化学薬品編 - 大阪大学 核物理研究センター

化学薬品 編
平成 27年度
核物理研究センター
安全衛生講習会
Speaker : 安田 裕介 (やすだ ゆうすけ )
contact: 居室 R304 / 内線 #8913 / メール [email protected]
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化学薬品編
チェックポイント
以下の記述は正しいでしょうか?
1. (有機溶剤に関して)
有機溶剤による中毒の主な症状には、頭痛、倦怠感、
めまい、貧血などがあり、高濃度の蒸気を吸入した
場合、急性中毒をおこして死亡する場合もある。
2. (薬品の廃棄、薬品のついた器具の洗浄に関
して)
薬品およびその廃液、器具洗浄のための溶剤、溶剤
による洗浄後の洗浄水2回分はいずれも回収し、専
門処理業者に廃棄を依頼しなければならない。
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化学薬品編
目次
1. RCNPでの薬品使用いろいろ
2. RCNPでのルール
3. 水質汚濁防止法へのとりくみ
4. 有機則・特化則へのとりくみ
 有機溶剤について
 トリクロロエチレン
5. 基本的なこと
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RCNPで使用される薬品
2013年度、2014年度使用された薬品 (エタノール、流動パラフィン、五酸化リンを除く)
場所・実験室
薬品
物理ユーザー
RI棟
キシレン、トリクロロエチレン
測定器開発室
アセトン、キシレン、イソプロピルアルコー
ル、トリクロロエチレン
東実験室
アセトン、水酸化ナトリウム、硝酸
西実験室標的作業
机
中性子実験室
加速器部品保管室
※1
AVF棟その他
トリクロロエチレン
エタノール使用量
2013年度 約27ℓ
2014年度 約30ℓ
トリクロロエチレン
トリクロロエチレン
塩化カリウム飽和溶液
核化学ユーザー
RI棟ホット東西
アセトン、トルエン☆、クロロホルム☆
ジクロロメタン☆、
なんとか、かんとか、いろいろ・・・
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赤字は劇物
RCNPでは・・・
薬品管理業務
RCNPでの薬品使用の特徴




 薬品の保管・購入
他機関からのユーザーが多い
薬品取扱い不慣れなユーザーが多い
使用頻度、使用量が少ない
目的



 毒劇物は施錠管理 / 1か所に大量の薬
品を置かない・・・など
 薬品の廃棄
 OCCS(大阪大学薬品管理システム)
を使った全数個体管理
照射標的を真空容器に入れる際に、洗浄をする
実験装置の洗浄
標的作成のための溶剤として
 PRTR法(特定化学物質の環境への排出量の
把握等及び管理の改善の促進に関する法
律)に基づく届け出
 作業環境測定アンケート回答
 局所排気装置、特定施設などの自主点検
 特別管理物質の使用記録
 薬品作業が研究の主である方は例外的
RCNPでは、薬品担当の技術職員が管理業務を行い、保管、貸し出しなどを行っています。
薬品を使用する際は貸出用紙を記入することなどが面倒に感じられるかもしれませんが、
ご協力おねがいします。
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RCNP薬品ルール
1.
薬品の保管・管理
 保管・管理は担当者が行います
 薬品庫で保管します (例外以外全て施錠保管庫しています)
 全薬品をOCCSに登録して管理します。バーコード貼付
2.
薬品購入
 購入したら薬品担当に保管管理を依頼、または購入を依頼してくだ
さい
 購入前にまず相談をお願いします (在庫の確認も含めて)
(事務にも網をはっています。今年もよろしくお願いします)
3.
薬品貸し出し・返却
 申込書を記入して担当者に依頼してください
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RCNP薬品ルール
つづき
5. エタノール (例外扱い)
 4か所の薬品庫に配架します
AVF2F測定器開発室、RI棟地下R007、西実験室 (実験グループ用)
AVF1F電源室 (加速器グループ用)
 なるべくビンは持ち出さず、ペットボトルに必要量を入れて使ってください
 ビンを持ち出す場合は必ず返却を。
7. 空ビン回収の徹底
 空になった薬品ビンも薬品庫に返却してください (使用量確認に必要)
8.借りた薬品は、借りだし期間中はユーザー用一時保管庫にて管理してください
 借り出し期間は使用期間に対して余裕を見て構いません
 借り出し期間中は借りたユーザーに管理責任があります
 ご利用は計画的に(借りだし・返却が夜間・休日にならぬよう)
9. 薬品廃棄
 どんな薬品、溶剤も流しに捨ててはいけません
 器具の洗浄に使用した溶剤・水も2次洗浄まで回収してください
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 廃液は全て回収し廃液ボトルに入れて薬品担当者に渡してください
薬品庫 の場所
• 主薬品庫
•
エタノール etc.
•
•
•
廃液ボトル、ラベル
アセトン
その他 (施錠保管)
中性子実験室 (1F)
東実験室
East Exp. Hall (1F)
• 薬品庫
•
•
エタノール etc.
廃液ボトル、ラベル
西実験室 (1F)
AVF電源室 (1F)
• ユーザー用一時保管庫
測定器開発室
AVF (2F)
RI棟(B1)
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水質汚濁防止法への対応ついて
水質汚濁防止法が2012年に改正されました
 排水中に有害物質が含まれていてはいけませんよという法律。地下水汚染の
防止も含む。
 大阪大学の対応

「本学の特定施設からの排水中の有害物質の濃度が検出限界以下であることを証明す
る」としている。
 特定施設:薬品洗浄廃液が流れされる可能性のある施設
 2014年度吹田市による抜き打ち検査をうけました。
 RCNPの具体的な対応
 RCNPのタメマスからは有害物質はでなかった(2014年度)
ウチは以前から全回収を徹底していたので出るはずはない!
 吹田市にRCNP内の特定施設を届け出(特定施設以外では器具洗浄できません。)
 廃液の回収、洗浄前処理を徹底する(講習や貸出時に案内)
 「有害物質使用特定(洗浄)施設での洗浄前処理方法」に従う
(特定施設のある部屋にA3で貼ってあります。)
 少し厄介なのは薬品使用器具を洗浄するとき。
 必ず特定施設にて洗浄を行うこと(それ以外では禁止!!)
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 この2年間で2件ほど。ほとんど洗浄はしていない
RCNPの特定施設
 特定施設:薬品洗浄廃液が流れされる可能性のある施設。
RCNPではRI排水につながっているシンク、手洗い、ドラフトチェンバー
を届け出ています。
特定施設に
特定施設でない施設(まぎらわしいもの)
 核化学ユーザーはホットラボ内のシンクを使用
特定施設の一例
 AVF2階は全て器具洗浄不可。(特定施設ではありません)
 物理ユーザー用には、RI棟1階のR106のシンクを洗浄用に整備する予定です。
 薬品洗浄ができる場所を限定する方向で検討しています。
特定施設であるか否かに関わらず薬品およびその廃液は一切流せません
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薬品廃棄/器具洗浄
薬品、廃液は
タンクへ
Store
chemicals,discarded
chemical products,
process wastes
溶媒による洗浄
wash with a solvent
水による洗浄 2回
wash 2 times
with water
水による洗浄
wash with water
シンクへ
to the sink
廃液容器へ
put it in trash
containers
特定施設
(それ以外はダメ)
その他
廃液用ボトル・タンク
ビーカーの代わりに使えばその
まま廃棄できます
薬品を移し替えたら必ず中身と
責任者氏名を記入!
飲み物のビンを使わない
分からないときは聞くこと
薬品のついたごみは黄色
のポリ袋に
エタノールも流してはいけない?
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実験用に買った薬品は責任を持って廃棄!
有機則・特化則への対応について
労働安全衛生法の有機溶剤中毒予防規則および特定化学物質等障害予防規則が
2014年に改正されました
 トリクロロエチレン、クロロホルムなどが有機溶剤から特化則指定の薬品
(しかも特別管理物質)になりました。
 有機溶剤を使用する際はドラフトを使用してください。
 アセトン、イソプロピル、キシレンなど
 ドラフトが使えなければ保護具(防毒マスク)を。
 特定化学物質を使用する際はドラフトを使用してください。
 トリクロロエチレンが該当。
 少量でも。
 ドラフトが使えなければ保護具(防毒マスク)を。
 さらに特別管理物質を使用する際は、使用記録をつける必要があります。
(30年保管)
 トリクロロエチレンが該当。
 安全に作業できる環境をめざしています。
掲示などについては早急に対応する予定です。
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有機溶剤のはなし
特徴
 一般に揮発性が大きい
(飽和蒸気圧高く、蒸発速度大きい)
 蒸気の比重が空気より大きいため滞留し
やすい。
 水に溶けない
 用途:
場所・実験室
有機則
特化則∩特別管理
RI棟
キシレン
トリクロロエチレン
測定器開発室
ア セ ト ン 、 キ シ トリクロロエチレン
レン、イソプロ
ピルアルコール
東実験室
アセトン
物理ユーザー
 脱脂、洗浄などによく使われる。
 インクの洗浄(トリクロ)
 塗料、接着剤などによく含まれる。(キ
シレン、トルエンなど)
 除光液(アセトン、トルエンなど)
西実験室標的作業机
トリクロロエチレン
中性子実験室
トリクロロエチレン
加速器部品保管室※1
トリクロロエチレン
AVF棟その他
N実験室
核化学ユーザー
RI棟ホット東西
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有機溶剤作業主任者テキストより
ア セ ト ン 、 ト ル クロロホルム☆
エン☆、
ジクロロメタン☆
有機溶剤のはなし
体への影響・障害
つづき
事故の例
 皮膚または粘膜に付着し、その部位で作
用、または吸収される。血液に取り込ま
れ中枢神経に作用し急性中毒を起こすも
のがある。
 急性中毒
 真空ポンプをアセトンで洗浄していたと
ころ、アセトン蒸気を吸入し、頭痛、め
まいをおこし1名が中毒した。
 ガソリンスタンドのピット内塗装作業で
急性中毒。
 トルエン、キシレン入りの塗料を使用
 換気なし、保護具なし
 頭痛、倦怠感、めまい、目刺激、はきけ、貧
血、麻酔、意識消失
 蓄積
 発がん性(大阪府の印刷事業場での胆管がん
発症など)
 神経障害
 肝障害、腎障害、貧血
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有機溶剤作業主任者テキストより
トリクロロエチレン
(トリクレン、トリクロロエテン、エチニルトリクロリド)
第2類物質
特別有機溶剤等(特定化学物質等障害予防規則)
特徴・用途
危険性
 高濃度蒸気にばく露すると、目刺激と麻
酔が強く現れ、興奮状態から突然意識不
明になることがある
 性状:




液体、無色、水に不溶。
比重1.46
蒸気密度4.5 (空気=1) 気体は下へ
沸点86.7℃、蒸気圧7.8kPa(20℃、水は
2.3kPa)
 急性的には麻酔性の呼吸麻痺によって死
亡を招く
 慢性的には頭痛、めまい、はきけ
 発癌性
国際がん研究機関(IARC)による発がん性リスク一
覧においてGroup2A(ヒトに対する発癌性がおそ
らくある)からGroup1(ヒトに対する発癌性が認め
られる)へ昇格した(2014年)
 一般用途
金属表面の脱脂洗浄など
医療麻酔として使われてきた
 東日本大震災の際、東京都内の工場にお
いて地震の揺れにより工場内にトリクロ
ロエチレンを含むガスが充満し、死者が
発生。
 RCNPでの使用
標的、イオン源試料を流動パラフィンから 取り
出した際の洗浄
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基本的なこと
 危険性・有毒性を知ろう
 「化学物質には、なんらかの危険有害性が存在する」
 MSDSやインターネットで情報収集
 保護具を使用しよう 特に目!保護マスク(有機溶剤使用時)
試薬がはねて目にはいる事故が多い(阪大でも毎年報告あり)
 自分も回りも被害がないように
 昨年度安全衛生事故報告にもいわゆる「もらい事故」があった
 トラブル時の対応を知る (パニックにならないために)
 避難路 /応急処置 /救急/火災 など連絡方法
 正しい廃棄 一般廃棄物とは異なる
 微量でも自然水域、土壌、大気などの環境に放出しない
 無理な実験はしない
 夜間単独は絶対ダメ / 不安定状態で実験しない / 指導者とのコミュニケーションを
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おしまい
May the SAFE be with you!
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