松山赤十字病院 第19回 地域医療連携室懇 談会 開 催 要 領 1.日 時 平成27年2月28日(土)18:00~21:00 2.場 所 講 演 会 当 院 教 育 講 堂 意見交換会 当 院 職 員 食 堂 3.会 次 第 講 演 会 18:00 ~ 座 長:内科部長 藤﨑智明 講 演 【演題1】『フレイルとその予防』 演 者:健診部長 村上一雄 【演題2】『口腔の健康からフレイルを考える』 演 者:歯科口腔外科部長 寺門永顕 【演題3】『高血圧治療におけるフレイル』 演 者:内科部長 福岡富和 意見交換会 19:30 ~ 地域医療連携室 27 12 11 11 懇談会を開催 67 開 会 挨 拶 27 英介 研 修 会 の 開 催 に 関 す る こ と、 当 院が昨年 月から実施した敷地 内 禁 煙、 今 年 2 月 か ら 導 入 し た 院外処方の状況などについてご 質問をいただきました。 急速に進む超高齢社会に対応 す る た め に、 国 は 医 療 提 供 体 制 を再編するという大きな流れを 作 っ て い ま す。 昨 年 4 月 の 診 療 報酬改定では重点課題をひとつ に し ぼ り 、医 療 機 関 の 機 能 分 化・ 強 化 と 連 携、 在 宅 医 療 の 充 実 等 を あ げ ま し た。 ま た 6 月 の 第 六 次医療法改正の中で、機能分化の た め の「病 床 機 能 報 告 制 度」が 創 設され 月に各病院は有床診療所 を含め病棟ごとに届出を行い、そ れに基づいて今年4月から都道府 県 が「地 域 医 療 ビ ジ ョ ン」を 策 定 することになっています。当院は 今後、高度急性期の医療を担う立 場に位置すべく方策をとってまい ります。来年度そして3年後の介 護報酬との同時改定にむけて、機 能分化のため急性期病院の要件は さらに厳しくなるものと思われま す。今後、益々、地域での医療機 関の連携が重要になると考えてお り、引き続きご支援、ご協力をお 願い申し上げます。 松山赤 十字 病院 67 http://www.matsuyama.jrc.or.jp/ 地 域 医 療 連 携 室 室 長 ( 院 長 )横 田 26 基本方針 No. 第19回 報 告 い た し ま し た。 昨 年 4 月 の 第 回地域医療連携室懇談会 を平成 年2月 日に当院教育 診 療 報 酬 改 定 で 紹 介 率・ 逆 紹 介 講 堂 に お い て「 こ れ か ら の 高 齢 率の承認要件の計算式から救急 者診療のキーワード:フレイル 患者数が除かれ年度初めには紹 ( 虚 弱 )」を テ ー マ に 開 催 し ま し 介 率 が 一 時 低 下 し ま し た が、 平 た。 日 本 老 年 学 会 は 平 成 年 5 成 年 1 月 時 点 で、 紹 介 率 ・ 月、 高 齢 に な っ て 筋 力 や 活 力 が 7 % 、 逆 紹 介 率 1 1 5・1 % と 衰 え た 状 態 を「 フ レ イ ル 」と 名 付 基 準 値 を 満 た し て お り ま す。 登 け予防に取り組むことを提唱し 録 医 加 入 者 数 は、 357 施 設、 ま し た 。 こ れ ま で は「 老 化 現 象 」 5 3 1 名 と な っ て お り ま す 。 今 と 見 過 ご さ れ て き ま し た が、 統 年 度 開 催 し た 主 な 講 演 会、 研 修 一した名称をつくることで医療 会 は、 地 域 医 療 連 携 フ ォ ー ラ ム や 介 護 の 現 場 の 意 識 改 革 が 求 め ( 7 月 日 、 参 加 者 8 7 0 名 )、 ら れ て い ま す。 村 上 一 雄 健 診 部 病 院 と 在 宅 看 護・ 介 護 の 連 携 長 、寺 門 永 顕 歯 科 口 腔 外 科 部 長 、 合 同 研 修 会( 月 6 日 、 参 加 者 福 岡 富 和 内 科 部 長 の 3 名 が、 そ 3 7 9 名 )、イ ブ ニ ン グ セ ミ ナ ー れ ぞ れ の 立 場 か ら 耳 慣 れ な い 新 (毎 月 1 回、 参 加 者 の べ 739 しい概念について講演しまし 名 )な ど で す 。 委 員 の 方 か ら は た。 院 外 か ら 施 設、 名、 院 内 か ら 名、 計 135 名 の 参 加 を い た だ き、 懇 談 会 終 了 後 は 職 員食堂で意見交換の場をもたせ ていただきました。 『平 成 年 度 第 3 回 地 域 当 日、 医 療 推 進 委 員 会 』を あ わ せ て 開 催 い た し ま し た。 本 会 は 地 域 医 療支援病院の要件で開催が求め ら れ て お り、 松 山 市、 伊 予、 東 温 市、 上 浮 穴 郡 の 各 医 師 会 の 先 生 方、 有 識 者 等、 計 名 の 方 々 に院外委員としてご参加いただ い て お り ま す。 今 回 は 平 成 年 度の事業推進状況についてご 01 『これからの高齢者診療のキーワード:フレイル(虚弱)』 テーマ 26 41 10 28 22 26 人道、博愛、奉仕の赤十字精神に基づき、医療を通じて、地域社会に貢献します。 地域医療連携室報 19 27 94 人間としての尊厳を守り、良質で温もりのある医療を提供します。 安全と安心の医療を提供し、信頼される病院を目指します。 地域の医療機関と連携を密にし、質の高い急性期医療・専門医療を実践します。 災害救護活動ならびに医療社会奉仕に努め、赤十字活動を推進します。 自己研鑽に努め、次代を担う医療人を育成します。 一人ひとりが生き生きとし、働きがいのある病院を目指します。 ■ 発行責任者/横田英介 ■ 編集/松山赤十字病院・地域医療連携室:〒790−8524 松山市文京町 1 番地 TEL089−926−9527 FAX089−926−9547 基本理念 2015.3 Matsuyama Red Cross Hospital 現 在 わ が 国 に お け る 死 因 で は、 がんと動脈硬化性疾患が大きな割 合を占めており、国民の健康の維 持においても、医療経済上も大き な問題となっています。しかしわ が国では今後、人口構成の急激な 高齢化が予想されています。その た め 現 在 の が ん 対 策 や、 メ タ ボ リックシンドローム対策をはじめ とする動脈硬化性疾患に対する対 策 に 加 え て、 「高 齢 に よ る 衰 弱」、 「転倒・骨折」、 「認知症」などの要 介護状態に至る要因がより重要な ものになってくることが予想され ま す。 特 に「高 齢 に よ る 衰 弱」は 最大の問題であり、過栄養のみで なく、低栄養の問題の重要性が今 後さらに増加してくると考えられ ま す。 こ の 問 題 に つ い て 今 ま で、 」と い う 言 葉 が 用 い ら れ 「 Frailty てきましたが、2014年に日本 老年医学会フレイルワーキンググ ループで、今後「フレイル」という 用語を使用することが決められま し た。 こ の 中 で「フ レ イ ル」は 身 一雄 体問題のみならず、認知機 能障害やうつなどの精神・ 心 理 的 問 題、 独 居 や 経 済 的困窮などの社会的問題 を含む概念であるとされ て い ま す。 現 在、 「フ レ イ ル」の 定 義 で も っ と も 汎 用 ら されているものが Freid による身体機能の表現型 に よ る 定 義 で す(ス ラ イ ド 1)。 こ れ は 5 つ の 表 現 型 か ら 構 成 さ れ て お り、 5 項目中3項目以上があて はまればフレイルと判定 さ れ ま す。 わ が 国 に お い ては介護予防のための基 本チェックリストがフレイルの評 価に用いられています(スライド 2)。 最 近、 「フ レ イ ル」の 定 義 と して2013年に6つの国際学会 によるコンセンサス会議で「多因 子が関与する症候群で生理機能の 減退、体力、持久力の低下を基盤 として、身体障害や死に対して脆 弱 性 が 増 し た 状 態」と 定 義 さ れ ま した。フレイルな老年者の病態と して、基礎代謝やエネルギー消費 量の低下、摂食量の低下、低栄養、 サルコペニア(加齢に伴う筋肉の 減 少)か ら な る 悪 循 環、 ま た 運 動 量や活動量の低下からくる消費エ ネルギー量の低下から低栄養をへ てサルコペニアを経る悪循環が形 成され病態の悪化や進行が形成さ れることが報告されております。 フレイルな高齢者には、多臓器 の機能が低下し複数の慢性疾患を 持っている、譫妄などの精神・神 経症状が出やすい、電解質異常な ど 体 液 バ ラ ン ス が く ず れ や す い、 薬物による有害事象が生じやす 松山赤十字病院 健診部長 村 上 フレイル と そ の 予 防 1 演題 い、などの特徴があります。高齢 者がフレイルな状態にならないた めには、①十分なタンパク質・ビ タミン・ミネラルを含む食事をと る、②ストレッチ・ウォーキング などの運動を定期的に行う、③身 体の活動量や認知機能を定期的に チェックする、④ワクチン接種な どを含む感染予防に注意する、⑤ 手術の後は栄養やリハビリテー ションなどの適切なケアを受け る、⑥内服が多い人は主治医と相 談する、などの注意がすすめられ ています。 さらに、サルコペニック・オベ シ テ ィ(サ ル コ ペ ニ ア 肥 満)と い う、肥満とサルコペニアとが合併 した病態もみられ、フレイルとの 関連の大きいサルコペニアは低栄 養のみでなく、肥満と共存するこ ともあります。この病態は、サル コペニアによる転倒やADLの低 下と、肥満による心血管病発症の 両方のリスクを持っており、予後 の悪い病態であると考えられてい ます。これらの過栄養を持つ高齢 者の栄養指導には、高齢者では身 についた生活習慣を変えることは 難しく、極端な食事習慣の変更や 急激な減量は避ける必要があるこ と に 注 意 を す る 必 要 が あ り ま す。 また、タンパク質の摂取や減塩が 過度にならないようにも注意が必 要です。さらに運動を取り入れる 場合も、ごく軽い簡単な運動から 開始し、時間をかけて漸増する必 要があります。そして転倒事故や 過度な強度の運動を避けるため に、十分な監視や、血圧や心拍数 への注意あるいは運動器具や場所 などへの配慮も必要です。 最 後 に フ レ イ ル を 身 体 機 能(身 体 的 フ レ イ ル)の み で な く、 認 知 機 能 や 心 理 的 機 能(心 理 的 フ レ イ ル)、社会的機能(社会的フレイル) などからなる生活機能全体が低下 するリスクが高い状態としてとら え、包括的な予防活動へとつなげ られることが期待されます。 スライド 1 Freid らのフレイルの定義(身体機能の表現型による定義) スライド 2 介護予防のための基本チェックリスト 02 唇の閉鎖不良による食べこぼし や食塊形成不良による嚥下障害 な ど の 問 題 に 繋 が る。 し た が っ て対応としては舌や口腔周囲筋 のリハビリテーションによる運 動 機 能 の 回 復、 唾 液 分 泌 訓 練 な ど が 主 目 的 と な る。 「機 能 性 咀 嚼 障 害」は 認 知 機 能 の 低 下 に よ る 口 腔衛生への関心低下や食物の認 知 低 下 を 原 因 と す る 障 害 で、 口 腔ケアや食環境の調製などの対 応が必要となる。 このように高齢者にみられる 摂 食・ 嚥 下 機 能 の 低 下 に は 様 々 な 要 因 が 関 係 し て お り、 単 純 に 歯の喪失に対する義歯の作製だ けで問題が解決することは少な い た め、 顎 口 腔 の 運 動 機 能 訓 練 や認知訓練なども含めた統合的 な口腔リハビリテーションが必 要 と 考 え ら れ る。 も ち ろ ん 低 栄 養状態の改善には胃瘻や経管栄 養など口腔を経由しない種々の 方 法 も あ り、 身 体 的、 精 神 的、 社会的な面からより良い方法を 選 択 す る 必 要 が あ る が、 口 腔 を 使用しないからと言って口腔ケ アや口腔リハビリテーションを 疎 か に す る と、 顎 口 腔 領 域 の 廃 用症候群から全身的な問題を起 こすこともありうる。 し た が っ て、 フ レ イ ル を 予 防 するために身体活動の向上を図 る 中 で、 口 腔 ケ ア と と も に 口 腔 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン も、 地 域 の 中で医療機関や社会的なコミュ ニティなどが連携して行ってい く必要がある。 松山市医師会 地域連携部主任理事 亀井 敏光 様 藏原放射線科院長 藏原 一郎 様 口腔の健康からフレイルを考える 永顕 の 低 下」と い う キ ー ワ ー ドから口腔の健康という テーマを基に後期高齢者 の「食 べ る 力」 「食 の 安 定 性」を考えていきたい。 口 腔 の 機 能 に は 摂 食・ 嚥 下、 呼 吸、 発 語、 粘 膜 免 疫、 な ど 種 々 の 機 能 が あ り、 歯 の 数 や 咬 合 状 態、 舌 や 頬、 口 唇 な ど 口 腔 周 囲 筋 の 運 動、 唾 液 分 泌 の 状 態 な ど が 関 係 し て い る。 これらの機能が低下する と誤嚥性肺炎や栄養状態 の 悪 化 だ け で な く、 食 べ る楽しみの喪失やコミュ ニケーション障害などQOLに 繋 が る 可 能 性 も あ る。 こ の う ち、 フレイルの一要因である低栄養 と 関 連 す る 機 能 は 咀 嚼・ 嚥 下 機 能 で あ り、 高 齢 者 で は ム シ 歯 や 歯周病による歯の喪失が咬合状 態 の 悪 化 に 繋 が っ た り、 中 枢 神 経系の問題や神経機能の低下に よ る 口 腔 周 囲 筋 の 運 動 低 下、 加 齢や内服薬の影響による唾液分 泌の低下など様々な問題が出現 し て く る こ と が 多 い。 咀 嚼 機 能 障害は主に「器質性咀嚼障害」「運 動 障 害 性 咀 嚼 障 害」 「機 能 性 咀 嚼 障 害」に 分 類 さ れ る。 「器 質 性 咀 嚼 障 害」は 主 に う 蝕 や 歯 周 病 な ど による歯の喪失が原因で咀嚼能 率 の 低 下 が お こ る た め、 義 歯 や インプラントの作製による咬合 回 復 が 必 要 と な る。 「運 動 障 害 性 咀 嚼 障 害」は、 加 齢 に よ る 生 理 的 変化や脳血管障害などによる口 唇 や 舌、 頬 の 運 動 機 能 低 下、 唾 液分泌の低下による口腔乾燥な ど を 原 因 と す る こ と が 多 く、 口 03 松山赤十字病院 歯科口腔外科部長 寺 門 近 年、 高 齢 者 の 増 加 に よ っ て 医療や介護の在り方も大きく変 化 し て き て お り、 と く に 今 後 も 増加していく高齢者の医療は大 き な 課 題 と な っ て い る。 そ の 中 で後期高齢者を中心に高頻度に 認 め ら れ る、 健 康 障 害 に 繋 が る 心身の脆弱な状態を表す概念と し て フ レ イ ル(フ レ イ ル テ ィ)が 注 目 さ れ て い る。 フ レ イ ル は、 ストレスに対する予備力の低下 に起因した状態と考えられてお り、 基 本 的 に は 身 体 活 動 の 低 下 から起こることが多いとされて い る が、 身 体 活 動 の 低 下 が 総 エ ネ ル ギ ー 代 謝 の 減 少、 栄 養 状 態 の 低 下、 筋 肉 量 の 減 少(サ ル コ ペ ニ ア)、 筋 力 や 有 酸 素 運 動 能 力 の 低 下、 歩 行 能 力 の 低 下、 な ど の 生活能力の減少から再び身体活 動の低下に繋がるという負の連 鎖を起こすことになる。したがっ て、 こ の 負 の 連 鎖 を 断 ち 切 る た めに身体活動の向上は必須の課 題 と い え る。 今 回 は、 「栄 養 状 態 意見交換会 2 演題 65 高齢者高血圧の疫学 74 75 23 本 邦 の 久 山 町 研 究 や NIPPON DATA 8で 0 は、 血 圧 と 心 血 管 死亡率との間には正の関連が認 め ら れ、 高 齢 に な る に 従 い 勾 66 23 80 福岡 富和 80 高 齢 者 は 一 般 に 多 病 で あ り、 同じ年齢であっても生理機能の 個 人 差 が 大 き く、 降 圧 治 療 の 実践に当たり、高齢者を年齢に よって一律に区別することには 注 意 を 要 す る 。 特 に「 フ レ イ ル 」 な高齢者においては、降圧治療 の適応を、個別に設定すべきこ とを示唆する研究が報告されて 。歩行速度は高齢者に い る 1) お け る「 フ レ イ ル 」の 状 態 を 表 す 一つの指標であるが、6メート ル を 7・5 秒 未 満 で 歩 け る 高 血 以 上 )の 生 命 圧 患 者( 1 4 0mmHg 予後は、非高血圧者に比べて不 良 で あ る も の の 、 7・5 秒 以 上 かかる人では高血圧の有無によ 80 高血圧治療におけるフレイル る生命予後に有意差はなく、6 メートル歩行を完遂できない人 では、むしろ高血圧群で生命予 後 が よ か っ た( 図 1 )。 少 な く とも、歩行速度がきわめて遅い 場合、降圧薬治療はむしろ危険 かもしれないことが示されてい 松山赤十字病院 内科部長 る。 こ の こ と か ら、 高 血 圧 治 療 ガ イ ド ラ イ ン 2 0 1 4( J S H 配はゆるやかになるもの 2 0 1 4 )で は 、 高 齢 者 高 血 圧 の、 や は り 絶 対 リ ス ク は 治 療 の ポ イ ン ト と し て、 「原 則 増 大 し、 歳 以 上 で も 正 以上の血 と し て 1 4 0/9 0 mmHg の 関 連 を 示 し て い る。 高 圧レベルを薬物治療の対象とし 齢者に対す降圧治療の効 て 推 奨 す る。 た だ し、 歳 以 上 果 と し て は、 歳 以 上 の で 収 縮 期 血 圧 1 4 0-1 4 9 mmHg 高 齢 者 高 血 圧 患 者( 平 均 や、6メートル歩行を完遂でき )を 血 圧 1 7 3/9 1 mmHg ない程度の虚弱高齢者では個別 対象としたHYVET試 に 判 断 す る 」と し て い る 。 個 別 験 で は 、 利 尿 薬( 降 圧 不 判断に際しては、①血圧動揺性 十分な場合ACE阻害薬 の 増 大、 ② 収 縮 期 高 血 圧 の 増 を 追 加 )を 用 い て 1 5 0/8 0 加 、 ③ 主 要 臓 器 血 流 量 や 予 備 能 未満を目指した の低下、④標的臓器の血流自動 mmHg 降 圧 治 療 の 結 果、 心 血 管 調節能の障害、⑤早朝の昇圧例 イベントの減少を認めて )の 増 加 、 ⑥ 起 ( morning surge い る。 さ ら に、 認 知 症 発 立性低血圧や食後血圧低下の増 症 は 増 加 し な い こ と、 骨 加等の高齢者高血圧患者の特徴 わが国の人口構成と 折はむしろ減少することが示さ を 踏 ま え て 判 断 す る( 表 1 )。 ま 高血圧有病率 れ 、 歳 以 上 を 含 め て 、 高 齢 者 た高齢者の特殊性に基づく留意 においても積極的に降圧治療を 点 と し て、 ① 転 倒・ 骨 折 の 予 防 行うことが勧められる。 に関連した留意点、②脱水や生 活環境変化に対応した服薬指 高齢者高血圧治療の実践 導、③服薬状況の把握と服薬管 理の3つの点に配慮して治療を 行 う 必 要 が あ る( 表 2 )。 日 本 は、 平 成 年 に お い て 歳以上の高齢者人口が全体 の ・ 3 %、 歳 以 上 の 人 口 も ・ 5 % で あ る。 さ ら に 今 後 は 益 々 高 齢 化 率( 歳 以 上 人 口 割 合 )が 進 み 、 2 0 5 0 年 に は 高 齢化率 %に達すると予測され て い る。 ま た、 高 血 圧 有 病 率 は 加齢とともに増加し、本邦の国 民 健 康 ・ 栄 養 調 査( 平 成 年 )に ︱ 歳の %、 歳 よ れ ば、 以上の %が高血圧に罹患して いる。今後有病率に変化がなけ れば、後期高齢高血圧患者が増 加してくると予測される。 40 65 80 75 3 演題 65 23 11 1) 2012; 172: 1162-8. Odden MC et al. Arch Intern Med. 75 04 吐 下 血 第二消化器内科副部長 八 板 弘樹 の場合には大腸内視鏡検査を先ず 行いますが、状況に応じて造影C T検査も検討します。CT検査は 侵襲の少ない検査で得られる情報 も多く、特に残渣や出血のため内 視鏡検査が困難なことが予想され る下部消化管出血では高い有用性 があります。また、上下部消化管 内視鏡検査でも出血源が不明な場 合は、造影CT検査に加え小腸カ プセル内視鏡検査、バルーン小腸 内視鏡検査、小腸X線造影検査を 組み合わせて出血源の検索を行い ます。 治療に関しては、血管性の出血 を認めた場合には先ず内視鏡的な 止血を考慮します。内視鏡機器の 発達は著しく、現在ほとんどの消 化管出血は内視鏡的に止血が可能 です。しかし、稀ではありますが 止血困難症例も存在し、その場合 (I V は interventional radiology 吐 下 血 消化管静脈瘤は主として肝硬 変を原因とする門脈圧亢進に よ っ て 起 こ る が、 膵 癌 や 特 発 性 門脈圧亢進症などの疾患でも発 生 す る こ と が あ る。 主 に 胃・ 食 道 に 発 生 す る こ と が 多 い が、 他 に直腸や十二指腸などに異所性 に 発 生 す る こ と も あ る。 門 脈 圧 程度であ は通常 10 0-15 0mmHg 以上に上 る が 、 常 時 2 0 0mmHg 昇した場合を門脈圧亢進症と定 義 さ れ て い る。 そ の 機 序 と し て 肝硬変による流出血管抵抗の増 大 に よ る 流 出 障 害 に 加 え て、 心 智行 R)や 外 科 手 術 も 考 慮 し ま す。 消 化管出血の原因となる消化管疾患 の病態は多彩であり、疾患ごとに 出血の頻度、性状、出血を来しや すい形態などが異なるため、選択 すべき止血術、外科的治療の適応 やタイミングなどにも若干の相違 点がみられます。そのため各疾患 の頻度や特徴を理解し、疾患に応 じ た 検 査、 治 療 を す す め る 必 要 が あ り ま す。 2007 年 1 月 ~ 2012年 月の6年間に当セン ターで内視鏡的止血術を施行し た 消 化 管 出 血 症 例 は 582 例 で、 う ち 上 部 消 化 管 出 血 は 504 例 ( %)と大部分を占め、次いで大 腸出血が 例( %)、小腸出血が 9例(2%)でした。疾患では出血 性胃十二指腸潰瘍が382例と最 も頻度が高く、治療もさることな 感染 がらその原因である H.pylori やアスピリンを含むNSAIDs に対して予防策を講じることも大 切です。また、内視鏡的止血術の 必要性の有無に関わらず、消化管 出血を来す疾患は多く存在するた め、 そ の 形 態 か ら 病 態 を 類 推 し、 生検や培養結果、随伴所見などか ら総合的に診断を行うことも重要 と考えます。 86 第二肝臓・胆のう・膵臓内科部長 横 田 12 12 69 第9回 消化管出血の徴候には吐血、下 血(黒色便)、血便の3つがありま す。 消 化 管 内 に 出 血 し た 血 液 は、 時間の経過により血液中のヘモグ ロビンが酸化されてヘマチンに変 化し黒色となるため、出血の性状 により出血部位の同定が可能で 靭 す。 す な わ ち、 吐 血 は Treitz 帯より口側腸管からの出血、黒色 便は上部消化管あるいは上部小腸 からの出血、暗赤色から鮮紅色の 血便は大腸や下部小腸からの出血 を疑います。 消化管出血をみた場合は、まず バイタルサインのチェックや血管 確保など、循環動態の評価と安定 化を行います。出血直後の赤血球 やヘモグロビン値は出血量に見 合った貧血の所見を示さない場合 もあり、バイタルサインよりおお よその出血量や重症度の判定を行 うことが重要です。循環動態が安 定したら次に原因疾患や病態の把 握を行います。出血の状態(下血・ 血便の区別、出血の状況、出血量 など)、付随する消化器症状(腹痛、 下痢、発熱、悪心など)、既往歴(消 化性潰瘍、慢性肝疾患、腸疾患な ど)や服用している薬の内容(抗血 栓薬、ステロイド、NSAIDs な ど)に つ い て 問 診 を 行 い、 原 因 疾患、病態を類推して治療戦略を たてます。吐血、下血を認める場 合は上部消化管内視鏡検査、血便 拍出量の増大、末梢血管抵抗の減 少、シャントの増大などの門脈系 へ の 流 入 血 液 量 の 増 加(エ ス ト ロ ゲンやエンドセリン、NOなどが 関与)が考えられている。 食道・胃静脈瘤はその形態から F1、F2、F3の3つに分類さ れ、F2以上は出血のリスクが高 ( RC くなる。ま た 、 red color sign )が 出 現 す る と 更 に 出 血 の リ sign ス ク が 高 ま る た め、 予 防 的 な 治 療 の 適 応 と な る。 以 前 は 肝 硬 変 の患者の死亡原因は食道・胃静 脈 瘤 破 裂、 肝 癌、 肝 不 全 が そ れ ぞれ同程度であったが、現在で は予防的治療の発達により食道 静脈瘤破裂による死亡は少なく なっている。 静脈瘤に対する治療法は直接 静脈瘤を荒廃させる方法や門脈 圧 を 下 げ る 方 法 が あ り、 大 き く 以下の4つに分けられる。 ① 薬 物 治 療:β ブ ロ ッ カ ー 、 A CE阻害薬など ② 内 視 鏡 治 療:内 視 鏡 的 静 脈 瘤 結 紮 術(E V L)、 内 視 鏡 的 静 脈瘤硬化療法(EIS)など ③ I V R:経 静 脈 的 肝 内 門 脈 大 循 環 短 絡 術( T I P S )、 部 分 的 脾 動 脈 塞 栓 術( P S E )、 バルーン下逆行性経静脈的 塞 栓 術( B R T O )、デ ン バ ー シャント ④ 外 科 治 療:直 達 手 術( Hassab 手 術 、 食 道 離 断 術 )、 シ ャ ン ト手術 本邦では特に内視鏡治療手技 が 発 達 し て い る た め E V L、 E ISにて治療されることが多 い。 E V L の 利 点 は 手 技 が 容 易 で 合 併 症 が 少 な い 事、 欠 点 は 局 所治療のため再発しやすい事で あ る。 E I S は そ の 逆 で あ り 手 技 的 に は 難 し い が、 供 血 路 ま で 注入できれば高い治療効果が得 ら れ 再 発 を 起 こ し に く く な る。 最近では外科治療が行われるこ とはほとんど無い。 食道静脈瘤出血に対する緊急 処 置 と し て は、 そ の 簡 便 さ と 確実さからEVLが選択され る こ と が 多 い。 胃 静 脈 瘤 出 血 に 対してはEVLやヒストアクリ ルを用いたEISが施行される が、 追 加 治 療 と し て B R T O を 必 要 と す る 場 合 が あ る。 ど うしても止血し難い場合には S eng st a ken - Bl a kemore t ub e ( S-B tube )と 呼 ば れ る バ ル ー ン カテーテルを経鼻的に挿入して 圧迫止血を図る。 静脈瘤出血を来すような患者 は、 進 行 し た 肝 硬 変 で あ る こ と が多く出血により更に肝予備能 の 低 下 を 招 く た め、 定 期 的 に 内 視鏡を行い時期を逸しないよう に予防的治療を行う事が重要で ある。 05 第9回 1月22日 1月22日 呼吸困難 20 ≦ 低酸素血症をきたす4つの原 因として肺自体が問題で起こる 12 まとめ 図3 救急の場においては診断に固 執 せ ず、 緊 急 性 の あ る 病 態 を 見 逃 さ な い よ う に 努 め、 急 性 呼 吸 不 全 患 者 を 診 た 場 合 は、 低 酸 素 血症を来たす4つの原因を思い 出し精査加療することをお勧め する。 ま た、 入 院 さ せ る か、 帰 宅 さ せるか悩む症例がいた場合は当 院呼吸器内科に相談ください。 図4 こる。 ④ 肺 胞 低 換 気( 図 6 ) 肺胞低換気は肺胞内へ空気が 出入りしないために酸素化が障 害 さ れ る 病 態 で あ る。 肺 胞 低 換 気は呼吸運動が障害されるさま ざ ま な 病 態 か ら 生 じ、 中 枢 神 経 障 害、 オ ピ オ イ ド な ど の 薬 物、 神 経 筋 疾 患、 気 道 閉 塞 や 狭 窄、 呼 吸 筋 疲 労、 胸 郭 の 異 常 な ど が 原 因 と な る。 す べ て の 呼 吸 不 全 は究極的には低換気にたどり着 く可能性がある。 として症状に合わせて気管支拡 張薬をベースに吸入薬で治療を 行 う。 増 悪 と は C O P D 患 者 に お い て 息 切 れ の 増 加、 咳 や 喀 痰 の 増 加、 胸 部 不 快 感・ 違 和 感 の 出 現 あ る い は 増 強 な ど を 認 め、 安定期の治療の変更あるいは追 加 が 必 要 に な る 状 態 と さ れ る。 増悪の多くの原因は気道感染で あ り、 抗 菌 薬、 気 管 支 拡 張 薬、 ステロイドの全身投与が基本治 療 と な る。 呼 吸 不 全 合 併 時 や 背 景を考慮しながら入院適応を検 討 す る( 図 )。 図1 呼吸器系救急疾患 呼 吸 器 系 救 急 疾 患 に は、 お お まかに①気管支喘息発作②肺 炎 ③ 嚥 下 性 肺 炎( 誤 嚥 性 肺 炎 、 症 候 群 )④ C O P D Mendelson の急性増悪⑤CO2ナルコーシ ス⑥肺水腫⑦肺血栓塞栓症⑧気 胸⑨無気肺があげられると思 う。 である 今 回 は common disease ①④について解説したい。 気管支喘息発作 典 型 例 で は 発 作 性 の 喘 鳴 、咳 、 呼吸困難を主訴として来院さ れ、 心 不 全、 C O P D 急 性 増 悪 と 鑑 別 を 要 す る。 要 領 の よ い 問 診 を 行 い( 図 7 )、 症 状 か ら 気 管 支 喘 息 発 作 と 診 断 し、 発 作 の 強 度 に よ っ て 初 期 治 療 を 行 う( 図 8 、9 )。 発 作 の 強 度 で 重 要 視 さ れていることは呼吸困難の程度 で あ り、 苦 し く て 横 に な れ な い 程度であった場合入院加療を検 討すべきである。 またアスピリン喘息が疑われ る 場 合 は メ チ ル プ レ ド ニ ゾ ロ ン、 水溶性プレドニゾロンなどコハ ク酸含有薬剤の使用は避ける。 COPD急性増悪 C O P D と は、 タ バ コ 煙 を 主 とする有害物質を長期に吸入曝 露することで生じた肺の炎症性 疾 患 で あ る。 安 定 期 の 薬 物 療 法 図2 濱口 直彦 ① 換 気 血 流 比 不 均 等( V / Q ミ ス マ ッ チ )② シ ャ ン ト ③ 拡 散 障 害、 換 気 に 問 題 が あ っ て 起 こ る 呼吸器内科副部長 ④肺胞低換気がある。 ① V / Q ミ ス マ ッ チ( 図 3 ) V / Q ミ ス マ ッ チ は 、 lowV/Q 液 ガ ス 分 析 に て PaO2 6 0Torr と highV/Q の2方向のミスマッ の 状 態 を 呼 吸 不 全 と し、 二 酸 化 チ が あ る。 同 一 患 者 肺 に お い て 炭 素 の 値 に よ り Ⅰ 型、 Ⅱ 型 に 分 の も そ の 領 域 に よ っ て highV/Q 類 さ れ、 呼 吸 不 全 の 持 続 状 態 に の部分が混在し 部 分 と lowV/Q よって急性と慢性に区分される は 換 気( V ) て い る 。 H ighV/Q ( 図 2 )。 に 対 し て 血 流( Q )が 相 対 的 に 少 救急の場で呼吸器疾患に伴う な い 状 態 で あ り、 究 極 的 に は 死 理学的所見、画像所見 はじめに 腔 換 気 に 行 き 着 く。 典 型 的 に は 肺塞栓症により血流が途絶えた 呼 吸 困 難 と は“ 呼 吸 時 の 不 快 救 急の場においては、最 終 病因 な 感 覚 ”と い う 主 観 的 な 症 状 で 領 域、 肺 気 腫 に よ り 肺 胞 の 毛 細 診断より病態診断や生理学的診断 あ り、 低 酸 素 血 症 で 定 義 さ れ 血管が破壊された領域がそれに を優 先し、緊 急度の高いものから る呼吸不全とは異なるものであ は血流に対し あ た る 。 LowV/Q 対症的に治療を開始することが望 る。 て換気が相対的に少ない状態で まれる。 あ り、 究 極 的 に は シ ャ ン ト に 行 本日はまずは呼吸困難と呼吸 よって効率よく呼吸器疾患に 不 全 の 違 い、 つ ぎ に 呼 吸 不 全 の き 着 く( 図 4 )。 肺 胞 内 が 水 、 血 伴う身体所見をとる必要があ 4 つ の 病 態、 最 後 に 呼 吸 器 系 救 液、 膿、 浸 出 液 な ど 空 気 以 外 の る 。 視 診 で は 姿 勢( 臥 位 に な れ 急 疾 患 で あ る 気 管 支 喘 息 発 作 、 る か )、 胸 郭 形 成 術 後 、 ビ ー ル 何 か に よ っ て 埋 め ら れ た 病 態、 COPD急性増悪について述べ つ ま り 心 不 全 、肺 胞 出 血 、肺 炎 、 樽 状 胸 ( C O P D を 示 唆 ) な ど の たいと思う。 急 性 呼 吸 促 迫 症 候 群( A R D S ) 胸 郭 変 形、 胸 郭 の 動 き の 左 右 差 などがそれにあたる。 ( 緊 張 性 気 胸 の 際 重 要 )、 呼 吸 回 呼吸困難と呼吸不全 ② シ ャ ン ト( 図 4 ) ~ 回 / 分 )、 呼 数( 正 常 は 気 の 延 長、 チ ア ノ ー ゼ、 頸 静 脈 シ ャ ン ト は、 血 流 は あ る が 換 気 が 全 く な い 状 態 で あ る。 心 不 怒 張、 ば ち 指、 触 診 で は 皮 下 気 全、 A R D S、 無 気 肺 の よ う 腫 の 有 無、 腫 瘤 の 有 無、 リ ン パ の状態が悪化して に LowV/Q 節 腫 大 の 有 無 、打 診 で は 鼓 音( 過 完全に肺胞の含気がなくなった 膨 張 や 気 胸 )、 濁 音( 胸 水 )な ど )と 肺 動 静 場 合( capillary shunt でスクリーニングを行う。 脈瘻や肺動脈圧上昇時における 画 像 診 断 も 重 要 で あ り、 胸 部 卵 円 孔 開 大 な ど、 も と も と 解 剖 レ ン ト ゲ ン 写 真 で の 気 胸、 無 気 学的に右左シャントがある場合 肺、 胸 水、 心 拡 大、 肺 炎 像、 心 エ コ ー 検 査 で の 心 機 能 評 価 な ど ( 解 剖 学 的 シ ャ ン ト anatomical )と が あ る 。 多 少 な り と も は病態を把握するうえで有用な shunt と、 全 く 換 換 気 が あ る LowV/Q 情報を与えてくれる。 気のないシャントでは酸素化能 呼吸不全の4つの病態 に 大 き な 差 が あ る た め、 シ ャ ン と分けて独立した ト を lowV/Q 疾患名と呼吸不全の生理学的 病態としてみることが一般的で 原 因 は 1 対 1 対 応 で は な く、 動 脈 血 液 ガ ス 分 析、 理 学 的 所 見、 ある。 ③ 拡 散 障 害( 図 5 ) 画像所見から呼吸不全にもっと も関与している病態が何かを考 拡散障害は典型的には間質性 肺炎の時のように肺胞の空気と えることが重要である。 毛細血管を隔てる間質が厚く ( 浮 腫 で も よ い )な っ た 場 合 に 起 2月26日 10 呼吸困難とは先にも述べた が、 主 観 的 な 症 状 で あ る。 そ の 評価方法には直接患者さんが評 価 す る Borg ス ケ ー ル( 点 ス ケ ー ル )、 V A S( Visual analog )、 間 接 的 に 医 療 従 事 者 が scale ( 図 1 )が あ 評 価 す る MRC scale がよ る 。世 界 的 に は MRC scale く 使 わ れ て い る が、 そ の 特 徴 は 運 動 能 力 の 違 い に よ っ て Grade 分 け さ れ て い る と こ ろ で あ る。 呼吸困難はCOPDにおいて予 後規定因子のひとつとされてお りその評価は重要である。 一 方 呼 吸 不 全 は“ 呼 吸 の 換 気 能および/またはガス交換が器 質的にまたは機能的に障害さ れ、 動 脈 血 の 酸 素 と 二 酸 化 炭 素 またはそれらの両者が正常範囲 を 逸 脱 し、 そ の た め に 生 体 が 正 常 な 機 能 を な し え な い 状 態 ”と 定 義 さ れ る。 具 体 的 に は 動 脈 血 第10回 10 06 図6 図5 図 10 図9 図8 当院第一会議室 19 時~ 20 時 副院長(第一産婦人科部長) 横山 幹文 ~より低侵襲な手術を目指して~ 第二内科部長 近藤しおり 第1回 4月 23 日(木) 早期子宮体癌に対する腹腔鏡下根治術 第2回 5月 28 日 (木) 糖尿病:最新の薬物治療 謙作 『Work in progress 2015 ~各科の取り組み~』 年間テーマ 呼吸困難 10 ができる反面、一度癒 着を行う と手術を行うのが非常に困難に なるため、若年者の自 然気胸に は用いるべきではありません。 前 述 い た し ま し た が、 自 然 気 胸で入院される方の多くは青年 であり、学校や就業の ため長期 間 の 入 院 が 困 難 で す 。当 院 で は 、 症状や病状だけでなく患者さん の社会的な事情を十分に考慮し ながら治療を行うことを心がけ ています。 イブニングセミナー開催のご案内 平成 27年度 呼吸器外科医師 伊 藤 「 緊 張 性 気 胸 」を 発 症 す る こ と が あ り ま す。 命 に 関 わ る 病 態 で す の で、 緊 急 処 置 が 必 要 に な り ま す。 診断は主に胸部レントゲン検 査 で 行 い ま す。 軽 度 気 胸 で あ れ ば 外 来 で 経 過 観 察、 中 等 度 以 上 の 気 胸 で あ れ ば 緊 急 入 院 し、 脱 気 す る た め の ビ ニ ー ル 管( 胸 腔 ド レ ー ン )を 側 胸 部 に 留 置 し ま す。 肺 を 再 膨 張 さ せ た の ち に 空 気漏れを評価し方針を決めま す。 胸 腔 ド レ ー ン の み で 自 然 治 癒が見込めないような重症例で は、 手 術 や 胸 膜 癒 着 術 な ど の 侵 襲 的 治 療 が 必 要 に な り ま す。 軽 度気胸でもこれまで気胸を繰り 返 し て き た り、 受 験・ 就 職 活 動 を控えているなどの社会的理由 などで手術を積極的に検討する こ と も あ り ま す。 緊 急 入 院 後 保 存 的 治 療 だ け で 退 院 し た の ち、 夏休みなどの長期休暇中に待機 的に手術を受けることもできま す。 手 術 は、 肺 尖 部 に 小 さ な 肺 嚢 胞があるような典型的な自然気 胸 の 場 合 は、 側 胸 部 に 3 つ の 小 さ な 孔 を 開 け、 完 全 に 胸 腔 鏡 の 視 野 下 で 原 因 部 分 を 切 除 す る、 胸腔鏡下肺嚢胞切除術を行いま す 。完 全 鏡 視 下 で は 困 難 な 症 例 、 た と え ば 巨 大 肺 嚢 胞 や、 高 度 の 癒 着 が 見 ら れ る 例 な ど で は、 ㎝程 度 の 創 を 側 胸 部 に あ 5 け、 胸 腔 鏡 の 視 野 と 直 視 野 を 併 用 し な が ら 行 う、 胸 腔 鏡 補 助 下 手術を行います。 手術リスクが高い高齢者など で は、 手 術 を 行 わ ず に 薬 剤 を 胸 腔 内 に 注 入 し て 行 う「 胸 膜 癒 着 術 」を 行 う こ と も あ り ま す 。 胸 膜癒着術は手術を行わずに治療 − 第10回 2月26日 20 呼吸困難を主訴として呼吸器 外科で診察する代表的な疾患で ある気胸についてお話いたしま す。 気胸とは胸腔内に空気が溜ま り、肺が虚脱してしまう病気で す。 代 表 的 な の は 自 然 気 胸 で、 肺 の 表 面 の 膜( 胸 膜 )の 一 部 が 薄 くなると、そこに圧がかかって 風船ガムのように膨らんでいき ま す( 肺 嚢 胞 )。 や が て 肺 嚢 胞 が 破 綻 す る と 、空 気 漏 れ を 起 こ し 、 胸腔内に空気が溜まって肺が虚 脱してしまいます。 代の若い 男性に多くみられますが、これ まで病気をしたことがないよう な健康な方が多く、突然入院す る事態になり皆さん驚いたり不 安がられたりされます。若年者 の自然気胸のほかにも、タバコ による肺気腫に合併する高齢者 の 気 胸 や、 肺 癌・ 肺 感 染 症 に 合 併する気胸、外傷による気胸な ど、様々な原因で気胸が起こり ます。 症 状 は 主 に 胸 痛、 咳 発 作、 呼 吸困難などです。自然気胸は軽 度の場合自然軽快することが多 い た め、 知 ら な い う ち に 発 症 して知らないうちに治癒すると いうことを繰り返すことが多い で す。 そ の 他、 自 覚 症 状 が な く 検診の胸部レントゲンで指摘さ れて受診する方もいらっしゃい ます。気胸が進行し胸腔内に溜 まった空気の圧が高まってくる と、心臓を正常肺側へ圧迫する 07 図7 外来診療担当医表 診療科目 月 火 水 木 金 吉田健志 関谷健佑 近藤美佳 久志本和郎 山崎仁志 (上田陽子) (池田祐一) (藤 﨑) (上 田) (岡 田) 近藤しおり 近 藤 近 藤 近 藤 糖尿病 1 診 岡田貴典 羽 立 岡 田 羽 立 羽 立 内分泌 2 診 羽立登志美 総合内科 内 科 高 血 圧 1 診 血 液 2 診 藤﨑智明 德山貴人 齋藤統之 福岡富和 福 岡 福 岡 福岡(午前のみ) 上 田 德 山 波呂 卓 池 田 藤 﨑 齋 藤 波 呂 坂本愛子 糖 尿 病 教 室 毎週水曜日 10:00〜12:00(糖尿病チーム) 肝 胆 膵 セ ンター 午 前 午 後 来 門 午 後 藏 原 長末智寛 藏 原 久能宣昭 原 田 八 板 亀 田 岩﨑一秀 田中貴英 炎症性腸疾患 原 田 長 末 亀田昌司 久 能 長 末 久保俊彦 新富将央 秋山雄介 呼吸器内科 牧野英記 濱口直彦 梶原浩太郎 院外新患 兼松貴則 盛 重 久 保 小 児 科 神経内科 脳卒中・ 脳 神 経 センター 産婦人科 歯 科 口腔外科 外 科 乳腺外科 原田篤実 上村太朗 池添浩二 岩永育貴 午 後 午 前 神 経 血管外科 臨床腫瘍科 小児外科 整形外科 リハビリテーション 科 リウ マ チ 膠 原 病 セ ンター 久 能 泌尿器科 新 富 久保・手束美香 松 坂 耳鼻咽喉科 兼 松 加藤高英 濱 口 梶 原 牧 野 兼 松 牧 野 兼 松 梶 原 濱 口 濱 口 牧 野 加 藤 梶 原 横山秀樹 伊 藤 横 山 河野幹寛 上 村 岡 英明 池 添 有田行正 池 添 有 田 池 添 池 添 岩 永 中野広輔 河 本 妹 尾 眞 庭 赤澤宗俊 脇 本 横山幹文 瓦 林 梶 原 妹 尾 妹 尾 科 形成外科 原 田 眞 庭 眼 皮 膚 科 もの忘れ外来 もの忘れ外来 眞庭 聡 前 午 前 午 後 火 水 午 後 野口伸一 野 口 内 科 午 前 田口浩之 田 口 水 木 鎌田一億 手 術 水 木 鎌 田 吉田健志・大西佐知子 (隔週交替) 押領司 押領司 藤 井 田 丁 矢 野 水木伸一 リ ウ マ チ 科 押領司健介 藤井元廣 田丁貴俊 矢野 明 後 予約検査 午 後 検査 (透視) 中 野 高杉篤志 赤 澤 本 田 横 山 児玉俊夫 山本康明 山西茂喜 水戸 毅 山本万由美 水 戸 鳥山浩二 池川泰民 児 玉 山 西 水 戸 手 術 水 戸 午 後 池 川 鳥 山 ※火・木曜日は、 予約患者、 連携紹介のみ診察いたします。 麻 酔 科 心療内科 ・精神科 南 満芳 南 緋田哲也 庄野佳孝 庄 野 手 術 山崎裕行 山 崎 ※水曜日は手術日につき外来診療はありません。 安部俊吾 検査 (透視) 手 術 児 玉 依光明生 山 西 山本(康) 鳥 山 山 西 山本(康) 鳥 山 内 科 肝胆膵センター 消 小 化 器 児 内 科 科 放 腎 射 臓 血 管 外 科 整 形 外 科 耳 鼻 咽 喉 眼 皮 脳 膚 神 経 外 月 線 内 科 科 器 循 外 環 器 内 木 泌 科 火 木 木 リ ウ マ チ 科 火 木 火 木 呼 吸 器 外 科 火 科 月 科 月 科 月 火 科 月 火 水 木 水 尿 児 外 木 金 小 科 月 水 金 心 臓 血 管 外 科 月 水 科 科 金 金 金 手 術 予 約 松田 健 松 田 松 田 松 田 松 田 乳 腺 外 科( 火・水・金 ) 呼 吸 器 内 科 放 射 線 治 療 浦島雄介 浦 島 浦 島 浦 島 浦 島 麻 酔 科( 月・ 水 ・ 金 ) 神経内科(もの忘れ外来は救急日を除く) 口 腔 外 科 寺門永顕 寺 門 寺 門 寺 門 寺 門 形 成 外 科(月・火・木・金 ) 産 歯 科 兵頭正秀 兵 頭 兵 頭 兵 頭 兵 頭 歯科・口腔外科 浜川知大 浜 川 浜 川 浜 川 浜 川 川 口 安 部 火 村 田 川口 (再診) 南 庄 野 山 崎 午後₃時まで受付可能な診療科(曜日限定) 村 田 高 橋 財津瑛子 南 庄 野 山 崎 午後₃時まで受付可能な診療科(毎日) 手 術 ※ 歯科口腔外科:紹介状をお持ちの患者さんのみ診察いたします。 藤中良彦 副島雄二 高橋郁雄 西㟢 隆 午 前 中西良太 梶原勇一郎 本村貴志 藤 中 戸島剛男 手 術 紹介状のある患者さんに係る診療受付時間(土曜・日曜・祝日・創立記念日(5月1日)を除く) 村 田 川 口 田 丁 ※当面の間、 外来診療については休診いたします。 村 田 外来手術 横 田 吉田健志 安部(午前のみ) 手 術 川 口 手 術 前 手 術 ストーマ外来 鎌 田 予約検査 村田繁利 川口英俊 (再診) 田 口 第1・3 ストーマ外来 ※月・水・金曜日は手術日につき、 上記の診療担当医が変更することがあります。 八幡隆史 篠森裕介 篠 森 担当医 担当医 田口亜紀 田 口 八 幡 午 前 有友 宏 八 幡 有 友 手 術 手 術 手 術 午 患 前 野 口 中城二郎 (股) 野田慎之 (脊) 梶原了治 (手) 中城 (股) 野田(脊) (膝) 梶原(手) 大前博路 (肩) 大田 亮 (脊) 大前(肩) 中佐智幸 大田 江口明生 岩田雅史 中佐(足) (脊) (膝) 江口(膝) 國﨑 篤 德本真矢 ※(手) :手の外科、 (脊) :脊椎外科、 (膝) :膝関節外科、 (肩) :肩関節外科、 (股) :股関節外科 新 後 白 石 緩和ケア外来 後 午 金 白 石 白石 猛 午 午 木 山岡 (新患) 森 﨑 岩 佐 ※緩和ケア外来は、毎週水曜日14:00~17:00(完全予約制:原則として1日最大3名まで) 午 気管支ファイバー 原 田 福嶋遥佑 石井榮一 循環器 (第 1・3・5)(第 1・3 午後) 米澤早知子 ・血 液 (第 2・4 午後) 脇本尚子 河本裕子 前 瓦林靖広 梶原涼子 妹尾大作 本田直利 午 H27.4.1現在 ※水•金曜日は新患(外来) のみの診療となります。 ※ もの忘れ外来:完全予約制(1日最大 2 名) 、紹介状をお持ちの患者さんのみ診察いたします。 梶原佳則 梶 原 手 術 武 智 武智昭彦 脳 神 経 外 科 瀬山 剛 渡 邊 渡邊陽祐 瀬 山 ※ 木曜日は手術日につき担当医での診察になります。 近藤陽一 髙岩正典 鈴 木 髙 岩 近 藤 村田慧/吉田安友子 鈴木由香 津下 充 片岡優子 上田晃三 宮脇零士 西㟢眞理 森本大作 午 放射線科 午 前 月 山岡輝年 (再診) 森﨑浩一 岩佐憲臣 梅 末 伊藤謙作 呼 吸 器 外 科 松坂英徳 小 河 石北陽仁 検 査 ・ 手 術 手 術 気管支ファイバー 手 術 ※ 呼吸器内科:紹介状をお持ちの患者さんのみ診察いたします。 腎臓内科 診療科目 小腸大腸内視鏡検査および内視鏡治療 小河清寛 盛重邦雄 佐田政司 梅末正芳 院内新患 田 中 http://w w w .mats uy ama.jr c .o r.jp / 上部消化管内視鏡検査および造影検査 午 後 午 前 (予約・緊急のみ) (予約・緊急のみ) 上 甲 横 田 眞 柴 上 甲 横 田 眞 柴 藏 原 原田 英 午 午 横 田 矢野 誠 丹下和洋 丹 下 藏 原 新患兼予約 患 前 後 武 智 越 智 田中孝明 田 中 八板弘樹 炎症性腸疾患 新 上 甲 横田智行 越智裕紀 上 甲 越 智 藏原晃一 午 前 予 約 検査部門 循 環 器 内 科 心 外 呼 吸 器 センター 部 循 環 器 センター 午 前 外 胃 腸 セ ンター (消化器内科) 新 患 兼 院外紹介 再診予約兼 院内紹介 上甲康二 眞柴寿枝 武智俊治 武 智 最新情報はホームページ上で随時更新しております。 注:いずれの診療科も緊急を要し地域医療連携室を通した患者さんに限ります。 緊急を要しない患者さんの受付は午前 11 時までとなります。 午前11時までの診療科 婦 人 歯 科 口 腔 外 科 科 注:いずれの診療科も地域医療連携室を通した患者さんに限ります。 診療の 予約に ついて 再診の場合:全科予約制となっております。 初診の場合:小児科・産婦人科のみ電話による予約制をとっております。 ※予約受付時間 午後2時〜4時(時間厳守願います。) ・小 児 科 外来 TEL 089−926−9884(直通) ・産婦人科 外来 TEL 089−926−9885(直通) ※各診療日の担当医師につきましては、学会等により代診、休診とさせていただく場合がございますのでご了承ください。なお休診日につきましてはホームページでご確認いただけます。 松山赤十字病院登録医制度について 平成27年4月1日現在、当院の登録施設は358施設、登録医は530名です。 (089)926−9516 今後も随時、受付けておりますので当院「地域医療連携室」までお問い合わせください。 TEL FA X による受診予約について 地域医療連携室では、従来より地域のかかりつけ医の先生方からFAXによる紹介患者さんの受診予約を承っております。これにより紹介患者さんを 来院日に受診される診療科へ直接ご案内することが可能になります。 是非、FAXによる受診予約をご利用いただきますようお願い申し上げます。 FAX( 0 8 9 )9 2 6 ー 9 5 4 7(24時間受付) TEL( 0 8 9 )9 2 6 ー 9 5 2 7(平日8:30〜17:10) ※17:10 以降にいただいたFAXにつきましては、翌日のお返事とさせていただきます。 08
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