“伊勢湾台風”襲来時の気象 - 駒澤大学

大型で
大型で非常に
非常に強い台風 15 号は、和歌山県潮岬の
和歌山県潮岬の南の海上を
海上を北上しており
北上しており、
しており、まもなく紀伊半島
まもなく紀伊半島に
紀伊半島に上陸
するとみられます。
するとみられます。
台風 15 号の中心は
中心は、9 月 26 日午後 6 時現在、
時現在、潮岬の
潮岬の西南西約 20 キロの
キロの海上にあって
海上にあって、
にあって、1 時間に
時間に
約 60 キロの
キロの速さで北北東
さで北北東に
北北東に進んでいます。
んでいます。中心の
中心の気圧は
気圧は 929hPa、
929hPa、中心付近の
中心付近の最大風速は
最大風速は 50 メート
ル、四国東部から
四国東部から近畿中南部
から近畿中南部、
近畿中南部、東海地方の
東海地方の一部が
一部が風速 25 メートル以上
メートル以上の
以上の暴風域に
暴風域に入っています。
っています。今後、
今後、
台風 15 号は、近畿から
近畿から東海
から東海を
東海を縦断し
縦断し、あすの午前
あすの午前 0 時には北陸
には北陸へ
北陸へ、あすの正午
あすの正午には
正午には北海道
には北海道に
北海道に進むとみ
られます。
られます。台風の
台風の動きが早
きが早いので進路
いので進路にあたる
進路にあたる地方
にあたる地方では
地方では早
では早めの警戒
めの警戒が
警戒が必要です
必要です。
です。今回の
今回の台風 15 号は、
非常に
非常に強い勢力を
勢力を保ったまま上陸
ったまま上陸するとみられます
上陸するとみられます。
するとみられます。昭和 9 年の室戸台風、
室戸台風、昭和 20 年の枕崎台風、
枕崎台風、昭
和 26 年のルース台風
ルース台風に
台風に匹敵する
匹敵する勢力
する勢力で
勢力で、暴風や
暴風や大雨に
大雨に対する警戒
する警戒が
警戒が必要です
必要です。
です。また、
また、台風進路の
台風進路の東側
にあたる伊勢湾
にあたる伊勢湾や
伊勢湾や三河湾では
三河湾では、
では、湾奥に
湾奥に吹き寄せる強風
せる強風の
強風の影響もあって
影響もあって 2mを超える高潮
える高潮が
高潮が発生するおそ
発生するおそ
れがあります。
れがあります。きょうは小潮
きょうは小潮ですが
小潮ですが、
ですが、台風が
台風が接近する
接近する今夜遅
する今夜遅くからあす
今夜遅くからあす未明
くからあす未明にかけて
未明にかけて、
にかけて、高潮に
高潮に対する厳
する厳
重な警戒が
警戒が必要です
必要です。
です。
図 1 伊勢湾台風上陸直前の
伊勢湾台風上陸直前の天気図と
天気図と雲画像
地形図の標高データは米地質調査所の SRTM-30。カシミール 3D を使用して作画した。やや俯瞰気味になって
いる。天気図は気象庁が解析したもの。当時の等圧線は 2mb(hPa)であったが、現代風に 4hPa で作画した。
局地的な前線については表現していない。注意事項として、雲の画像は伊勢湾台風のものではない。当時は気象衛
星による観測はまだ行われていない。九州薩摩半島に上陸した 1993 年 13 号(上陸時 930hPa と伊勢湾台風に
類似)の雲画像を、各地気象官署の雲量観測と合うように拡大して重ね合わせている。高知大学気象情報頁で公開
している赤外画像を使用した。
“伊勢湾台風”
伊勢湾台風”襲来時の
襲来時の気象
気象予報士 平井史生
冒頭の文章は、伊勢湾台風についての気象情報を現代風に書き起こしたものである。
「伊勢湾台風」という
呼称が使われるようになったのは 9 月 30 日以降のことで、接近・上陸時は台風 15 号と呼ばれていた。こ
の年、1959 年の白黒テレビの世帯普及率は 23.6%であり、多くの人は、新聞やラジオから気象情報を入手
したと思われる。図 1 には、俯瞰立体地形図に上陸直前の天気図と雲画像を重ねて示した。50 年前の 9 月
26 日の夕方の状況を疑似体験して欲しい。
1.”伊勢湾台風”
伊勢湾台風”のプロフィール
1959 年台風第 15 号は、9 月 21 日 21 時にサイパン島の東方海上で発生した。発生当初の中心気圧は
1002hPa であったが、24 時間後の 22 日 21 時には 960hPa、48 時間後の 23 日 21 時には 895hPa
と急速に発達した。特に 22 日 9 時からの翌日 9 時までの 24 時間の気圧低下は 91hPa にもなる。台風の
中心気圧は、その勢力の目安とすることができる。気圧が低いほど中心付近の暴風の程度が激しい。最盛期に
900hPa を下回った台風は、伊勢湾台風を含め過去 33 例(1951 年以降)あり、記録上最も発達した台風
は 1979 年 20 号である(10 月 12 日 15 時 870hPa、最大風速は約 70m/s)
。ちなみに、2005 年に米
国ニューオーリンズを襲ったハリケーン”カトリーナ”の最盛期の中心気圧は 902hPa であった。
図 2 には伊勢湾台風の経路図を示す。黄色の範囲は気圧が 1000hPa 以下になった領域で、現代風にいう
と「風速 15 メートル以上の強風域」に入った地域である。薄い橙色の範囲は 980hPa 以下の領域で、ほぼ
「暴風域」の地域に対応する。また、940hPa 以下の領域についても濃い橙色で示した。台風の解析位置に
ついては、9 時は紫の丸で、21 時は青の丸で示した。台風が発生した 21 日から 25 日頃までは、北西の方
向に移動し、移動速度は 20~25km/h 程度であったが、進路を北に変えた 26 日未明から速度を上げ、26
日夕方には 60~70km/h で紀伊半島に上陸、27 日未明には 90km/h に達した。12 時間毎の丸の間隔が
急激に広がっていることから加速の度合いを読み取ることができよう。27 日の夜にはもう北海道の東海上に
抜け温帯低気圧に変わっている。
図 2 伊勢湾台風経路図
気象庁ベストトラックによる。
数値は台風の中心気圧。当時の天
気図や気象官署の観測値から
1000hPa 以下、980hPa 以下、
940hPa 以下の範囲を彩色した。
放物線の経路は秋台風の典型コー
スだが、非常に強い勢力を持って
上陸し、急激に加速した特徴があ
る。作画ソフトは PictBear。
24 時間で急発達した台風の例
は次の通り。
①1953 年 13 号(96hPa 下降)
②1958 年 22 号(93hPa 下降)
③1959 年 15 号(91hPa 下降)
下降)
④1971 年 35 号(90hPa 下降)
⑤1983 年 10 号(90hPa 下降)
上記③が伊勢湾台風である。
1987 年 8 月までは米軍によっ
て、航空機による台風観測が実施
されていた。50 年前とはいえ、
中心気圧推定値の精度は比較的高
いと思われる。
50 年前、当時の気象庁が伊勢湾台風を認識したのは 22 日 15 時(事後解析で 21 日 21 時の発生と修正)
のことで、翌朝の新聞には台風発生の記事がみられる。防災上の注意を喚起する記事は、25 日の夕刊からで、
「週末は大荒れか?」「明夜、本土に接近」という見出しが出ている。非常に規模の大きい台風が接近し、上
陸のおそれが次第に強まってきていることは、明らかであった。また、気象庁による台風の進路予想は的確で、
ほぼ予想通りのコースを通過した。つまり、不意打ちの台風ではなかったことがわかる。
2.伊勢湾台風による
伊勢湾台風による風
による風と気圧の
気圧の記録
伊勢湾台風の特徴は、非常に強い勢力を保ったまま
本土に上陸したことである。図 3 は台風経路に沿って、
各気象官署における「最大瞬間風速」と「最低気圧」
の値をプロットしたものである。格子は 2 万 5 千分
の 1 地形図の範囲に相当する 2 次メッシュで、青い
矢印は最も風が強かった時の風向を示す。薄い桃色の
帯が台風中心の経路を表現したものである。台風の東
側では強い南風が吹き荒れ、台風の西側では強い北風
が観測されていたことがわかる。なお、台風経路に近
いところでは東風が最も強かった。
台風経路の東西で風速値を比較すると、特に東側の
値が大きくなっていることがわかる。最盛期を過ぎて、
進路を東向きにかえつつある台風の場合、進路の東側
の暴風域が広いことは経験的に知られている。台風の
移動速度と台風自身の風速が合算されるからと説明
されることが多いが、大気物理学的に証明されたこと
ではない。伊勢湾台風が来襲した際も京都府舞鶴で
51.1m/s の暴風が観測されていることから、経路の
西側の方が安全であるという法則は導き出すことは
できない。
赤字は伊勢湾台風襲来時の記録が現在でも破られ
ていないことを示す。三重県津における 51.3m/s、
愛知県伊良湖の 55.3m/s、名古屋の 45.7m/s など、
伊勢湾岸では、伊勢湾台風を上回る暴風は、その後
50 年間 なかったことになる。ま た、静岡県浜 松
42.0m/s、長野県飯田 37.0m/s、諏訪 33.8m/s の
暴風記録も伊勢湾台風によるものが現在でも 1 位と
なっている。通常、山間部の風速値は沿岸部よりも小
さくなる傾向がある。険しい山岳と複雑な地形の摩擦
によって風が減衰することによるが、伊勢湾台風の際
は谷間や盆地の走行と強風の向きが一致し記録的な
暴風が吹き荒れたとみられる。
和歌山県潮岬において 26 日 18 時 13 分に観測さ
れた 929.2hPa という最低気圧は、本土の気象官署
では 2 位の記録である。なお、1 位は室戸岬で観測さ
図 3 「伊勢湾台風」
伊勢湾台風」風と気圧の
気圧の記録
地形図の標高データは、国土地理院「数値地図 50m
メッシュ(日本Ⅱ)」
。格子は 2 次メッシュ。カシミー
ル 3D を用いて作画。台風の経路および最大瞬間風速の
データは気象庁による。赤字は現在でも破られていない
レコードである。
れた 911.6hPa である(1934 年 9 月 21 日・大阪
湾で高潮被害が生じた室戸台風による)。台風の経路
に沿って三重県尾鷲 939.4hPa、津 944.4hPa、上
野 946.3hPa、滋賀県彦根 949.2hPa、愛知県名古
屋 958.2hPa などでは、伊勢湾台風時の最低気圧の
記録が現在でも破られていない。
台風経路にあたる和歌山県潮岬、
三重県尾鷲、岐阜、新潟県相川の気
圧変化を図 4 に示す。いずれの地点
でも台風の接近に伴って気圧が急降
下し、通過後は急上昇している。4
地点の最低気圧を比較すると、時間
と共に台風の勢力が少しずつ衰えて
いったことがわかる。
図 4 台風経路上の
台風経路上の気象官署における
気象官署における気圧
における気圧の
気圧の変化
最低気圧出現時を考慮しつつ、1 時間毎の気圧値をもとに Microsoft
Excel にて作画した。データは気象庁「伊勢湾台風調査報告」から。
3.伊勢湾台風の
伊勢湾台風の時間・
時間・空間表現
伊勢湾台風は近畿から東海、北陸を縦断したわ
けであるが、これは地図を基準にして台風の動きを
とらえた見方である。視点をかえて、台風の中心を
基準にして作図したのが図 5 である。台風の中心が
座標の基準となり、各都市がどのように移動したか
が表現される。たとえば、三重県の尾鷲は、北東の
......
.........
方向から台風に接近し、台風のすぐ東側を通過して、
........
台風の南へ去っていったことになる。また大阪は、
.........
....
北の方向から台風の中心に接近し、台風のすぐ西を
....
....
通過して、台風の南西方向に遠ざかることになる。
わずか 8 地点のデータを用いるだけで、伊勢湾台風
の反時計回りの渦巻きが演出できた。図 5 において
風速値は、作図表現上省いたが、等値線を施し、暴
風の範囲を薄い桃色で重ねてある。前項でふれた「東
図 5「伊勢湾台風」
伊勢湾台風」風向風速分布図(
風向風速分布図(時間時間-空間表現)
空間表現)
西の風向の違い」や「東側でより風速値が大きい」
東海・近畿を中心とした 8 地点の風の観測値から台風
視点で作画。風データは、気象庁「伊勢湾台風調査報告」 ということについても極めてシンプルに図示される。
の局地天気図から読み取った。特に、台風の東側で風が
矢印は各地点の 9 月 26 日 18 時から 21 時まで
強かったことがわかる。作画ソフトは PictBear。
の 1 時間毎の風向を示し、イメージしやすいように
流線を描画した。台風に吹き込む風は、台風の中心めがけて吹き込むのではなく、やや右側に向かう。理科の
教科書にあるように、コリオリ力の影響を受けて巨大な渦が形成されているからである。勢力の強い台風では
中心に「台風の眼」が形成され、暴風はおさまり、一時的な晴天となることがある。台風の上陸地点に近い和
歌山県潮岬の観測記録では、台風の上陸時も全天を雲に覆われ雨が継続しており、台風の眼に入ったかどうか
判断できなかった。なお、台風の眼の周囲には「眼の壁雲」と呼ばれる活発な積乱雲がドーナツ状に取り巻き、
最も上昇気流が強く、最も雨が激しい領域である(図 6)
。
図 6 台風の
台風の雨雲の
雨雲の断面図
最盛期の台風の雨雲の様子をモデル的に描いたもの。高さ
方向にかなり強調している。台風の水平スケールは、雲渦の
直径で 500 キロから 1500 キロなど様々だが、雲の高さは
13~16 キロ程度。地表付近では周囲から暖湿流が流入しこ
れが雨雲の素となる。上空では風が吹き出している。作画ソ
フトは PictBear。
4.記録的な
記録的な高潮の
高潮の発生
伊勢湾台風による人的被害は、死者 4,697 名、行方不明 401 名、負傷者は 38,921 名にのぼる。正確な
記録が残る気象災害では最悪の被害となった。伊勢湾岸の広範囲で高潮が発生し、海岸及び河川の堤防 220
ヶ所が破堤・損壊したことにより、300 平方キロが水没した。死者・行方不明者の 7 割が高潮によるもので
ある。図 7 に伊勢湾岸の地形図を示す。標高 6m 以下は黄色、3m 以下は赤色で彩色した。現在の標高デー
タを用いているので、伊勢湾台風後の埋立地も表現されている。格子は 2 次メッシュである。矢印は暴風の
風向を示し、最大風速と最大瞬間風速を数値で示した。
台風の中心は、三重・滋賀県境から岐阜県
を通り、愛知県は通過していない。台風経路
のすぐ東側にあたる伊勢湾岸では、台風に吹
き込む南~南東からの暴風が吹き荒れ、結果
として湾口から湾奥へ大量の海水が送られる
ことなった。各験潮所及び水位観測所におけ
る最大潮位を黒色で示した。伊勢湾口の最大
潮位は 1m50cm から 2mであったが、伊勢
湾奥では 3m を超え、名古屋港では 389cm
(21 時 35 分、東京湾平均海面基準)に達し
た。当時の名古屋港の海岸堤防の高さは、
1921 年 9 月 25 日 の 台 風 に よ る 高 潮
(297cm)に基づき、338cm で作られてい
たが、26 日 21 時 15 分から 22 時頃にかけ
てはこれを上回った。最大潮位を記録した時
刻は、台風の中心が最も近づいた頃であり、
最も気圧が低く、最も風が強い時間帯であっ
図 7 伊勢湾台風による
伊勢湾台風による暴風
による暴風と
暴風と高潮
標高データは現在のもので、国土地理院「数値地図 50mメッ
シュ(日本Ⅱ)
」を使用。カシミール 3D で作画で 2 次メッシ
ュの格子をかけた。矢印は暴風の風向を示す。各点の 3 桁の値
は最大潮位を示す(東京湾平均海面を基準)
。潮位データは名古
屋地方気象台防災広報パネル「第二の伊勢湾台風に備えて」を
参考にした。大王崎灯台の最大瞬間風速値は暴風で風速計が破
損する直前の値。地図上の重ね合わせには PictBear を使用。
た。
黒線は浸水域の境界を示したものである。
気象庁がまとめた災害資料の添付図をトレー
スしたものだが、赤色で彩色した標高 3m以
下の低地とほぼ一致していることがわかる。
高潮によりひとたび防潮堤が破壊されると、
大量の海水は重力に従い、より低い土地に向
かって流出する。自宅が高潮の被害に遭うかどうかを考える時、防潮堤の堅牢度や海からの距離も判断基準と
なろうが、まずは、その土地の標高を知るべきである。標高が低ければ、より高潮被害の危険度が増すことを
認識すべきであろう。日本建築学会が 1961 年にまとめた報告書には、高潮浸水地域から避難した人の調査
結果がまとめられている。避難時の水かさが 30cm 未満だったと答えた避難者は 103 人、30~50cm と答
えた避難者は 18 人、50~70cm は 2 人で、70cm 以上は 0 人であった。つまり、70cm 以上の水嵩での
生還者はいないということになる。この報告書では、88%の人が荷物を持って逃げたが、半数以上が途中で
荷物を放棄したことも記されている。夜間の暴風雨の中での避難がいかに困難であるかを示しているといえよ
う。
5.高潮の
高潮のメカニズム
台風が接近し気圧が低くなると、海面が持ち上げられる。これを「吸い上げ効果」と呼ぶ。外洋の場合 1hPa
低くなると 1cm 程度の海面上昇と見積もられる。また、沖から海岸に向かって強い風が吹くと、海岸に向か
って海水が押し流されるが、これを「吹き寄せ効果」と呼ぶ。吹き寄せによる海面上昇は風速の 2 乗に比例
し、風速が2倍になれば海面上昇量は4倍になる。Λ型の湾に吹き寄せる場合は、湾奥でさらに海面が高くな
る。台風接近時には暴風によって引き起こされた高波の効果も加わる。その他、初秋はもともと海水温の高い
時期であり、海水の膨張が生じやすい。黒潮の蛇行による暖水渦の影響で、数 10cm の海面上昇がみられる
こともある。伊勢湾台風の高潮について、事後の解析では、吸い上げ効果が約 70cm、吹き寄せ効果が 270cm
程度であったと見積もられている。
伊勢湾台風が来襲から 50 年が経過した。台風の予測技術も向上し、現在では 5 日先までの進路予想も公
表されている。高潮注意報や警報の内容も具体的になり、予想される最大潮位やその時刻についても伝えられ
るようになった。防災情報の情報伝達手段も多様化し、テレビやラジオ、新聞ばかりではなく、インターネッ
トや携帯電話からも情報入手が可能となった。来るべき第 2 の伊勢湾台風に備え、命を守る防災情報を活用
して欲しい。日本のゼロメートル地帯人口は 404 万人である。今一度、冒頭の文章をお読み頂きたい。
6.参考文献・
参考文献・参考データ
参考データ
気象庁(1961)気象庁技術報告第 7 号「伊勢湾台風調査報告」
日本建築学会伊勢湾台風災害調査特別委員会(1961)「伊勢湾台風災害調査報告」
饒村 曜(1986)
「台風物語~記録の側面から~」、日本気象協会編、出版クライム気象図書
国土地理院(2001)数値地図 50 メッシュ(標高)CD-ROM「日本Ⅱ」
名古屋地方気象台(2009)「第二の伊勢湾台風に備えて」WEB 公開防災パンフレット
RSMC Best Track Data(気象庁サイト内 http://www.jma.go.jp/)
高知大学気象情報頁(http://weather.is.kochi-u.ac.jp/)
平井史生 ひらいふみお
1965年9月30日、千葉県柏市生まれ。駒澤大学地理学科非常勤講師。神奈川大学人間科学科非常勤講師。気象予報士。専門
は「気象学・気候学」。日本テレビ「ズームイン!!SUPER」にて気象解説中。編集部から「伊勢湾台風」
の原稿を依頼された時に困惑した。生まれる前の大災害であり、高潮被災地にも行っていない。知ったか
ぶりで書くのは、読者や被災者、調査報告をまとめた研究者に礼を欠いていないだろうか。作図をするう
ちに胃が痛くなった。伊勢湾台風についての調査報告は国の機関、県、被災市町村によって、かなり詳細
にまとめられている。気象庁の報告書の厚さは10cmにもなり、各種データは網羅的だ。「伊勢湾台風の
正体をあばき、今後の人的被害を最小限にするぞ!」という先人の強い意思が込められている。近年、洪
水や土砂災害に対するハザードマップの整備が進んだ。遅れている高潮ハザードマップの作成・公表を急
ぐべきであると感じている。