人工活性汚泥の育 - HUSCAP - 北海道大学

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低温下における廃水処理の微生物学的研究 : (第2報
)人工活性汚泥の育成と澱粉廃水処理能
渡部, 宏臣; 吉田, 忠; 高尾, 彰一
北海道大学農学部邦文紀要, 11(1): 95-101
1978-07-28
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http://hdl.handle.net/2115/11906
Right
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bulletin
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11(1)_p95-101.pdf
Instructions for use
Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP
低温下における廃水処理の微生物学的研究
(
第 2報) 人 工 活 性 汚 泥 の 育 成 と 澱 粉 廃 水 処 理 能
渡部宏臣*・吉田
忠・高尾彰一
(北海道大学農学部農芸化学科応用菌学講座)
(昭和 52年 8月 22日受理)
Microbiological Studies on Waste Water Treatment
at Low-temperature
(
I
I
) Development of a
r
t
i五c
i
a
l activated sludge and i
t
s
a
b
i
l
i
t
yt
ot
r
e
a
t potato starch waste water
HiroomiW ATABE*,Tadashi YOSHIDA and ShoichiTAKAO
(
L
a
b
o
r
a
t
o
r
yo
fAppliedMicrobiology
,F
a
c
u
l
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fA
g
r
i
c
u
l
t
u
r
e,
HokkaidoU
n
i
v
e
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s
i
t
y
,Sapporo,J
a
p
a
n
)
緒
実験材料および方法
言
1
. フロック形成試験
寒冷地における各種廃水の微生物的処理法を確立する
1
) 使用菌株
基礎として,まず,低温における澱粉廃水処理をとり上
げ,前報 10)では活性汚泥を低温 (
1
3C)で澱粉廃水に恩1
0
低温 (
1
3C) で澱粉廃水に馴養した活性汚泥から純粋
0
養した上,慰1養前後における活性汚泥中の微生物相の変
分離した T
.cutanum3
6株と Achromobacteraceae
化 か ら , 酵 母 の 1種 T
richo
φoroncutaneumがこの
科を含む細菌 6属 6
9株について,フロック形成試験を
種の廃水処理に重要な役割を果たし得ること,この酵母
行った。
を中心とし
Achromobacteraceae科の細菌とともに
2
) 試験用培地
Table1に示す 3種を用いた。
活性汚泥を育成すれば効果的であることを推測した。そ
.
こでつぎに,馴養後の活性汚泥から純粋分離した T
3
) 試験方法
cutaneumおよび数種の細菌の中から,フロック形成能
培地 20mOを入れて滅菌した大型試験管に,各菌株の
5c
斜面培養から約 1
0
e
l
l
s
/
m
Oとなるように接種し, 27C
0
の高い菌株を選択し,これを用いて人工活性汚泥の育成
をはかり,低温における澱粉廃水処理の可能性を検討し
で 2~4 日間振滋培養した後,フロック形成の有無を肉
たので,それらの結果を報告する。
眼的に観察した
Table 1
.
Medium
Mediaf
o
rf
l
o
cformationt
e
s
t
Component
PYE6)
e
a
s
te
x
t
r
a
c
t0
.
1%
, pH7
.
2
Polypeptone0.5%,y
PME2)
Polypeptone0
.
1%
, meate
x
t
r
a
c
t0
.
0
5
1
0,K2
HP04 0
.
1
1
0,K H
P04 0.05%,pH7
.
0
2
PGY9)
Polypeptone0
.
1%
, g
l
u
c
o
s
e0.5%, y
e
a
s
te
x
t
r
a
c
t0.1%,pH7
.
0
*現勤務先
明治製薬株式会社中央研究所
C
e
n
t
r
a
lResearchL
a
b
o
r
a
t
o
r
i
e
s,M
e
i
j
iS
e
i
k
aKaishaL
t
d
.,Yokohama,Japan
9
5
9
6
第1
1巻 第 l号
北海道大学農学部邦文紀要
0
槽内の温度を低温 (
1
3C)に下げ,さらに慰1養を続けた。
2 人工活性汚泥の育成
3
) 人ヱ活性汚泥の微生物相
1
) 使用菌株
前項 1の試験においてフロック形成能の良かった T
.
育成期間中における人工活性汚泥の微生物相は,前
cutaneumI
I
lおよび Achromobacters
p
.I
I
5
5株を
報 10) と同様,酵母および細菌について稀釈平板培養を行
用いた。
r
i
c
h
o
ゅoron の生菌数は,平板
い生菌数を測定した。 T
2
) 菌体培養および活性汚泥の育成
上のコロニーの外観と直接検鏡により判別し計測した。
前項 1において用いた培地のうち PYE培地を細菌用
また,同時に顕微鏡による汚泥フロックの観察も行った。
に
, PGY培地を酵母用とし, 27C,4日間振重量培養後,
0
0
集菌 (
1
2
,
000xg,10分
, 5C)し,滅菌水による洗糠を 2
4
) 澱粉廃水処理能
人工活性汚泥による澱粉廃水処理効果は,前報 10) と同
様に過マンガン酸カリによる
回行った後,これを活性汚泥の種菌とした。
人工活性汚泥の育成には,前報で用いた通気培養装置
CODを測定し, COD除
去率で示した。
,I
I,I
I
I各槽
を 3組用意し, Table2に示すように, 1
に種菌を添加し,
結果および考察
これに澱粉廃水を加えて総量 2
Cとし
通気した。
I フロック形成試験
菌体添加量は T
.cutaneumは 106cells/mC,Achrop
.は 1
07c
e
l
l
s
/
m
C程度の生菌数とした。
mobacters
澱粉廃水としては馬鈴薯の搾汁を静置沈澱した上澄液
を用い,育成中の廃水添加量は,はじめ
フロック形成試験の結果を Table3に示した。供試
.cutaneum3
6株は,用いた培地のいずれにお
した T
COD値 200
いてもよくフロックを形成し,この酵母が高いフロック
9種のうち,
形試能を有することがわかった。細菌 6属 6
Flavobacterium ~こ属するものは全くフロックを形成せ
ppmとし,次第に 400ppmにまで増加した。
育成は,まず室温 (
2
40C)で行い,活性汚泥の充分な
ず ,A
l
c
a
l
i
g
e
n
e
sの形成能も低かった。 Pseudomonas
,
発育が認められた後,通気を一旦停止し,汚泥を沈降さ
Arthrobacter
,B
a
c
i
l
l
u
s3属の細菌には,フロックを形
せて上澄液を捨て,再び澱粉廃水を加えて通気,馴養を
成するものも認められたが,培地の種類によって形成し
0日後に
続けた。この操作を毎日くり返し,育成開始 6
ない場合もあり,これらのフロック形成能は安定なもの
とはいえな L、。これらに対して , Achromobacter属菌
Table 2
. Microorganismsusedf
o
ra
r
t
i
f
i
c
i
a
l
a
c
t
i
v
a
t
e
d sludge
BatchNo.
は 35株のうち 4株がいす.れの培地でもフロックをよく
形成した。
Microorganisms
T
.cutaneum3
6株および Achromobacter4株につ
Tricho
φoron cutanω m (
1
0
6c
e
l
l
s
/
m
C
)
I
I
I
I
I
Achromobacters
p
.
(
1
07c
e
l
l
s
/
m
C
)
T
.cutaneumandAchromobacters
p
.
Table 3
.
いては,さらに,さきの 3種の培地 (50mC)による 500
m C容坂口フラスコを用いた振渥培養でも試験したが,
いずれの培地でもフロックをよく形成した。
したがっ
T
. cutaneum お よ び
てフロック形成の点からは
Floc formation t
e
s
t
.
Floc-forming s
t
r
a
i
n
s
Microorganisms
Tested s
t
r
a
i
n
s
PYE
PME
PGY
一 一 一 一 一 一
Yeast
Tηc
ho
ゆo
roncutaneum
36
36
36
Pseudomonas
2
1
1
1
A
l
c
a
l
i
g
e
n
e
s
8
1
1
O
Achromobacter
35
1
0
9
6
Flavobacterium
10
。
O
O
A
r
t
h
r
o
b
a
c
t
e
r
10
1
2
6
4
2
2
l
36
B
a
c
t
e
r
i
a
B
a
c
i
l
l
u
s
渡部・吉田・高尾・
F
i
g
.1
.
低獄下における廃水処理の微生物学的研究
Activated s
l
u
d
g
ef
l
o
cdeveloped from T門 c
h
o
φoroncutaneum.
F
i
g
.2
.
Activated s
l
u
d
g
e丑ocdevelopedfromAchromobacters
p
.
97
9
8
第1
1巻
北海道大学農学部邦文紀要
Achrornobacter属 4株の利用が可能と考えられた。
T
. cutaneurn に つ い て は
第 1号
ながら通気し,まず室温で、活性汚泥の育成をはかったが
BECKER ら3) お よ び
音養槽でも 1
0日前後の育成で容易に活性汚泥
いずれの i
COOKEらめによって活性汚泥中における重要性が指摘
フロックの形成が認められた。これらのフロックを顕微
されているが,詳細な研究は全く行われていない。
鏡観察したところ
T
.c
u
t
a
n
e
U
l
況を添加した培養槽 I
Achrornobacterおよびその類縁菌をフロック形成菌と
および I
I
Iの汚泥は,ほとんどが T
.cutaneum菌体の
して報告したものには, ALLENl),KIUCHIら7
),UEDA
強固な塊りを中心としていることが明らかに認められ
ら11)などがあるが,活性汚泥から分離した Zoogloω 以
(
F
i
g
.
1
), さらに, Achromobacters
p を主とした培養
外の細菌でも,長時間の通気により,有機物消費後にフ
槽Ilの汚泥においても,混入したと見られる酵母(純粋
ロッグを形成するとの McKn
州 EY ら8
)の報告もある
分離後,T
.c
u
t
a
n
e
u
r
nであることを確認)と細菌による
一方, UEDAら11)によってフロック形成良好とされた
フロックが認められた (
F
i
g
.
2
)
。 このような状態は,育
Achrornobacterρ四 t
i
f
e
rが,むしろフロック形成阻害
成期間中はもちろん,低温へと系を移したあとでもほと
菌であった 7) こともあり,定説はなし、。
んど変らず
2
. 人工活性汚混の育成
しく安定であることを示している。
T
.cutaneurnおよび Achromobacters
p
.の 培 養 菌
体をそれぞれ単独に用いた培養槽 IおよびIlと,
T
.cutaneumを中心としたフロックが著
1
) 人工活性汚泥育成中における微生物相の変化
両者
人工活性汚泥を室温で育成した 3
6日間の酵母および
を混合して用いた培養槽 I
I
Iについて,澱粉廃水を加え
細菌の生菌数変化を Fig.3に示した。
苫~
1
el
'
2
芯
u
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;1
3
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2
1
30
36
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1
1
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3
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一
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rロ鋼、ET-古U M z
1
zロ。u=EωZgBF
1
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“C υ--Eωzgシ
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3
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ds
l
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d
g
e
.
a
r
t
i
9
9
渡部・吉田・高尾: 低温下における廃水処理の微生物学的研究
Trichospor
側および細菌の生菌数はほとんど変らず,
T
.cutaneum単独使用の培養槽 Iでは,Trichosporon
の生菌数は,育成の初期に幾分減少するが, 2~3 週間で
ほぽ同じ値を保ち,育成した活性汚泥が非常に安定であ
ほぼ 1
05c
e
l
l
s
/
m
f
iの一定値となり,以後ほとんど変らな
ることカ1明ら泊ミとなっ 7
。
こ
2
) 人工活性汚泥育成中の澱粉廃水処理能
かった。また,この槽で細菌は,澱粉廃水などから自然
6cells/mfi から 2~
1
0
上記 3槽の人工活性汚泥育成中における澱粉廃水処理
9c
3日間に急激に増加して 1
0
e
l
l
s
/
m
f
iに達した後, 1
0目
能を Fig.4に示した。すなわち, 1
,I
I,I
I
I各槽につい
前後に 1
07c
e
l
l
s
/
m
f
i程度にまで減少し,以後安定すると
5日後, 60日後,および同日低温
て,室温育成 30日後, 4
いう経過を示した。
に移した直後,低温に移して 1
5日後(育成通算 7
5日
後
)
,
混入したものと恩われるが, 最初
p
. の純粋培養から育成した培養槽
Achromobacters
30日後(同 9
0日後)にそれぞれ澱粉廃水を負荷して,
e
l
l
s
/
m
f
i
I
Iで、は,細菌は培養槽 Iと同様,数日中に 1
09c
2,4,6時間後に測定した COD除去率をグラフとして
にまで増加し, 1
0目前後には 1
07c
e
l
l
s
/
m
f
i程度に下がり
ある。
室温において汚泥が充分発育し,菌数が安定した 30
以後安定した。また,この槽では,廃水などから自然混
日後,T
.cutaneumを用いた培養槽 Iでは,澱粉廃水
入したと思われる Tricho
宅
poronが,最初 1
02c
e
l
l
s
/m
f
i
e
l
l
s
/
m
f
iに達した
程度存在していたが,数日後には 1
04c
負荷 2時 間 後 に 80%,6時間後に 90%の高い COD除
後
去率を示し,充分の処理能をもっ汚泥となっていること
2週間程の間に 1
03c
e
l
l
s
/
m
f
iの安定したレベルを保
がわかったが,その後も除去能は次第に高まり, 6
0日後
つようになった。
T
.cutan印 m および Achromobactersp 両 者 を 混
には,負荷 2時 間 後 で 86%,6時間後で 92%以上に達
合して育成した培養槽 I
I
Iの場合も,上記 2槽の場合と
した。さらに,これを低温に移した場合,室温の時にく
ほぼ同じ経過を示し,数日間の変動期を経て約 2週間後
らべて廃水処理能の低下もなく,負荷 4時間後で 90%
e
l
l
s
/
m
f
i, Tricho
ゃhoronが 104c
e
l
l
s
/
には細菌が 1
07c
以上の COD除去率を示し,その後も安定した高い除去
m
f
i程度の生菌数に落着いた。
能を保った。
3
6日以後の生菌数変化を示すグラフは省略したが, 2
口
ーo
mobacters
p
. の細菌を用いた培養槽 I
Iの場合
Ad
は,菌数の安定した 3
0日後においても除去能はかなり
カ月経過後,各槽を低温に移して馴養を続けても,
~
~
7ι
/
〆三三
二"7
戸~←
7
~
~
~三
I
I
I
I
I
45
6
0
60
7
5
ど竺三
9
0
A
e
r
a
t
i
o
n term(
c
l
a
y
s
)
Fig.4.
r
t
i五c
i
a
la
c
t
i
v
a
t
e
ds
l
u
d
g
e
.
Changes o
fCODremovals bya
北海道大学長学部邦文紀要
100
第1
1巻 第 1号
低く,負荷 2時 間 後 で 64%, 6時間後でも 80%台の
有効であると判断したが,寒冷地における澱粉廃水の処
COD除去率を示すに過ぎなかった。その後の育成によ
理が厳冬期に行われることを考慮すれば,さらに低温で
り,除去能は次第に高まり
60日後には負荷 2時間後
88%,4時間後には 95%の除去率を示すにいたった。し
の効果が問題である。この点については次報に記述する
予定である o
か し こ の 槽 の 場 合 は , 育 成 60日後に低温に移したと
終りに,本研究費の一部は昭和 50年度文部省科学研
ころ,除去能は低下し,負荷 2時間後で 83%,6時間後
究費,特定研究「微生物による環境浄化」によったこと
でも 90%に満たない除去率となった。これをさらに馴
を付記し,感謝の意を表する。
養し続けたところ,低温に移して 30日後(育成 90日後)
要 約
にはほぼ回復し,高い除去率を示すようになった。
T
. cutaneum と Achromobactersp 両者混合の場
1.低温 (
1
3C)て‘澱粉廃水に馴養した活性汚泥から
I
I
I
),30日後の除去能は低く,負荷 6時間後におい
合 (
分離した酵母の 1種, Tri
c
J
wφoroncutaneum3
6株お
ても 75%の除去率を示すに過ぎなかったが,育成を続
よび細菌 6属 69株について, 3種の液体培地を用いた振
C
T
.cuω
-
けることによって処理能は次第に高くなり, 60日後には
滋培養によるフロック形成試験を行った結果
負荷 2時間後に 84%, 6時 間 後 で 93%の高い COD除
neum36株はいずれもフロックをよく形成し,細菌では
去率を示すにし、たった。さらにこれを低温に移しでも処
Achromobacterに属する 4株が良好なフロック形成菌
理能は低下することなく, 90日後には,負荷 2時間後に
であった。
90%, 6時間後には 97%の高い除去能をもっ汚泥とな
った。
2 これらのうちから,フロック形成能の優れていた
T. cutaneum および Achromobactersp 各 1株を用
いずれの活性汚泥についても,低温に移した直後に沈
.c
u
t
a
いて人工活性汚泥の育成を行った。すなわち , T
降性が悪くなる傾向が認められたが, T
. cutaneumを
,Achromobacters
p
.
neum を種として用いた培養槽 1
種として育成した活性汚泥では回復が著しく早く,安定
を用いた培養槽 I
I,両者を混用した培養槽 I
I
Iを準備し
な汚泥となった。また,Achromobacters
p
. を種とし
澱粉廃水を加えて通気しながら,始め室温 (
2
40C)で,
Iでは,室温においては Geotrichum の発生
た培養槽 I
後,低温 (
1
3C)として活性汚泥を育成した。
する場合が多く,
ゅorium の生
低温移行後には Clado
3
. その結果,いずれの培養槽においても,室温培養
T
.cutaneum を用いた培養槽 Iお
10日前後で容易に活性汚泥のフロックが形成され,酵母
育が認められたが
よび I
I
Iでは,このような傾向はほとんどなかった。
太宰ら 5)は,振塗培養によって活性汚泥を 5日間,澱
粉廃水に馴養後,その浄化能に対する温度の影響をしら
ベ,20~350C
0
では 95% の COD を除去するが, 1
5Cで
0
(
T
.cutaneum と同定)がフロックの中心となっている
ことを顕微鏡的に確認した。
4
. 各槽で育成中の人工活性汚泥について , T
r
i
c
h
o
-
sporon および細菌の生菌数変化をしらべたところ,い
0
Cでは約
は活性が約 10%低下し,アCでは約 20%, 3
ずれの汚泥においても,培養開始後約 2週間で一定の菌
0
25%の低下を見, 7Cおよび 3
Cでは処浬水が混濁する
数を示すようになり
0
と報告している o
2カ月後に低温に移しても,それ
ぞれの生菌数はほとんど変らず,育成した活性汚泥が非
T
.cutaneum および Achromobacters
p
.を そ れ ぞ
常に安定であることが認められた。
れ単独に, または混合して用いたこの実験では, 240C
5
. 各槽の活性汚泥について,育成期間中の澱粉廃水
で育成開始後,生菌数が一定レベルに落着くまでに約 10
処理能を COD除去率でしらべたところ,室温での育成
日闘を要し,安定した高い処理能をもつようになるまで
2カ月後には,いずれも,負荷 2時間後に 80%台
, 6時
に約 2カ月を費したが,この段階で, 130C の低温に移し
間後に 90%をこえる高い除去能をもつようになった。
た場合, Achromobacter5
p
. から出発した汚泥にかな
.cutanumを用いた培養槽
これを低温に移した場合, T
T
.cutaneum を種と
Iおよび両者混用の培養槽 I
I
Iでは, 処理能は低下する
りの処理能低下を見た。
しかし
したもので、は,低温の影響をほとんど受けず,この程度
ことなく,沈降性もすぐれ,安定した活性汚泥となって
の低温では,期│養活性汚泥が室温におけると同様の浄化
いることが確められた。しかし ,Achromobacters
p
.の
能を発揮し得ることが認められた。
みを種菌とした培養槽 I
Iの汚泥では,
これらの結果から,低温における澱粉廃水処理には,
T
. cutaneum を主体として育成した活性汚泥が極めて
これを低温に移
すことによって, 一時, COD除去率がかなり低下し,
かつ,沈降性も悪化し,低温下での良好な処理能を回復
渡部・吉田・高尾: 低温下における廃水処理の微生物学的研究
するまでに約 3
0日を要した。
6
. これらの結果から,低温における澱粉廃水処理に
.c
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t
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nを中心として育成した活性汚泥が効
は, T
果的と考えられた。
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. A.:An e
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.,35: 309-321
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7
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1
0
. 高尾彰一・吉田 忠・渡部宏巨:低温下における廃
1
) 澱粉廃水処理における
水処理の微生物学的研究 (
引用文献
1
. ALLEl
,
<
、L
.A.: The bacteriologyo
fa
c
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i
v
a
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e
d
3
:424-431
.1
9
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4
sludge,よ Hyg.,4
2
. ANGELBECK,D. 1
. and KIRSCH,E
.J
.
: I
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f pH and metal c
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.,17: 4
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5
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.
1
9
6
9
3
. BECKER,J
.G
. and SHAW,C. G
.
: Fungi i
n
domestic sewage-treatment p
l
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s,A
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. Mi:1
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b
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.,3
4
. COOKE,W. B
.,PHAFF,H.,
.
J MILLER,M.W.,
SHIFRINE,M.,and KNAPP,E
.P
.
: Yeasts i
n
2
:
p
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e
d water and sewage,Mycologia,5
2
1
0
2
3
0
.1
9
6
0
5 太宰宙朗・小川 誠・小野英男: 活 性 ス ラ ッ ジ に
よる産業廃水の処理に関する研究 (
9
),澱粉廃水の
3
:4
0
9
4
1
5
.1
9
6
5
処理について,醗工, 4
.F
. and BHAT,J
.V.: Microbialecoト
6
. DIAS,F
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7
. KruCHI, K
.
, KURAISHI
, H.
, MUROOKA, H.,
AIDA,K
.
, and UEMURA,T
.: Floc formation
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9
. PIKE,E
.B
.
, CARRINGTON
,E
.G
.,and ASHBU・
微生物相,北大農邦文紀, 1
0
: 261-271
.1
9
7
7
. and EARLE,R
.L
.
: Microflora o
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11
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