公開シンポジウム講演要旨集 応用生態工学研究会

(河川整備基金助成)
公開シンポジウム講演要旨集
『健全な生態系とはなにか 一評価と回復のために一』
Ecological Health; Evaluation and Restoration of River Ecosystems
日時:2000.10.7 14:30‐17:30(14:00 開場)
会場:滋賀県立琵琶湖博物館ホール
応用生態工学研究会
目
次
プログラム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
譲演者等のプロフィール ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
(和文)
「健全な生態系の保護-21 世紀のチャレンジ」
(ジエイムス R.カー) ・・・・・・・・・・ 3
「河川生態系の評価と復元」
(島谷宏幸) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
「健全な生態系へ向けて-何をなすべきか」(大森浩二) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
(英文)
Protecting Ecological Health: The 21st Century Challenge (James R. Karr)
Evaluation and Restoration of River Ecosystems (Yukihiro Shimatani)
What Must be Done - Towards A Healthy Ecosystem (Koji Omori)
・・・・・・・・・ 12
・・・・・・・・・・・・・ 15
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
プログラム
開 催 日;2000 年 10 月 7 日(土)
開催場所;滋賀県立琵琶湖博物館ホール
14:30∼14:35
14:35∼I5:35
IS:35∼16:10
16:10∼16:45
16:45∼17:30
17:30
主旨説明 谷田一三(大阪府立大学総合科学部教授)
幹事長
「健全な生態系の保護-21 世紀のチヤレンジ」
James R.Kan(アメリカ合衆国、ワシントン大学
水産・動物学部教授)
「河川生態系の評価と復元」
島谷幸宏(建設省土木研究所河川環境研究室長)
「健全な生態系へ向けて-何をなすべきか」
大森浩二(愛媛大学理学部助教授)
総合討論
座長:橘川次郎(オーストラリア、クイーンランド大学
名誉教授)
パネラー:James R.Karr、島谷幸宏、大森浩二
閉会
講演者等のプロフイール
(敬称略、講演順)
講演者
James R.Karr
アメリカ合衆国、ワシントン大学水産・動物学部教授。アイオワ州立大学魚類・野生生物学
科卒業。イリノイ大学博士課程後了。Ph.D.。専門分野は鳥類学、河川生態学、保全生物学等。
主な著書は、
「Restoring Life in Running Waters: Better Biological Monitoring」(Island Pr
Publisher 共著)。
島谷 幸宏
建設省土木研究所河川環境研究室長。九州大学工学部卒業、九州大学大学院修士課程修了。工
学博士。専門分野は河川工学。土木学会著作賞(1989)受賞。主な著書は、
「河川環境の保全と復
元」(鹿島出版会)、「河川風景デザイン」(山海堂)。
大森 浩二
・愛媛大学理学部生物地球圏科学科助教授。九州大学理学部卒業、九州大学大学院修士課程修
了。理学博士。
・専門分野は水域生態系生態学。主な著書は、
「水生動物の卵のサイズ」(海遊舎
共著)。
座長
橘川 次郎
オーストラリア、クイーンランド大学名誉教授。水産講習所増殖科卒業、理学博土(京都大学)。
オーストラリア熱帯雨林共同研究所初代センター長。専門分野は動物生態学、行動学、保全生
物学。オーストラリア生態学会金メダル(1990)、オーストラリア鳥学会セバンテイメダル(1990)、
0rder of AustraUa (1999)受賞。日本語の主な著書は、「なぜたくさんの生物がいるのか?地球
を丸ごと考える〈8〉」(岩波書店)。
「健全な生態系の保護-21 世紀のチャレンジ」
ワシントン大学 ジェイムス・R・カー
社会や生き様(人間生態学)の過激な変化により、人類の健康は異なる脅威にさらされ、歴史
がたびたび行き詰まってきた。例えば、人間が農業を発展させ、定住するにつれて健康をおび
やかす源は変化してきた。飼いならされたペットや家畜類から接触伝染病が突然襲いかかって
きた。都市は、近代文明の発祥の地であると同時に生命にかかわる流行病やその他の病気の培
養器であった。町や都市では、不充分な衛生状態に、人口の密集状況が伴い、以前よりも急速
に病気を広げ、また、貿易の拡大とともに従来よりも病気を遠くまで広めた。
特に 20 世紀に急速に発展した工業化は、それまで、不衛生からくる病気などの脅威を減らす
一方で、新たなる脅威を生み出した。技術というものはたいていは、諸刃の剣である。例えば
特効薬は普通の病原菌蔓延を食い止めたが、その一方で、当の病原菌は自然淘汰によって薬品
に対する耐性を強めた。また、熱帯地方では、貯水池により、水が充分に供給されるようにな
ったが、しかし、その貯水池は人間の寄生虫に絶好の環境となった。人間社会は、工業化の進
展とともに、驚くべきほどの数の化学物質(自然界にある重金属や有機塩素化合物などの合成物
質)にさらされるようになったが、これらの化学物質は様々な健康障害(急性あるいは、慢性的
な毒物、発ガン物質、催奇形物質、免疫抑止剤と内分泌物撹乱物質)をおこす要因となった。
新たに難問が持ち上がるたびに、医療の現場は、典型的には、次の5段階の過程で対応しな
ければならなくなる。すなわち、(1)問題が存在することを認識すること、(2)その原因を理解
すること、(3)原因を抑止する能力を身につけること、(4)問題は重要である価値観をもつこと、
および(5)脅威を克服しようとする政治的意志である。最終的にはこの5段階全てを踏むことと
なった古典的な例は、1840 年代のロンドンの井戸から蔓延したコレラについてのジヨン・スノ
ー(John Snow)の綿密な研究である。この研究は近代疫学に理論的かつ経験的基礎を与え、「不
衛生な病気」(filth diseases)を終局的に抑止するきっかけとなった。
しかし、医学上、および、環境衛生上に健康の増進が見られたからといって、我々は自信過
剰になってはいけない。現代社会の人間活動は、絶えず新たなジレンマをもたらす。たとえば
結核のように古くからある病気の変異株が我々を苦しめる、エボラ熱のようなエマージングビ
ールスもある。また狂牛病も問題となっている。
さらに、公衆衛生に対する脅威は肉体的に及ぶ病気に限られるのではない。生態系が不健康
な状態になってしまうこと、すなわち地球の生物システムがこわされることで、ますます個人
や社会の健康状態がおびやかされる危険にさらされてきている。生物圏(バイオスフエア)を使
い果たし、悪化させると、気管支喘息の発生率の上昇から食品の供給制限(または低質から高質
など質に違いがある様々な食品の供給)、地球の気候変動、過密または現代生活のテンポによっ
て引き起こされるストレス病まで様々な健康問題が人間社会に惹起される。生物システムは、
精神衛生と社会の安定性を維持するために、欠くことができない。生態系の健全さを維持でき
ないと人間は多くの病気にかかりやすくなり、窃盗から殺人にいたる犯罪やテロから戦争にい
たる内政不安も増加する可能性が高まる。
このような健康上の難問は、人間社会が生物システムから引き出している商品やサービスの
供給が変ってきていることにその問題の根がある。土壌形成や気候改良や受粉などによろいわ
ゆる生態的サービスについての、最近の研究例では、生物多様性の経済的便益は、合衆国では
年間総額 3,190 億ドルと見積られた。別の研究では、地球上にある 16 のバイオーム(生物群系)
のために 17 の生態系が行なっている現在の経済価値は、US ドルで 33 兆ドルと見積られた。
また、
「生態学的フットプリント(占有空間)」とよばれる、食物、エネルギーおよびその他の資
源への現代社会の必要度合いを面積であらわしたもので測定している。1999 年秋時点で、地球
の人口は 60 億人である。仮にこの人口が合衆国市民の水準で生活すれば、この惑星(地球)があ
と 2 つ要ることになるだろう。
この新たな苦しみ、すなわち生態系の健全さの全体的な逓減のために、新しい視点すなわち
諸症状を表面的に治癒させるだけでない医療の視点が必要となる。そのビジョンでは、「患者」
とは何かについての見方を変える必要がある。個体と個体群は常に患者であるが、地球の生存
システムすなわちバイオスフエア(生物圏)もまた患者と考えなければならない。この事実につ
いて社会が認識していないことや誤解していることは克服しなければならない。現代社会がこ
の問題に気づくまでは、我々は、失われつつある生態系の健全さに関する脅威から社会を保護
するための次の段階を鱗めそうにないであろう。人間は歴史上には先例のない方法で、地球上
を変えている。改変の規模や頻度も先例がない。資源および環境を管理する者は、人間社会に
マイナスの結果をもたらす変化の影響を認識し、これを最小にしなければならない。
生態系の健全さを保護する治療法を狭い目で解釈すると危険である。短期間で潜った感染症
と傷病を紋切り型に強調するのではなく、公衆衛生における予防的アプローチを採用すること、
つまり健康の保護・増進のほうがより適切であろう。現代の医療は問題を予防することよりも、
問題が発生した後でその問題に対処することが多すぎる。ロンドンのコレラの突発から学んだ
スノーの教訓は、予防的アプローチの真価を示している。
過去の医療から学ぶもう一つ重要な教訓は、意図していない結果を予見し、これによって医
療病すなわち医師が引き起こす病気に目を向けることも必要ということである。このような病
気は医者が、もっと広くいうと、近代医療が不注意にも引き起こすものである。それは、臨床
的で社会的であり、もしくは文化的なものかもしれない。自然資源管理や環境管理に明るい人
は誰でも、この種の意図せざる結果について十分知っている。穀物の害虫を駆除する殺虫剤、
また、養殖場で育てた幼稚魚を放流することで採取し過ぎた野生のサケの個体群不足を補おう
とすること、いずれも奇跡的な「治療法」だが、結局は個体数の減った個体群を絶滅に追い込
んでしまい、
「治療」は効果をあげなかった。同様に、河川管理についての技術的政治的解決の
多くは、人間社会に思いもかけない問題を引き起こしてきている。
社会は計り知れないほど河川から利益を得ている。しかしながら、過去 1 世紀の間、人間は
劇的なほどに河川に改変を加え、河川の健康状態を悪化させてきた。その結果、人間の社会に
不可欠な商品とサービスは消耗しつつあり、社会の健康も脅かされている。「健全さ」「健康」
ということばは、
「良好な状態」を示す。例えば、
「健全な」経済、
「健全な」共同社会などであ
って科学に根拠を持つが、一般市民にも訴えかけていくものである。健全さの概念を河川に適
用することは、科学的原理、法的な要求および変化しつつある社会的価値観、これら 3 つの論
理から導き出される必然の結果である。
河川の状態又は健全さをうまく保全していくのには、景観、河川および人間活動が相互にど
う関わっているかをより現実的に表すモデルにかかっている。河川はその景観の中でおきるす
べてのものを集約しているから、河川の状態、特にその生物学的状態は、我々の行動がひきお
こした結果について多くのことを教えてくれる。世界中の河川の状態から、我々は各地域の豊
かな自然の資本の多くは浪費されてきていると分かる。現行法は水の理的(水理的)な関わりを
考慮せず、さらに悪いことには水生(水界)生態系の生物学的構成要素を無視している。このよ
うな現行河川法は、河川を適切に保護していない。人間活動は、物理的生息環境を徐々に変更
し、季節的な流況を変え、河川システムの餌資源基盤を変化させ、河川の生物群集内での相互
作用を変化させ、そして化学的汚染物質によって水を汚染することによって、水資源の生物学
的インテグリテイ(システムが持っている能力:バランスし、適応力をもつ生物相を維持し、サ
ポートしようとする力)を危うくしている。
従来のモニタリングおよび影響評価(水量、化学的な汚染あるいは標的種の個体群規模の観
測)では、河川の全体的な状態を保全するには適切ではない。というのは、1 つにはその活動は
狭い概念で形成されており、また 1 つにはそれらの活動は自然の成り行きで引き起こされる変
化と人間活動によって引き起こされた変化とを区別するのに十分ふさわしいとはいえないから
である。
20 世紀の生物学的モ二夕リングは、限られた対象(有機汚濁すなわち有毒物質)に焦点を合わ
せることから始まったが、次第に多様な見方から水生生物相の状態を評価する、すなわちより
統合的アプローチに方向を変えつつある。これらの新しいアプローチは、これまで考慮されて
いなかつたが、生態系の健全さのとても重要な特質の一面を測るといったユニークな考えを導
いた。生物学的モニタリングと生物学的目標設定から、河川の状態すなわち河川の健全さにつ
いての最も統合的な見方が与えられる。統合的なメトリツク(測定基準あるいは変量)を多数使
った生物指標は生物学的標準(基準)を開発するために使うことができる。その理由は、(1)これ
らの指標は化学的な標準よりも理解しやすく、かつ強固であること、(2)最悪状態をみつけるの
に効果的であること、(3)その原因を岬らかにする、(4)障害を阻止したりなくしたりする処置
を示唆する、および(5)管理が有効に行われているかどうかを評価するのに効果的であることで
ある。
多数のメトリツクによる生物指標は河川の状態を測定するために重要で比較的新しいアプロ
ーチである。これらの指標は、合衆国内の至る所で行なわれる水資源アセスメントの中心的な
存在であり、(48 州中 42 州がこれらの指標を保持しており、6 州が開発中である)、南極大陸以
外のすべての大陸で用いられてきている。効果的な生物指標は、適切な分類法、河川の状態に
ついて正しいシグナルを発するメトリツクを選定すること、これらの生物学的シグナルを測定
する系統的試料採取方法および状態をよく表す生物相のパターンを引き出す分析手順がもとに
なっている。
IBI(index of biological integrity)は生物相に及ぼされる人間の影響を魚類、底生動物お
よび藻類群集などによって調べる、多数のメトリツクに基づく指標の 1 つである。IBI は、多
様な人間の活動(農業、牧畜、伐採、レクリエーンヨンおよび都市化)ならびにその活動の結果
(「ポイント」、「ノンポイント」の汚染源、物理的な生息地の変更、複雑な累積効果)が水資源
に及ぼす影響を探知する本質的な統計的能力がある。
IBI は水資源状態の時空間的形態を朗らかし、管理の効果を評価する。底生動物を用いた
IBI(B-IBI)は、10 のメトリツクを含んでいる。すなわち、タクサ(種類)の総数、なちびに「カ
ゲロウ類」、「カワゲラ類」、「トビケラ類」、「生活史の長い種類」、「非耐性生物および固着性動
物」それぞれのタクサ数、ならびに「耐性および捕食性分類群の個体数」の割合、さらに「優
占種、亜優占種、亜々優占種の個体数」の割合(百分比率)である。
地球が生命を維持する能力、これが社会に適した環境を創り出すのであるが、この能力を消
耗し退行させる人間の行為は、人間社会を危機に追い込んでいる。河川は、これらに対する見
張り番である。すなわち、河川は人間の活動が産み出す危機について我々に早期に轡告を発す
る。我々はこれ以上危機を無視するわけにはゆかない。
生物学的モニタリングが環境政策に影響を及ぼすと考えられる際には、生物学的モ二タリン
グの結果を市民および政治の指導者に知らせなければならない。我々は河川と隣接する景観の
状態、健全さを示し、悪化の原因を突き止めるために、生物学的モニタリングの結果を用いる
ことによって、
「復元」計画を練り上げたり、流域における土地利用計画と関連する生態学的リ
スクを評価したり、あるいは開発の代替案を選択したりすることができる。
21 世紀に社会の健康状態を保全できるか否かは、そのシステムを強化し、人間の健康はより
広範な生態学的健全さの一部に過ぎないことをよく理解した運動にかかっている。一人一人の
個人に病気がなく、健康であることは良いことだが、社会が全体に健康であることの方が良い。
どちらも生態学的には健全であることが基本である。まとめていえば、それぞれの人が健康で
あり、健全な社会が存在するには生物圏が健全であることがまず不可欠な条件なのである。
「河川生態系の評価と復元」
建設省土木研究所 島谷 幸宏
健全な生態系とは何か?
「健全な生態系」とは、「不健全な生態系」に対比する概念であり、「不健全な生態系」がな
ければ、特に考える必要もない概念であろう。したがって「健全な生態系」とは何か?という問
いに答えるには「健全な」と「不健全な」の両側面から考えるべきである。また「健全な生態
系」は「不健全な生態系に」対比する概念であるから、不健全な状態を評価する物差しとして
あるいは健全な状態を保全、不健全な状態を修復、復元する際の目標の物差しとして考えるべ
き概念であろう。ここでは、実体験に基づいて「健全な生態系」とは何かを論じてみたい。
多摩川永田地区は数十年前までは、河原が大きく広がる、複列河道の河川であった。そこに
は河原に依存する、力ワラノギク、力ワラバツタなどの生物が多く見られた。しかし、ここ 20
年程度の間に、河道形状は変化し、ハリエンジユにより樹林化し河原に依存した生物は激減し、
特にカワラノギクは絶滅の危磯に瀕している。この地域は緑が豊かなこともあり河川環境管理
計画の中では現状の自然を保護する区域に指定され、自然保護グループはここの緑を大変大切
にしている。現在、樹林に覆われているが、本来多摩川の河川環境に適応していたカワラノギ
クなどが絶滅の危機に立たされるのを見て、健全な生態系とはとても思えない。
これとよく似た例は、スイス、チューリッヒ州のテス川などにも見られる。アルプスのふも
との河川はもともと複列河道で河原が広く広がる環境であった。今世紀はじめ頃行われた河川
改修により、川幅は狭められ、河道は直線化されている。河道沿いには見事な樹林帯が存在し
美しい風景を見せる。しかし川幅を狭めたことにより流速が増し、河床は低下し、そのために
落差工が何基も導入された。最近は、近自然河川工法の導入により河岸の単調化の改善、落差
工の撤去など随分改善されてきた。しかし昔見られた河原はほとんどなく、ワンドなどの 2 次
的な水域も見られない。音は開放的な広々とした空間であったが、現在は河畔林が繁るあまり
開放的ではない空間となっている。このような河川を見て、随分改善されているが、とても健
全な生態系が回復したとは思えない。
次に宍道湖について考えてみたい。宍道湖は面積日本第 6 位、ヤマトシジミの生産量日本 1
位を誇る日本を代表する汽水湖である。しかし元々汽水湖であったわけではなく縄文期は海水
湖であり、その後、上流の鉄鉱の採掘のためかんな流しという、土砂を大量に流出させる方法
をとったこと、製鉄のエネルギー源として樹木を伐採したため、海水湖は埋積し、江戸時代初
期に一旦淡水化した。宍道湖の湖水の排水を良くするために、宍道湖と日本海をつなぐ佐陀川
の開削(江戸中期)により少し塩分が進入し、宍道湖と中海をつなぐ大橋川を拡幅したことによ
り(大正末期から昭和初期)により汽水化したことはよく知られている。江戸期の淡水であった
頃の生物相とは大きく異なっていると考えられるが、現在の宍道湖の生物相およびその生産力
は極めて豊かであり、アオコが発生したり、魚類の斃死が見られたりすることはあるが、不健
全であるとは思えない。
最後に、北川について考えてみる。北川は大分県傾山(1602m)を源に、宮崎県北川町を流下し、
河口近くで五ケ瀬川に合流する、流域面積 587 k ㎡、流路延長 50.9 km の九州を代表する清流
である。1997 年 9 月、台風 19 号により、北川は大きな被害を受けた。堤防の破堤、無堤部から
の氾濫により、北川沿いの低地面は、ほぼ水没し大きな被害を受けた。建設省および宮崎県は
再度災害の防止のため、大規模な河川改修計画を立案した。その際、北川の良好な自然環境が
なるべく保全されるような改修方法について検討がなされた。
洪水防御の基本的な考え方は以下のとおりである。
①台風 19 号による推定ピーク流量 5000 m3/s を計画対象洪水とし、越堤や被堤による堤内地へ
の洪水被害の軽減を図る。
②洪水防御方式としては治川に住宅が密集する下流部は連続堤方式で、洪水時の水位が大きく
上昇する中下流部では超過洪水時の破堤に強く、氾濫後の排水に優れた霞堤方式(連続堤防では
なく一部が不連続の堤防)を踏襲し堤防の強化とともに、なるべく霞堤閉口部の水位が低下する
ように河道の掘削、樹木の伐採などを行う。
自然環境への配慮としては、
①流水部にはねるべく手をつけず、液と淵および汽水区間の範囲を保全する、
②魚付き林として位置付けられている河畔林をなるべく残す
③北川を特徴付けている、アカメ(魚)、力ワスナガ二が生息できる環境を保つ
等である。
北川では、健全な生態系を流水部の生物に対するインパクトが大きく出現しないということ
から捉えようとしており、その指標として付着藻類、アユ、アカメ、カワスナガ二を取り上げ
ている。北川のこのような考え方は、きわめて具体的であり、実現可能な健全さの考え方とい
える。
このような事例から考えると、
「健全な生態系」という一般筋はなく、個々の河川、湖沼別に
過去の変遷や人間との係わり及び現況あるいは過去の生態系(あるいは生物相)に基づき個々に
「健全な生態系」という概念が形成されることが解る。そういった意味では「健全な生態系」
は、自然科学的な観点および社会科学的な観点の両者から決められると考えるべきであろう。
とはいうものの、ここで述べた事例などを通していくつかの共通する考え方があるのがわか
る。多摩川では、過去の河原という環境に適応した地域固有の生物が生息できるかどうかが健
康度の目安になっている。また宍道湖では、生物生産量および多様性が目安になっている。ま
た北川では、流水部における付着藻類の生産量やアユなどの魚類、地域固有のアカメやカワス
ナガ二の生息環境が確保されることなどが目安となっている。一言でまとめると「そこにすむ
べき生物が、ちゃんと生息していけること」が健全かどうかの目安になっている。そこに住む
べき生物、とはいったいどのような種あるいは種群あるいは地域個体群あるいは個体なのか、
ちゃんとというのは現存量がある一定量以上か?生活史をまつとうできるのか?自然の変動の中
で絶滅しないのか?などそこに住むべき生物、ちゃんとが明確になる必要があるが、これは先ほ
ど述べたように、過去からの自然環境の推移、人間と水環境との係わり方から決まるのではな
いだろうか。この考え方は人間と自然との共生を踏まえて「健全な生態系」を議論する必要が
あることを示している。
その評価
次に健全な生態系をどのように評価すれば良いのかということについて考えてみたい。基本
的には「健全な生態系」という目標設定がなされたら、それに対応して指標化を図る必要があ
る。地域個体群が維持されることが「健全な生態系」の時には、地域個体群の個体数あるいは
個体数の変動が指標となるであろう。河原のような特定の環境に依存する生物が持続的に維持
されることが「健全な生態系」の目安となるときには、河原に依存する種数や現存量あるいは
河原率のような河道の中にどの程度の河原があるかなどが指標となるであろう。個体数の変動
や河原率の変動は、河川の特徴である破壊と再生を評価しうる指標であり、変動を把握するよ
うな指標の設定も重要と考えられる。
またこれらの指標は、
「健全な状態」の値と比較することにより意味を持つので、何と比較す
るのかが重要である。「過去のある時点」「改修する前」「河川の縦断方向」「近傍の河川」など
と比較し健全さを論じることが有効であると考えられる。
復元に向けて
最後に「健全な生態系」の保全・復元について考えてみたい。基本的には「健全な生態系」
という目標設定がされていれば、その目標に近づくための方法をとれば良い。すなわち「そこ
に住むべき生物が、ちゃんと生息していける」仕組みを整えれば良い。しかしながら、ひとこ
とで仕組みを整えれば良いというと簡単ではあるが、実は、生物の生活史や地域個体群維持の
構造の理解が不充分であったり、整えなければならない物理的な環境が土砂移動、河川微地形、
流量変動などが複雑に絡み合いそれらをコントロールする手法が十分に確立されていなかった
りするため、容易ではないことが多くある。
たとえば、前述した多摩川では、目標設定として①力ワラノギクのメタ個体群が存続される
ようにする②永田地区の 30 年前の複列河道であったときの生物相、生物生息空間を復元するこ
とが「健全な生態系」の目標とした。①については、地域個体群の維持を目標とすべきである
という意見もあるが、個体数自体が減ってきているのでメタ個体群の維持を目標とせざるを得
ないのではないかという議論がなされている。このような目標を達成するために、現在検討し
ていることは、1) カワラノギク保護サイトの設置とカワラノギクの種子の確保、2)一部高水敷
を切り下げ、表層の紬粒土砂文を除去した、カワラノギク生育サイトの整備、3)自立的に複列
流離が形成される低水路幅への拡幅、4)これらが将来にわたって維持されるための、土砂供給
量の唯保をはかる、などである。多摩川永田地区では河原の維持が、重要なポイントであるが、
河原は洪水による破壊、そして再生というシステムが存在して初めて維持される。その維持と
いう意味は、場所は異なるがある空間の中に常にある一定以上の河原が存在するということで
ある。すなわち河原の維持は動的なシステムの維持でもあるわけである。多摩川で力ワラノギ
クの個体群を将来にわたって維持していくためには、多摩川のかなりの区間において河原及び
種子定着サイトが維持される必要があり、そのようなシステムが完成した時に、健全な生態系
に戻ったといえるであろう。しかしながら、このような動的なシステムの復元は理論的には可
能であろうが、これまでに経験がなく、モニタリングなどをしながら、適応的に管理していく
必要がある。
復元にあったては、河川形態、河川の連続性、水質、流量レジーム、土砂移動量や土砂の質、
生物への保護、育成、外来種の駆除などが主とした手法であり、目標に応じこれらが組み合わ
せて対策が講じられるものと考えられる。
「健全な生態系へ向けて−何をなすべきか」
愛媛大学 大森 浩二
健全な生態系とは、人類の自然への影響度が現在に比べかなり低かった農耕文明段階以が、
つまり、最終氷河期の終わりの約一万年前に存在した生態系ということができるであろう。し
かし、その生態系がどのようなものであったのか、花粉分析から想定できる以外は、知る由も
ないが、また、知ることに現実的な意味はあまりないのかもしれない。というのも、例えばあ
る河川の生態系を構成する生物群集の組成がその後の人類の生活活動により改変されたとして、
その後、生活活動を完全に停止しても以前の群集組成に戻ることはおそらく不可能であろうか
ら。種の絶滅、また、一回性や偶然性の要素の強い他の(河川などの)生息場所からの移出入は、
生物群集組成の変化の不可逆性を示唆している。このことは、特に河川等の陸水域のように閉
鎖性の強い生態系では重要である。また、気候茂レベルでは言うに及ばず十数 km 程度の地理
的違いでも離れている河川間で復元されるべき健全な生態系の群集の種細成は異なってくるで
あろう。
つまり、健全な生態系というとき、その構成要素にいちいち注目するよりも、生態系の機能
的な側面を見ることの方がより現実的なのかもしれない。これらには、物理化学的要素が強く
関係しており定量化し易さや一般性があるからである。もちろん、生態系の構造とめ能は、そ
の構成要素である生物群集あってのものではあるが。この点については、後にもう一度検討す
る。
さて、完全な健全さを示す生態系というものが、ある面において不可知である以上、また、
河川ごとにそれは異なるであろうことから、健全さというものは現時点の生態系の状態を基準
とした相対的なものにならざるを得ない。つまり、生態系に対し何らかの改変を行った場合、
現在よりも健全になったかどうかで判断するのである。ここでは、先ず、このような現実的な
アプローチ法を検討する。
人為的な環境改変が、どのような過程をへて河川生態系へと影響を与えるのかを考える。以
下に示すように、人為的環境改変は陸上生態系での改変と河川生態系の直接的改変とに分けら
れる。ここで前者は間接的に河川生態系へ影響を与えることになる。
0)人為的環境改変
・陸上生態系:山林の伐採、平地林の伐採と耕地化、地面の舗装化、下水道網の整備等
・河川生態系:河川改修、堰やダムの建設等
これらの人為的環境改変は、次に挙げる複数のしかし集約された河川環境の変化となって現
れ、河川生態系に影響を与えるのである。
1)河川の物理化学的環境
<河川水>
・水の質:粒状有機物・無機物(土砂、れき)流入量、可溶性有機物・無機物(栄養塩類)流入量
・水の量:流量、流量変動幅・変動パターン
<河川地形>
・河道蛇行、河原、遊水池、瀬淵構造、わんど
ここで河川水の性質が、地質構造と相まって河川地形の形成に直接関わっているのは論を待
たない。逆に、河川地形が河川水の質を決めることもある。このような河川の物理化学的環境
が生物群集の生息場所を直接形成していく(一次的生息場所)が、生物群集の中でも特に一次生
産者が一次的生息場所で生育することにより、さらに二次的生息場所の形成に至る場合が多い。
生息場所の特性と河川環境とには次のような対応関係がある。
2)生息場所特性
・生息場所の多様性と臭:水の量、河川地形
・生息場所の質:水の質(有機物、栄養塩量等)
ここでの問題は、以下に挙げるような生態系の特質と人為的環境改変との関連を明らかにす
ることにあるが、先ず、生息場所特性との関係を検討する。
3)生態系の特性
<生態系の構造>
・栄養段階数
・種多様性
<生態系の機能>
・一次生産速度
・分解速度/一次生産速度比
・内部生産/外部生産比
・群集現存量/流入物質量比
ここで問題なのは、どのような特性を持った生態系が健全かということである。ただ、少な
くとも種多様性や栄養段階数が高い生態系ほど良い(=生態系の健全度が高い)という価値基準
は、論を待たずに万民の認めるところであろう。まず、これらの特性を指標として河川環境と
の関係を以下に検討する。
生息場所の多様性やその大きさは、それが減少するに伴い、生態系の特性の中でも種多様性
や栄養段階数は確実に減少するであろう(単調減少型)。これに対し、生息場所の質に関わる要
因(無機栄養塩類や有機物量)は、その量がほとんどない状態から増加するにつれて、種多様性
は増加するが無限に増加することはなく、ある量を境に減少に転ずる(コンベックス型)。つま
り、要因の最適値が存在すると考えられる。ただし、生息場所の質に関わる要因でも、土砂粒
子量は、単調減少型になると考えられる。一つの河川からこれらの関係性が求められることは
まずあり得ないが、地理的に近いよく似た規模の複数の河川のデータから大まかな関係性は得
ることができるであろう。
ここで重要なのは、撹乱要因に対する生態系の特質の反応パターン(関係性)である。単調減
少型であれば、その要因はともかく減らす方向へともって行くしかない。つまり、どの程度の
健全度(ここでは種多様度)まで低下させて良いかということを科学的に決定することはこの場
合困難なのである。しかし、この関係性が最適値を持つコンベックス型の場合は、最適値(最大
の健全度)を与える要因の程度が撹乱の限界(=健全な生態系の維持)とすることができる。
コンベックス型を示す撹乱要因を扱う場合、生態系の形質によっては最適な要因の程度が異
なることが予想される。その場合どれを優先するかは、検討を要する課題である。例えば、種
多様性と生産速度について、前者がより少ない栄養塩量でピークを示すことが知られている。
この場合、どちらの限界負荷量を採用すべきなのであろうか。
また、河川生態系の健全度判定をこの現実的なアプローチ法でという場合、どの範囲または
スケールでの話かということに注意しておく必要がある。一つの水系の一支流が検討対象の場
合、その支流環境の単調減少型の人為的撹乱要因を減少させることによって、より健全度の高
い他の支流に分布していた生物群集からの移入が生じ対象支流の種多様性が増大する可能性は
限定された程度では残されている。しかし、水系を越えての移入の起こる確率が低くなる場合、
水系全体の健全度を問題とすると撹乱要因の程度を軽減しても移入率の低さから種多様度がそ
れに直ちに反応して増大することが難しくなるのではないか。つまり、種数がその背景にある
種多様度や栄養段階数は生態系の健全さの回復過程をみるには感度の良くない不適な指標と考
えられる。ただ、日本の河川の場合、両側回遊性魚が多く、周辺河川からの移入率が高いこと
もある。そのような種のグループに限定して指標とすることも可能かもしれない。しかし、指
標としては、種数と直接関わる生態系の構造に関する形質ではなく、生態系の機能である総生
産量や現存量のようなある意味での計量形質がより適しているだろう。
最後に少し異なった立場から、生態系の健全性について検討を行っておこう。それは、生態
系とは何かということからその健全性について考える立場である。生態系は、太陽エネルギー
の一部を自立的に持続的に固定することのできる基本生態系とその固定されたエネルギーを利
用しようという食物連鎖網から構成されている。その基本になるのは物質であり、より多くの
物質を生態系内に保持する必要がある。特に、河川生態系は流水環境下にあるため、堆積層等
の非生物的な物質の保持は困難であり、一次生産者も含めた生物群集の生物量として物質を保
持する必要がある。このことから、生態系内で非生物部分に対して生物部分が大きいほど河川
生態系としては成功しているといえる。河川生態系の数理モデルを作成し、その比率の上限の
検討を行えば、その上限値を基準として、生態系の健全度を評価する事ができるかもしれない。
これも健全性に関する一つの考え方である。
Protecting EcologicaI Health:The 21st Centu1y Challenge
James R. Carr
University of Washington
Human history is punctuated by changing health risks driven by radical shifts in human ecology.
Threats to health changed, for example, as humans developed agriculture and established
permanent settlements. Contagious diseases jumped from domesticated pets and livestock to
humans. Cities were both birthplaces of modem civilization and incubators of pestilence and
disease. Inadequate sanitation, combined with crowded conditions in towns and cities, spread
diseases more rapidly; expanding trade spread diseases over longer distances.
Industrialization, especially rapid in the twentieth century, added new threats even as it
reduced others. Most technologies were two-edged swords. Wonder drugs controlled common
pathogens while natural selection strengthened the ability of those pathogens to resist the drugs.
Reservoirs in the tropics made water supplies more reliable for humans, but also created ideal
environments for human parasites. Industrialization exposed human society to a remarkable
array of chemicals? natural (e.g., heavy metals) and synthetic (e.g., chlorinated hydrocarbons)?
with diverse health consequences (acute or chronic toxicity; carcinogens and teratogens; and
immune suppressants and endocrine disruptors).
As each new challenge arises, medical practice must adapt, typically in a five-step process: (1)
awareness that the problem exists; (2) understanding its cause; (3) capability to control the
cause; (4) sense of values that the problem matters; and (5) political will to conquer the threat.
John Snow's meticulous study of the spread of cholera from wells in London in the 1840s is a
classic example that eventually included all five steps. It provided the theoretical and empirical
foundation for modem epidemiology and was instrumental in the eventual control of "filth
diseases."
But past medical and public health advances should not make us overconfident. The activities of
modem human society continually present new dilemmas. New variants of old diseases continue
to plague us (tuberculosis) as do newly emerged pathogens such as HIV, and the causes of Ebola
fever, and mad-cow disease.
Furthermore, threats to public health are not constrained to bodily diseases. An increasingly
important class of risks to individual health and societal well-being derives from declining
ecological health, that is, the disruption of Earth's living systems. Depletion and degradation of
the biosphere introduces health problems to human society that range from rising asthma rates
to limited (or variable-quality) food supplies, global climate change, and stress diseases caused
by overcrowding or the pace of modem life. Living systems are critical to maintain mental health
and social stability. Failure to maintain ecological health increases human susceptibility to
many diseases and increases the likelihood of crime and civil unrest, from burglary to murder,
terrorism to war.
The foundation of these health challenges is alteration of the supply of goods and services that
human society draws from living systems. One recent study of So-called ecological services (e.g.,
soil formation, amelioration of climate, pollination) estimated the total annual economic benefits
of biodiversity for the United States at $319 billion. Another study estimated the current global
economic value of 17 ecosystem services for 16 biomes at US$33,000 billion per year. Yet another
calculation measures the "ecological footprint', of modem society as the land area required to
supply food, energy, and other materials. As of autumn 1999, the human population of Earth
stands at 6 billion. Raising all those people to liviffg standards, and thus ecological footprints,
equal to that of a U.S. citizen would require an additional two planets.
This new scourge? collectively declining ecological health? requires a new vision, a vision that no
longer restricts health practices to treating symptoms. It also requires a changing view of what a
"patient" is. Individuals and populations will always be patients, but the living systems of Earth,
or the biosphere, must also be considered patients. Societal neglect or misunderstanding of this
fact must be overcome. Until modem society become aware of the problem (step 1 above), we are
unlikely to take the additional steps necessary to protect society from the threats associated
with declining ecological health. Humans alter the surface of Earth in ways, on scales, and at
frequencies unprecedented in recent history. Resource and environmental managers must
identify and minimize the effects of changes with negative consequence for human society.
But narrowly applying the methods of curative medicine to protect ecological health carries
certain dangers. Instead of the typical emphasis on curing acute infections and traumatic
conditions, it would be more appropriate to adopt a public health preventive approach? to protect
and promote health. Too often modem medicine deals with problems after they arrive rather
than preventing them. Snow's lesson from the London cholera outbreak demonstrates the merit
of a preventive approach.
Another important lesson from medicine's past is the need to anticipate unintended
consequences, thereby averting iatrogenic, or doctor-caused, disease. Such diseases,
inadvertently provoked by physicians or, more broadly, modem medicine, may be clinical, social,
or cultural. Anyone familiar with natural resource or environmental management is well aware
of this sort of unintended consequence. Miracle "cures," such as pesticides to control crop pests
or hatchery fish to supplement overharvested wild salmon populations, have led to unexpected
"illnesses" ranging from stronger pests to extinct fish. Similarly, many engineering and political
solutions to fiver management have caused unanticipated problems for human society.
Society benefits immeasurably from rivers. Yet over the past century, humans have changed
rivers dramatically, threatening river health. As a result, societal well-being is also threatened
because goods and services critical to human society are being depleted. "Health"? shorthand for
"good condition" (e.g., "healthy" economy, "healthy" Communities)? is grounded in science yet
speaks to citizens. Applying the concept of health to rivers is a logical outgrowth of scientific
principles, legal mandates, and changing societal values.
Success in protecting the condition, or health, of rivers, depends on realistic models of the
interactions of landscapes, rivers, and human actions. Because rivers integrate all that happens
in their landscapes, their condition, especially their biological condition, tells us much about the
consequences of our actions. The condition of rivers throughout the world tells us that much of
each region's rich natural capital has been spent. Existing laws do not adequately protect rivers
because they are at odds with the physical connectedness of water, and, worse, they commonly
ignore the biological components of aquatic ecosystems. Human actions jeopardize the biological
integrity of water resources by altering physical habitat, modifying seasonal flow of Water,
changing the food base of the system, changing interactions within the stream biota, and
polluting water with chemical Contaminants.
Conventional monitoring and evaluation studies--tracking water flow volumes, chemical
pollution, or population sizes of target species--are inadequate to protect overall fiver condition
in part because they are conceptually narrow, in part because they are not well suited to
distinquishing variation caused by natural events from variation caused by human actions.
Biological monitoring in'the twentieth century began with a restricted focus (organic pollution,
toxic chemicals) but is shifting to a more integrative approach that evaluates the condition of
aquatic biota from diverse perspectives. These new approaches provide a unique but historically
ignored window to measure one important dimension of ecological health. Biological monitoring
and biological endpoints provide the most integrafive view of fiver condition, or fiver health.
Integrative multimetric biological indices can be used to develop biological standards (criteria)
because (1) they are more comprehensive and robust than chemical standards and they are (2)
effective at diagnosing degradation, (3) defining its cause (s), (4) suggesting treatments to halt or
reverse damage, and (5) evaluating the effectiveness of management actions.
Multimetric biological indices are an important and relatively new approach to measuring fiver
condition. They are a central feature of water resource assessments throughout the United
States—48 states have (42) or are developing (6) multimetric approaches--and it has been used
on all continents but Antarctica. Effective multimetric indices depend on an appropriate
classification system, the selection of metrics that give reliable signals of fiver condition,
systematic sampling protocols that measure those biological signals, and analytical procedures
that extract relevant biological patterns.
The index of biological integrity (IBI) is one multimetric approach that is being applied to
examine the influence of humans on fish, invertebrate, and algal assemblages. IBI has
substantial statistical power to detect the effects of diverse human actions (agriculture, livestock
grazing, logging, recreation, and urbanization) and their consequences (point and non-point
pollution, physical habitat alteration, flow alteration, and complex cumulative impacts) on water
resources.
IBI can be used to define spatial and temporal patterns in water resource condition and to
evaluate the effects of management efforts. A benthie invertebrate index of biological integrity
(B-IBI) includes ten metrics: total number of taxa; number of mayfly, stonefly, caddisfly,
long-lived, intolerant, and clinger taxa; proportion of individuals belonging to tolerant taxa and
to predatory taxa; and percent dominance of the three most abundant taxa.
Human actions that deplete and degrade Earth's ability to sustain life? which creates the
environment suitable for society? place human society at risk. Rivers are sentinels: they give us
early warning of the risks our activities engender. We can no longer afford to ignore these risks
or behave as if they did not exist.
Communicating the results of biological monitoring to citizens and political leaders is critical if
biological monitoring is to influence environmental policies. By using the results of biological
monitoring to describe the condition, or health, of rivers and their adjacent landscapes and to
diagnose causes of degradation, we can develop "restoration" plans, estimate the ecological risks
associated with land-use plansin a watershed, or select among alternative development options
The protection of public health in the twenty-first century depends on a movement that
strengthens public health systems and understands that human health is a subset of a broader
ecological health. Absence of disease in individuals is good, but overall public health is better.
Both depend on ecological health. In short, a healthy biosphere is a prerequisite for healthy
humans and for societal well-being.
Evaluation and Restoration of River Ecosystems
Yukihiro Shimatani Public Works Research Institute, Ministry of Construction
What is a Healthy Ecosystem?
The "healthy ecosystem" is a concept formed in contrast to the "unhealthy ecosystem". Thus it
requires no special consideration if the latter does not exist. However, I think both the "healthy"
and "unhealthy" aspects of the ecosystem should be considered when answering the question
"what is a healthy ecosystem"? Also, since the "healthy ecosystem" is the opposite of the
"unhealthy ecosystem" it should be used as a measure of the state of health of the ecosystem or
as an indicator forming a target in restoration. Here, I would like to discuss what a healthy
ecosystem means from my own experiences.
Until several decades ago the Nagata section of the Tama River had formed braided channels
over an expanded floodplain. There were many plants and animals, such as the floodplain daisy
(Amaphalis margaritacca) and the floodplain grasshopper (Eusphingonotus japonicus), that
depended on the floodplain resources. In the last twenty years or so, the floodplain morphology
has changed permitting the growth of an introduced legume (Robinia pseudo-acacia) forming
woods and reducing the diversity of species dependent on floodplains, in particular Aniaphalis
margaritacca, which is now on the verge of extinction. Because this region contains much
vegetation, it is designated~ as a protected area in the river environmental management plan
and is cherished by local nature conservation groups. Although the area is covered with trees
today, it cannot be thought of as a healthy ecosystem when the wild daisy and others dependent
on floodplains are almost extinct.
A similar example can be found in the Tess River of Zurich District in Switzerland. The rivers at
the foot of the Alps used to be braided over extensive floodplains. Early in the twentieth century,
river improvement work made the channels narrow and straight. A well developed green belt
along the river produced beautiful landscapes, but the narrowed river increased its flow speed
and lowered its bed, requiring introduction of many a falling work. Recently, the introduction of
the Near Natural River Works has improved the conditions greatly by changing the monotonous
shores and removing the falling works. However, hardly any floodplains of the past or the
secondary areas of backwaters may be seen. Extensive open spaces of the past are gone and
dense riverline forests grow in their places today. No doubt such rivers show much improvement,
but obviously the healthy ecosystem has not been restored.
Next, I will discuss Lake Sinji. Lake Sinji is the sixth largest lake in Japan, a typical Japanese
brackish-water lake where the production of the Corbicula, Corbicula japonica, is the highest in
Japan. This lake has not always been a brackish-water lake, but was a saltwater lake in the
J6mon period (the Neolithic period of Japan lasting till about 200 BC). Then, it became a
freshwater lake early in the Edo period (17th Century) because it had been filled with sediments,
"burying" the saltwater lake, 'as a result of iron ore mining in the upper reaches and felling of
trees to supply power for a steel mill. It is well known that the excavation of the Sada River
between Lake Sinji and the Sea of Japan in the mid-Edo period (18th Century) to drain water
from the lake caused salt to enter the lake, and saltation was further aided by the widening of
the Ohasi River between Lake Sinji and the Naka-umi (a neighbouring brackish-water lake) in
the late Taisho to early Showa periods (late 1920S). Although the biota of the present Lake Sinji
is considered to be very different to that of the freshwater lake in the Edo period, it is diverse
and its productivity very high. The lake cannot be thought of as unhealthy even though there
are occasional outbreaks of water blooms (caused mostly by Microcystis) and associated deaths
of fish.
My last example is the Kita River, which is a representative of the clear streams in Kyushu,
originating in Mt. Katamuki ( 1062 m) in Oita Prefecture, running through Kitagawa-cho in
Miyazaki Prefecture and joining the Gokase River near the mouth. Its catchment area is 587
km2 and its length 50.9 km. The typhoon 19 caused great damage to the Kita in September 1997.
The fiver banks gave way to flood waters and most of the low-lying areas along the Kita
submerged. The Construction Ministry and the Miyazaki Prefecture drafted a fiver
improvement plan on a large scale to prevent the repeat of the disaster. In drafting the plan,
fiver improvement methods were examined from the point of view of conserving the good quality
of the natural environment of the Kita River.
The basic philosophy of flood control is as follows:
1. Flood mitigation should be planned in case of overflow or breaking of the fiver bank based on
the peak flow of 5000 m3/s, as estimated to be the case during the typhoon 19.
2. The preventive measures should depend on the continuous bank in the lower reaches along
which houses cluster close together, and the traditional "kasumi" bank in the lower middle
reaches where the water level rises sharply in flooding. The kasumi bank is reinforced to
withstand the extreme pressure of overflow flooding and is partially discontinuous to allow
discharge of flood water when the fiver level has subsided. It is important to keep the water level
low at the opening of the bank by dredging the channel and felling the trees near the gate.
For the conservation of the natural environment:
1. The running water section should be kept intact as far as possible and the ranges of riffles
(rapids), pools and the brackish-Water Section should be conserved.
2. The fivefine forest identified as a fish habitat should be retained as much as possible.
3. The environment of the fauna characteristic of the Kita River, such as Lares japonicus
(centroponid fish) and Deiratontus japonicus (freshwater crab), should be preserved.
For the management of the Kita River, the healthy ecosystem is considered to be one that
receives the minimum impact on the 1otic zone biota in environmental hazards. Thus attached
algae of the running water, Plecoglossus altivelis (ayu fish), Lates japonicus and Deiratontus
japonicus are listed as the indicator organisms of the healthy fiver. This approach is practical
and sound, and can be implemented.
From the above examples it is clear that there is no general conception of the "healthy
ecosystem", but that the "healthy ecosystem" as a concept is formed individually for each fiver
and for each lake as it relates to its own past and interactions with people, based on its unique
ecosystem (or biota)of the present or the past. In this sense the "healthy ecosystem" should be
considered as a concept to be defined from the viewpoints of both natural and social sciences.
Having said that, there are several common threads running through the above cases. In the
case of the Tama River, the indicator of its health depended on whether or not the endemic
species of the region adapted to the floodplains of the past could inhabit the fiver. In the case of
Lake Sinji, biological production and species diversity were used to measure the degree of
ecosystem health. In the case of the Kita River, it was the securing of the production of attached
algae and the habitat for ayu and regional endemic species, such as Lates and Deiratontus, in
the 1otic zone. In short, ecosystem health is determined by the conditions in which "the
organisms that should be round in that ecosystem can properly survive". What sorts of species,
species assemblages, local populations or individuals are those that should be found there? Does
properly survive mean that the standing crop is bigger than a certain size? Can they complete
the life cycle? Do they not become extinct in the course of natural fluctuations of numbers? It is
necessary to clarify the meaning of those that should be found there and properly survive but, as
I said earlier, are these not determined by the historical changes of the natural environment and
interactions between people and water environments? This sort of thinking shows the necessity
to discuss the concept of the "healthy ecosystem" on the basis of symbiotic relations of human
beings with nature.
Evaluation
Next, I would like to discuss how we evaluate ecological health. Basically, once the objectives of
the "healthy ecosystem" are established, it is necessary to create indicators corresponding to
each objective. If the maintenance of local populations is the object of the "healthy ecosystem",
the population size or its fluctuation pattern would become its indicator. If ecosystem health is
assessed by the sustainable assemblage of species dependent on the special environment of
floodplains, then such parameters as the diversity of species dependent on floodplains, their
standing crop or the percentage of floodplains occupied by the flow channels would form indices.
Fluctuations of populations and of the channel/floodplain ratio form indices that can be used to
evaluate the degree of destruction or restoration, characteristic of the particular fiver. Thus it is
considered important to have indicators that can assess these fluctuations.
In addition, because these indices are meaningful only when compared to the values of the
"healthy state", it is important to know what it is that the values are compared to; for example,
it would be useful to discuss healthiness in comparison with the values "at a point in the past",
"before the improvement work", "along the longitudinal section", "of the adjacent river", etc.
Towards Restoration
Lastly, I would like to discuss the conservation and restoration of the "healthy ecosystem".
Basically, if the objectives of the "healthy ecosystem" have been set, we only need to adopt a
method to approach these Objectives. That is, we build a framework in which "the organisms
that should be found in that ecosystem can properly survive". However, this is easier said than
done. In fact, it is not easy in many cases to establish the framework as data on the life cycle of
organisms or local population structure may be insufficient or the methods of control are not
well established for the physical environment to be adjusted, such as sediment transport, river
morphology and flow fluctuations which all interact in a complex manner.
For instance, in the Tama River case mentioned above, the objectives were set for the restoration
of the "healthy ecosystem" as (1) establishment of a sustainable metapopulation of the floodplain
daisy and (2) recovery of the biota and habitat space as existed thirty years ago in the braided
fiver of Nagata District. Regarding (1), there was a suggestion for maintaining the local
population rather than the metapopulation, but it is argued that as the size of metapopulations
is so small that there is no choice but to aim at maintaining the metapopulation. To achieve
these objectives the following are being examined at Present:
(1) establishment of a protected area for the floodplain daisy and securing of seeds of this
species,
(2) preparation of the daisy growing site by partially lowering the high portion of the fiver bed
and removing the fine sediments of the surface layer,
(3) widening of the channel bed to allow autonomic formation of braided rivers, and
(4) securing of the supply of sediments to meet the demand of the future.
The main issue is to maintain floodplains of the Tama River in Nagata District, but the
floodplains are maintained only by a natural system of flooding, its destruction and subsequent
restoration. Here the maintenance means the continued existence, albeit in different places of
the floodplains of a certain size occupying a certain space of the riverscape. In other words, the
maintenance of floodplains is the maintenance of a dynamic system as well. In order to maintain
a viable population of the floodplain dais in the Tama River, it is necessary to conserve a
substantial portion of the River for the maintenance of floodplains and establishment sites for
the seeds. When such a system is established, we may be able say that a healthy ecosystem has
returned. However, we have no precedent though I believe the restoration of such a dynamic
system is possible in theory. Thus it is necessary to apply the method of adaptive management
while monitoring the system.
In restoration, the main methods used are directed towards the protection of fiver morphology
continuity of the fiver, water quality and flow regime, sediment transport and quality and
biological diversity. Breeding of threatened species and control of introduced species are also
included. Depending on the objective a different combination of these measures would be taken.
What Must be Done – Towards A Healthy Ecosystem
Koji Omori
University of Ehime
Healthy ecosystems may be said to have existed before the Neolithic Age some 10,000 years ago,
at the end of the last ice age, when hardly any human impact was felt. Of course there is no way
of knowing what sort of ecosystem that was, other than what can be postulated from
pollen-analysis. Nor is there, in reality, any point in knowing about it, because it would probably
be impossible for the biotic community to return to that of the pre-disturbance days, even if all
human activities were to stop completely, once the community of a particular fiver ecosystem
had been modified as a result of human activities. Species extinction and once only or extremely
rare accidental arrival of organisms from other habitats suggests irreversibility of changes in
the composition of biotic communities. This is particularly true for inland waters, such as rivers,
which are virtually closed ecosystems. Besides, the species compositions of two river
communities just over ten kilometers apart can be very different, let alone those in different
climatic zone.
Thus, it would be more realistic to examine the functional aspect of the ecosystem than to
describe the details of species composition when considering ecosystem health. The former has
the advantage of being able to be quantified using the physico-chemical measurements that
strongly relate to ecosystem functioning, and has the generality. Needless to say, the structure
and function of an ecosystem are meaningless without considering the biotic community as its
constituent, as I shall touch on it later.
Since the ideal healthy ecosystem is not really known and may be different from one ecosystem
to another, the healthiness can only be a relative measure based on the present state of the
ecosystem. In other words, we assess the changes of an ecosystem following some modification
(improvement) work according to whether the changes produced a healthier ecosystem than it
was before. Here, I will first examine this sort of practical approach to ecosystem health.
Let me consider the processes by which human alterations to the environment produce impact
on the river ecosystem. As shown below, the human impacts may be classified into those that
appear indirectly as a result of changes to the terrestrial ecosystem and those that produce
impact directly on the fluvial ecosystem.
0) Human activities modifying environmental conditions
/Terrestrial ecosystems: logging in watershed areas, clearing of lowland forests for agriculture,
paving of ground surface, construction of sewer systems, etc.
/Fluvial ecosystems: river improvement work, construction of barrages, dams' etc.
These human disturbances result in severe changes to some of the following properties ofthe
river environment and indirectly affect the river ecosystem.
1) PhySico-chemical environments of the river
River water
/Water quality: Amounts of particulate and dissolved organic and inorganic (sediments and
nutrients) matter (POM, PIM, DOM, DIM, etc.) ·
/Water flow: Flow rate, flow regime, amplitude of flow rate fluctuations, etc.
/River morphology: Conditions of winding and braided channels, floodplains, backswamps,
riffle-pool structure, backwaters, etc.
No doubt the properties of fiver water directly interact with geological structure to form fiver
morphology. Conversely, fiver structure may determine water quality. These physico-chemical
factors are directly responsible for the creation of the primary habitats for organisms, and the
primary producers of the community establishing themselves there often create the secondary
habitats for animals such as a reed marsh. The characteristics of the habitat and the fiver
environment have the following corresponding levels of relationships:
2) Habitat characteristics
/Diversity and area of habitats: water flow and fiver morphology
/Quality of habitats: water quality (organic matter and nutrients).
The question here is to clarify the relationships between ecosystem characteristics and human
impacts on ecosystems. Let me first examine the relationships With ecosystem characteristics.
3 ) Ecosystem characteristics
Ecosystem structure
/Number of trophic levels
/Species diversity
Ecosystem function
/Rate of primary production
/Ratio of decomposition rate to primary production rate
/Ratio of internal primary production to input of external production
/Ratio of total biomass to inflow of external materials
The problem is to find the quality of the ecosystem that makes it healthy. At the least it is
general accepted, I believe, that the higher the species diversity, or the greater the number of
trophic levels, of the community, the healthier the ecosystem. Thus we may examine the fiver
environment using these properties as indicators.
With decrease in the diversity or the area of habitat, species diversity and the number of trophic
levels among the ecosystem characteristics must also decrease (monotonous type). On the other
hand, factors governing the quality of the habitat, such as inorganic nutrients and organic
matter, influence species diversity in a complex manner; there is an optimal level beyond which
species diversity decreases (convex type). However, inorganic sediment concentration though a
habitat quality factor seems to behave like a monotonous type factor. It would be almost
impossible to demonstrate these relationships from the data on one fiver, but it would be
possible to obtain overall relationships from a number of fivers of similar scale and geographic
proximity.
What is important here is the reaction pattern of ecosystem properties in response to the
disturbance factors. If we are dealing with a monotonous type factor, we have no choice but to
reduce the value of the factor. In other words, in this case it is difficult to determine scientifically
the degree to which we may safely lower the healthiness (here species diversity) of the ecosystem.
If it is a convex type factor which has an optimal value for the healthiest condition, then this
optimal range can be set as the limit of disturbances for the maintenance of the healthy
ecosystem.
When dealing with convex type factors, we may expect different optimal ranges for different
properties of the ecosystem, which requires careful consideration for deciding the priority. For
example, it is known that species diversity reaches its peak at a lower nutrient level than the
rate of primary production. In this case, which property should be used to determine the limit of
impact?
It is Important to keep the range and scale in mind when a realistic approach is to be made to
assess the healthiness of the fiver ecosystem. In dealing with a tributary of one fiver system
there is a possibility that the species diversity of the tributary may increase as a result of
immigration from: a species-rich community of another 'tributary when the impact of a
monotonous-type disturbance factor is reduced in the treated tributary. However, in cases where
the probability of migration is reduced between different fiver systems, it is considered difficult
for the fiver system as a whole to respond immediately to increase its specie diversity because of
the low level of immigration rate, even if the impact of the disturbance factor is reduced. In other
words' species diversity and the number of trophic levels are not considered to be sensitive
indicators appropriate for assessing the recovery process of ecosystem health.In Japanese rivers,
however, there are many migratory (both anadromous and catadromous) fish species and the
rate of immigration from neighbouring rivers can be high. It may be possible to limit the use of
indicator species to such a species group. However, indicators would be more useful if
quantifiable properties, such as the total production and biomass, which indicate the function of
the ecosystem, are used rather than the properties concerned with the structure of the
ecosystem such as the total number of species.
Finally, I will examine ecosystem health from a somewhat different viewpoint. That is to
consider the health of an ecosystem starting with the concept of the ecosystem. The ecosystem
consists of the physical environment and two parts of a community, one that can fix part of the
solar energy autonomously and sustainably, and the other, food-webs of heterotrophs, that
purport to utilise the fixed energy. Their basic substance is the material and it is necessary to
retain the material within the ecosystem as much as possible. In particular, the fiver ecosystem
is a running-water environment which makes it difficult to retain abiotic materials, such as the
sedimentary layer that develops in lakes, and thus must retain the material as part of the
biomass of the community including primary producers. It follows that the ecosystem can be said
to be successful in its process if the biotic portion is large relative to the abiotic portion of the
ecosystem. If we build a mathematical model of a river ecosystem and test the theoretical upper
limit of this ratio, it may be possible to use the upper limit value as a standard to evaluate the
healthiness of the ecosystem. This is one thought on ecosystem health.