自動車産業の将来 ー 独占的競争時代の到来ー スミツカ・マイク Michael Smitka Professor of Economics Washington and Lee University Lexington, VA 24450 USA フルブライト研究員・千葉大学法経済学部 © Michael Smitka 2007 伝統的な産業組織論のアプローチ – 経済環境から (environment) • 収入の水準 • 市場の規模 – 技術も寄与する (technology) • 外部の技術 • 誘導の技術発達・応用 • 戦略を立てて • 組織を出生 • 経済活動の効果 Michael Smitka 2007 strategy structure performance Slide 2 要点三つ 3 main points • 三つの類型 – 独占 – 寡占 – 独占的競争 • 三つの役割分担 – 製造 – 設計 – 販売 Michael Smitka 2007 • 三つの環境の展開 – 市場の拡大 – 貿易の進化 – 技術の発達 Slide 3 独占の例 • フォード・モーター – 芽生え時代の300社から郡抜き – 独占に見えて • 利益! • 利益! • 経営乱暴 • 独占は永遠に続けられますか? Michael Smitka 2007 Slide 4 寡占の例 • ビっグ・スリー – Ford, GM, Chrysler – 世界中に広がった • Ford は垂直統合の戦略・本社からの分離設立 • GMはM&A戦略 – オペル(ドイツ)、ヴォクスホール(イギリス) • Performance – 価格の発表過程で調整(談合!) • Coordination (collusion) via price leadership Michael Smitka 2007 Slide 5 独占・寡占の歪み • 価格を引き上げて数量を押さえる – 生産能力は過剰状態 – コストも高水準 – 「rent」を享受する • 利益・待遇 • 経営の怠惰 • 利益は残る – GMは長年世界中の企業の中で最高の利益を Michael Smitka 2007 Slide 6 経済学での「利益」 • 「利益」は機会費用の観点から定義され – 投入資源の通常の報いを引いてから計算する • 簿記・会計上の利益と違う – 簿記の場合、資本いたいする報いを含む • 中小企業の場合、経営者の報いを含む • 「経済利益」は簿記上の利益をかなり下回る – リスクを加算すると、産業によって違う • ROAで計算したら4%〜8% = 経済利益なし? Michael Smitka 2007 Slide 7 独占的競争 • 新規参入で数が増える – 寡占の歪みは残る • 数が多いので談合は無理 – 利益は... • ゼロ!(経済学の定義) • 洋服のメーカーはそうです – 数量は少ないから効率が低い » 手作業が多い ・専用の機械は使い物にならない » 過剰在庫・売り残り Michael Smitka 2007 Slide 8 自動車の例に戻る • 歴史に三つの類型もある – アメリカ – ヨーロッパ – 新興市場 • 日本・中国・インド・マレシア・トルコ等々 • 韓国は若干例外 • タイは面白い Michael Smitka 2007 Slide 9 アメリカの歴史(1) • フォードの独占 • GMの台頭・寡占の形成 – クライスラーも新規参入 – GMは利益が物凄い • 1927-1977世界一(石油値段如何によって) • Price Leadership の方法 • 事業部制で金融・会計の部門が勝利 Michael Smitka 2007 Slide 10 日本の歴史 • 1925、収入が増え市場が拡大 – フォードの工場 • 価格的に適当、丈夫な車 • 1936でアジア地域の拠点 – 輸出大国になるや – 軍部はマッてをかかった • 1936から現地メーカーが参入 – コストが高く、機能が劣る • 中国での戦争の例 Michael Smitka 2007 Slide 11 日本(2) • 戦後市場は小さい – それにも関わらず貿易の障壁 • 新規参入多大 – 30余社、年間生産数千台 – ニッチがいろいろ • その後、高度成長 – 2、3年ごとに倍増 – それでも競争が激しく、半数以上が脱退 Michael Smitka 2007 Slide 12 日本(3) • 資源を見つけれのが課題 – 労働組合の関係 • 授業員を最低限 – 工場の運営 – 資金は銀行が貸す次第 • 会社側から影響なし • 金融部門は事務的で、偉くならない • 部品メーカーに頼れば節約出来る – 内生を最低限 Michael Smitka 2007 Slide 13 日本(4) • 1970頃成長が鈍る – 脱退は...?規模の経済のことで – 市場のニッチ毎に4-5社 • トラック:いすゞ,日野、日ディ、MMC • 軽: スズキ 、ダイハツ、富士、MMC、(ホンダ?) • 普通:トヨタ、日産、マツダ、ホンダ、MMC • 誰か救ってくれる? – VW! Michael Smitka 2007 Slide 14 アメリカの歴史(2) • 寡占下の小型車戦略 – Big Threeで一社が参入すれば三社共々 • コストは変わらんくて値段は安い – 損ばかり – 1958,1963−4,1969のブーム • VWが一年、ビートルを60万台! • Big Three は輸入車で応じる – 欧州車はあまり売れなくて – 日本のメーカーと提携 – 日産、トヨタ、ホンダは仕方なく独自 Michael Smitka 2007 Slide 15 アメリカの歴史(3) • 石油危機:1973,1979 – 従来の如くなら小型車のニッチは消えた筈 • 結局3割まで拡大してしまった – Big Threeは輸入を増やし、直接参入も • 1982− – 従来の如く、小型車は市場の一桁のニッチま で消えてしまった • 日本のメーケーも消えてしまった筈です – 国内市場が狭くて輸出依存が高くて Michael Smitka 2007 Slide 16 アメリカの歴史(4) • Cavalry to the rescue! – Ronald Reagan – VER:自主輸出規制 • 日本に取って不利でしょう – まったくそうでない! • カルテルを作ってくれ!膨大な利益 – 中型車の戦略転換を可能に – 現地生産を促進 • 日本国内11社体制がまだ継続 Michael Smitka 2007 Slide 17 現在に至る • 1990年代に日本国内の再編成 – トヨタ・ホンダ・スズキ (?MMC) – トヨタの傘下に • ダイハツ・日野・いすゞ・富士 • その前に関東自動車等々 – 外車の傘下に • 日産、マツダ、三菱ふそ、日産ディーゼル – 輸入車も高級車で高いシェア • 国内で何れも利益なし Michael Smitka 2007 Slide 18 世界市場 • 途上国は貿易障壁等 – 参入多大 • マレーシアに13社! • 中国に100社?! – タイは早めに市場を開放して • ピック・アップ・トラックを大量輸出 – 韓国は国産車である程度成功 • 脱退は多い、その間国民へのコスト負担高く • 急に成長している場合利益は続くが.... Michael Smitka 2007 Slide 19 技術 • ITの影響 – 開発コストの低下 • モデルの数が増える一方 – 新素材・ECU • エンジン・ミッション・安全の制御システム • 企業レベルの規模の経済が拡大? – Platformを利用、企業内で節約 • 貿易も技術の一種と考えるべき! Michael Smitka 2007 Slide 20 独占競争の時代 • 北米市場に600以上の車種 – ヒットがあっても皆すぐ追求参入する • 基本的に利益はあり得ません – BMWは例外? • 当分はアメリカの健康保険の傘の下 – GM、フォードはコスト高 – それが続く間トヨタ・ホンダ・その他は儲かる • EUの形成で各国の市場は崩れつつ – 従来は国毎「国産車」メーカー2・3社 Michael Smitka 2007 Slide 21 部品・製造 • 製造の方は実に部品産業 – メーカーは戦略・開発・エンジン・組み立て • エンジンの売買・相互供給も増加 • メーカーと違って寡占が残る – ディーゼルの噴射措置3社 – ワイヤーハーネス2社 – 鉄鋼3・4社 • 世界中 同品質・価格 供給可能 の条件 – 部品毎数社だけ・規模の経済が高いから Michael Smitka 2007 Slide 22 流通 • Black Hole – 知識は乏しい • 仮定:トヨタの成功は販売から出る – 工場の効率はそんなに目立たない • スローガンでシステムを説明するのが上手 – 1950倒産した経験の恩恵 • 製造・販売の分離 • 日本・米国、ディーラーが圧倒的に強い Michael Smitka 2007 Slide 23 流通(2) • 日本・欧州で – ディーラーは損ばかり • 田舎の方は違うかもしれない – 新車は利幅希薄 – 修理はもう不要 – F&I(融資・保険)は国によって – 中古車はまだ市場の効率低い • 利益は当分残るが、従来のディーラーはだめ? Michael Smitka 2007 Slide 24 戦略 • 金融部門の経営は不安定 – トヨタはGMと同様に「先鋒してはならん」 – 大衆車を革新的なデザインを採用すると • 成功すれば販売は若干増える • 失敗すれば会社は危うくまで • 縮小のは難しい – ラインアップの穴埋めは8年もかかる – ディーラーの衰弱は免れない Michael Smitka 2007 Slide 25
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