SONYと任天堂 ゲーム業界における進化と興亡 千葉大学法経学部経済学科 内山ゼミナール 1 序章 今までプレイステーション、プレイステーション 2により人気を博してきたSONYだったが、ここ 数年で任天堂のDSやWiiが台頭してきた。 ゲーム業界における二大企業の逆転がなぜ起 こったのか。 この2大企業のハードを比較していきつつ、 ゲーム業界の動向を見ていく。 2 目次 第1章 第2章 第3章 第4章 財務諸表分析 PlayStationとNINTENDO64 PlayStation2とゲームキューブ PlayStation3、PSPと ニンテンドーDS、Wii 終章 現在のゲーム業界のまとめと 今後の展望 3 第1章 財務諸表分析 担当 : 矢島 朋美 4 売上高 (億円) 12000 10000 8000 6000 4000 SONY 任天堂 2000 0 2002 2003 2004 2005 2006 (年度) 5 営業利益 (億円) 3000 2000 1000 0 -1000 SONY 任天堂 2002 2003 2004 2005 2006 -2000 -3000 (年度) 6 SONYセグメント別売上高 構成比 7.5 3.7 11.7 11.7 66.4 エレクトロニクス ゲーム 映画 金融 その他 7 任天堂 (百万円) 1200000 1000000 800000 売上高 600000 400000 営業利益 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 1998 (年度) 任天堂ハード販売実績台数 その他 Wii (年度) 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 ニンテンドーDS 1998 (万台) 4000 3500 3000 2500 2000 1500 1000 500 0 1997 0 1997 200000 ニンテンドーゲー ムキューブ ゲームボーイアド バンス ニンテンドウ64 8 SONY(ゲーム) (百万円) 1200000 1000000 800000 600000 400000 売上高 営業利益 200000 0 -200000 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 -400000 (年度) PlayStation ハード生産出荷台数 &見通し (万台) 3500 3000 2500 2000 1500 1000 500 0 PS3 PSP PS2 PS/PSone 9 (年度) まとめ ・SONY 売上高は高いが営業利 益に結びついていない。 今後の利益の増減は、P S3関連の費用削減にか かっているといえる。 ・任天堂 売上高、営業利益ともに 好調で今後もこの傾向は 続くと思われる。DSの売 り上げしだいでさらに大き な増収が見込める。 10 第2章 PlayStation と NINTENDO64 担当 : 北原 裕彬 11 <はじめに> 第2章では、PlayStationとNINTENDO64につ いて ①ソフトウェア ②ソフトメーカーの参入 ③ソフト流通戦略 ④ハードの発売時期 の4つの視点から比較していく。 12 <ソフトウェアの比較> PlayStation NINTENDO64 <CD-ROMを採用> ・大容量 ・低価格 ・量産時間の短縮 <ROMカセットを採用> ・容量が小さい ・高価格 ・量産に時間がかかる ・アクセス速度が遅く 読み込みに時間がかかる ・アクセス速度が速く 高速で読み込める 13 <ソフトメーカーの参入状況> PlayStation NINTENDO64 開発機材の価格が従来の 10分の1程度 ソフトウェアに負担をかける構造 のため開発が困難 ソフトウェアの開発に関する情報を 企業・個人に広く提供 ソフトウェアの開発に関する情報を 外部に公開せず 事業参入へのハードルが低い 事業参入へのハードルが高い 多くのソフトメーカーが参入 ソフトメーカーの参入が少数 圧倒的なソフト数を展開 自社ソフトがメインとなり、ソフトの 絶対数が低下 14 <ソフト流通戦略> PlayStation NINTENDO64 ソフトメーカー ソフトメーカー SCE 任天堂 一次卸売業者 小売店(約8割) 卸 二次卸売業者 小売店(約2割) 小売店 15 <ハードの発売時期> PlayStation NINTENDO64 1994年12月3日に定価39,800円で 発売。1996年には20,000円以下に 値下げをしても利益を出すことが可 能。 度重なる発売延期により1996年6月 23日に定価25,000円で発売。 度重なる販売延期が消費者、ソフト メーカー、小売の信頼を失う結果に。 NINTENDO64の市場投入時、すでにPlayStationが開発環境を整え、ソフト メーカー、小売、消費者の信頼を得てゲーム市場でのシェアを拡大していた。 NINTENDO64はPlayStationに大きく遅れをとることになった。 16 <PlayStation売上本数上位20タイトル> 順位 タイトル メーカー 売上本数 1 ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち スクウェア・エニックス 3,893,293 2 ファイナルファンタジーVIII スクウェア・エニックス 3,501,588 3 ファイナルファンタジーVII スクウェア・エニックス 3,277,766 4 ファイナルファンタジーIX スクウェア・エニックス 2,707,301 5 グランツーリスモ SCE 2,186,375 6 バイオハザード2 カプコン 2,154,975 7 みんなのGOLF SCE 1,777,895 8 ダービースタリオン エンターブレイン 1,737,819 9 グランツーリスモ2 SCE 1,460,687 10 バイオハザード3 LAST ESCAPE カプコン 1,383,282 11 ファイナルファンタジータクティクス スクウェア・エニックス 1,270,806 12 バイオハザード カプコン 1,194,779 13 鉄拳3 バンダイナムコゲームス 1,186,119 14 ドラゴンクエストIV 導かれし者たち スクウェア・エニックス 1,173,671 15 チョコボの不思議なダンジョン スクウェア・エニックス 1,165,796 16 アーク ザ ラッド SCE 1,100,000 17 サガ フロンティア スクウェア・エニックス 1,088,414 18 鉄拳2 バンダイナムコゲームス 1,088,069 19 Dance Dance Revolution コナミ 1,023,821 20 どこでもいっしょ SCE 1,010,000 17 <NINTENDO64売上本数上位20タイトル> 順位 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 タイトル マリオカート64 スーパーマリオ64 ニンテンドウオールスター!大乱闘スマッシュブ ラザーズ ゼルダの伝説 時のオカリナ ポケモンスタジアム マリオテニス64 マリオパーティ2 星のカービィ64 ヨッシーストーリー ドンキーコング64 マリオパーティ3 ポケモンスタジアム金銀 ピカチュウげんきでちゅう マリオパーティ ポケモンスタジアム2 ディディーコングレーシング ゼルダの伝説 ムジュラの仮面 スターフォックス64 ポケモンスナップ マリオゴルフ64 メーカー 売上本数 任天堂 任天堂 1,711,661 1,639,921 任天堂 1,632,055 任天堂 任天堂 任天堂 任天堂 任天堂 任天堂 任天堂 任天堂 任天堂 任天堂 任天堂 任天堂 任天堂 任天堂 任天堂 任天堂 任天堂 1,147,068 1,094,765 969,888 884,249 882,230 852,846 848,377 846,452 780,017 744,870 714,358 710,765 653,928 601,539 565,222 498,155 470,779 18 <出荷状況> PlayStation NINTENDO64 ハードウェアの生産出荷台数 日本・・・2159万台 世界・・・1億249万台 ハードウェアの生産出荷台数 日本・・・554万台 世界・・・3292万台 ソフトウェアの生産出荷本数 日本・・・2億8600万本 世界・・・9億6200万本 ソフトウェアの生産出荷本数 日本・・・3975万本 世界・・・2億2497万本 ソフトウェアのタイトル数 日本・・・4944タイトル ソフトウェアのタイトル数 日本・・・196タイトル 19 <まとめ> PlayStation NINTENDO64 成功 失敗 20 第3章 PlayStation2 と ゲームキューブ 担当 : 塚脇 浩平 21 発売日による比較 PS2(プレイステーション2) 2000年3月4日発売 およそ1年半 GC(ゲームキューブ) 2001年9月14日発売 22 PS2のコンセプト 「エモーション ・シンセシス」 エモーション・シンセシス →情緒やニュアンス、場の環境の合成 →「そのキャラクタの知性や感情が伝わって くるような」動きを生成 23 GCのコンセプト 「かつてない 最高傑作の テレビゲーム機」 24 開発方針 PS2 GC 高機能、高性能 年齢や性別の 概念削除 25 開発方針 PS2 • 機能、性能が最も高くなるような味付けを行うことで 他社との差別化を図る • だがその分コストがかさんでくる →自社生産によりコスト削減を実現 GC • 年齢や性別に関係なく楽しめ、社会に安定と幸福 をもたらすゲームを開発 • 安定的な高性能を発揮することでソフトウェア開発 者にとってゲームをつくり易い環境を目指す 26 旧機種との違い PS2 ①DVD再生機能搭載 ②互換性を持つ GC ①ソフトウェアに光ディスク採用 ②PS2をも上回るスペック 27 対象とするユーザー PS2 GC 【任天堂の方針】 全年齢向け 若者世代 ギャップ 【ユーザーの捉え方】 低年齢向け 28 ソフト売り上げ PS2 ミリオン達成数《17本》 GC ミリオン達成数《1本》 29 まとめ ゲーム市場における PS2の圧倒的勝利 30 第4章 PlayStation3、PSPと ニンテンドーDS、Wii 担当 : 近藤 俊介 31 発売時期の比較 PSP 2004年12月12日 任天堂DS 2004年12月2日 ほぼ等しい PS3 2006年11月11日 Wii 2006年12月2日 一ヶ月程度の差 32 PSPの特徴的機能 任天堂DSの特徴的機能 従来の携帯ゲームに おける最高峰の画質 インターネット、テレビ、 写真、音楽などの追 加機能 2画面 タッチスクリーン マイク入力 ワイヤレス通信 ゲームボーイアドバンス との互換性 ↓ 従来からのユーザー に更なる満足度を ↓ みんなが同じスタート ラインから始められる 33 PS3の特徴的機能 ネット、テレビ、音楽、 写真、DVDなどの機能 高画質などさらなる高 機能化に成功 ワイヤレスコントロー ラー ↓ 従来からのユーザー に更なる満足度を Wiiの特徴的機能 モーションセンサー機能 低電力 コントローラーの変形 アップデート機能 ↓ みんなが同じスタート ラインから始められる +常に関わりのある ゲーム 34 対象とするユーザー PS3 PSP 【ソニーの方針】 ゲーム中級者、上級者 ギャップ 任天堂DS Wii 【任天堂の方針】 全年齢向け ギャップの 解消に成功 【ユーザーの捉え方】 【ユーザーの捉え方】 ゲーム上級者向け 全年齢向け 35 旧機種との比較 PS3 Wii 機能面というよりも質の 向上に成功 結果 ①高品質過ぎてソフトに 負荷がかかる ②消費者はこの質の向上 をそこまで望んでいな かった 従来の機能を低電力で行 える 遊び方に幅がある 結果 ①消費者のニーズに応え られる ②身近な存在になれる 36 まとめ 任天堂がゲーム人口の拡大に成功 し、ソニーに逆転することに成功 37 終章 現在のゲーム業界まとめと 今後の展望 担当 : 沼尻 俊吾 38 以前のソニーと任天堂 任天堂もソニーも高機能化戦略を採用 既存のユーザー向けの製品の生産 →発売時期、ソフト開発の難易で明暗が 分かれた。 ゲーム業界が成熟化するまでは順調。 39 現在のゲーム業界の問題 ゲーム業界は若者、低年齢層に対して既に成熟化 「ユーザーの二極分化」 問題 =ハードユーザーとライトユーザー 「ゲーム離れ」問題 =ゲームの進化のし過ぎ=複雑化 →ハードユーザー向けになり ライトユーザーは「ゲーム離れ」 40 現在のソニーと任天堂 ソニー 「ゲーム機の高機能化」 任天堂 「ゲーム人口の拡大」 グラフィックや処理速度の改善 誰にでも操作できるような 斬新な機能 高機能化に伴い複雑化、 ソフトも開発しにくい 低機能でもわかりやすく、 ソフトも開発しやすい ハードユーザー向けになりがち どんな人でも親しみやすく、 ライトユーザーを確保 41 成熟したゲーム業界=第2の成長期 ソニー 任天堂 今までと同じ戦略、 第2の成長期に適した 第2の成長期に不適 「質的な変化」を捉えた特徴 ソニー、任天堂だけでなく、ライバルの多いゲーム業界 →常に「質的な変化」による差別化の必要 42 今後のゲーム業界はどうなるか? ゲームをしなかった顧客層、ライトユーザーの獲得は達成。 既存のハードユーザーの「ゲーム離れ」の懸念。 →既存のユーザーにも新しいユーザー にも同じように受け入れられるゲーム が必要では? 43 携帯電話に見るゲームの未来 若者からビジネスマンまで誰もが持っているもの 中高年向けの機種の発売→さらなるユーザーの確保 中高年層でも高機能機種の需要 →高機能携帯電話を誰にでも使えるよう なものに作っていく、というような試みが必 要 44 Docomo らくらくホン シンプル Softbank 810T 45 「ライトユーザー → ハードユーザー」 となる人向けのゲームの必要 少子高齢化=ボリュームゾーンが少年・青年から中高年に 移る可能性 「わかりやすく、誰にも出来るが、やりごたえのあるゲーム」 を作る必要 携帯電話で言う、「誰にでも使える、多機能携帯電話」 →ライトユーザーとハードユーザー、若 者と中高年の垣根のないゲームが出 てくるのでは? 46 まとめ ライトユーザー ハードユーザー ユーザー 若者 高機能化戦略 ①以前 若者 ゲーム人口 ②現在 拡大戦略 ユーザー 全年齢 ④将来 ハ ー ド ユ ー ザ ー ライトユーザー 若者 ライトユーザー 中高年 ③現在 47 参考文献 大賀典雄 『SONYの旋律-私の履歴書』 日本経済新聞社 片山修 『ソニーの法則』 小学館 橘寛基 『ゲーム業界の動向とカラクリがよ~くわかる本』 秀和システム 2006 和田 充夫,三浦 俊彦,恩蔵 直人 『マーケティング戦略』 有斐閣アルマ 2006 48 参考サイト http://www.nintendo.co.jp/ 任天堂 HP http://www.scei.co.jp/ SCE HP http://www.dengekionline.com/ 電撃オンライン HP http://allabout.co.jp/ All About HP http://techon.nikkeibp.co.jp/ Tech-On! HP http://itpro.nikkeibp.co.jp/ Tpro HP http://www.nttdocomo.co.jp/ NTTドコモ HP http://mb.softbank.jp/mb/ Softbank HP 49
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