調査報告書とは 住宅調査報告書 報告書には

「建築士
+
歴史的建造物」
建築士と歴史的建造物の出会で考えられることは、
いろいろ予測されますが、
① 調査報告書が誕生。
② 建物が修復され、保存活用される。
③ 保存活用をとおして、後世に建築技術が伝え
られ、風土が養う建築文化が醸成される。
「建築士と歴史的建造物」の関わり
○興味をもったら、近くの歴史的建造物を探し
てみよう、地図におとしこむ。
○見てみよう・・内観外観を見る、写真を撮る。
類例建物を探してみよう。
○歴史的建造物を、より深く知りたいと思ったら
調査をしてみよう。
○調査は建築士が専門家として歴史的建造物
に関る入り口になる。
○調査の為、各種講習会に参加しスキルUPを。
講習会、勉強会
○座学・・日本建築史、郷土史、近くの民家歴史、
文化財関係法令、木造伝統工法、
修復の進め方、
○現場・・野帳作成、仕様・技法、破損、痕跡調査
聞取、類例調査、写真撮影、
調査(なぜ調査するのか)
1、建物を造った関係者、建物所有者の想いを
十分に計り、建物を記録し敬意を払う。
2、調査を通して歴史的変遷過程を明らかにし、
建築としての特徴や魅力を把握する。
3、上記で得た情報を、所有者にわかりやすく
説明して理解を得る。所有者が将来どう伝え
ていきたいかを十分に理解したうえで、どの
ような継承手法が考えられるか提示し、所有
者とともに基本方針を練り上げる。
調査手順
A,現場調査(作業)
野帳作成
(実測・仕様・破損・痕跡)
類例調査
聞取調査
写真
C,資料調査
学術的史料調査
(郷土資料館等)
B,事務作業
調査組織編成
図面作成
資料整理
報告書編集
調査報告書
A+B+C=成果物とし
て調査報告書が
完成する。
調べ方(野帳から現状図面作成と写真撮影)
1、間取・外観ー平面図、立面図
2、作り方ーーー断面図、伏図、軸組図、
見上図
3、当初の形ーー痕跡図、当初平面図
4、使われ方ーー柱間装置図
5、当初時期ーー類例調査、概要調査
A3野帳(5mm方眼紙)
建物名、住所、調査個所、日付、調査者、番号、
調査成果を報告書にまとめる。
建物調査報告書とは
(類例が少ない)
○□家住宅調査報告書
報告書には
調査報告書(奈良文化財研究所)作成
工事報告書(文化財建造物保存技術協会)作成
上記組織の報告書が、お手本になる
調査報告書は目次で決まる
1、目次構成を、ほぼ決めてから調査に入る
2、目次は1W5H
3、目次構成にそった、調査内容にする
4、目次を決めないで調査に入ると、
報告書作成時に、調査欠落部分が発覚して、
再度調査しなければならないー時間ロス
調査報告書の標準的な構成
1章
2章
3章
4章
5章
6章
調査概要
建物の地域の歴史と調査住宅の家の歴史
建物を具体的に列記
建物の変遷を図面化
調査のまとめ(特徴と価値)
保存・活用策の提言
図版・図面
次に各章を解説します
1章 調査概要
1、調査の目的:指定説明・問題の所在・調査の目的
2、調査方法と内容:実測・技法・資料・絵画・類例・
古写真、写真・資料の調査
3、調査組織:指導調査員・調査員・歴史考察・補助員
指導・監修(価値の向上)
4、報告書作成:報告書担当分野と担当者名
2章 調査建物の地域の歴史と
調査住宅の家の歴史
1、地域の特異な状況:河川・街道・港湾・鉱山・
海産物・米穀地帯・城下町
2、地域の略史:郷土史を参考にする
3、○□家の歴史:家の沿革(商売等の歴史・掛売帳)
建物の沿革(家相図・普請帳)
3章 調査建物を列記する
1、敷地状況:
配置図を言葉で表現する
2、建物構造形式:(桁・梁行・二階建て・切妻・屋根)
3、建物外観:
主屋正面各部分を言葉で表現する
(屋根・庇・外壁)側面・背面
4、間取の構成: XY軸にそって説明
5、建物内観:
各室展開図を言葉で表現する
(破損、痕跡を挿入する)
6、構造:
構造手法・基礎・床組・柱・軸組・
梁組・小屋組・貫
4章 調査建物の変遷
1、○□家の歴史・○□日記・家相図・軸組痕跡図
柱間装置図から変遷図を解明する
2、類例調査:類例調査によって変遷図の確証を得る
5章 調査のまとめ
1、○□家住宅の概要:言葉で伝わるように記述、
2、○□家住宅の建築的特徴と価値:
旧規を伝える建物、洗練された技法、近世町屋
(農家)の代表、周辺環境との深い関り、
6章 保存・活用策
1、活用方法の方向性:(地域計画との整合性)
①住居で非公開、②建物自体の展示、
③関連資料の展示、④集会施設として利用、
⑤情報発信基地として利用
2、公開と管理:①管理体制、②修理のサイクル、
③公開と非公開の時空間対策
3、防災計画:①防火・防犯対策、②耐震・耐風雪計画
図版・図面
1、口絵のカラー写真:主な外観、内観
2、図版・図面一覧:目次の次に、写真・図版・
図面リストを作成する
3、図面:配置図(屋根伏)、各階平面図、梁・桁断面図、
主な立面図、
主屋から付属屋へと続く、