大阪大学 金融・保険教育研究センター

CSFI
Center for the Study of Finance and Insurance
大阪大学
金融・保険教育研究センター
CSFIについて
CSFI
Center for the Study of Finance and Insurance
センター長メッセージ
大阪大学金融・保険教育研究センター (CSFI)はファイナンス・金融工
学と保険・年金数理を一体で捉えた学際的な文理融合型教育プログラ
ムを開発・実施するために、
文部科学省特別教育研究経費によって、
経
済学研究科、
理学研究科、
情報科学研究科、
基礎工学研究科の学内4研究
科の連携のもと、
平成18年(2006年)4月に設立されました。
CSFIは大阪大学大学院生全員を対象に教育プログラム
「副専攻プロ
グラム(金融・保険)」
を提供しています。
「副専攻プログラム(金融・保険)」
は金融経済・工学コース、
インシュアランスコース、
数理計量ファイナンスコースの3つの
コースを設けており、
それぞれのコースは、
金融経済・工学に関する幅広い知識の習得
(金
融経済・工学コース)
、
アクチュアリー、
保険年金業務の知識とスキルの習得
(インシュアラ
ンスコース)
、
高度な数理的・計量的手法の習得
(数理計量ファイナンスコース)
を目的とし
ています。
また、
大阪大学大学院生以外の方にも
「副専攻プログラム(金融・保険)」
の科目を
履修できるよう、
「科目等履修生高度プログラム(金融・保険)」
として開放し、
金融・証券・保
険・年金に関わる業務を継続または志望し、
専門知識・スキルの修得・向上を目指す社会人
に対しても修学の環境を提供しています。
これらの教育プログラムで育成される人材は、
金融経済システムの安定に不可欠な社会・制度的側面、
数理・科学技術的側面の双方にお
いてバランスのとれた文理融合型のグローバルな金融・保険スペシャリストであり、
教育
プログラム修了者は、
各種金融機関、
生命保険・損害保険・信託銀行、
シンクタンクなどでク
ウォンツアナリスト、
フィナンシャルアナリスト、
アクチュアリーとして活躍しています。
CSFIの研究活動としては、
最新の金融・保険に関する知識と情報を共有するために、
「中
之島ワークショップ」
を毎年開催しています。
また国際ワークショップを隔年で開催し、
世
界的に高度な金融・保険の技術を有する国内外の実務家・研究者との交流を図っています。
CSFIのVXJ(Volatility Index Japan)研究グループは、
日本の株式市場における将来のボラティ
リティに対する一つの指標として、
VXJの開発・公開を実施しています。CSFIのリスク解析・
資本市場研究グループは、
平成 25年度より大阪大学未来研究イニシアティブ・グループ支
援事業のサポートを受けて、
リスクの可視化による長期金利変動に関する高精度予測や流
動性と資産価格変動の関連性について研究を行っています。
設立から9年という月日が流れ、CSFIの教育プログラムは、
「高度副プログラム
(金融・保
険)
」
から、
「副専攻プログラム
(金融・保険)
」
にシフトしました。
今年度も 100名を超える受
講者がおり、
大阪大学副専攻プログラムの中で受講者数トップを誇っております。
このよ
うな成果はひとえに関係者の皆様のご支援ご協力があってのことと、
心より御礼申し上げ
ます。
国際競争力を有する金融・保険スペシャリストの需要は高まる一方であり、CSFIはこ
の目的のために邁進していく所存でございますので、
引き続き、
関係者の皆様のご支援・ご
協力を賜りたく、
お願い申し上げます。
平成27年3月
金融・保険教育研究センター
センター長 内田 雅之
02
大阪大学/金融・保険教育研究センター
Overview of CSFI
CSFIの設立理念
金融と保険に関する
新しい文理融合型教育プログラムの開発を目指します
近年、世界標準のリスク管理体制の構築、ならびに少子高齢化社会に対応した年金
制度や資産運用業務の整備の必要性が高まっています。このような状況のもとで、個
人、企業、地方自治体、国家、それぞれによる資産運用と、リスクの計測・分析・評価・管
理を、経済合理性を以って、科学的に行う手法の開発・普及・蓄積が求められています。
金融工学、あるいは数理計量ファイナンスと呼ばれる新しい学問分野は、そうした手
法に関わるものとして、金融経済学、確率・確率過程論、統計学、オペレーションズ・リ
サーチ等にまたがる学際領域として産み出されたものです。事実、金融実務界では、
様々な派生商品(デリバティブ)が、この新分野において近年構築された理論に基づい
て、設計・開発され、市場あるいは相対取引において適正価格で売買され、リスク管理
に広く用いられるようになっています。
ところで、ファイナンス・金融工学と保険・年金数理とでは、対象とするリスクのカ
テゴリーは異なるものの、直面するリスクを計量化した上で、コントロール、あるいは
ヘッジするための方法論を提供する、といった点では共通です。そこで、専門家(研究
者・実務家)の間では、それらを総合的に研究・教育されるべきであるとの共通の認識が
形成されつつあります。規制緩和の結果、制度的にも銀行・証券・保険の境界が消滅した
ことにより、金融のコングロマリット化が進行していますので、保険・年金数理とファ
イナンス・金融工学を一体で捉えて、その研究・教育を行うべき状況が生じています。
こうした状況下において、保険・年金数理をファイナンス・金融工学と一体で捉えた
学際的な文理融合型教育プログラムを開発・実施するために、大阪大学では学際的・部
局横断的なスタッフ陣を編成し、金融実務界からの協力も得て、
「 金融・保険教育研究
センター(CSFI)」を設立いたしました。これは、科学技術基本計画の基本理念にある、
自然科学と人文社会科学の総合化、社会のための社会の中の科学技術、を謳う科学技
術政策の総合性と戦略性に沿うものにもなっています。また、デリバティブなどの金
融商品、保険・年金制度の設計に際しては、金融システム(金融市場・金融政策)の役割、
経済活動、ライフサイクルにおける保険・年金制度の役割、などについての深い理解が
社会的にも求められていますが、CSFIで開発・提供される教育は、この要求に応えるこ
とを目指しています。CSFIは、金融面に関する安心・安全社会の構築と少子高齢化社会
における安心なライフサイクルの実現に向けて、社会に貢献していきたいと考えてい
ます。
03
CSFIについて
CSFI
Center for the Study of Finance and Insurance
CSFIの特色
CSFIでは、大阪大学の4研究科と金融実務界の協力の下、
文理融合型教育プログラムを開発し、新しい金融・保険教育を行っています
金融・保険科学の教育では、社会・制度的側面と数理・技術的側面という 2つの側面
をバランスよく教育する必要があります。金融・保険・年金に関するシステム・商品の
設計・開発を行うには高度な数理・技術的素養が必要となる一方、同時に、複雑化した
社会における、それらの経済的な意味・役割を正しく理解できることが必要とされる
からです。逆に、経済的な意味・役割を正しく理解していても、設計・開発に必要とさ
れる高度な数学的理論を正しく理解していなければ、その運用を誤ってしまったり、
適切な分析・開発に至らないということが起こりえますので、十分な数理・技術的素養
をも同時に身に付けた人材を養成する必要があります。金融・保険教育研究センター
(CSFI)の特色は、社会的急務となっているこのような人材育成のための新たな文理融
合型教育プログラムの開発にあります。
また、CSFIの大きな特色として、金融経済学、金融工学、数理ファイナンスに加え
て保険数学との融合を視野に入れている点があります。大阪大学では、確率論・確率
解析・統計学と金融経済学分野の教員の層が厚く、1999年以来研究者ベースで FTA
(Finance Theory and Applications)という部局の枠を超えたグループを立ち上げ、連
携して教育研究を行ってきた実績があります。その実績を踏まえ、理学・基礎工学・情
報科学・経済学にまたがった総合的な教育体制を組み、新たな教育システムを構築し
て、現行カリキュラムとは異なった新たな文理融合型教育プログラムと、そこで使用
される教材を開発しています。また、対象とする分野が金融実務界とも密接に関わっ
ておりますので、CSFIでは実務家教員も加え、実務的教育も教育プログラムの中に組
み込んでいます。
実務界
専門家団体:日本アクチュアリー会、
日本年金数理人会
民間機関
公 的 機 関: OSE、堂島商取、日銀
国
内
外
の
教
育
・
研
究
機
関
情報発信
データ提供
CSFI
金融・保険教育研究センター
教育事業
インシュアランスコース
金融経済・工学コース
金融と保険の統一教育プログラム
経 済 学 研 究 科 金融経済学、財務会計
基礎工学研究科
理 学 研 究 科 確率解析、統計、数値解析
情報科学研究科
大阪大学/金融・保険教育研究センター
文理融合型教育プログラム
数理計量ファイナンスコース
人的支援
大阪大学
04
人材供給
日本発の教育プログラムの開発
日本発の人材育成プログラムの開発
日本の制度・実情に合った教材開発と蓄積
教材・ケースの供給
他大学・機関
Overview of CSFI
教育プログラム体系
CSFIの教育プログラムには、大学院副専攻プログラムと
科目等履修生高度プログラムの2つがあります
金融・保険教育研究センター(CSFI)は、大学院副専攻プログラム(博士前期課程相
当)を提供しています。これは、大阪大学大学院各研究科に在籍する大学院生を対象と
したものであり、
( A)数理計量ファイナンスコース、
( B)金融経済・工学コース、
( C)イ
ンシュアランスコースの 3コースからいずれかを選んでこのプログラムを受講する
ことになります。
また大阪大学の大学院生以外の方には、CSFIの科目等履修生となることにより、同
一科目を受講することができます。このように社会人の再教育、金融実務家の研修等
が行えるようなっています。
上記の 2つのプログラムにおいては、実務教育にも対応できるよう集中教育等によ
る柔軟な教育形態も一部採用しています。また講義を集成したレクチャーノートシ
リーズを刊行しています。
■受講者の目的に応じたコース
博士前期課程レベル
目 的
(修士課程レベル)
高度な数理的・計量的手法の修得
数理計量ファイナンスコース
金融経済・工学に関する幅広い知識の修得
金融経済・工学コース
アクチュアリー、保険年金業務の知識と
スキルの修得
インシュアランスコース
■コース別プログラム修了要件
コース名
科目分類
基礎科目
専門科目
合計
金融経済・工学
3科目以上
2科目以上
計 8 科目(16 単位相当)以上
数理計量ファイナンス
2科目以上
4科目以上
計 8 科目(16 単位相当)以上
必修2科目を含んで
必修2科目を含む
4科目以上
こと
インシュアランス
計 8 科目(16 単位相当)以上
CSFIのプログラム修了に必要な単位と、主専攻の修了要件単位との重複は認められま
すが、副専攻プログラムを修了するには主専攻の修了要件を超えて 7単位以上修得す
る必要があります。
05
CSFIについて
CSFI
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コース概要
CSFIでは目的に応じて3つのコースを設けております
数理計量ファイナンスコース
「数理計量ファイナンスコース」では、3コース共通で学ぶファイナンス理論・実証
の数学的基礎および金融経済に関する基礎教育を踏まえ、数理的・計量的手法の習得
を主眼においた数理ファイナンスに関わる教育プログラムを提供しています。裁定理
論・マルチンゲール理論に基づく市場の数理モデリング、とその数理解析、特にその
解析手法として重要な、時系列解析、確率微分方程式・確率解析、統計解析、数理計画
法、確率制御に関する豊富なカリキュラムを提供し、それらを援用した数理計量ファ
イナンスの高度な教育を目指しています。また、リスク計測・評価と管理に関する新
しい数学的基礎理論に関する講義や実務家教員による実務的側面からの教育も用意
しています。
【平成27年度講義例】
確率解析、統計解析、統計的推測、金融数理概論、確率微分方程式、時系列解析など
■3つのコースの教育内容
教育プログラム体系
数理計量ファイナンスコース
市場の数理モデルの数理解析
金融数理コンピューティング
リスク計測・評価に関する実務的教育
共通科目
ファイナンス理論・実証の数学的基礎
金融経済に関する基礎教育
数理ファイナンスの
数学的基礎
保険数理・年金数理の基礎
保険数理の基礎
リスクの数学的理論
インシュアランスコース
06
大阪大学/金融・保険教育研究センター
ファイナンス・金融経済学
金融工学
財務会計
市場の分析に関する実務的教育
金融経済・工学コース
Overview of CSFI
金融経済・工学コース
「金融経済・工学コース」では、近代経済学を確固としたバックグラウンドとして、
ファイナンス理論を体系的に学ぶことを一義的な目的としています。その一方で、そ
の実学としての側面を重視した工学的視点から、広範にわたる関連分野への応用力を
効率的に修得することをも大きな柱としています。したがって、ファイナンス・金融経
済学・金融工学の基礎理論はもちろんのこと、確率・確率過程や最適化に関する基礎
数理、金融資産の運用・価格付けやリスク・マネジメントに関する数理・数値計算スキ
ル、各種金融データに対する統計的・計量・実証分析、金利や為替レートに関する金融
政策の経済分析、事業や企業の分析・評価、等々について、非常に高度でバラエティに
富んだカリキュラムを提供しています。
【平成27年度講義例】
コーポレート・ファイナンス、金融工学、アセット・プライシング、
企業分析と評価など
インシュアランスコース
「インシュアランスコース」では、通常第1学期(前期)に、数理ファイナンスおよび
保険数学の数学的基礎を学ぶための科目(確率解析の基礎、保険数学1および保険数
学演習など)、リスク理論の講義、数理的な立場からの損害保険の考え方に関する講義
などを開講します。第 2学期(後期)にはさらに進んで、より実務に近い内容を学ぶた
めの保険計理、リスク理論のより深い内容の講義や、数理保険学、モデル理論(集中講
義)を開講します。保険関係の科目の講師の多くは実務経験者であり、講義・演習を通
して、保険の数学的側面に含まれる課題、実務の側面の課題の分析・解明を深めていく
ことを目指しています。
【平成27年度講義例】
金融システムの基礎、保険数学1、年金数理、保険計理1,2、リスク理論1,2、
保険数学演習など
07
CSFIについて
CSFI
Center for the Study of Finance and Insurance
修了後のキャリアパス
金融の高度化に対応できる
理系・文系の枠にとらわれない人材を育成しています
近年の金融取引の高度化にともない、金融機関でも確率・統計をはじめとした高度
な数学の知識や計算機の知識を持つ人材が必要となっています。また、金融の制度的
な枠組みも同時に高度化しているために、経済への深い洞察を備えた人材も必要と
なっています。これらの社会への人材供給のニーズに応えるためには、元来の理系・文
系の枠にとらわれない、金融経済の感性を持つ理系の学生や、理系的な発想を身に着
けた文系の学生を育成する必要があります。
金融・保険教育研究センター(CSFI)の教育プログラムで育成される人材は、これか
らの金融経済社会の安定に欠かせない文理の両側面を備えた人材です。そこに CSFIの
文理融合型大学院教育の意義があります。この教育プログラムの修了者が携わる業務
として、金融派生商品の設計や財務分析等を通したプロジェクトの評価、投資の決定
を通じて、銀行や証券会社を支える、高度フィナンシャルエンジニア、クウォンツアナ
リスト、高度フィナンシャルアナリスト、高度フィナンシャルプランナー等があげら
れます。また、同時に、高度なファイナンスの素養を兼ね備えたアクチュアリーや、国
際的に活躍できる研究者を目指す修了者もいます。
職 業
業 務
数理計量ファイナンスコース
金融経済・工学コース
インシュアランスコース
高度フィナンシャルエンジニア
高度フィナンシャルアナリスト
ファイナンスの素養を持つ
クウォンツアナリスト
高度フィナンシャルプランナー
アクチュアリー
新金融制度の設計・管理者
■投資技術開発
■各種証券分析
■アクチュアリー・年金数理人と
■金融商品開発
■金融・財務コンサルティング
しての保険・年金商品設計
■投資技術コンサルティング
■金融リスクの計測・管理・分析・評価
■保険・年金業務の財務管理
■金融リスクの計測・管理・分析・評価
■金融商品の開発
■保険・年金業務のリスク管理
■数理モデル開発
■金融資産の評価・運用・管理
■金融資産の評価・運用・管理
■金融トレーディング
■金融市場の調査・分析
■金融市場の調査・分析
■システム開発
■金融・財務意思決定・戦略分析
■金融トレーディング
■事業プロジェクトの分析・評価
■不動産資産の評価・鑑定
各種金融機関(銀行、証券会社、保険会社など) 運用部門、商品開発部門、研究部門
生保・損保・信託銀行 保険・年金数理部門
各種事業会社 財務部門、ベンチャーキャピタル
シンクタンク システム部門、金融・証券、企業分析部門など
就 職 先
コンサルティング会社
監査法人(公認会計士)
弁理士
各種取引所
金融情報産業
中央銀行
中央・地方官庁 金融・財務政策立案・分析部門
大学教員
08
大阪大学/金融・保険教育研究センター
Overview of CSFI / Our organization and faculty
教員紹介
幅広い分野の教員スタッフが、
CSFIの文理融合型プログラムの講義を担当しています (平成27年4月現在)
石原 庸博 特任講師
【学 位】博士(経済学)
(東京大学)
【担当科目】数理計量ファイナンスに関するトピックスⅠ、計算ファイナンスの基礎
【研究内容の紹介】計量ファイナンス、特に資産価格変動等のモデルに関するベイズ統計の計算手法の効率化やそれを用い
たデータ解析の研究を行っている。
宮西 吉久 特任助教
【学 位】博士(理学)
(大阪大学)
【担当科目】平成27年度はなし
【研究内容の紹介】線形偏微分方程式と線形作用素が、主な研究対象である。現在は、多様体上の量子力学、とくに経路積分
の数学的正当化を目指している。関連して、線形作用素のスペクトルと固有関数についても研究している。
内田 雅之 教授・センター長
(基)
狩野 裕 教授
(基)
下平 英寿 教授
(基)
関根 順 教授
(基)
日野 正訓 教授
(基)
貝瀬 秀裕 准教授
(基)
【学 位】博士(理学)
(大阪大学)
【担当科目】統計的推測
【研究内容の紹介】確率過程の統計的推測。
特に確率微分方程式モデルの統計解析及び金融データへの適用を研究している。
【学 位】工学博士(大阪大学)
【担当科目】多変量解析
【研究内容の紹介】潜在変数モデルや統計的因果推論の方法論的研究。
数理ファイナインスや保険数学にも興味がある。
【学 位】博士(工学)
(東京大学)
【担当科目】統計解析
【研究内容の紹介】モデル選択やリサンプリングの数理統計理論と、複雑ネットワークや生命科学等への応用。
【学 位】博士(理学)
(東京大学)
【担当科目】金融数理概論、金融確率解析
【研究内容の紹介】動的ポートフォリオ最適化やデリバティブのヘッジングに纏わる問題に特に関心を持って研究している。
【学 位】博士(理学)
(京都大学)
【担当科目】確率微分方程式
【研究内容の紹介】確率解析。特に、経路空間やフラクタル集合などの、複雑な構造を持つ空間における解析を、確率論の立場
から研究している。
【学 位】博士(理学)
(大阪大学)
【担当科目】平成27年度はなし
【研究内容の紹介】確率制御と決定論的制御の数学的研究。主に動的計画原理や動的計画偏微分方程式の研究を行ってい
る。制御理論の数理ファイナンスへの応用にも関心をよせている。
濵田 悦生 准教授
(基)
【学 位】博士(理学)
(大阪大学)
【担当科目】データ解析
【研究内容の紹介】母数における統計的情報量損失に関して様々なモデルの下にその幾何的構造や性質を調べることが研
究テーマ。時系列解析を中心に実際のデータを用いた解析にも関心がある。
鎌谷 研吾 専任講師
(基)
加藤 恭 助教
(基)
太田 亘 教授
(経)
大西 匡光 教授
(経)
【学 位】博士(数理科学)
(東京大学)
【担当科目】時系列解析
【研究内容の紹介】モンテカルロ法を始めとする統計計算手法の解析を行っている。巨大なデータから信頼できる情報を抽
出するためには計算効率を考慮した有効な手法が必要であり、理論面と計算面の両面からアプローチしている。
【学 位】博士(数理科学)
(東京大学)
【担当科目】平成27年度はなし
【研究内容の紹介】数理ファイナンスにおけるいくつかのテーマ、特に「流動性の問題を考慮した金融市場モデル」
「計量的リ
スク管理・計測手法」に関して、確率論的手法を用いて研究を行っている。
【学 位】博士(経済学)
(東京大学)
【担当科目】投資理論
【研究内容の紹介】指値注文市場において、投資家がどのように注文を出し、その結果、どのように取引が行われるかを研究
している。また、証券市場における取引のデータを用いた実証的分析を行っている。
【学 位】博士(経済学)
(大阪大学)
【担当科目】確率解析の基礎、金融工学、リスク・マネジメント
【研究内容の紹介】本籍はオペレーションズ・リサーチにおける各種確率モデルの最適化とゲーム理論。不確実性下の意思
決定と確率動的最適化に広く関心を持つが、最近では、もっぱら、ファイナンス・金融工学の分野で仕事をしている。
09
CSFIの教員・組織
CSFI
Center for the Study of Finance and Insurance
教員紹介
大屋 幸輔 教授
(経)
谷
(経)
【学 位】博士(経済学)
(九州大学)
【担当科目】平成27年度はなし
【研究内容の紹介】金融市場における計量分析、特にマーケット・マイクロストラクチャーに関連する計量分析、高頻度デー
タの時系列分析などが研究テーマ。
久志 教授・副センター長
【学 位】Ph.D.(ペンシルバニア大学)
【担当科目】平成27年度はなし
【研究内容の紹介】研究分野は計量経済学・統計学。特に、非線形・非正規状態空間モデルの推定方法に関する研究、自己回帰
モデルにおける最小二乗推定のバイアス是正に関する研究など。
福田 祐一 教授
(経)
山本 達司 教授
(経)
椎葉 淳 准教授
(経)
竹内 惠行 准教授
(経)
西原 理 准教授
(経)
村宮 克彦 准教授
(経)
佐井 りさ 専任講師
(経)
高橋 慎 専任講師
(経)
杉田 洋 教授
(理)
盛田 健彦 教授
(理)
【学 位】博士(経済学)
(大阪大学)
【担当科目】金融経済学
【研究内容の紹介】研究テーマは、金融に関する実証分析。特に資産価格、利子率の期間構造、為替レートなど金融市場に関連
した実証分析を行っている。
【学 位】博士(経済学)
(大阪大学)
【担当科目】企業分析と評価
【研究内容の紹介】研究分野は、管理会計、経営分析。企業が行っている様々な戦略を、会計情報を用いて理論的・実証的に評
価することが研究テーマ。
【学 位】博士(経済学)
(大阪大学)
【担当科目】平成27年度はなし
【研究内容の紹介】会計数値に基づく企業価値評価、企業戦略と利益の情報内容、などが主たる研究テーマ。その他に、エー
ジェンシー理論による業績評価・監査モデル、ディスクロージャー理論にも関心がある。
【学 位】経済学修士(横浜国立大学)
【担当科目】平成27年度はなし
信用格付の計量分析にも関心がある。
【研究内容の紹介】時系列解析法・ノンパラメトリック法の証券・財務データへの応用。
【学 位】博士(情報学)
(京都大学)
【担当科目】金融工学
【研究内容の紹介】オペレーションズ・リサーチ、金融工学、リアル・オプション、最適化やゲーム理論の応用など。
【学 位】博士(経営学)
(神戸大学)
【担当科目】財務報告戦略
【研究内容の紹介】資本市場における財務報告の役割について研究を行っている。とりわけ、会計情報を用いたファンダメン
タル分析やディスクロージャーの経済的帰結に関心がある。
【学 位】博士(経済学)
(東京大学)
【担当科目】コーポレート・ファイナンス、アセットプライシング
【研究内容の紹介】確率的動学最適化による、家計の資産選択問題および企業の資金調達行動のメカニズムの分析。最近は
プロダクション・ベースのアセット・プライシング理論に関心を持っている。
【学 位】修士(経済学)
(東京大学)
【担当科目】金融時系列分析
【研究内容の紹介】金融時系列の計量分析、特に資産価格のボラティリティについて、高頻度データを用いた統計的モデリン
グと推定方法及びリスク管理への応用を研究している。
【学 位】博士(理学)
(京都大学)
【担当科目】確率論の基礎、確率解析
【研究内容の紹介】マリアバン解析、確率数値解析、疑似乱数、などが研究テーマ。さらに最近、数論における密度定理などを
極限定理として定式化する研究を始めた。
【学 位】理学博士(大阪大学)
【担当科目】保険数学演習
【研究内容の紹介】専門は力学系を確率論的手法で解析するエルゴード理論である。とくにカオス的力学系の軌道の分布に
関する極限定理や力学系ゼータ関数の解析的性質を、
転送作用素などの統計力学由来の道具を用いて研究している。
010
大阪大学/金融・保険教育研究センター
Our organization and faculty
深澤 正彰 准教授
(理)
【学 位】博士(数理科学)(東京大学)
【担当科目】平成27年度はなし
【研究内容の紹介】確率過程に対する統計推定。特に確率微分方程式等で定義される連続時間確率過程モデルに対する漸近理
論を研究している。エッジワース展開、ブートストラップ法とそのファイナンスへの応用に興味を持っている。
森田 浩 教授
(情)
梅谷 俊治 准教授
(情)
【学 位】博士(工学)
(京都大学)
【担当科目】平成27年度はなし
【研究内容の紹介】さまざまなシステムをより効率的に運用するためのモデリングとその解析法ならびにシステム評価に
ついて研究している。数理計画法や統計的データ解析により、実社会における諸問題への応用にも取り組んでいる。
【学 位】博士(情報学)
(京都大学)
【担当科目】最適化モデルとアルゴリズム
【研究内容の紹介】組合せ最適化とアルゴリズム、特に線形計画問題や整数計画問題に代表される数理計画問題に対する効
率的なアルゴリズムの開発と、それらの実社会への応用に取り組んでいる。
奥原 浩之 准教授
(情)
【学 位】博士(工学)
(広島大学)
【担当科目】情報計算工学
【研究内容の紹介】ソフトコンピューティングを活用した統計数理解析手法の開発、開発手法のデータマイニングへの適
用、これらを組み込んだ使い勝手の良いシステムの実用化に取り組んでいる。
■ 平成27年度 招へい教員、非常勤教員など
仁科 一彦 招へい教授
【現 職】明治学院大学経済学部教授 【学 位】博士(経済学)(大阪大学)
【担当科目】平成27年度はなし
Maghrebi, Nabil 招へい教授
【現 職】和歌山大学大学院経済学研究科教授 【学 位】博士(経済学)(大阪大学)
【担当科目】平成27年度はなし
河本 薫 招へい教授
【現 職】大阪ガス情報通信部ビジネスアナリシスセンター 【学 位】博士(工学)
(大阪大学)
【担当科目】意思決定とデータ科学
青沼 君明 招へい教授
(基)
湯浅 味代士 招へい教授
(理)
【現 職】三菱東京UFJ銀行融資企画部 【学 位】博士(数理科学)
(東京大学)
【担当科目】金融数理特論
【現 職】住友生命保険主計部顧問
【担当科目】保険計理1,2
小林 孝雄 招へい教員
【現 職】青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授【担当科目】応用アセット・プライシング
淺野 淳 講師
【現 職】住友生命保険 【担当科目】保険数学1
Hayter, Anthony 講師
【現 職】デンバー大学ダニエルズ経営学部教授 【担当科目】Data Science and Case Studies I
大塚 忠義 講師
【現 職】早稲田大学大学院商学研究科助教 【担当科目】リスク理論1,2
金森 敬文 講師
【現 職】名古屋大学大学院情報科学研究科准教授 【担当科目】統計数理特論
小西 陽 講師
【現 職】三井住友信託銀行 【担当科目】年金数理
小松 一志 講師
【現 職】りそな銀行 【担当科目】年金数理
芝田 隆志 講師
【現 職】首都大学東京大学院社会科学研究科教授 【担当科目】リアル・オプション
畑 満 講師
【現 職】全国労働者共済生活協同組合連合会 【担当科目】年金数理
011
CSFIの教員・組織
CSFI
Center for the Study of Finance and Insurance
組織図
金融・保険教育研究センター(CSFI)の教員は次の3つから構成されています。
1. 基礎工学研究科、
経済学研究科、
理学研究科、
情報科学研究科の4研究科の兼任教員
2. 国内外の特任教員
3. 連携協力機関からの派遣教員
CSFI
金融・保険教育研究センター
センター長
副センター長
運営委員会
教育研究実施
専門委員会
事務補佐員
兼任教員
特任教員
情報科学研究科
理学研究科
非常勤教員
日本人特任教員
教育プログラム全般
のコーディネート
連携協力機関
からの派遣教員
提供する実務教育の
立案・実施
基礎工学研究科
経済学研究科
所属部局を基盤とした
新しい大学院教育科目
の立案・実施
セ ン タ ー 長
内田 雅之
副 セ ン タ ー 長
谷崎 久志
運営委員会委員
(センター)内田 雅之、谷崎 久志、森田 浩
(基)河原 源太 (経)大西 匡光
(理)篠原 厚 (情)井上 克郎 各研究科長
教 育 研 究 実 施
専門委員会委員
(特任教員)石原 庸博
(基)内田 雅之、貝瀬 秀裕、加藤 恭、関根 順、鎌谷 研吾
(経)太田 亘、大西 匡光、大屋 幸輔、竹内 惠行、谷崎 久志、
西原 理、高橋 慎
(理)杉田 洋、深澤 正彰 (情)梅谷 俊治、森田 浩
事務補佐員(CSFI 事務室)
012
大阪大学/金融・保険教育研究センター
御室 泰恵、宇田 恵
Our organization and faculty
アドバイザリー・ボード/
連携協力機関
アドバイザリー・ボード
金融・保険教育研究センター(CSFI)では、金融経済、数理ファイナンス、金融工学、保険数理
などの関係分野で、先進的な教育・研究を行っている研究者をアドバイザリー・ボードに迎え、
CSFIにおける教育カリキュラムや研究などについての助言を頂いております。
■アドバイザリー・ボード・メンバー(アルファベット順)
Bensoussan, Alain テキサス大学ダラス校教授(ICDRiA所長)
確率制御理論の世界的権威。Mathematical Finance のアドバイザリーボードの他、多くの学
術雑誌の Editorial Board を務める。 Applications des Inéuations Variationnelles en contrôle
Stochastique など著書や論文多数。フランス国立航空宇宙センターやフランス国立情報・自動制
御研究所の所長などを歴任。Von Humboldt 賞やLégion d'Honneur 賞を受賞している。
Blinder, Alan プリンストン大学教授
財政・金融政策の世界的権威。Economics : Principles and Policy の著者であり、数多くの研究成
果を持つ。米国クリントン政権時代の経済諮問委員会委員や FRB副議長などを務めた。プリンス
トン大学経済政策研究センター長も務めている。Adam Smith 賞などを受賞している。
Carmona, Rene プリンストン大学教授
確率過程論の世界的権威。金融工学、確率偏微分方程式や信号処理などに関心をよせている。数
多くの先端的研究に従事。
Hamada, Koichi イェール大学名誉教授
国際金融論の世界的権威。
『マクロ経済学と日本経済』などの著者である。2012年 12月より内閣
官房参与を務める。法と経済学会の初代会長。日本経済学会会長も務めた。
Myers, Stewart マサチューセッツ工科大学教授
コーポレート・ファイナンスの世界的権威。10版を重ねた古典的名著 Principles of Corporate
Finance の著者でもある。
アメリカ・ファイナンス学会の会長やCERF(Cambridge Endowment for
Research in Finance)
の会長職を歴任している。
Webb, David ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授
金融経済学の世界的権威。情報の経済学やコーポレート・ファイナンスにも関心を寄せる。金融
経済学における世界的な研究組織である LSE(London School of Economics)の金融市場グルー
プ(Financial Markets Group, FMG)の代表を務めている。
連携協力機関
私共の教育理念に賛同いただいた実務界の諸機関からは、実務的な教育のサポートに留まる
ことなく、様々なサポートを頂いております。
■特別連携協力機関
三井住友銀行、大阪取引所
■連携協力機関(50音順)
大阪堂島商品取引所、住友生命保険、大同生命保険、ニッセイ基礎研究所、
日本アイ・ビー・エム、日本政策投資銀行設備投資研究所、野村證券、
野村證券金融工学研究センター、 三菱UFJトラスト投資工学研究所
013
CSFIの活動
CSFI
Center for the Study of Finance and Insurance
CSFIの活動
CSFIは、金融・保険教育に加えて、セミナーやワークショップの開催など
様々な活動を行っています
セミナー、ワークショップ
金融・保険教育研究センター(CSFI)では、常に最新の知識と情報を得るために、毎月
金融経済学・金融工学・数理計量ファイナンス・保険科学の分野で活躍されている研究
者の方を招き、金融・保険セミナーシリーズを開催しております。また、大阪大学金融・
保険ジョイントセミナーでは、他研究科と共同で金融・保険にかかわる分野のセミナー
も開催しております。これらのセミナーのほかに、ワークショップの開催を通じて世界
的に高度な金融技術を駆使する実務家や最先端の研究者との交流を図っています。
レクチャーノート、ディスカッション・ペーパー
特任教員等による先進的な講義を将来の受講生も共有できるように、レクチャー
ノートを刊行しています。また、特任、兼任教員の金融・保険に関する研究成果はディス
カッション・ペーパーの形で公表しています。
014
大阪大学/金融・保険教育研究センター
Activity of CSFI
Volatility Index Japan(VXJ)研究グループ
CSFIのVXJ研究グループは、日本の株式市場における将来のボラティリティに対する
一つの指標として Volatility Index Japan(VXJ)を公開しています。これは日経 225オプ
ション価格の日次データに基づき、次の一か月間に市場がどれほど変動するかを予測
するものです。この数値には、なんらかの資産価格としての意味はなく、投資家の動的
リスクヘッジのため、または自己資本比率算出のための参考指標としての意味を持ち
ます。またマクロ情報に対する市場の反応を検証するツールとしても有用です。
CSFIのVXJやChicago Board Options ExchangeのVIX、Deutsche BörseのVDAXといっ
たインプライドボラティリティ指数は、実証分析によってそのボラティリティ短期予
測値としての信頼性が示されており、その投資収益に対する負の関係から、恐怖指数
(fear gauge)
という名でも知られています。
リスク解析・資本市場研究グループ
CSFIのリスク解析・資本市場研究グループは、リスクの可視化による長期金利変動に
関する高精度予測や流動性と資産価格変動の関連性を明らかにすることを目指し、研
究活動を行っています。研究グループは、金融リスク可視化と高頻度市場データを解析
するチームと、市場流動性や最適資産運用・執行に関する基礎理論を研究するチームの
二つに分かれていますが、それぞれのチームにおいて研究活動を行うとともに、最先端
の研究者による定期的なセミナーの開催や金融実務家を交えたワークショップの開催
などの活動も行っています。
本研究グループの活動は、平成 25年度より大阪大学未来研究イニシアティブ・グ
ループ支援事業のサポートを受けています。
015
大阪大学金融・保険教育研究センター
Center for the Study of Finance and Insurance, Osaka University
〒560−8531 大阪府豊中市待兼山町1−3
電 話(06)6850−6091
FAX(06)6850−6092
URL http://www-csfi.sigmath.es.osaka-u.ac.jp/
CSFI2015