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EMBASE文献速報
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急性冠動脈症候群(ACS)発症1年後の主要有害心イベントの再発および死亡率とアンヘドニアとの関連
Association of anhedonia with recurrent major adverse cardiac events and
mortality 1 year after acute coronary syndrome.
Arch Gen Psychiatry 2010; 67: 480-488
Davidson KW, Burg MM, Kronish IM, Shimbo D, Dettenborn L, Mehran R, Vorchheimer D, Clemow L,
Schwartz JE, Lespérance F, Rieckmann N
背景 : 急性冠動脈症候群(ACS)患者においてうつ病の併発は再発および死亡率を一貫して予測できるが、うつ病には明らかに生物学的相関
性のある抑うつ気分とアンヘドニア(興味や喜びの喪失)という 2 つの主要な診断基準がある。
目的 : 抑うつ気分またはアンヘドニア、またはその両者が、ACS 患者の1年後の医学的アウトカムを予測できるかどうかを検討する。
デザイン : 2003 年 5 月~ 2005 年 6 月の間に入院した ACS 発症後の患者を対象とした観察コホート研究。入院後 1 週間以内に精神医学的構
造化面接を行い、臨床的に障害となっている抑うつ気分、アンヘドニア、大うつ病エピソード(MDE)を評価した。また、Global Registry of Acute
Coronary Events(GRACE)リスクスコア、Charlson comorbidity index、左室駆出率、抗うつ薬の使用、Beck うつ病評価尺度(BDI)を用いたうつ
症状の重症度も評価した。
参加機関 : ニューヨーク州とコネティカット州の 3 大学病院の心臓病科。
対象 : 連続した ACS 患者 453 例(年齢 25 ~ 93 歳、女性の割合は 42%)。
主要なアウトカム項目 : 全死因死亡率(ACM)および記録された主要有害心イベント(MACE : 心筋梗塞、不安定狭心症による入院、緊急冠動
脈再灌流)を入院時から 1 年間前向きに調査した。
結果 : 67 件のイベントがみられた[死亡 16 例、MACE 51 例 (全体の 14.8%)]。108 例(24%)の患者にアンヘドニア、77 例(17%)の患者に抑
うつ気分が認められた。性別、年齢、医学的共変量で調整した結果、アンヘドニアは MACE および ACM を併合したものに対して有意な予測因
子となったが(調整ハザード比 1.58、95%CI 1.16-2.14、p <0.01)、抑うつ気分は予測因子とならなかった。アンヘドニアは、さらに MDE の診断
またはうつ症状の重症度で調整しても、有意にアウトカムを予測した(p <0.05)。以上の知見は、臨床医による面接評価の代わりに BDI の抑う
つ気分およびアンヘドニア関連の下位スコアを用いて確認された。
結論 : アンヘドニアは、MDE やうつ症状の重症度などすでに確立された医学的予後指標よりも MACE および ACM のリスクを同定することがで
きる。アンヘドニアとの相関性はうつ病と心疾患の関連性の理解に寄与するかもしれない。
(翻訳:エルゼビア・ジャパン)
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