遺伝子の解析 第2弾 DNAシークエンス法 DNAシークエンス (ABI PRISM310を用いて遺伝子の配列を読む) 原理 オートシークエンサー(ABI PRISM310)の反応では合成 されるDNAを蛍光物質で標識します。 その標識されたDNAを電気泳動し、泳動中にレーザー光を当て励起光を 自動で検出し、コンピューターで解析します。 ABI PRISM310について ABI PRISM310でのシークエンス反応はサイクルシークエンス法とよ ばれる方法で行っています。まず、PCR反応でA,G,C,Tそれぞれに、励 起する波長が異なる4種類の蛍光色素をddNTPにつける方法(Dye Terminator法)を用い、その標識されたDNAフラグメントを内径50μm のキャピラリー管のなかで電気泳動を行いA,G,C,Tそれぞれの蛍光を CCDカメラで検出し、塩基配列を読むことができます。 ~DNAシークエンスの流れ~ PCRにて目的のDNA量を増やす。(同時に蛍光標識も行 う) エタノール沈殿にて目的DNAの分離・精製 オートシークエンサーにて目的DNAの塩基配列の読 み取り デオキシヌクレオチド(dNTP)と ジデオキシヌクレオチド(ddNTP) 塩 基 P OH デオキシヌクレオチド(dNTP) 塩 基 P H ジデオキシヌクレオチド(ddNTP) dNTPとddNTPはPCR法でそれぞれDNAの構成単位として利用されま す。違いは3´の位置の水酸基が水素基になっていることです。Nには A,T,G,Cの4種類の塩基が当てはまります。 dNTPとddNTPの伸長反応の違い P OH P P P OH P P P 5´末端 5´末端 G A C T 3´末端 A G T T G A A T C T T dATPが 反応した場合 3´末端 A G 続く 3´末端 P P P P P H P P P P P P P 5´末端 ddATPが 反応した場合 A G A A T C T T G 3´末端 P P P P 伸長反応はStop dNTPとddNTPが一緒にあるときに PCR反応をすると・・・・ dNTPをA,T,G,Cとし、ddNTPをA*,T*,G*,C*とする テンプレートDNA 5´ 3´ ACGTACG TGCATGC 3´ 5´ PCR反応 5´ 3´ A* TGCATGC 5´ 5´ 3´ ACG* TGCATGC 5´ 5´ 3´ ACGTACG* TGCATGC 5´ 5´ 3´ ACGT* TGCATGC 5´ A*,T*,G*,C*が取り込まれると、そこで伸長反応が停止するので いろいろな長さ(分子量)のDNA断片が作られる Dye Terminator法 蛍光色素 ddNTPの4種類の塩基 (A,T,G,C)それぞれに異なっ た蛍光色素を標識することで 4種類のddNTPを見分けるこ とができる。 塩 基 P H A P H T P H G P H C P H 蛍光色素で標識することで・・・・・ 5´ 3´ ACA* TGTATGC 5´ 5´ 3´ ACT* TGAATGC 5´ ほぼ同じ長さ(分子量)だが これら4種類のDNAを 5´ 3´ ACG* TGCATGC 5´ 5´ 3´ ACC* TGGATGC 5´ 区別することができる ゲル電気泳動の分子ふるい効果 DNAは負電荷を持つ高分子なので全て+極へ進みます。DNAの分 子量が小さいほど(短いほど)ゲルマトリックスとのふるわれ方が少な く、進みやすくなります。このように一定時間泳動すると分子量の差に よってDNAが分離されることを分子ふるい効果といいます。 ゲルマトリックス 高分子DNA 低分子DNA + - Ex)塩基配列を知りたい(水色部分が知りたい部分)DNA 5´ 3´ ACGTACG TGCATGC 3´ 5´ Dye Terminator法を利 用してPCRをすると 出来上がったDNA断片 プライマー 5´ 3´ 5´ 3´ ACGT* TGCATGC ACGTA* TGCATGC 5´ 3´ ACGTAC* TGCATGC 5´ 3´ 5´ 3´ 5´ 5´ AC* TGCATGC 5´ 3´ 5´ ACGTACG* TGCATGC A* TGCATGC 5´ 3´ 5´ 5´ 5´ ACG* TGCATGC 5´ PCRで作られたDNA断片をポリマーを充填した(ゲルと同 様)キャピラリー管の中で電気泳動をすると 5´ ACGTACG* 5´ ACGTAC* 5´ 5´ 5´ 5´ 5´ ACGTA* ACGT* ACG* AC* A* - 分子ふるい効果 により短い断片 が早く+極側へ 移動する + 蛍光のついた塩基を早く+極側についた順に並べると ACGTACG 5´ 3´ ACGTACG TGCATGC 5´ よって知りたかった塩基配列はACGTACGとなる 参考文献 改訂遺伝子工学実験ノート 羊土社 バイオ実験超基本Q&A 羊土社 実際のシークエンス結果(一部抜粋)
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