緑色植物再分化率の向上 - 新潟県農業総合研究所

単年度試験研究成績
課題の分類:
(作成 11 年1月)
北陸農業
生物工学
−
稲類−4
研究課題名: 水稲新品種育成のための花粉培養法の確立
1 単離花粉の培養法の確立
2)緑色植物再分化率の向上
予算区分:県単・特別
担当研究室:新潟農総研 バイオ研究部
研究期間:継 平成 10 年度(平8∼12年度)
担当者:星洋介
協力・分担関係:
1 目的
単離花粉からのカルス誘導は、培養前の花粉に対し 10℃で 30 日程度の低温処理が必須であり、
葯培養と比較して約 3 倍の低温処理期間になる。この長期間の低温処理がアルビノ植物の増加の要
因と考えられる。昨年の結果で、葯を前培養することにより 10 日間の低温処理でもカルスを誘導
することが可能であった。このことから、低温処理期間を葯の前培養により短縮し、緑色植物再分
化率の向上を図り、葯培養との比較を行った。
2 方法
供試材料 新潟 46 号/北陸 180 号の F1
低温処理・前培養期間の設定
低温処理条件
前培養
温度
期間
前培養+花粉培養
花粉
10℃
10 日
5日
比)花粉培養
花粉
10℃
31 日
−
比)葯培養
葯
10℃
10 日
−
前培養方法 滅菌した純水に葯を浮遊させ、25℃薄暗下で培養した。
葯培養方法 DKN培地を基本培地にして三段階法で行った。
花粉培養方法 単離した花粉をDKN5mM ショ糖 0.2M マンニトール培地 5mlに 7.5×104/ml の密度で懸
濁し、暗黒下で静置してカルス誘導を行った。再分化培養は、葯培養と同様に行っ
た。
材料
3 結果の概要
(1) 前培養を行った花粉培養のカルス形成率は、葯培養と同程度であった(表 1)。
(2) 前培養を行った花粉培養のカルス当り緑色植物再分化率は、従来の花粉培養に比べ顕著に向
上し、葯培養と同程度となった(図 1)。
(3) 花粉培養におけるアルビノ植物の割合は、前培養を行い、低温処理期間を短縮することで低
減できた(図 2)。
表1 各培養法の培養結果
培養
誘導
花粉当りの
1)
花粉数
カルス数
カルス形成率
前培養+花粉培養 1,500,000
741
0.049
比)花粉培養
525,000
478
0.091
1,000,000
比)葯培養
435
0.044 2)
培養法
再分化植物数
緑色 アルビノ 計
169
239
408
60
136
196
(500葯)
101
110
211
1)再分化培地に移植したカルス数で示した
2)一葯に含まれる花粉数を 2000 個と仮定し、置床葯数を花粉数に換算したのち、誘導カルス数/換算
花粉数(%)より算出した。
カルス当り緑色植物再分化率(%)
25.0
20.0
15.0
10.0
5.0
0.0
前培養+花粉培養
花粉培養
葯培養
図1 各培養法におけるカルス当り緑色植物再分化率
アルビノ植物率(%)
70.0
60.0
50.0
40.0
前培養+花粉培養
花粉培養
葯培養1
図2 各培養法におけるアルビノ植物率
注)アルビノ植物率は、アルビノ植物数/全再分化植物数(%)より算出した。
4 今後の問題点と次年度以降の計画
5 結果の発表・活用等