Download service for the JSASS member of ID 10509, 2013/04/11. 1 ■ 特集 先進的空力技術 第 部:流れの制御と実験・計測 第 回 ■ 超音速複葉翼理論の地上実証研究 大林 茂 * Shigeru OBAYASHI・山下 博 * ,* Hiroshi YAMASHITA・大谷清伸 * Kiyonobu OHTANI 菊池崇将 * Takamasa KIKUCHI・鵜飼孝博 * Takahiro UKAI * 東北大学 流体科学研究所, * 現 名古屋大学 大学院工学研究科 環境負荷が小さい次世代超音速機を実現させるためには,低ソニックブーム・低抵抗を両立する必要がある.これらの課題を克 服し,革新的超音速機の設計を可能にする一つの手段として,超音速複葉翼理論が注目されている.現在,東北大学流体科学研究 所衝撃波関連施設を利用した超音速複葉翼理論の地上実証研究が進められている.本稿では地上実証に利用するバリスティックレ ンジ装置(弾道飛行装置)の説明と改修計画の概要,それを利用した新たな実験計画の現状について紹介する. Key Words : Supersonic Biplane Theory, Low-Boom, Low-Drag, Ballistic Range に し た.ま た PSP(Pressure-Sensitive Paint)計 測 技 術 ) を用いて超音速領域の翼表面圧力分布の計測に成功 . は じ め に 環境負荷を抑えた次世代超音速旅客機を実現するための 課題として,ソニックブーム騒音の低減化と造波抵抗に伴 う燃料消費効率の改善が挙げられる.これらの問題を解決 する手段の一つとして Adolf Busemann が提案した複葉 翼 )を用いた超音速複葉翼理論 ∼ )が注目されている.第 図は設計マッハ数における超音速複葉翼周りの衝撃波の 様子を示す.超音速複葉翼は互いに向き合う二つの三角形 からなる翼形で,超音速飛行時に一方の三角形の前縁から 発生する圧縮波(衝撃波)がもう一方の三角形の頂点から 発生する膨張波と干渉し,互いに波を打ち消し合う.この 波の相殺効果によって体積に依存する造波抵抗を削減でき ることから,低ブーム・低抵抗な超音速旅客機を実現させ る一つの手段として期待されている. 筆者らの研究グループは超音速複葉翼を実飛行に適用さ せるため,超音速複葉翼の基礎的な空力特性を数値流体力 学(Computational Fluid Dynamics, CFD)と実験流体力 学(Experimental Fluid Dynamics, EFD)の両手法を用い て明らかにしてきた.CFD 解析による研究として山下 ら )は二次元複葉翼の造波抵抗の削減効果,始動・不始動 特性,および始動状態と不始動状態の移行時に抵抗値が不 連続となるヒステリシス現象を明らかにした.米澤ら )は 三次元複葉翼(矩形翼とテーパ翼)の造波抵抗の削減効 果,始動・不始動特性および空力特性を明らかにした.近 年では丸山ら )によって空力性能が優れた三次元複葉翼形 状の設計が進められている. 一方,倉谷ら , d)は東北大学大学院工学研究科 浅井・永 井研究グループと共同で,宇宙航空研究開発機構宇宙科学 研究所が所有する間欠式遷音速・超音速風洞を利用した風 洞実験を実施した.本実験成果は超音速複葉翼(矩形翼) し,三次元複葉翼の相殺効果を示した.藤園ら ) は当該 風洞を利用してテーパ型複葉翼の始動・不始動特性および 相殺効果,更に翼端板がテーパ型複葉翼の始動・不始動特 性に及ぼす影響を明らかにした.尾崎ら ) は鳥取大学大 学院工学研究科 川添・松野研究グループと共同で東北大 学流体科学研究所が所有する単路回流型低乱熱伝達風洞を 利用し,離着陸を想定した超音速複葉翼の低速空力性能を 詳細に調査した. 過去の研究から超音速複葉翼の衝撃波と膨張波の相殺効 果,それに伴う造波抵抗の削減効果が確認でき,超音速複 葉翼が革新的低ブーム・低抵抗な超音速機を実現するため の優れた手段であることがわかった. 次の研究段階として超音速複葉翼から発生する圧力波 を,複葉翼から離れた位置で直接計測し,超音速複葉翼理 論を実証したい.CFD 解析では解析対象から十分離れた 空間圧力値を高精度に推算することは(計算コストの観点 からも)難しい.また CFD 解析結果を検証するためにも 実験手法を用いた実証試験の実施が望ましい.一方,風洞 実験ではスティング等の模型支持の影響を圧力波から完全 に除去することは難しい.超音速複葉翼から発生する圧力 波を先端から後端まで一度の試験で同時計測できる実験的 手法の構築が期待される. 筆者らの研究グループは東北大学流体科学研究所衝撃波 の亜音速から超音速の広範囲の始動・不始動特性を明らか Ⓒ 日本航空宇宙学会 平成 年 月 日原稿受理 Biplane Theory Ground Experiment of Supersonic ( 第 図 設計マッハ数におけるダイアモンド翼(左)とブーゼ マン複葉翼(右)周りの衝撃波と膨張波の様子 ) ) Download service for the JSASS member of ID 10509, 2013/04/11. Download service for the JSASS member of ID 10509, 2013/04/11. 2 日本航空宇宙学会誌 第 関連施設を利用した超音速複葉翼理論の地上実証研究を進 めている.当該施設は平成 年度採択の文部省科学研究 費 COE 形成プログラム「複雑媒体中の衝撃波現象の解明 と学際応用」の成果に基づく衝撃波学際研究拠点である. 高山和喜教授が研究リーダーを務め,定年後も引き続き平 成 年度まで寄附部門「衝撃波学際応用寄附研究部門」 客員教授として研究を推進してきた.平成 年度より, 本格的な共同利用設備として整備中である.本稿では,施 設の中核であり地上実証研究に用いるバリスティックレン ジ装置(弾道飛行装置)の説明と改修計画の概要,実験の 現状について紹介する. . 弾道飛行装置 . 弾道飛行装置概要 本装置は先述の COE 形成プ ログラムの実施に伴い,東北大学流体科学研究所に米国 Physics Applications Inc.社から納入された.その後改良 を経て達成速度範囲の拡張と速度計測の高精度化が図られ た.第 図に本装置を示す.この装置は物体を高速で射出 する装置であり,主に衝突現象と高速空気力学の基礎研究 に供される.装置は砲身部と回収部から構成される.砲身 部の部品を組み換え,装置の運転形式を変更し, mm と mm の射出物体直径と射出速度を選択できる. 第 図に各運転形式を示す.直径 mm の射出物体で は,二段式軽ガス銃,一段式火薬銃,一段式軽ガス銃を選 択でき,射出速度は . ∼ . km/s である.直径 mm の 射出物体では,一段式火薬銃と一段式軽ガス銃を選択で 巻 第 4 号( 年 4 月) 薬を配置する.銃用雷管を発破し,薬莢に充填した高燃焼 速度の無煙火薬を着火する.その炎は多孔円管内を伝播 し,黒色火薬を着火する.黒色火薬の燃焼炎は多孔円管の 孔から噴出し,円管周りに配置した大量の無煙火薬をほぼ 同時に着火し,効率的に燃焼させる.無煙火薬の燃焼ガス はピストンを駆動し,圧縮管に封入した軽ガスを圧縮す る.軽ガスは,断熱圧縮と衝撃圧縮の組み合わされたモー ドで圧縮され,容易に数千気圧,数千度の極限状態が生じ る.この高温高圧のガスが金属隔膜を破断し,隔膜の直後 に置いた飛行体に作用して飛行体は加速管内を加速する. 一段式軽ガス銃は,発射機構に無隔膜方式を採用してい る.第 図に発射機構を示す.補助高圧室の圧力でピスト ンは駆動気体高圧室と加速管の入り口位置で圧力均衡を保 って静止している.補助高圧室の圧力は高圧室圧力よりや や高く設定する.補助高圧室の気体を急速に減圧すると, ピストン前後の圧力均衡が破れ,ピストンは補助高圧室側 に動いて弁が開口する.高圧室駆動気体は加速管内に流れ て飛行体は加速する.隔膜式ガス銃は,破断時間が不均一 で射出速度はばらつく.また駆動気体充填圧力は隔膜の破 断圧力に制限され,射出速度の刻みは大きい.無隔膜式は すべてが機械的に作動するために,破断の不確かさがなく 射出速度の再現性がよい.また駆動気体圧力を任意に設定 できるため,細かい速度刻みで射出速度を制御できる. き,射出速度は . ∼ . km/s である(一段式軽ガス銃形 式で,射出速度は 4 m/s である). 二段式軽ガス銃の作動原理を第 4 図に示す.飛行体を装 填した加速管(砲身)と圧縮管は金属隔膜で仕切られる. (a) 二段式軽ガス銃 圧縮管末端に超高分子量ポリエチレン製のピストンを挿入 し,その背後に無煙火薬を装填する.ピストン前方に高圧 の軽ガスを充填する.ピストンは O リングを備えており, 軽ガスは火薬室へ漏洩しない.大量の無煙火薬が燃焼する とき,燃焼は上流から下流へと伝播し,下流側の無煙火薬 は着火前に吹き飛ばされ,燃え残る不備があった.この欠 点を克服するために,火薬室には火管方式を採用してい る.黒色火薬を充填した多孔円管の周りに主推薬の無煙火 (b) 一段式火薬銃(ϕ mm) (c) 一段式火薬銃(ϕ mm) (d) 一段式軽ガス銃(ϕ 第 図 東北大学流体科学研究所所有の弾道飛行装置 第 ( 図 &ϕ mm) 弾道飛行装置の運転形式 4 ) Download service for the JSASS member of ID 10509, 2013/04/11. Download service for the JSASS member of ID 10509, 2013/04/11. 超音速複葉翼理論の地上実証研究(大林 茂・山下 博・大谷清伸・菊池崇将・鵜飼孝博) 3 回収部は直径 1. m,長さ 12 m のステンレス製で,試 験部を兼ねている.内部は回廊状でレールを備えている. レールに専用の試験槽を載せ,極低温板への衝突試験,水 で満たした水槽への水中突入試験等の,種々の実験に柔軟 に対応できる.複雑形状物体や,加速管直径より小さい飛 行体を射出するときはサボと呼ばれる支持具に格納し射出 する.射出後のサボは不要になるため,回収部を自由飛行 する間に回収部内部の空気抵抗を利用し分離させる.第 図にサボ分離の様子を示す.長い回収部は,サボ分離のた めの自由飛行距離を確保し,サボが観測部に与える影響を 防ぐ. 対の直径 mm の光学可視化窓と, チャンネ (a) 主推進材の着火過程 ルのフラッシュ X 線光源を備えており,光学可視化と X 線撮影を同時可視化できる.回収部に半導体レーザ光を, 弾道を横切るように複数導入する.レーザ光は,フォトダ イオードで受光し,電気信号に変換され,デジタルオシロ スコープで記録する.複数のレーザを用いて,飛行体が レーザ光を遮断する時間差とレーザ間の距離から平均の飛 行体速度が計算できる.第 図に遮断信号を示す.この手 (b) 主推進材の燃焼と駆動気体の圧縮過程 法は非接触で電気的外乱に強い特徴がある. . 一段式軽ガス銃の改修 筆者らの研究グループで (c) 隔膜破断過程 は,超音速複葉翼理論の地上実証を目指し,現行の直径 1 mm の比較的口径の大きい飛行体を射出できる一段式 軽ガス銃を超音速旅客機速度領域までの高速化をはかる改 修を行った.第 図に改修後の一段式軽ガス銃を示す.加 速管は . m,駆動気体高圧室容積 L,最高充填圧力 (d) 飛行体の加速過程 第 図 . MPa である.改修後の一段式軽ガス銃も無隔膜式の射 出機構を採用しており,マッハ数 2. 以上の速度範囲,速 度刻みをマッハ数 . 1 程度に制御して射出できると予測 二段式軽ガス銃の作動原理概略図 している. 改修に先立ち ANSYS AUTODYN ver. を用いて予備 数値計算を行った.第 d 図に計算モデルを示す.計算格子 (a) 駆動気体充填過程 第 図 サボ分離の概略図 (b) ピストン作動過程 (c) 飛行体加速過程 第 図 第 一段式軽ガス銃の作動原理概略図 ( 12 図 飛行体によるレーザ光遮断信号 ) Download service for the JSASS member of ID 10509, 2013/04/11. Download service for the JSASS member of ID 10509, 2013/04/11. 4 日本航空宇宙学会誌 第6 巻 第 号( 年 月) は直交格子で,加速管中心軸に二次元軸対称である.第 図に改修前の一段式軽ガス銃の充填圧力と射出速度の 関係を示す.飛行体は円柱形状,質量は g,駆動気体 はヘリウム,充填圧力 . MPa とした.計算値は実験値 より % 程度高い値を示した. る.先行研究として名古屋大学の弾道飛行装置を用いた研 究がある , ).本節では,計測システムの精度検証を行う 同様に,改修後の一段式軽ガス銃設定で数値計算を行っ た.飛行体質量は g,駆動気体はヘリウム,充填圧力 . MPa とした.予測射出速度 . m/s であった.第 図に改修後の一段式軽ガス銃試射実験結果を示す.飛行体 は円柱形状,質量 g で駆動気体ヘリウム,充填圧力 . MPa とした.飛行体の射出速度は 6d .6 m/s(マッハ . . 装置および計測機器 本実験は当該弾道飛行装 置を用い,高圧ガス駆動による一段式軽ガス銃モードで実 施した.装置の詳細は文献 )が詳しい.第 図に弾道 飛行装置回収部内の概略図を示す.可視化窓直前には速度 計測用のレーザおよび受光素子が 箇所配置されており, 飛行体通過によるレーザ遮断時間と 箇所のレーザ測定間 距離から飛行速度が計測できる. 近傍場圧力波形は,ステンレス製平板(長さ mm, 幅 mm,厚さ mm)上の上流側先端から d. mm および . mm にそれぞれ 個の圧力変換器( B , 数 . )となった.予備数値計算結果で予想された射出速 度に比べ遅い結果となったが,目標とするマッハ数 で飛 行体を射出できることを確認した. . 近傍場圧力計測 平成 年度に採択された科研費基盤研究(A) 「革新的 ソニックブーム低減技術の地上実証研究」において,本弾 道飛行装置を用いた近傍場圧力計測の構築を目指してい ため,測定圧力波形を既存の超音速風洞試験データと比較 した基礎実験の概要を報告する. . 実験 PCB 社)を配置し,圧力計測板後端部からの衝撃波回折 による圧力変動を防ぐため計測板後端部にアクリル製平板 (長さ mm,幅 mm,厚さ mm)を延長させて .また飛行体の射出によって発生する 計測した(第 図) 振動が圧力変換器へ伝達するのを防ぐため,圧力変換器は MC ナイロン製のマウントホルダー(直径 mm)に取 付けられ,ガタのない精密はめ合いとしてステンレス製平 第 図 改修後の一段式軽ガス銃の概略図 第 第d図 図 数値計算モデル 第 第 図 一段式軽ガス銃の試射実験(マッハ数 . ) 駆動気体充填圧力と射出速度の関係 図 弾道飛行装置回収部内の概略図 第 ( 図 圧力計測機器 6 ) Download service for the JSASS member of ID 10509, 2013/04/11. Download service for the JSASS member of ID 10509, 2013/04/11. 超音速複葉翼理論の地上実証研究(大林 茂・山下 博・大谷清伸・菊池崇将・鵜飼孝博) 5 板へ取付けた ). . . 流れ場可視化および飛行姿勢計測手法 第 図 に流れ場の光学可視化および飛行体飛行姿勢の同時計測の 光学系を示す.加速管出口約 m 後方の観測窓において, 連続光源(メタルハライドランプ MME-2 ,モリテック son らの風洞試験結果と一致させるため近傍場計測高さは H/L= とし,飛行マッハ数は M ∞= . を設定値とした. ス社,消費電力 2 W)とするシャドウグラフ法を用いて 流れ場を光学可視化した ).また可視化領域から上流側 に設置したフラッシュランプ(Flash control unit CU- , Adapt Electronics 社)を光源として飛行体表面の直接撮 影によって,飛行姿勢を計測した.流れ場の光学可視化お 量からヨー角,ロール角を算出し,全長の傾きからピッチ 角を計測した(第 図) .ここで飛行体が可視化領域に到 達した時間を μs とし,計測データのプロットに最小二 乗法による線形近似を行った.近傍場圧力計測時の飛行姿 勢は,第 図の飛行姿勢結果と可視化画像から求めた. また,飛行高さは可視化画像から計測した.飛行条件はピ ッチ角= . deg,ヨー角=− . deg およびロール角= − . deg, H/L= . であった. . . 計測波形の精度検証 本実験で計測した圧力波 . 結果および考察 . . 飛行条件計測結果 第 図に飛行体表面と流れ 場の同時可視化結果を示す.飛行体表面のマーキング変位 よび直接撮影には,高速度ビデオカメラ(HPV- , Shimadzu 社,撮 影 コ マ 数 コ マ,最 大 撮 影 速 度 , , frame/s,解像度 2 pixel×2 pixel)を用いた. 飛行姿勢計測は,直接撮影によって撮られる飛行体表面 に施したマーキングの変位量から幾何学的に算出した. . . 実験条件 第 図に示す鈍頭型軸対称模型を用 いて近傍場圧力波形を計測した.この模型の鈍頭形状は, Carlson らが実施した NASA 超音速風洞での静圧プロー ブによる近傍場圧力計測 形と Carlson らの風洞試験結果の比較を第 d 図に示す. ここで,ΔP/P ∞ は圧力計測値を試験部雰囲気圧で除した 無次元係数である.Carlson らの風洞試験では,静圧プ ローブを用いて計測している.一方,本実験の圧力計測器 ) に用いられたもので,圧力波 形計測結果が存在する.そこで,弾道飛行装置を用いた近 傍場圧力計測実験の計測精度の比較検証に用いた.風洞試 では,平板を用いたため平板表面で衝撃波が反射する.そ こで,両結果を比較するために,本実験の測定圧は反射を 考慮して半分の値を用いた.Carlson らの計測した最大圧 力値は ΔP/P ∞ が約 .2 × 2 であり,本実験の最大圧力 値は .2 × 2 であった.Carlson らの風洞試験と本実験 では計測条件が若干異なるが,圧力波形は定量的によく一 致した. 験では模型がスティングに支持されているため,本実験で は,模型先端から発生する圧力波形による最大圧力値のみ 比較検証として用いた. 本実験で用いた飛行体およびサボを第 図に示す.飛 行体(炭素鋼およびアルミニウム, . g)は 分割サボ (ポリカーボネイト樹脂, .d g)で覆われている.飛行 姿勢計測のため,飛行体後方(アルミニウム部)の表面に は円周方向 d deg 間隔に 本のラインと後端から mm の円周上に 今後は,前述の改修した一段式軽ガス銃を用いて,超音 速複葉翼理論の地上実証実験を目指し,超音速旅客機速度 領域における翼胴模型飛行実験を行い,詳細な近傍場圧力 計測を行っていく予定である. 本のラインをマーキングした.ここで代表長 さ L は, . mm とした. 実験は計測室を kPa(Air)に減圧し,高速度ビデオ カメラは撮影速度 μs,露光時間 μs で撮影した.Carl- 第 第 第 図 図 図 軸対称飛行体と サボ 第 図 流れ場と模型表面の同時 可視化画像 光学系セットアップ 鈍頭型軸対称模型形状 第 ( 2 図 飛行姿勢計測結果 ) Download service for the JSASS member of ID 10509, 2013/04/11. Download service for the JSASS member of ID 10509, 2013/04/11. 6 日本航空宇宙学会誌 第 巻 第 12) 13) 14) 15) 第 d図 本弾道飛行実験と風洞実験の圧力波形比較 16) . ま と め 17) 東北大学流体科学研究所衝撃波関連施設を利用した超音 速複葉翼理論の地上実証研究が進められている.実証試験 に用いる弾道飛行装置において現状・改修計画,それを用 18) 号(2 年 月) 圭,大林 茂:テーパ型超音速複葉翼の始動特性と翼端板効果, 日本航空宇宙学会論文集,60(2012), pp. 1-8. 尾崎修一,小川俊広,大林 茂,松野 隆,川添博光:低速に おける超音速複葉翼の 3 次元空力性能評価,日本航空宇宙学会 論文集,57(2009),pp. 461-467. 豊田 篤,大久保正幸,大林 茂,清水克也,佐宗章弘,バリ スティックレンジを用いた超音速複葉翼低ブーム特性の検証実 験,第 41 回流体力学講演会/航空宇宙数値シミュレーション技 術シンポジウム 2009 論文集,2009,pp. 71-76. 大久保正幸,豊田 篤,山下 博,小川俊広,大林 茂,清水 克也,鈴木角栄,松田 淳,佐宗章弘,胴体先端形状修正によ る翼胴型超音速複葉翼機のソニックブーム低減化,日本航空宇 宙学会論文集,59(2011),pp. 119-125. 久保田怜,島本 聡,手塚 還,沼田大樹,安養寺正之,高山 和喜,極低温環境下における CFRP 複合材料の高速衝突特性に ついて,実験力学,10(2010),pp. 110-115. Callagban, J. G. : A Feasibility Investigation Concerning the Simulation of Sonic Boom by Ballistic Models, NASA CR-603, 1966. 鵜飼孝博:超音速飛行する模型表面と衝撃波の同時可視化手法 の確立,第 49 回飛行機シンポジウム,2011, pp. 782-786. Carlson, H. W., Mack, R. J. and Morris, O. A. : A Wind-Tunnel Investigation of the Effect of Body Shape on Sonic-Boom Pressure Distributions, NASA TN D-3106, 1965. いた実験の現状について報告した.本施設は共同利用設備 であり外部利用が可能である.外部からより有効な利用法 をご提案いただければ幸いである. 参 考 文 献 1) Liepmann, H. W. and Roshko, A. : Elements of Gas Dynamics, John Wiley & Sons, New York, 1957, pp. 107-123. 2) Kusunose, K., Matsushima, K., Goto, Y., Yamashita, H., Yonezawa, M., Maruyama, D. and Nakano, T. : A Fundamental Study for the Development of Boomless Supersonic Transport Aircraft, AIAA Paper 2006-0654, 2006. 3) Kusunose, K., Matsushima, K., Obayashi, S., Furukawa, T., Kuratani, N., Goto, Y., Maruyama, D., Yamashita, H. and Yonezawa, M. : Aerodynamic Design of Supersonic Biplane : Cutting Edge and Related Topics, The 21st Century COE Program International COE of Flow Dynamics Lecture Series, Volume 5, Tohoku University Press, Sendai, 2007. 4) Kusunose, K., Matsushima, K. and Maruyama, D. : Supersonic Biplane―A Review, Progr. Aerospace Sci., 47 (2011), pp. 53-87. 5) Yamashita, H., Obayashi, S. and Kusunose, K. : Reduction of Drag Penalty by Means of Plain Flaps in the Boomless Busemann Biplane, Int. J. Emerging Multidisciplinary Fluid Sci., 1 (2009), pp. 141-164. 6) Yonezawa, M. and Obayashi, S. : Reducing Drag Penalty in the Three-Dimensional Supersonic Biplane, Proc. Inst. Mech. Eng. Part G : J. Aerospace Eng., 223 (2009), pp. 891-899. 7) Maruyama, D., Matsushima, K., Kusunose, K. and Nakahashi, K. : Three-dimensional Aerodynamic Design of Low Wave-drag Supersonic Biplane Using Inverse Problem Method, J. Aircraft, 46(2009), pp. 1906-1918. 8) Kuratani, N., Ogawa, T., Yamashita, H., Yonezawa, M. and Obayashi, S. : Experimental and Computational Fluid Dynamics around Supersonic Biplane for Sonic-Boom Reduction, AIAA Paper 2007-3674, 13 th AIAA/CEAS Aeroacoustics Conference, Rome, Italy, 2007. 9) Kuratani, N., Yonezawa, M., Yamashita, H., Ozaki, S., Ogawa, T. and Obayashi, S. : Wing Configuration Effects on Flow Field and Aerodynamic Performance of Supersonic Biplane for SonicBoom Reduction, ICAS2008-2.4 ST, 26th International Council of the Aeronautical Sciences, Anchorage, USA (2008), pp. 1-10. 10) 浅井圭介:感圧塗料による圧力分布の計測技術,可視化情報, 18,69(1998),pp. 97-103. 11) 藤園 崇,山下 博,豊田 篤,永井大樹,浅井圭介,鄭 信 ( 大林 茂(正会員) 東北大学流体科学研究所教授. d8 年東京大学 大学院工学系研究科博士課程修了(工学博士). 同年 月 NASA Ames 研究所客員研究員, dd 年東北大学工学部助教授,2 年より同大学流体 科学研究所,2 年より現職.数値流体力学,超 音速翼理論,設計探査の研究に従事. 山下 博(正会員) d8 年生,福岡県出身.2 d 年東北大学大学 院情報科学研究科システム情報科学専攻博士後期 課程修了.博士(情報科学).同大学流体科学研 究所 COE フェローを経て,現在 JSPS 特別研究員 として名古屋大学大学院工学研究科に所属.超音 速複葉機やソニックブームの研究に従事.AIAA 会員. 大谷 清伸(正会員) d 年生,北海道出身.2 年室蘭工業大学 大 学 院 工 学 研 究 科 修 了.博 士(工 学).同 年 ∼2 年東北大学流体科学研究所博士研究員,現 在同研究所助教.専門:気中,水中における衝撃 波現象の基礎および応用に関する実験的研究,高 速度光学可視化計測.日本機械学会,日本混相流学会,国際衝撃波 学会会員. 菊池 崇将 d8 年生,宮城県出身.2 年東北大学大学 院工学研究科博士号取得.東北大学流体科学研究 所,研究支援者.専門分野:衝撃波・弾道飛行装 置.国際衝撃波学会会員. 鵜飼 孝博 d82 年生,愛知県出身.2 2 年東北大学大学 院工学研究科博士前期課程修了.2 年豊興工業 株式会社に入社.2 d 年トヨタ自動車株式会社へ 出向.2 年豊興工業株式会社を退社.現在,東 北大学大学院工学研究科博士後期課程に所属. 28 ) Download service for the JSASS member of ID 10509, 2013/04/11. 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