喘息予防・管理ガイドライン2012 独立行政法人 国立病院機構 東京病院 院長 大田 健 先生 国際医療福祉大学 教授 山王病院 アレルギー内科 足立 満 先生 喘息治療の目標 ・健常人と変わらない日常生活が送れること。正常な発育が保たれること。 ・正常に近い呼吸機能を維持すること。 PEF の変動が予測値の 20%未満。 PEF が予測値の 80%以上。 ・夜間や早朝の咳や呼吸困難がなく十分な夜間睡眠が可能なこと。 ・喘息発作が起こらないこと。 ・喘息死の回避。 ・治療薬による副作用がないこと。 ・非可逆的な気道リモデリングへの進展を防ぐこと。 薬物によるコントロール 表 1 喘息治療ステップ LTRA:ロイコトリエン受容体拮抗薬、LABA:長時間作用性β2 刺激薬、SABA:短時間作用性β2 刺激薬 1)抗アレルギー薬は、メディエーター遊離抑制薬、ヒスタミン H1 拮抗薬、トロンボキサン A2 阻害薬、Th2 サイトカイン阻害薬を指す。 2)通年性吸入抗原に対して陽性かつ血清総 IgE 値が 30~700 IU/mL の場合に適用となる。 3)経口ステロイド薬は短期間の間欠的投与を原則とする。他の薬剤で治療内容を強化し、かつ短期間の間欠投与でもコントロールが得られない場合は、必要最小 量を維持量とする。 4)軽度の発作までの対応を示し、それ以上の発作については喘息予防・管理ガイドライン 2012 7-2「急性増悪(発作)への対応(成人)」を参照。 5)ブデソニド/ホルモテロール配合剤を発作治療薬に用いることもできる。長期管理と発作治療を合わせて 1 日 8 吸入までとするが、一時的に 1 日合計 12 吸入(ブ デソニドとして 1,920μg、ホルモテロールフマル酸塩水和物として 54μg)まで増量可能である。ただし、1 日 8 吸入を超える場合は速やかに医療機関を受診する よう患者に説明する。 治療ステップの選択 未治療患者においては、表 2 に示したような症状を目安にして治療ステップを選択する。 表 2 未治療患者の症状と目安となる治療ステップ 表 3 コントロール状態の評価 現在薬物治療中の患者であれば、表3コントロール状態の評価を参考にし、コントロール良好なら現在の治療の継続あるいは良好な状態が 3~6 ヵ月持続していれ ばステップダウンを考慮する。コントロール不十分なら現行の治療ステップを 1 段階アップ、コントロール不良なら現行の治療ステップを 2 段階アップする。 *増悪が月に 1 回以上あれば他の項目が該当しなくてもコントロール不良と評価する。
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