県立花輪高等学校 - 秋田県総合教育センター

第29回
秋田県教育研究発表会資料
【6日E会場③】
特色あるキャリア教育の体制づくり
~キャリア教育モデル校としての 3 年間~
秋田県立花輪高等学校(進路指導主事)
教諭 赤坂 俊彦
1.実施の背景
【平成25年度卒業生進路先】(普通科4クラス 卒業生142名)
国公立大19
私立大41
短大18 専門学校28
就職33(民間25
【本校進路指導の課題】
部活動との両立
幅広い進路希望への対応
教師の進路指導力(就職から進学まで)をどのように高めるか
保護者との連携をどのように図るか
落ち続けている高校入試学力からどのように育成するか
中学卒業者数の大幅減少期を迎え、魅力ある学校づくりの基本としての進路指導
(H38年3月で鹿角の中学卒業生が339名→255名に)
公務員8)
2.キャリア教育実践モデル校としての骨組み
テーマ「チャレンジし続ける人間の育成」
構築のポイント
総合的な学習の時間の体系化
他校の取り組みを参考に、様々なしかけや自己評価を企画
書かせる指導で表現力を涵養
(現行している進路行事を軸に他校の取り組みを参考に一つ一つを意味づけして体系化した)
平成26年度キャリア教育の構想
~ チャレンジし続ける人間の育成 ~
職業的自立と社会的自立を指向する人間を育てる
進学
就職
生徒の成長
を可視化
〔3年次〕挑戦する気概を育てる
第一志望届
進路希望の具体化
インターン
シップ
キャリアノート
体験活動
地域ボラ
ンティア
〔2年次〕具体的な進路希望を描く
適切なコース選択
文章力
新聞
語彙読解
力検定
職業
学問
研究
進路
講話
社会人
講話
〔1年次〕自己を理解し志を高める
教育活動全般(教科・特別活動等)
チャレンジングリ
スト
3.3年間で取り組んだ内容について
総合的な学習の時間の体系化
イメージポスター製作
学識者による進路講演会
OBによるパネルディスカッション
大学模擬講義
インターンシップの充実
除雪ボランティアの実践
職員研修会
キャリアノートの作成
・チャレンジングリストによる自己評価
社会人講話
地域保護者による面接練習
アクティブラーニングの導入
4.総合的な学習の時間の体系化
構想を軸に「総学の時間」の年間計画を作成し、どの時期に何を取り組むのかを明確にした
まとめ取りとして年間4~5回の「針路の日」を計画し進路行事を組み込んだ
5.OBによるパネルディスカッション
テーマ 「花輪高校生に求めるもの」
会社の人事などを担当しているOBを数名招き、以下の点について全校生徒対象としてパネルディ
スカッションを行った。最後に、花輪高校生に期待することとしてメッセージを頂いた。
どのような視点で採用しているか(能力や必要な資質等)。
最近の新入社員(若者)について思うこと(何に優れているか 何が足りないか)。
全国高校生意識調査(リクルート)と花輪高校生のアンケートの結果を比較して
6.社会人講話
招待した講師
看護師、助産師、保健師、社会福祉士、保育士、料亭経営、自動車販売、ラジオ局運営
食品製造、精密板金、土木技師(公務員)、警察(公務員)、IT系起業家
「社会に出ることや働くことは大変だが、楽しい」や「夢、希望を持って欲しい」などが伝わる内
容をお願いした。50分×2コマで全校生徒対象に行った。
7.インターンシップの充実
就職クラスの生徒が1人1事業所に5日間行う。
複数で訪問すると甘えてしまいがちだが、1人制にし、自分自身が動かなくてはならない状況を作
ることで、主体的になることの大切さ、働く喜びを感じ取る機会としている
8.職業・学問研究
ベネッセの進路サポートと本校独自のキャリアノートを活用
2年次のコース選択にからめて1年次に行う。クラス発表から学年発表まで行う。
9.体験活動・ボランティア活動
新たに除雪ボランティアで1人暮らしの高齢者を支援を始めた。
感謝されることで自己有用感を高め、社会の役に立ちたいという前向きな気持ちを引き出す。
10.キャリアノートについて
従来ばらばらに保管していた取り組みの記録を一元化。
各活動の振り返りと評価をしっかり行う。
行事や日々の学習記録、模試の成績など感想も含めてすべてこの学校独自『キャリアノート』に
記録していく。
11.チャレンジングリストについて
【目的】
社会人基礎力の自己評価として他校の取り組みを参考にした。
生徒には、1学年のうちから3学年までにはここまでできる様にならなければいけないことを意識
づけた。また、教員間では、どの能力が伸びているかを確認でき、指導面での課題のありかを把握
することができる。
【内容】
①学校生活②学習③進路④地域の観点で、“できている”“できていない”を自己評価させる。
各項目が身につけさせたい4つの能力(自己理解・自己管理能力、人間関係・社会形成能力、課題
対応能力、キャリアプランニング能力)に対応しており、社会人基礎力の成長を可視化しながら進
めることができる。
【「できている」の割合の変化】
人間関係形成・社会形成能力
100
80
60
40
20
0
自己理解・自己管理能力
83
85
91
88
H25_2月
H25_9月
H26_2月
H26_9月
課題対応能力
100
80
60
40
20
0
100
80
60
40
20
0
71
73
78
78
H25_2月
H25_9月
H26_2月
H26_9月
キャリアプランニング能力
64
65
75
71
H25_2月
H25_9月
H26_2月
H26_9月
100
80
60
40
20
0
61
64
73
69
H25_2月
H25_9月
H26_2月
H26_9月
「キャリア教育における基礎的・汎用的能力」に対してのできている割合を、
アンケートをとりはじめた平成 25 年からの変化をグラフにすると、アンケート
回を重ねる毎に、おおむね増加傾向にある事がわかる。
12.アクティブラーニングの導入(H26年度~)
【研修の実践】
4月 前期校内授業研修会(講師 ラーニングデザインセンター 小林 昭文 氏)
4月~5月 AL(アクティブラーニング)時間の導入(学び直しとして月火木金の7校時)
6月 授業参観(市内中校長会、指導主事訪問)
7月 授業力向上セミナー(コーチング)(産業能率大学主催)参加
8月 キャリア教育推進フォーラム(産業能率大学主催)参加
高校教育フォーラム(学研主催、京都大学)参加
組織で取り組むアクティブラーニング(河合塾主催)参加
10月 授業参観(県北校長会、指導主事訪問)
校内授業研修会(総合教育センター指導主事、近隣中高連携)
11月 授業参観(管理主事訪問)
【導入の成果】AL時間実施アンケートと授業アンケートの結果より
(1)AL時間を行ったことでわからないことがわかるようになった
全校 80.8%
3年 83.5%
2年 66.7%
1年 91.6%
(2)AL時間は自分にとって有意義であった
全校 79.9%
3年 76.4%
2年 71.3%
1年 91.0%
(3)AL時間の各教科の内容は適切であった
全校 84.9%
3年 81.9%
2年 77.3%
1年 94.4%
(5)AL時間を続けて欲しい
全校 62.3%
3年 53.5%
2年 49.3%
1年 82.0%
Q
AL時間導入では、
全体としては有意義で
あり良かったという意
見が多かった。
授業の中でじっくり考える場面があり、意見交換を通じて学び合ったり発表し合ったりしている。
対象 年度
5よい
4だいたい
30.9%
1年生
26.4%
H25 11月 22.9%
11月
31.6%
7月
2年生
20.6%
H25 11月
9.4%
11月
42.4%
7月
3年生
19.3%
H25 11月 11.5%
58.3%
56.9%
52.9%
57.9%
53.7%
39.9%
45.8%
60.0%
41.0%
11月
7月
4,5計 増減
3あまり
2よ くない
89.2%
83.3%
75.7%
89.5%
74.3%
49.3%
88.2%
79.3%
52.5%
7.9%
11.8%
20.7%
9.0%
22.8%
42.0%
9.7%
15.0%
35.3%
0.7%
2.8%
2.9%
0.8%
0.0%
4.3%
0.0%
2.1%
2.9%
△
△
△
△
△
△
△
△
2,3計 増減 1不明
8.6% △
2.2%
14.6%
2.1%
23.6% △
0.7%
9.8% △
0.8%
22.8% △
2.9%
46.4% △
4.3%
9.7% △
2.1%
17.1% △
3.6%
38.1% △
9.4%
例年行って
いる授業ア
ンケートで
は、今年度
学びあった
り意見交換
する場面が
大きく増え
た事がわか
る。
13.取り組みの成果と今後に向けて
【成果】
・これまでバラバラに行っていた取り組みを体系化できた。学年主導だった総合的な学習の時間を、
キャリア教育の中で3年間系統的に組み込むことができ、学校全体の統一の取り組みにできた。
生徒にも社会人との接点や社会を知る機会が増えたことで、社会に出てから求められる力に対す
る意識も高まっている。
アクティブラーニングへの取り組みが、学校全体の授業改善への雰囲気に現れてきている。
【今後に向けて】
一連の取り組みをいかに継続していくか?が課題。生徒への効果を損なわずに先生方の負担を軽
減していく必要がある。
取り組んだ内容を進路実績につなげるしかけや工夫。