セーフティレポート2010

株式会社舞浜リゾートライン
Ⓒ Disney
目次
1
ごあいさつ ·································································· 1
2
安全に関する基本方針と目標 ························· 2
3
安全管理体制 ······················································· 3
4
輸送の安全確保のための取り組み ················· 6
5
鉄道事故等の発生状況 ···································· 10
6
ゲストの皆さまへ ····················································· 11
7
お問い合わせ ·························································· 13
いつもディズニーリゾートラインをご利用いただきましてありがとうござい
ます。
ディズニーリゾートラインは、東京ディズニーリゾート®内の各施設を結ぶ交
通機関として 2001 年 7 月 27 日に開業し、おかげさまでまもなく 10 年を迎え
ようとしております。その間、私たちは「笑顔を運び、夢をつなぐ幸福創造企
業」の理念のもと、キャスト(従業員)全員が一丸となって、皆さまの快適な
旅のお手伝いができるように努めております。
私たちが開業以来守り続けている「SCSE」という 4 つのキーワードがありま
す。これは「Safety(安全)」
「Courtesy(礼儀正しさ)」
「Show(ショー)」
「Efficiency
(効率)」の頭文字をとったもので、私たちキャストが守るべき行動基準であり、
その並びがそのまま優先順位を表わすものとなっています。つまり私たちは、
常に「安全」を最優先に行動しなければならないのです。全てのキャストが「安
全基本方針」を理解したうえでこれを堅持し、今後も輸送の安全確保に向けて、
常に努力を続けてまいります。
またさらなる「安全」を実現するためには、異常時に備えたリスク管理強化
とキャスト同士のコミュニケーション強化も重要であると考えております。異
常時訓練のメニューや頻度を増加させるとともに、役職員と現場のキャストが
積極的に意見交換できる機会をより多く設けるなど、ソフト・ハード両面から
取り組んでおります。
これらの取り組みがベースとなり、他のアクセスでは味わえないディズニー
リゾートラインらしい体験につながるものと確信しております。
この「セーフティレポート 2010」は、鉄道
事業法第 19 条の 4 にもとづく安全報告書とし
て、2009 年度における当社の安全に対する取り
組みについてご紹介し、広くご理解いただくた
めに作成・公表いたしました。ぜひお読みいた
だいて、皆さまの忌憚のないご意見、ご感想を
お聞かせくださいますようよろしくお願い申し
上げます。
株式会社舞浜リゾートライン
代表取締役社長
天野 明朗
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私たちは法令遵守のもと、安全に対する以下の方針と目標をもって、これから
もゲストのみなさまに、ディズニーリゾートラインの素晴らしい旅を提供できるよ
う努めてまいります。
(1)安全基本方針
ゲストのみなさまへ安全・快適なサービスが提供できるよう、東京ディズニー
リゾート全体とも連携を図りながら、次の事項を遵守します。
1. 法令・規則を守り、安全を最優先にゲストをおもてなしします。
2. 安全に対し、常に当事者意識を持って主体的に行動します。
3. 情報を迅速、正確に共有し、一致協力して安全への対応能力を高めます。
(2)安全目標
社長以下全従業員が一丸となり、安全管理体制の強化を行うとともに、今後も
「事故ゼロ」を目指し、ソフト・ハードの両面から安全・安定輸送に邁進します。
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(1)安全管理体制
当社の「安全管理規程」では、輸送の安全確保のために社長をトップとする
安全管理体制を構築し、各責任者の責務を明確にしております。
社長
【安全管理体制図】
役 員
安全統括管理者
総務部長
リゾートモノレール部長
運転管理者
乗務員指導管理者
ガイドキャスト
車両管理者
運輸指令
車両
施設管理者
ファシリティ
電気
電力指令
ドライバーキャスト
役
職
社
長
安全統括管理者
役
割
輸送の安全の確保に関する最終的な責任を負う。
輸送の安全の確保に関する業務を統括管理する。
安全統括管理者およびリゾートモノレール部長の指
運転管理者
揮の下、列車の運行、乗務員の資質の保持その他運
転に関する業務を管理する。
乗務員指導管理者
施設管理者
車両管理者
運転管理者の指揮の下、乗務員の資質の保持に関す
る事項を管理する。
安全統括管理者およびリゾートモノレール部長の指
揮の下、施設に関する事項を統括する。
安全統括管理者およびリゾートモノレール部長の指
揮の下、車両に関する事項を統括する。
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(2)安全管理方法
輸送の安全確保を達成するため、安全に対する検討および研究を継続し、さら
に内部監査も実施することにより、PDCA サイクル(輸送の安全に関する方針等
の策定、実行、チェック、改善のサイクル)を確実に機能させ、社長以下全従業
員が一丸となった安全管理体制の確立に努めております。
① 輸送の安全に関する会議
2009 年度は、これまであった輸送の安全に関する2つの会議体(自社や他
社で発生した事故・トラブル等の報告、再発防止策の検討状況等を話し合う「輸
送安全対策会」と、中期的な視野のもと輸送安全に関わる事案の研究を行う「輸
送安全研究会」)を一体化し、新たな「輸送安全対策会」としてスタートさせ、
安全管理体制の一元化を図っています。
またこの会議で対策、検討された内容は「輸送安全報告会」の場で定期的お
よび緊急性のある場合はその都度社長へ報告されます。
【輸送の安全に関する会議】
輸送安全報告会
(四半期ごと※)
安全マネジメント
事務局
輸送安全対策会
(毎月1回※)
運転分科会
(毎月1回)
施設車両分科会
(毎月1回)
※緊急性のある場合は都度開催
② 経営トップによる職場巡視
社長をはじめとする役員や各管理者が、日常的に各職場を巡視し、キャスト
と直接コミュニケーションを行い意見交換することで、気がかり事象の把握や
安全管理状況の確認を行っております。
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③ 緊急時対応体制
事故や自然災害が発生した場合に備え、対応体制や手順を整備していま
す。さらに、大規模地震が発生した場合の対応手順の改訂作業など、定期的
な見直しを行っております。
(3)安全管理体制の見直し(内部監査)
内部監査(運輸安全マネジメントに係る内部監査)とは、安全管理体制が
PDCA サイクルにもとづき適切に運営されているかをチェックするためのも
ので、2009 年度は 9 月に実施しました。
キャストに対して安全意識に関するアンケート調査および各管理者等への
聞き取り調査を実施し、安全管理体制の評価や検証を行いました。今後もこの
監査結果をもとにして継続的な業務の見直しを行うとともに、安全管理体制の
維持向上を図ってまいります。
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(1)重点安全施策
安全目標である「事故ゼロ」を達成するために、次のような取り組みを実施し
ております。
① 毎月開催している輸送安全対策会、各分科会でのヒヤリハット等の事例研究を、
作業手順の見直しやキャストの教育に生かし、事故防止に努めております。あ
わせて、他社で起きた事故事例等についても、当社での発生のリスクを検証し、
その結果を安全運行につなげております。
② 当社は、モノレールにおける本格的なドライバーレス運転を開業以来続けてお
りますが、今後も安全・安定輸送を確保するために必要不可欠な ATO(自動
列車運転装置)や、これを支える ATC(自動列車制御装置)、TTC(運輸管理
システム)等、保安装置の機能維持に努めてまいります。
(2)安全確保のための取り組み
① 人材教育
「安全基本方針」については、全キャストが常に共有することを目的に各職
場に掲出し、安全意識の維持向上に努めています。
また、実践面においても、社内規定にもとづき、キャストに対してさまざま
な教育訓練を実施しております。
ドライバーキャスト(運転士)およびガイドキャスト(車掌)は、合同で年
4 回の定例教育を実施し、自社でのヒヤリハットや他社での事故事例等の検討
結果を用いて情報の共有化を図るとともに、実際に車両を利用した異常時対応
や機器操作などの訓練を行っております。
あわせてドライバーキャストは、異常時にいつでも手動運転を行えるよう、
定期的な本線走行訓練を行っております。
当社のドライバーレス運転は、極力駅間で停止しないようなシステムとなっ
ております。しかし、故障等によりそのシステムが機能しなかった場合は、
ドライバーキャストが高所作業車等により列車に乗り込み、いつでも手動運
転ができる体制をとっております。
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そのほか、技術的な専門分野に関する教育については、積極的に社外研
修も活用するなどキャストのレベルアップを図っております。
② 異常時対応訓練
当社では、万一の場合の備えてさまざまな状況を想定した異常時訓練を
実施しております。
2009 年 9 月には、大規模地震発生との想定のもと、終車後の夜間に地震
対応訓練を実施し列車の安全な停止および運転再開に向けた手順の再確認
を行いました。
今回は、同年 4 月から運用を開始した「緊急地震速報システム」を活用
し、より実践的な訓練を実施しました。
また 2010 年 1 月には、万一列車が駅と駅の間に停止してしまった場合を
想定して、各部門の従業員が合同で行う「異常時総合訓練」を車両基地内で
実施しました。
今回は、はしご車を使って車内ゲストを地上に救出する訓練と、故障し
て停止した列車に、別の列車を連結して運転する訓練を実施しました。
はしご車を使っての救出訓練
救援列車との併合訓練
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この他、運行トラブル時におけるスムーズな運転正常化を図るための運
輸指令キャストの操作訓練、高所作業車・はしご車の設営、操縦訓練、駅に
おいての停止したエレベーターからの救出訓練など、年間計画にもとづいた
定期的な訓練を行っております。
今後も、異常時における対応力のさらなる強化を目指し、想定内容や実
施頻度などを再検討し、より実践的な訓練を実施してまいります。
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(3)安全のための投資と支出
当社では、開業時より ATC やホームドア(可動式安全柵)など、先端の保
安設備を備えており、安全確保のための新たな投資はありません。これらの設
備は導入から 9 年が経過しておりますが、今後も機能維持のための投資を継続
して行ってまいります。一方、運輸管理システムなど、将来更新が見込まれる
ものについては、安全性の高い、そしてさらに使いやすい装置となるよう研究
を進めております。
防災対策としては、地震被害の最小化を図る目的で「緊急地震速報システム」
を 2009 年 4 月から導入し、運用を開始しております。
設備面では、2010 年 3 月にモノレール
軌道下を歩行者や自転車等が通行するエ
リアについて、軌道桁下部に庇(ひさし)
を設置しました。
このほか、ゲストの皆さまに安心してご
利用いただくため、全 4 駅に AED(自動
体外式除細動器)を導入しているほか、エ
スカレーターでの事故防止を目的に、自動
音声による注意喚起アナウンスシステム
の導入や注意喚起表示、安全ブラシの設置
を行っております。
また、列車内の警備員による巡回増強
等、ゲストの皆さまの安全を強化する対策
にも引き続き力を入れております。
軌道桁下部の庇
安全ブラシ(左右設置)
注意喚起表示
エスカレーター安全対策
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(4)安全運行を支える主なシステム
当社では開業以来モノレールとしては初の本格的な ATO によるドライバー
レス運転を行っております。これを支えるため、信号システムには保安度の高
い ATC を導入するとともに、各駅のホームには、列車との接触や転落防止の
ためのホームドアを設置しております。
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なお、当社のドライバーレス運転は、無人運転とは異なり、列車の最後部に
ガイドキャストが乗務しております。ガイドキャストは、ゲストの皆さまのご
案内やドアの開閉、さらには異常時におけるゲストの避難誘導等に従事します。
このほか列車の運行を総合的に管理する TTC の設置や、機器の状況が全て
把握できるモニター装置の車両への装備等により安全確保に努めております。
① ATC(自動列車制御装置―Automatic Train Control)
前を走る列車との間隔やカーブなどの線路状態にもとづいた情報を、速
度信号として地上側の装置から列車に設けた装置に送り、実際の速度と制限
速度とを比較したうえで、超えている場合には自動的にブレーキを作動させ、
制限速度以下まで減速させるか停止させるシステムです。
② ATO(自動列車運転装置―Automatic Train Operation)
ATC のバックアップのもと、列車の出発、走行、減速、定位置停止といっ
た操縦制御や、ホームドアとの連動制御などを自動的に行うシステムです。
③ ホームドア(可動式安全柵)
ホームドアは、ホームからの転落防止
や列車との接触事故を防止するために設
けられています。ガイドキャストが列車の
ドアを開閉すると、それと連動してホーム
ドアも開閉します。
また、ホームドアと列車のドアが両方
とも閉まらないと、列車は出発できません。
このホームドアにはさまざまな安全装
置が取り付けられています。
ゲストがホームドアに挟まれたときで
も、ホームドアは自動的に再開閉するよう
になっています。また、万一ホームドアと
列車との間に取り残されても、それをセ
ンサーが検知し、列車が動き出すことの
ないようになっています。
さらに混雑時にはキャストにより、安
全に対するお声がけを徹底し、皆さまの
安全なご利用をソフト面からもサポート
いたします。
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2009 年度の鉄道事故等の発生状況は次のとおりです。
(1)鉄道運転事故
鉄道運転事故はありませんでした。引き続き、安全運行に努めてまいります。
鉄道運転事故とは、国土交通省の鉄道事故等報告規則(省令)にもとづく、
列車衝突事故、列車脱線事故、列車火災事故、踏切障害事故、道路障害事故、
鉄道人身障害事故、鉄道物損事故をいいます。
(2)輸送障害
輸送障害はありませんでした。
輸送障害とは、省令にもとづき国土交通省への報告対象となった列車の運休
または 30 分以上の遅れをいいます。
(3)災害(地震や暴風雨、降雪など)
地震など、自然災害が原因となった輸送障害はありませんでした。
(4)インシデント(事故の兆候)
インシデントはありませんでした。
インシデントとは、省令にもとづき事故には至ってないが運転事故が発生す
るおそれがあると認められる事態のことをいいます。
当社は、2001 年 7 月 27 日の開業以来、有責事故ゼロを続けており、関東運輸
局長より無事故事業者表彰を 2 期連続でいただいております。
今後も、ゲストの皆さまに安心してご利用いただけるよう、全キャストが一丸
となって安全運行に努めてまいります。
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(1)皆さまの声をかたちに
ゲストの皆さまに安心してご利用いただくために、皆さまからお寄せいただ
いたご意見をさまざまな対策に反映させております。
① 駅のエレベーター乗り場には、車いすをご利
用のゲストをはじめ、エレベーターを必要と
されるゲストの方への優先利用にご協力いた
だけるよう、案内表示の設置を行っておりま
す。
② 車いすをご利用の方に、よりスムーズにモノ
レール車内へご乗車いただけるよう、既設の
固定式スロープに加え、可搬式のスロープ板
を全4駅に導入しています。
③ 全4駅に AED(自動体外式除細動器)を導入
しています。
また、これにあわせて、AED を取り扱うキャ
ストが迅速に救命救急活動を行えるよう、浦
安市消防署のご協力のもと普通救命講習を受
講しています。
今後も皆さまからいただいたご意見、ご要望を安全面に活かしてまいります。
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(2)皆さまに安全に楽しくご利用いただくために
① ホームでは
 かけ込み乗車は思わぬケガのもととなります。次の列車をお待ちください。
 ホームドアに寄りかかったり、顔や手をホームドアの外に出さないでくだ
さい。
 ホームと列車との間にはすき間があります。乗り降りの際は十分ご注意く
ださい。特に小さなお子さまをお連れの方は、手をつないで乗降をお願い
いたします。
 緊急時、ただちに列車を止めなければ
ならないときは、各駅のホームドア中
央付近に設置してある「非常用ボタン」
を押してください。
② 車内では
 運転中やむを得ず急ブレーキのかかる場合があります。皆さまの安全の
ため、ご乗車の際は座席にお座りになるか、お立ちの場合はお近くのつ
り革や手すりにおつかまりください。
 ドアに手をついていると、ドアが開いた際に戸袋に手が引き込まれてし
まうおそれがあります。ドア付近にお立ちの時はご注意ください。特に
小さなお子さまをお連れの方は十分ご注意ください。
 各車両には、非常時の際にガイドキャストと通話
のできる「非常通報装置」が設置されています。
万一車内において急病人の発生や、その他不安全
な行為等を認めたときは、何なりとお知らせくだ
さい。
皆さまの安全と列車の安全運行のため、ご協力をお願いいたします。
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セーフティレポートへのご意見やご感想、当社の安全への取り組みに対する
ご意見をお寄せください。
株式会社舞浜リゾートライン
リゾートモノレール部 トランジットグループ
TEL:047-305-2409
(平日 9:00 ~ 18:00)
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株式会社舞浜リゾートライン
2010 年 9 月発行