食事 より なぜ今栄養が 注目されているか 薬 食べるは生きること。 栄養の問題は、 筋力や活力が低下した状態である 「 フレイル 」の概念の中でも注目され、 新しい取り組みも始まっています。 栄養にも専門職はいるけれど、 どう食べてもらうかは介護の出番。 「 薬より食事で元気に 」を目指しませんか。 って大事 ! 栄 養 特集 80 代、要介護 3の男性を担当するケアマネ ジャーの Tさん。往診に同行したとき、主治医 が言った言葉にどきっとした。 「薬を飲むより、ご飯をしっかり食べてくれたほ うがうれしいんだけどねえ」。 状態が悪いのは病気のせいだと思い込んで 厚生労働省の調査によると、低栄養傾向にあ る人は、65歳以上で14.8%、85歳以上で29.6% いた Tさんだったが、よく考えると食事のことは というデータが出ている( 図1 )。85歳以上に限 盲点だった。食べているとは聞いているけれど、 何をどれくらい、どのように食べているのかはあ ると、約 3 人に1 人が低栄養傾向という計算だ。 いまいだ。Tさんは、慌ててヘルパーに連絡、 食事状況の確認を行った ―。 また現在、在宅で介護を受ける高齢者のうち、 「 低栄養状態 」または「 低栄養になる恐れ 」の ある人は65%で、全体の6 割以上が該当する ( 図 2 )。 「 一番の楽しみは食べること」という高齢者は多 医療との連携が大事と言われ、病気や薬のことに関心を 持つケアマネジャーは増えてきた。でも実は食事のことは、 い。魚や肉、大豆、乳製品、野菜などをバランスよくとり、 意外とあやふやということもあるのではないだろうか。 低栄養にならないための食生活を送ることが重要だ。 ざっくり「 食事 」と言うけれど、どんなものをどれくらい食 一方で、そうは言っても… という気持ちになるケアマネ べているのか、栄養は偏っていないか、そもそも台所に立 ジャーもいるかもしれない。栄養や口腔関連のサービスを つことはできているのか、調味料を入れた棚や電子レンジ 利用したくても、そもそもサービス提供事業者が少ない、訪 には手が届くのか、 イメージはできているだろうか。また、配 問してくれる管理栄養士がいない、利用者や家族の理解 食サービスを使っていても、安心と一概には言えない。本 が得られない等々。 当に完食できているのか、食べこぼしはないか、固さは適 こうした中、栄養改善への取り組みがさまざまな形で強 正か …。食事内容だけでなく、台所や食卓環境にまで視 化されようとしている。そのキーワードの一つが「フレイル」 野を広げると、見直すポイントはいろいろありそうだ。 だ。 図 1 低栄養傾向の高齢者の割合 ( 参考 ) 「 健康日本21( 第2次 ) 」の目標 低栄養傾向 ( B M I 20 以下 )の高齢者の割合の増加の 抑制 目標値:22% (%) 50 40 29.6 30 20 16.8 14.8 15.2 16.8 17.2 総数 65~69歳 70~74歳 75~79歳 80~84歳 図 2 在宅介護を受ける高齢者の 低栄養傾向の割合 低栄養状態 になる恐れ 52 % 低栄養状態 13 % 10 0 (2,349) (698) (659) (511) (302) 85歳以上 (179) 出典:厚生労働省「 平成 25 年度 国民健康・栄養調査結果の概要 」より 6 月刊ケアマネジメント 2016.2 栄養状態良好 35 % 資料:厚生労働省補助事業による長寿科学研究班調べ 月刊ケアマネジメント 2016.2 7
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