幼児をとりまく環境と保育内容

保育実践に科学あそびを生かそう
2007年8月21日(火)
豊中市私立幼稚園連合会
夏期集中研修会 研修3
瀧川 光治(樟蔭東女子短期大学)
1
1.「科学あそび」とは?
 子どもの好奇心や探索心・探求心をくすぐる
(誘発する)ような遊び
 ↓ くすぐられる、誘発される ↓
 子どもの探索的な活動・探求的な活動が引き
出される
2
紙コプターを作ってみよう
 好奇心のイメージづくり
 色紙、両面色紙、画用紙で
素材研究
大きさや色を変えてみる。
 何度もためす(上から落
としてみる)
教材研究
子どもの興味・発達に
照らして、どのように
活動を展開していくか
見通しを検討する
 高いところから飛ばしてみ
る。
 羽の長さを変えてみる(短
くしてみる)と、落ちる速さ
と、回転スピードが変わる
のはどうして?
3
ペットボトルに、
丸めた紙筒を入
れて遊ぶの。
1歳2か月頃
空き箱に手を入
れたり、出したり。
1歳1か月頃
4歳児(年中) 2月
砂山、トンネルを協同で作って、
「やってみるよぉ」
「あっ、こうやったらおもしろい」
という探索活動
このカプラ、もっと高く
していこうよ。
どこまでできるかな。
5歳児(年長)、11月
ビー玉ころがしの
レールを、もっと面
白くしようよ。
(1)好奇心が土台となって、「探索的な活
動」を育てることが、「協同的な探求活動」
につながる
幼小接続の観点では、
「協同的な学び」が重要
協同的な探索活動・探求活動
探求的な行動・活動 / 探求心
探索的な行動・活動 / 探索心
好 奇 心
0歳
1歳
2歳
3歳
4歳
5歳
6歳
小学校
7
(2)発達に合わせた大きな意味
でのねらい
さわる、試す、くりかえす
1歳児
探索的な活動を
引き出す
2歳児
探索的な活動の幅を
広げる
さわる、試す、くりかえす、
意識的に試してみる
探索的な活動から
探求的な活動への橋渡し
(探すから探るへ)
さわる、試す、くりかえす、
意識的に試してみる、
みてみて(自分のやってい
ることの共感を得る)
3歳児
8
協同的な探索
4歳児
活動・探求活動
へ
さわる、試す、くりかえす、
意識的に試してみる、
みてみて(自分のやっていることの共
感を得る)、
みつけたよ(自分の発見の共有)
さわる、試す、くりかえす、
意識的に試してみる、
みてみて(自分のやっていることの共
協同的な探究活動
感を得る)、
5歳児
を深める
みつけたよ(自分の発見の共有)、
ふしぎ(=疑問を持つこと、共有する
こと)から問題解決へ(?→!へ)
糸電話
 長さを変える、素材を変える、
遊び方を変える
糸が抜けないように
する工夫
 糸をながくすると、どこまでいけ
る?
 つり糸や針金に変えてみたらど
うなる?
 牛乳パックやダンボール箱など
ほかのものは?
 3人で糸電話あそびをしてみよ
う(糸の先にクリップをつけて
引っかけられるようにする)。
 つり糸や針金に変えて
みたらどうなる?
 牛乳パックやダンボー
ル箱などほかのもの
は?
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たきがわこうじ・こまだけんいち
『もしもしモモン』シーエムシー出版
物語の中に
科学的な内容を
盛り込んだ、
糸電話に関する
科学絵本
良かったら、クラ
スに1冊、買っ
てください。
m(__)m
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3.「好奇心」とは?
 ○ 「おもしろそう!」「知りたい!」「やりた
い!」「私も試してみたい!」という欲求。
 ○ 「好奇心がくすぐられること」が出発点と
なって,子どもは身の回りの自然や社会的
事象について多くの知識を獲得していく。
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○ 好奇心のあらわれ
 ・じーっと見ている
 → 目的意識を持ったまなざしがある
 ・繰り返している
 → 何度も試して確かめている行動
 ・喜んでそのことに取り組んでいる様子が見ら
れる
 → そのことを楽しめている(満足感・充実
感)
13
小石を拾って
は、落とし
て・・・。
このような
好奇心のあらわれ、
あなたのクラスにも
あるのでは?
1歳8か月頃
1歳5か月頃
ぞうさんのじょうろ
から、水がジャ~ッ
って、でるの。
4.探索的な活動・探求的な活動とは
対象に対する
興味・好奇心
探索活動
探求活動
対
象
子ども
環 境
とくに、対象に対して「?」(なにか
な? どこかな? なんで? ふし
ぎだな?の気持ちを持って、かか
わっている(=目的意識・問題意
識を持っている状態)
探
探す(さがす)
探る(さぐる)
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・意識的に試す
・意識的に見る
・予想を確かめる
ようなかかわり方
好奇心
目的意識・問題意識
かかわる
子ども
目的意識・問題意識の
「?」の答えが戻ってくる
応答がある
対
象
探索活動
探求活動
○ 探索も探求も「?」→「!」の過程としてとらえる
○ 知的な面と情動的・意欲的な面を一体としてと
らえる。
ストローの吹き矢
~問題解決の経験~
 遠くに飛ばすには、どうす
ればよいか。遊び方を広げ
る。息(空気)の力を知る。
 ストロー1本に、綿棒
を入れるとき、口元と
先っぽのどちらに入
れた方がよく飛ぶ
か?
 ストローを2本つない
でみたら、どうなる
か?
 同じ原理で説明でき
るものはないか?
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ブーブー紙コップで
音の振動を体感してみよう。
 糸電話では、幼児にとって「紙コップが振動する(ブル
ブルふるえる)」ということがわかりにくい
 糸電話の活動と直接的につなぐよりも、「音」や「手作
り楽器」などのテーマとのつながりがよい。
トイレットペー
お弁当のおか
パーやサランラッ
ず包みのアル
プの芯や、穴あき
ミホイル(丸型)
紙コップ(紙コップ
や、他の丸い
の底をくりぬく)な
素材(サラン
ど
ラップ、薄い紙
筒をかぶせるように、セロテープでとめる
(空気漏れがないように!)
など)
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5.具体的な例
 探求活動/科学する心といっても、科学の原
理や法則性を発見することだけに一生懸命に
ならないで、遊びをどう広げるかという視点を
持つことが大事。
 小学校教育につながっていく「芽生え」を大事
にする。
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○やじろべえ、
ゆらゆらシーソー人形
 おもりのはたらきを知る
 → ゆらゆら上手にゆ
れるものを作るには、ど
うすればよいか。
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○ 起き上がりこぼし
(紙コップ+がちゃがちゃの空き容器
+おもり)
 がちゃがちゃの空き容器の底
(内部)に粘土でおもりをつける、
そして、そこに紙コップをくっつけ
ると起き上がりこぼしができる。
 起き上がりこぼしの原理は、日
常のいろいろなものに使われて
いる。
 別の素材で、起き上がりこぼし
を作ってみよう。(例:セロテー
プの芯の一部に粘土のおもりを
つける)
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6.数日~数週間・数か月続く活動の
例
遊びが継続する=
遊びがおもしろい
魅力的である
次への展開が見通せる
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(1)自然を深く知るためのツール
を使って探索・探求してみよう
 トイレットペーパーの芯めがね・・・トイレットペー
パーの芯を2つ双眼鏡みたいにくっつける。
 のぞきこむことが視野が狭くなるが、特定のもの
を集中して見ることができるようになる。
 探検家になったつもりで、いろいろなものを探し
に行こう。
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虫眼鏡
 拡大して見えることの面白さ。深く見る。
 草花や虫、土などの自然のものを、虫眼鏡
を通して拡大してみる。
 虫眼鏡で、探偵になったように、いろいろな
ものを拡大してみる。絵本の絵や図鑑の写
真、自分の手や髪の毛、服の布地、保育室
の中にあるいろいろなものなど。
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ペットボトルで雨水量はかり
 大雨のときと、小雨のとき、どのくらい雨の量に違い
があるのだろう?
 登園してから降園までの数時間で、雨はどのくらいた
まるのだろうか?
 雨をたくさん貯めるには、園内のどこにいけばよいだ
ろう?
 → 雨どいの役割の発見
 たまった雨を有効利用するには?
 → 雨水をためて利用することから環境問題の意
識の芽生え
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年長あたりの協同的な探求活動
 試行錯誤しながら、問
題解決していく。
 対話のプロセスが大事
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筒電話(つつでんわ)
階段の下までつなげて行こうよ。
テーマを持って行う継続的な活動
 「光のふしぎ」「風を
感じる」「いろいろな
音をさがそう」「水に
浮くもの沈むものを
みつけよう」「春(夏・
秋・冬)探しをしよう」
「環境マップ」など
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