法人化・指定管理者制度化の前と後 --- 和歌山大学で10年勤めた者から見て --- 富田晃彦 Tomita Akihiko (和歌山大学教育学部) 日本天文学会2007年秋期年会(於岐阜大学) 天文教育フォーラム、2007年9月26日 富田はこの課題に対してどんな者か? 富田は1997年度和歌山大学教育学部赴任。 国立大学法人化は2004年度からだが、 その数年前から法人化は既定路線化。 → 事実上、教員として法人化後の世界しか知らない。 和歌山大学は「地方」(大都市圏の外にある)の 「小」(学部数や学生数が少ない)大学。 教育学部は、よくも悪くも護送船団的環境(授業の内容が 「法令的に」決まっている/ころころ決め直させられる)。 法人化時代に、 法人化と同時に色々なことが起こった (a) 法人化 (b) それに付随した再編 (c) 全体の財政カット (d) 選択と集中 (b) 教育学部は全国で半減の目標。 (c) 大学で使うお金のほとんどは人件費ゆえ、 非常勤大幅カット+退職者ポスト蒸発! (d) 申請すること、評価を受けることは、あるべき姿。 しかし(c)とセットだから大変。 「地方+小」大学は(b)に向かうのか? 「本質」は法人化そのものより、法人化と同時に導入 され、同時進行しているもののセット、かもしれない。 法人化で「法人」を意識 富田が学生時分に聞いていた話: 大学等に就職→天文の学界に属して仕事を続ける。 大学の仕事は雑用。まじめにやってはいけない。 富田が実際に就職して聞かされている話: 大学等に就職→大学という法人の社員だぞ、お前は。 大学生にちゃんとサービスをする社員として働け。 君は、外の仕事と中の仕事とどちらが大事かね? その仕事は、大学(あるいは学部)にとって、何だ? 補足:大学が「学校化」しないといけない、社会情勢の変化がある。 よって、これは法人化前後の差より、時代の変化による差。 → 社会人として社会情勢の変化を受け止めるべきか? わかりやすい、「法人化(時代)」だ。 法人化で目について変わったこと 効率追及 → 会計処理は透明かつ迅速になった(功罪の「功」)。 → しかし会議の数と時間数は、私の環境では不変。 学長が強くなった → もともと「学部」が強かった。 → 小大学では、少ない学部どうしで何かと衝突していた。 「中小企業の社長さん」の突然の出現で交通整理が進んだ。 学部の「エゴ」がなくなった(功罪の「功」)。 → ただし「学長」と「理事長」を兼ねたくらいの強大権力が 急に出現したので、現場だけで色々な方針を決められなく なり、また走られると止められない(外部の評価は悪くない)。 法人化時代に生まれてきた雰囲気 事後評価で: → 皮肉にも統制強化へ まずGPなどを当てないといけない。 ところが、なまじ「当たる」のである、「地方+小大学」でも! 学内の学長裁量、学部長裁量の予算も急に肥大。 → 業務と研究の方向性を一致させる努力が必要 → 申請すること、評価を受けることは、あるべき姿だが、 書類増大が尋常でない(「大」でも「小」でも同じでしょう)。 やればいいんでしょ、やりましたよ、という開き直り: 新入生合宿、クラス担任、成績を親に送付 人のシラバス書き!!!(これも外部評価で高得点を得るため…) 我々(地方+小大学)に可能なこと アカデミズムを捨てることは絶対にない 法人の一員としての貢献(業務)は、重要 →研究と業務をどう関連させるか? 置かれた環境下でのon the job trainingを大切にしながら、 そこで自分が出せるoutputは何か、よく考える →アカデミズムとして何を目指すか、星の数ほど方向性有 おまけ&アイデア交換希望: 「駅弁大学」は思い切って「駅弁の新作」でも出すか。 和歌山の新作駅弁 → 宇宙教育研究ネットワーク 「中小企業の社長」をうまく取り込む。
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