会計学入門

会計学基礎
7月6日 企業集団の財務報告
アウトライン
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連結財務諸表とは
連結決算の一般基準
連結財務諸表の作成手続
持分法
連結財務諸表とは
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個別財務諸表
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法律上の個々の企業(株式会社○○)を単位とする
財務諸表
連結財務諸表
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親会社とその子会社・関連会社が企業集団(グルー
プ)を形成している場合に、企業集団に属する企業の
個別財務諸表を総合して作成される財務諸表
企業集団の財政状態と経営成績を総合的に報告す
る目的で作成される
連結決算の一般基準
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連結の範囲
連結決算日
親・子会社の決算方針
連結の範囲
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ある企業と親会社との間に支配従属関係があ
れば連結の範囲に含める
支配従属関係の有無を判断する基準として、持
株基準と支配力基準が考えられるが、我が国で
は支配力基準を採用している
親会社
子会社
子会社
子会社
連結の範囲
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支配力基準によれば、以下の場合支配従属関係
が認められる
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議決権の過半数を実質的に所有している
議決権の過半数を所有していない場合でも、以下のよ
うな一定の事実が存在する
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議決権を行使しない株主が存在する
協力的な株主が存在する
親会社の役員や従業員などが取締役会の過半数を占める
重要な財務・営業の方針を支配する契約が存在する
連結決算日
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原則として、親・子会社の同じ日における(正規の決算
による)財務諸表を連結する
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決算日が異なる子会社は正規の決算に準ずる手続を要する
しかし、決算日の差異が3ヶ月を超えない場合には、子
会社の正規の決算を基礎とすることが認められる
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たとえば、子会社の12月末決算と親会社の3月末決算を連結
することが出来る
その場合、子会社の決算日以降に発生した取引について必要
な整理を行うことが必要になる
親・子会社の決算方針
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原則として親子の採用する会計処理の原則及
び手続は統一しなければならない
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ただし、在外子会社の場合など、合理的な理由があ
るときは異なる会計処理が許される
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その場合、差異が重要であれば概要を注記する
平成20年度以降、在外子会社についても(1)会計処
理を統一することが原則となり、(2)統一しない場合
も、連結財務諸表の作成時に我が国の会計基準へ
の修正が必要となる
連結損益計算書の作成手続
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連結財務諸表のおおよその作成手順
(1)連結会社の財務諸表をそれぞれ合算
する
 (2)連結会社相互間の投資と資本を貸借
対照表上で相殺消去する
 (3)連結会社相互間の取引を相殺消去す
る
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(4)非支配株主に関する調整
(5)未実現利益の除去
(6)のれんの償却
連結財務諸表の作成手続
=
+
親会社B/S
子会社B/S
連結財務諸表の作成手続(1)
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連結会社の財務諸表の合算
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親会社のB/Sと子会社の(時価評価後の)B/Sを
合算する
親会社のP/Lと子会社のP/Lを合算する
連結財務諸表の作成手続(2)
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投資と資本の相殺消去
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親会社の投資(子会社株式)と子会社の株主資本を
相殺する
親会社の投資額(子会社株式の簿価)と子会社の株
主資本が等しくないときは…「調節」が必要となる
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差額を「のれん」と呼び、資産または負債として計上する

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昔は「連結調整勘定」と呼ばれていたもの
「のれん」は減価償却の対象となる
連結財務諸表の作成手続(2)
+
子
会
社
へ
の
投
資
親会社B/S
子会社B/S
相殺
子会社の
株主資本
(親会社によ
る投資)
連結財務諸表の作成手続(3)
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連結会社相互間の取引の相殺消去
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連結会社間の債権・債務/収益・費用は相殺消去しな
ればならない
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売掛金と買掛金
受取手形と支払手形
貸付金と借入金/受取利息と支払利息
売上と仕入(商品)
受取配当と支払配当、など
連結会社間の記録が合わない場合は、原因を調べて
必要な調整を行う
連結財務諸表の作成手続(3)
子会社への買掛金
+
親会社B/S
相殺
親会社への売掛金
子会社B/S
連結財務諸表の作成手続(4)
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親会社が子会社の株式の100%を保有しない
場合、子会社の親会社以外の株主(非支配株
主)が存在する
子会社の利益・純資産のうち非支配株主に帰属
する分はそれぞれ別立てで報告される
連結財務諸表の作成手続(4)
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例:子会社の当期純利益が1000万円、親会社
が子会社の70%の株式を保有している場合
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700万円=>連結損益計算書の親会社株主に帰属
する当期純利益
300万円=>連結損益計算書の非支配株主に帰属
する当期純利益
連結財務諸表の作成手続(5)
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損益計算書の連結で、未実現利益の除去が必
要になる場合がある
例:親会社が仕入れた商品を子会社に転売し、
その商品が期末に子会社の在庫となっている
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親会社の個別損益計算書ではすでに仕入れ価格と
子会社への転売価格の差額を利益計上している
しかし、グループとしては仕入れた商品をまだ外部に
販売していない状態
連結財務諸表の作成手続(5)
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このような場合、親会社から子会社への転売は
「なかったこと」にする
グループとしては、親会社が仕入れた商品が、
仕入れた値段のままで在庫となっている「格好」
になる
連結財務諸表の作成手続(6)
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(2)で「のれん」を計上した場合、償却が必要に
なる
持分法
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非連結子会社、または関連会社に対する投資
は連結財務諸表では持分法によって報告される
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関連会社:議決権の20%以上50%以下を保有、また
は親会社が財務や営業に重要な影響を与えることが
出来る場合に関連会社となる
持分法
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持分法では、関連会社の株式を取得原価で計
上し、関連会社の純資産の増減に応じて株式の
評価額を変動させる
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例1:関連会社が利益を計上=>評価額+
例2:関連会社が現金配当を行った=>評価額-
次回への準備
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次回から財務諸表による経営分析を2回にわ
たってとりあげる
予習はテキスト12章