勤務員向け バイオセーフティーガイドライン FDAは診断機器の緊急時使用を認可した。 • 2009年7月27日、豚インフルエンザの流行に際してのCenters for Disease Control and Prevention (CDC) の求めに応じ、米国Administration (FDA) は、診断機器の緊急時の使用許可EUAsをだした。 • EUAs が出された理由のひとつは、米国保健省U.S. Department of Health and Human Services (HHS)が公衆衛生上の緊急事態 public health emergency を2009年4月26日に宣言したことである。 • 今回の新型インフルエンザの EUAs は以下のもの: • 診断装置: CDCがrRT-PCR Swine Flu Panel diagnostic を配布すること。その 対象となるのは結果を判読できる装置と人材を保有した、公衆衛生および条 件を満たした検査機関である。 CHOTANI © 2009. Source: CDC 新型インフルエンザ A(H1N1) 一般向けガイドライン • 咳、くしゃみするときはティッシュで口と鼻を覆 うこと • 使用済みティッシュはゴミ箱に捨てる。 • 石鹸と水で手を洗うこと • 特に咳、くしゃみのあと • • • • アルコール消毒液で手を洗うこと 病人との濃厚接触を避けること 洗っていない手で、眼、鼻、口を触らないこと。 インフルエンザにかかったら、出勤や登校をせ ずに自宅に残り、他の人にうつさないように接 触を制限すること。 CHOTANI © 2009. 新型インフルエンザ A(H1N1) 治療 • 入手可能なワクチンはない • 感染の治療・予防に用いる抗インフルエンザ薬: • • オセルタミビル(タミフル) または ザナミビル (リレンザ) • 抗インフルエンザ薬の使用により、症状が軽度になり、早期回復が可能である。 • また、抗インフルエンザ薬でインフルエンザの合併症を抑制する可能性もある。 • 抗インフルエンザ薬を治療に用いる場合は、発症してから早期(症状出現から2 日以内)に投薬を開始すると効果が高い。 • 警告! アスピリン(アセチルサリチル酸)またはアスピリンを含んだ製品( 例: 米国の胃腸薬Pepto Bismol)を、新型インフルエンザA(H1N1)の感染が確定また は疑われる小児または18歳以下の若年者に投与してはならない。ライ症候群と いう、まれではあるが深刻な副作用の恐れがある。解熱のためには、アセトアミ ノフェンや非ステロイド性抗炎症薬を用いることが推奨される。 CHOTANI © 2009. Source: CDC 新型インフルエンザ A(H1N1) 治療 オセルタミビル(タミフル) 治療 予防 ザナミビル (リレンザ) 治療 予防 成人 75 mg カプセル 1日2回 x 5日 75 mgカプセル 1日1回 5 mg の吸入を2回 (合計 10 mg ) 1日2回 5 mg の吸入を2回 (合計 10 mg ) 1日1回 小児 体重15 kg以下 1日量 60 mg 2回に分けて 1日量 1回 30 mg 15–23 kg: 1日量 90 mg 2回に分けて 1日量 1回 45 mg 5 mg の吸入を2回 (合計 10 mg ) 1日2回 7歳以上 5 mg の吸入を2回 (合計 10 mg ) 1日1回 5歳以上 24–40 kg: 1日量 120 mg 2回に分けて 1日量 1回 60 mg 1日量 1回 75 mg 40 kg以上: 1日量 150 mg 2回に分けて 1歳未満にオセルタミビルを投与する場合の推奨量 治療目的(5日分) 3ヶ月未満:12mg 1日2回、 3-5ヶ月: 20mg 1日2回、 6-11ヶ月: 25mg 1日2回 予防目的(10日分) 3ヶ月未満:投与データが少ないため、危機的な場合を除き推奨しない 3-5ヶ月: 20mg 1日1回、 6-11ヶ月: 25mg 1日1回 CHOTANI © 2009. Source: CDC 新型インフルエンザ A(H1N1) その他の防御対策 分離・隔離・ 社会的距離戦略 • 分離 Isolation: 症状のある患者を、自宅または病院にて隔離し、他 人に感染させないようにすることのみをいう。 • 隔離 Quarantine: 感染した可能性のある無症状の者を社会から遠 ざけておくことをいう。 • 社会距離戦略 Social-Distancing: 隔離の一手段として用いられてき たもので、学校閉鎖、集会の禁止などにより、接触の機会を減らすこ とをいう。 CHOTANI © 2009. Source: CDC 新型インフルエンザ A(H1N1) その他の防御対策 エアロゾルが発生する作業に従事する者 • CDCの暫定ガイドライン: • 新型インフルエンザが確定または疑われる患者に関し、エアロゾルが 発生する作業(例: 臨床検査検体の採取、気管内挿管、ネブライザ ー、気管支鏡、緊急挿管を含む心肺蘇生など) に従事する者は、フィ ッティングテスト済みのN95マスクを使用すべきである。 • ウイルスの感染様式がはっきりするまでは、新型インフルエンザが確 定または疑われる患者を直接ケアする者は、患者の病室に入るとき には フィッティングテスト済みのN95マスクを着用するべきである。 • Occupational Safety and Health Administration (OSHA、労働安全衛 生局)の規定に準拠した呼吸器防護プログラムによりマスクを適切に 使用しなくてはならない。 CHOTANI © 2009. Source: CDC 新型インフルエンザ A(H1N1) その他の防御対策 医療機関における患者の感染コントロール • 新型インフルエンザが確定または疑われる患者は、ドアが閉じた個室に 入室させねばならない。可能であれば、1時間で6回から12回の換気が可 能な陰圧の感染症病室がよい。換気は直接外部かもしくはHEPAフィルタ ーを通したのちに再循環させる。吸引、気管支鏡、挿管は、陰圧室で行う こと。 • 患者は、病室を出るときにはマスクを着用すること。 また、 手洗いの励 行、咳エチケットを遵守するようにしなければならない。患者の使用する コップ等は、他人が使用する前に石鹸と水で洗わねばならない。季節性 インフルエンザの際に取られる環境衛生の行動を新型インフルエンザで も適用すること。 CHOTANI © 2009. Source: CDC 新型インフルエンザ A(H1N1) その他の防御対策 医療機関における患者の感染防止 • 飛沫と接触による感染防止の標準予防策を遵守すること。 これは発症 から7日間もしくは症状が消退するまで、あらゆる患者管理の際に実行す べきである。手袋その他の用具をはずしたときや、あらゆる呼吸分泌物と の接触をしたら直ちに、 石鹸と水で洗浄するか消毒剤を用いて手を消毒 する。 • 確定または疑い患者のケアを担当するあるいはその生体検査材料を取 り扱う者は 使い捨て手袋、ガウンおよび眼球保護ゴーグル(結膜への曝 露を避ける)を着用しなくてはならない。 CHOTANI © 2009. Source: CDC 保護マスクのタイプ • サージカルマスク • • 高機能フィルター 呼吸マスク • • • • • • CHOTANI © 2009. 手に入りやすく一般に日常的に外科や手術において用いられる。 0.3ミクロン以上の大きさの粒子を追い払う特殊 微細構造フィルターディスク . これらのマスクは更に細分化される: • 防油性 • 耐油性 • 耐油性がないもの 耐油性が高いマスクほどよい マスクには横にナンバーが打たれており、 それはろ過効率を示している. 例えば N95マスクは 0.3 ミクロン以上の大きさの粒子の正常な範囲の呼吸において 95% のろ過効率を備える。 次世代のマスクはナノテクノロジーを 用いて 0.027ミクロンの小ささの粒子を防 御できる。 まとめ • • • • • WHO は、2009年6月11日、警戒レベルをフェーズ6に引き上げた。 メキシコ (1.73%)、米国 (0.20%)、カナダ(0.13%) と症例致死率に大きな差がある。 全世界的 case-fatality症例致死率(28.774症例うち死亡144例) 0.50% 世界で 報告された、入院加療を要したのは 1,500例以下 • 大多数がメキシコにおけるもの 疫学的データ • 米国 • • • • メキシコ • • • • • 症例の大多数は健康な若年成人 死亡した71.3% は20-54歳の若年成人 60歳超は多くの症例において抵抗力があり、残りの年齢層よりも低い症例致死率を示した。 52% 女性; 48% 男性 EU • • • • 中央値は16 歳(範囲: 1-81 歳) 80% 以上の症例は18歳以上 60% 女性; 40% 男性 症例の大多数は健康な若年成人(20-29 歳). 国内感染(36%)が確認されている ワクチンは無効 抗ウィルス薬は使用可能 CHOTANI © 2009. 発生の経緯 ヒトでのA型インフルエンザ 新型ウイルス (豚インフルエンザ) 1976 Ft. Dix 豚インフルエン ザ流行 H1 Avian Influenza H9 H7 H5 H5 H1 H3 H2 H1 1918 1957 1968 1977 スペイン風邪 H1N1 アジア風邪 H2N2 香港風邪 H3N2 ソ連風邪 H1N1 CHOTANI © 2009. 1997 2003 1998/9 2009 教訓 過去のパンデミックから • 1918年3月、ヨーロッパと米国における最初の パンデミック • • • • • 高度の接触伝染性、しかし致命的では無い ヨーロッパ/合衆国間で軍艦で旅したウィルス 陸地、アフリカやアジアへの船旅 危険信号は見落とされた 1918年8月、フランス、シエラ・レオーネ、合衆 国における同時多発的感染勃発 • • 致死率が10倍に 15歳ー35歳の最高致死率 • • • • • 直接的なウィルス性肺炎による死亡、二次的細菌感 染性肺炎による死亡 罹患48時間以内の死亡 豚の重症疾患との一致 1年足らずで2000万-4000万人が死亡 • • サイトカインストーム? 第一次世界大戦ー4年以上で830万人の戦死 世界の25-35%が感染 CHOTANI © 2009. 教訓 過去のパンデミックから • パンデミックは予測不能 • 突然の、医療の必要性の急カーブな増加はいつでも起こ りうる。 特定の世代グループにおける重症化が起こる可能性がパ ンデミックの社会的影響の大きな要因となる。 疫学調査により感染カーブが描ける • • • • 致死率、罹患の重症性、感染パターン • • 当初感染しなかった地域・世代はその後の流行で脆弱 後続派はより重篤な可能性 • 1918- ウィルスがより有害に変異 • 1957 学童が最初の波を拡散させ、第二波で高齢者が 死亡 公衆衛生的介入は、パンデミックを遅らせるとしてもとめる ことは出来ない。 • • • CHOTANI © 2009. 検疫強化、旅行制限は効果がほとんどない • 集団の感受性を変えることは出来ない • オーストラリアへの感染拡大を遅らせることが出来たが 、より性質の穏やかな系統のウイルスには感染した。 集会の一時的禁止、学校閉鎖は、症状が重く致死率が高い 場合には有効である可能性がある。 拡大の遅滞が望まれる • 同時期に発症する人数を減らすことで、医療需要の急 増に対する医療機関の対応能力を改善できる 結論/勧告 1. 過去のパンデミックにおける経験は、我々に第二波は第一波より悪く、死をも たらすことを知らしめた: • • • • • CHOTANI © 2009. 直接的には、ウィルス性肺炎、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、そして二次的な細 菌感染、特に肺炎。 幸いなことに、過去と比較して、現代は、我々は抗ウィルス剤や抗生物質(細菌に よる二次感染を治療)持っている。 困難ではあるが、第二波の出現までには、この株のワクチンを生産できる可能性 がある。 合衆国におけるインフルエンザが原因とされる死者は年間3万5千人以上、入院 患者2万人以上200,000、医療費375億ドル(インフルエンザと肺炎)、さらに100億 ドル以上の生産性損失 過去の経験と現在のH1N1の流行状況(初期の健康被害報告によると現時点では 拡大カーブを描き、メキシコとカナダで急速に拡大している)によると、来たる秋に は、より有毒な第二波の可能性がある。 結論/勧告 2. 現時点において、メキシコ以外で報告されたH1N1を原因とする死亡は4名 である。 • この疾患は、世界に急速に感染拡大しているとはいえ、軽症型である(メキシ コを除く)。 ほとんどの人々はこのウィルスに免疫を持っておらず、そのため感染拡大し続 ける。数日か数週のうちには症例数、入院患者数、死亡例が増加すると予測 される。 疾患はメキシコやEUからの疫学的なデータに基づけば、あらゆる集団の健康 に影響を与えるものと思われる。 60歳代より上の年齢層は、この系統のウイルスに関し、過去に曝露したかあ る種の免疫を獲得したと考えられる抵抗力が示されている。 • • • 3. 地域行政機関における権限の必要性 • • • • CHOTANI © 2009. 疾患やウィルス学上のサーベイランスを向上させる。 多数の重症患者を収容するプランや、もし必要であれば軽症患者の自宅(任 意的な隔離)でのケアを規定するプランを実施。 医療機関はサージ対処能力の向上と厳格な感染予防、コントロールに重点的 に取り組む必要がある。 一般住民は基本的な標準予防策に従う必要がある。 結論/勧告 4. 北半球においては、インフルエンザウィルスの感染は通常5月初旬で収まる。 しかしパンデミックの年(1957)は夏に成人若年層に散発的なアウトブレイク が起こった。 • 5. 可能性として • 今回の流行は、北米ではあと2-4週間のちに収束していく(インフルエンザウィ ルスは高湿度や高温の環境では生き残れない) • 北米においては、高病原性の第二波として秋に再来する • 南半球において流行し、発症させる 国境閉鎖と旅行制限: • CHOTANI © 2009. この疾患は既に国境や大陸を越えている。したがって、国境閉鎖や旅行制限は、 感染拡散の経路を変えはしない。 • 直近の2003年のSARSの経験から、そのような対策が無効であることが明ら かとなった。 • 中国において空港や鉄道駅や街頭で、発熱の有無で、千4百万人の国民が 検疫を受けたが、SARS疑いとして検出されたのは12名に過ぎなかった。 • シンガポールでは50万人近くの搭乗客のスクリーニングを行ったが、SARSの 感染者は発見できなかったと報告している。 • 受動的サーベイランス(兆候となる個々の体調不良の申告)は重要な手段と なり得る。 結論/勧告 6. 学校閉鎖: • • • • 先走った学校閉鎖は、単に病気の感染拡散を遅らせるに過ぎない。 一旦、学校を再開すればすぐに(漠然と閉鎖しておけないので)感染は拡大する。 更に、このことは、独身の働く親たちに耐え難いプレッシャーを与え、経済的に計り 知れない影響を与える(子供を一人にしておけないので) 大規模集団発生が確認されてからの閉鎖は、生徒や教師の長期欠席率が高く、 学校閉鎖を正当化することができる場合には適切であろう。 7. 来年以降のインフルエンザワクチンの開発においては、今回の(北米)の(豚) インフルエンザA型(H1N1)ウィルスワクチン開発に高い優先順位が与えられ るべきである。製造能力が危機的様相であると言われている 8. 「状況が変わった」ことを認識することが肝要である • CHOTANI © 2009. このウイルス系統が非常に急激に世界中に拡大し、感染力が高いように見えても、 現代の我々は、1918年の時代より格段に良い準備ができる。サーベイランス能力、 情報伝達能力、感染対策の知識、抗ウイルス薬、抗生物質そして科学の発達力 等において当時より進歩しており、有効なワクチン製造の資源があるのだから。
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