プレゼンテーションのタイトル

本資料の利用について
本資料は、「平成24年度特許庁大学知財研究推進事業」において、特許庁の委託
を受けた国立大学法人大阪大学 知的財産センターが開発したものであり、著作者
人格権は国立大学法人大阪大学に、著作財産権は特許庁に帰属しています。
本資料は、著作権法上認められる利用のほか、非営利目的に限り、改変・引用・
複製・頒布を行うことができますが、これらの行為及びその内容に関する責任は利
用者自身が負うものとします。
本資料は、正確を期して開発したものですが、不正確な情報や、古くなった情報を
含んでいる可能性があります。
本資料を利用したことから生じるあらゆる損害・損失について、国立大学法人大阪
大学及び特許庁は、一切の責任を負いません。
営利目的での利用、翻訳の希望その他、不明な点がありましたら、以下へご連絡く
ださい。
特許庁 企画調査課 活用企画班 03-3581-1101 (内線)2165
第5時限 研究活動と知的財産(2)
秘密情報と守秘義務
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第5時限 目次
5-1 秘密情報とは何か
5-2 守秘義務とは何か
5-3 共同研究、受託研究
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5-1
秘密情報とは何か
新しい物理・化学法則
新しい情報を取得
実験データ
研究開発
データ取得のノウハウ
新しい技術的なアイディア
新規の物質
秘密として管理
する必要あり
秘密とは・・・・
守秘義務のない他人に内容を理解できる程度に知られるおそれがないこと
知られるおそれがあると「新規性」喪失により特許されなくなる。
※通常、研究者には、その所属する企業や機関から守秘義務が課されている
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5-1
秘密情報管理の重要性
情報が秘密でなくなると・・・
他の研究者に
発表される
研究の成果を漏らすと、それを他の研究者が見た場合、先に学
会に発表されるなど、研究成果を横取りされるおそれがある。
特許されない
その発明については、新規性がなくなり特許を取得することがで
きなくなる。その結果、得られるはずだった独占利益やライセンス
収入も得られない。契約違反とは別に考えること。
守秘義務違反
経営上の秘密を他社に知られることで営業上企業が重大な損害
を被るおそれがある。故意または過失によって秘密を漏らした研
究者は契約違反であり、損害賠償責任を負う。
秘密情報を漏らすと重大な損失のおそれ
5
5-1
秘密維持の必要な場合
発明
NO
YES
NO
特許
出願
企業秘密
営業
秘密
NO
学会等での発表可能
YES
秘密として管理
企業秘密である限り
永久に秘密として
管理する
YES
出願まで
秘密状態を維持
具体例
出願するか否かの判断
特許出願 → 出願から20年間特許権によって独占可能
企業秘密 → 期限はないが情報漏えい時の保護は弱い
医薬品(出願)→特許権満了後に低価格の後発品が出る(ジェネリック)
食品会社のレシピ(企業秘密)→厳重に管理すれば長年優位性を保てる
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5-1
営業秘密とは
研究成果のインセンティブ
を保障するため
+
事業活動に有用な情報
を秘密することで他の競
業者に対し優位に立つた
め
不正競争防止法上の営業秘密の保護については、同法上の「営業秘密」の定義
を満たすものが、その対象となり得る。(不正競争防止法第2 条第6 項)
①秘密管理性
秘密として管
理することは
重要!
企業の行動を法
的に支援する
②有用性
③非公知性
三つの要件全てを満たすことが同法に基づく保護を受けるために必要である。
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5-1
研究発表と秘密情報
①研究成果の二つの側面
研究成果
組織の性格上
学術的側面
営利的側面
論文を学会誌等に掲載す
る、学会で発表するなど、先
に発表した者の成果とされ
る
特許出願まで、または企業
秘密として管理する限り秘
密として管理しなければなら
ない
情報管理には、このように相反する二つの側面を考慮する必要がある
大学は学術的側面を、企業は営利的側面を重視する傾向がある
相手の立場を理解したうえで情報の管理をする必要がある。
特に共同研究開発では、立場の異なるものが研究に関わるので注意する
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5-1
研究発表と秘密情報
②特許出願と研究発表(出願を先にするのが原則)
研究発表により新規性がなくなると、原則として、特許を取得することができない
特許出願は、研究発表の前にできるように出来るだけ早く
研究発表は、特許出願がなされるまで待つ
共同研究の場合、企業は大学側研究者の発表の意向を確認し、発
表する場合には、優先的に出願手続きをする必要がある。
大学側は、研究発表の希望、発表の時期について、企業側に
承認を得る必要がある。実際に発表する場合は、出願手続き
が完了していることを確認する
実際、大学と企業
の共同契約では、
成果を公表する際
は、事前に相手方
の同意を得るとい
う取り決めがなさ
れるのが通常であ
る。
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5-1
復習:新規性喪失の例外
新規性喪失の例外の適用
新規性喪失の例外規定
発表と出願のタイミング
が受けられる場合
国際比較
本人
(特許法第30条)
他人
対
象
特許を受ける権利を持っている人
(発明者や発明者から権利を譲渡された者)
の行為による
○刊行物やインターネットを通じた発表
○研究集会(学会)での発表
や博覧会への出品
○TV・ラジオでの公表
○製品の販売
など
その結果
発明が初めて
公知となる
6
月
以
内
3
0
日
以
内
論文等で発表
他人の出願
30条適用出願
証明書類の提出
○本人の出願→他人の先出願と同一であれば拒絶される。
○他人の出願→論文が公知技術となり拒絶されるが、
本人も特許が取れない場合がある。
日
本
すべての公知行為
(特許公報等によ
る公開を除く)
期
間
出願
時手
続
6 必
月 要
米 すべての公知行為 1
国
年
不
要
欧 限定された国際博 6
覧会
州
月
必
要
中
国
限定された国際博
覧会
所定の学術会議
または技術会議
6 必
月 要
韓
国
すべての公知行為
(特許公報等によ
る公開を除く)
1 必
年 要
5-2
守秘義務とは
自社にない技術があるA社と共同研究したい。
その技術が本当に自社の事業に役立つか詳細な情報が必要
秘密保持契約を締結
秘密保持誓約書に署名
秘密を守る義務が発生!
守秘義務とは 「業務上・職務上知りえた秘密を他に漏らしてはならない」という義務。
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5-2
守秘義務違反となる判断要素
☆守秘義務に違反しないために
所属する機関の情報管理ルールに従う
※ルールの一例(組織等により異なる)
・資料の持ち出し禁止
・カメラ(カメラ付携帯)持ち込み禁止
・社内からのメール発信禁止
・オンラインPCへのデータ入力の禁止
・USBメモリの持ち込み禁止
・ファイル交換ソフトのインストール禁止
☆守秘義務違反になるかどうかの判断要素
=
相手
※下記の要素の組み合わせで、
守秘義務違反となるかどうか考
えてみよう。
• 家族
• 友人、恋人
• 研究者
• 同僚
• 共同開発の研究者
• ライバル会社の人
×
内容
不用意な情報漏えいが多発している。
細かいルールから遵守することが肝要
• 研究テーマ
• 進み具合
• 具体的な内容
×
場所
•
•
•
•
•
・家で
・研究室(大学)で
・研究室(企業)で
・道端で
・トイレ(大学・企業)
で
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5-2
情報漏洩に該当する行為
●漏洩に該当する行為とは?
秘密情報を、大学の承諾なく外部
に持ち出すこと。
秘密情報を、第三者(正当な権限
を有しない大学の教職員等を含
む。)に対して漏洩、開示すること。
秘密情報を、業務遂行の目的以外
で使用、流用すること。
秘密情報を、方法の如
何にかかわらず複製・複
写すること。
※漏洩すると損害賠償責任が発生!
・営業秘密の不正取得及び不正取得された営業秘密の使用又は開示行為については、不正競争防止法上、差
止請求権(第3 条)、損害賠償請求権(第4 条)、信用回復措置請求権(第7 条)が規定されている。
・契約法上の観点からは、契約違反の場合における、損害賠償義務を規定することもある。
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5-3
共同・受託研究契約の際に留意すべきこと
着想
研究
発明
出願
権利発生
誰が考えたか
誰が開発したか
誰が完成させたか
誰を発明者として出願するか
(★誰が「発明者」となるか)
誰が権利者となるか
発生した秘密・機密をどのように扱うか。
(秘密保持契約、就業規則、ガイドライン)
MTA(Material Transfer Agreement、研究材料提供協約等)
※いかに予防的に解決するかが重要
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5-3
MTA
(Material Transfer Agreement)
(研究材料提供協約)について
共同研究契約
研究
成果
+研究材料の移転
(貸借、分譲、譲渡
など)に関する合意
研究材料、物
質の取扱いに
関する事項
研究の成果物
の取扱いに関
する事項
成果
論文、知的財
産権の取扱い
に関する事項
MTA
共同研究等の際、研究機関間で研究材料となる物質の移転(貸借、分譲、譲渡など)を行う際に、機関間で
取り交わされる契約のことをいう。
物質自体の扱いに関する条項の他、研究の成果として得られた論文や知的財産権の取扱い及び帰属など
が定められる。
例えば生物学・医学の分野においては、マウスなどの実験動物、遺伝子、培養細胞(細胞株)など様々な対
象の移転に際して契約が交わされる。
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